小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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…お前さんが眠っている間、私はずっと此処に居たよ。夢でも見たのかい、(目を覚ましていたとは思わなかったため、返事が返ってきたことに驚きつつも、不意に手を取られると相手を見つめて。外に出た事も見破られると相変わらず自分の変化には敏いと感心つつも暫しの沈黙の後、そう答えて。大方風邪薬などの備品の個数も把握していたのだろうが、今は余計な気を遣わせ無いように本当の事は伏せておこう。熱で朦朧としている今なら言いくるめられるだろうと「一週間分の薬が入って居たよ、切れたからってお前さんが貰いに行ったんだろう。」と言いつつ、余計な事は考えずに休むようにと伝えて。薬と湯呑みを手にすると相手を起き上がらせ、それを差し出しつつ。)──ほら、薬を飲めばだいぶ楽になる。
そ、そうですか…それは失礼しました。(何の間もなく、あまりにもさらりとした言葉を掛けられ、夢でも見ていのかとか錯覚さえ起こす。それに今のぼけた思考回路での相手からの言葉は、説得力を増しそういえばこの間に貰った気がする、と記憶さえ無意識にねつ造。体をゆっくりと起こすと、より鮮明になる意識で差し出された薬を白湯で流し込む。特有の苦味に少しばかり眉をひそめ、「ありがとうございます、こんな事までしてもらって…。何だか、子供の頃に戻ったようだ。」と。幼い頃は、こうして家族から看病をしてもらったものだ。懐かしげに、静かに笑いつつ「先生、ご飯食べましたか…?朝ごはんの時間を大幅に過ぎていますし、お腹が空いたらいつでも食べに行って構いませんからね。」と首を傾けつ、時計を一瞥した、)
失礼します、インフルエンザにかかってしまった為に、お返事がとても遅くなり申し訳御座いません。体は回復しましたので、今日からまたお返事が出来ると思います。(orz)
…お前さんが具合の悪い時くらい、私が甘やかしてやらねぇと。(相手が薬を飲んだのを見届けると湯呑みを受け取り、横になった相手の肩まで布団を掛けてやり。幼い頃に戻ったようだと言う相手に少し笑いつつその髪を優しく撫ぜて。こういう時でも自分の食事の心配をする相手は所謂職業病とでも言うのだろうか、自分の世話が染み付いてしまっているようで今はそんなことは気にしなくて良いと。とは言えあまりずっと側にいたのでは相手も落ち着いて休めないだろうと、もう休むようなら自分は席を外すと伝えつつ。)腹が減ったら自分で食べるから、そんなに心配しなくて良い。それより、何かして欲しい事は無いかい。休むんだったら、席を外すよ。
なんと、棗くんと同じく背後様も体調を崩されて居たのですね…もう回復なさったとの事で安心致しました。お返事頂けて嬉しい限りです。年末年始お忙しい時期かと思いますので、くれぐれも無理はなさらないでくださいね!
…お気遣い頂き、ありがとうございます。子供のようにえんやえんやと泣いて甘えたら、先生はびっくりするでしょうね。(世話役が世話を掛けられるという意味では今までそうそう無かった事でも、相手の優しさはたとえ自分がミスをしても声を荒げる事もない。そこに思わず甘えてしまいそうになる自分は常日頃居る訳で、先生は気付いていないけど毎日甘やかされていると言っても過言ではないのだろうと内心。今相手に頼みたい事は特段無く、お互いマスクもしていない為長い時間いては相手に移してしまう事を恐れて、再度お礼を一言。静かに笑って、)薬も飲みましたし、1時間程はこのまま横になってようと思います。同じ室内に居て移してしまってはいけませんので、執筆活動に戻られて下さい。本当に、ありがとうございます。
まさか物語の流れと連動するとは、思わず笑ってしまいそうになりました。予防接種は済ませていたので長引く事はありませんでしたが、主様も流行病にはお気を付け下さい…。はい、ありがとうございます。ぼちぼち返していけると思いますので、これからもよろしくお願いします。
…ん、何かあったら呼ぶんだよ、直ぐに来るから。
(相手の言葉に頷きそう声を掛けると一度手拭いを冷たいものに変えて立ち上がり、相手に促されるまま部屋を出ると静かに襖を閉めて。少し話を書き進めたら粥でも作ろうかと思いつつ執筆部屋に戻ると、朝筆を止めたままの原稿を眺め再び筆に墨を染み込ませつつ原稿に文字を連ねていき。やがて手が止まりうとうとと微睡んでしまったのは、珍しく普段やり慣れない事をしたせいだろうか。粥を作ろうと思っていたにも関わらず目を伏せたままコクリと首が揺れ。)
良かったです、ご無理はなさらないで下さいね!
いえいえ、こちらこそこれからも宜しくお願い致します。
少し新年の挨拶が遅れてしまって悪かったね。
1週間経ったから、お前さんが見つけやすいように一度上げておくよ。
まだ本調子じゃあないだろうし、無理はしないように。
ありがとうございます。先生も、体を温めながら執筆して下さいね。底冷えが厳しくなって来ました、半纏はいつもの棚に入れていますし灯油も補充しておいたので、今日1日は余裕で持つでしょう。お体に気を付けて。
(少々眠気を催して来ていたが、相手が立ち上がると、目をパッと開き思い出したように矢継ぎ早と言葉を紡いでいく。半纏はいつもの棚にある、ここ最近気温が低くなって来たので底冷えもするだろう、灯油は補充しておいたのでストーブもつくはずだと脳内で確認事項をちらほら。戸が閉まり、見送るとそこから夢の世界へと意識が沈んで行くのにそう時間はかからなかった。薬と濡れタオルのおかげか、幾分か体の心地よさを取り戻しつ、窓からの木漏れ日がまた一層気持ちよく。久しく、お昼寝をしようか。)
度々返事が遅れてしまい申し訳ありません。背後の方曰く、体調を崩し長期の休みを頂いていた分の皺寄せでバタバタしておりました…との事で。体は僕も背後の方も含めてぴんぴんですので、ご安心下さい。年末年始は忙しくなるだろうと思って予告はさせて頂きましたが思った以上にお返事が返せてない現状をとても申し訳なく思います。いつも優しい言葉で待っていて下さり、心から感謝致します。…改めまして、あけましておめでとうございます。今年度も先生にとって実りのある1年になりますように。まだまだインフルエンザは猛威を奮っています、お体にはどうか気をつけて下さい。今年一年も、何卒宜しくお願い致します。
(体調が優れない時であっても自分を気遣う的確な相手の忠告に少々感心したものの、その忠告を何も守らないまま執筆の合間に浅い眠りに落ちてから一時間。寒さで目を冷ますと、書きながら微睡んでしまったのだと早々に立ち上がり相手に言われた通り半纏を羽織って。少し身体が冷えてしまったためお茶でも淹れようと思ったところで、そう言えば自分は粥を作るつもりで居たのだと思い出し呆れたように溜息をひとつ。普段相手に任せきりの為、なかなかスムーズには事が運ばないようだ。微睡んでしまっても身体を冷やす事が無かったのは相手がそっと半纏を掛けてくれていたお陰、原稿に染みを作ってしまわなかったのも気が付いた相手がそっと筆を硯の上に戻してくれていたお陰なのだと改めて感じつつ向かった先の台所で薬缶を火にかけ、やがてお湯の沸騰する音に薬缶から急須に湯を注ぎ。)
私の方こそ、忙しい状況なのに急かすような事を言ってしまって悪かったね。待っていると言いながら先走ってしまって…しょうがない背後だよ。事前に報告は貰って居たのだから、気にする事はない。年末年始と忙しいのは当然の事だ、お前さんのペースで返してくれればそれで良いよ。
今度こそきちんと待っているように背後にも伝えておくから。
私の方こそ、今年も一年宜しくお願いしますよ。
(ふと目を覚ますし時計を見ると、1時間程時間が経過していた。此処に来て始めての体調不良による休みに、疲れていた体も一気に癒す。自分の好きな時間に起きて、眠たくなったらまた寝る。食べ物も、相手が持って来てくれるので起きる事もしなくて良い。現状を字面だけで見ると何とも幸せで楽な時間は良いようにも思えるが、実際はそうはいかない。相手の優しさあってこそであるも、やはり自分には何だかむず痒くもある。今日の晩御飯は、予定では昨日購入した赤魚で煮付けでも作ろうとしていた所であり、仕込みは勿論出来ていない。脂の乗った良い物を手に入れた為、ぜひとも相手に食べさせてあげたかった、相手が良いと言えば今すぐにでも仕込みに入るのだけれど、と肩を落とす。幸いにも特段酷い症状も無く、体温も落ち着き始めたので明日にでも復帰は出来るだろうと早々に意気込みながら、窓からの木漏れ日を辿るように外の快晴により映える青空を眺めて、)
いえいえ、お気になさらず。僕が言うのも何ですが、返事のペースも遅くなり愛想尽かされてもおかしくない状況でも、優しく言葉を投げかけ待って下さって、凄く嬉しかったです。先生は良い正月を過ごせましたでしょうか、お互いのペースで、これからも支え合っていけたらと思います。
(台所に立ち、鍋に水と米を入れて火にかける。台所に立つのには似つかわしくない身綺麗さ、普段筆ばかりを持つ手に箸やらを持ち、原稿に落としている真剣な視線を鍋の中に注いでいる小説家など、誰がいくら願っても到底見られないだろう。一人で暮らしていた頃も外に食べに行くことが多く自炊などほとんどしてこなかったため、家事の中でも唯一料理だけは苦手としていて。煮立って来たものの挑戦した粥はどうやら水の量が多かったようで、想定よりも緩く流動食にも近い。見た目はお世辞にも美味しそうとは言えないが今は其れを食べて貰うしかなく、茶碗によそり梅干しを1つ乗せるとお盆の上へ。自分が飲もうと思って淹れたお茶を湯飲みに注いで盆に乗せると、相手の部屋へと向かい。目を覚ましていた相手と視線が合うと、珍しく少し気まずそうに視線を泳がせつつそうひと言。盆を相手に差し出して。)…料理は昔から、からきし駄目なんだ。
愛想なんて尽かさないよ、背後はお前さんとのやりとりを随分楽しみにしているようだから。
気候も穏やかで、のんびりとした良い正月だった。
そうだね、くれぐれも無理はせず楽しんでいければ良い。
(台所から何やらお米の良い匂いが漂ってくる。食器のぶつかる音と忙しい足音に、思わず手を貸しに身を起こしたくなる衝動さえ。然し乍ら、相手も一人暮らしの歴もある為に大丈夫だろう、昼ご飯を食べようという気を起こしたようで一安心。ふと、襖が開く音にそちらに視線を向けると何処かばつが悪そうに視線を泳がせる相手の姿。差し出されたお盆の上には茶碗の上に小さく花を咲かせる赤い梅干しが愛らしくて、元より自分の為に台所の立って居たという事実に対して申し訳なさと嬉しさが競り合う。結果嬉しさが上回り、「…僕の、ですよね?」と失礼ながら再確認。相手の手料理を食べるのは初めてで、そっと茶碗を受け取り一口。お世辞にもお粥にしては緩い仕上がりも、喉への負担もなくするりと食道を通る喉越しが心地よく、温かさが体の内側から身に沁みた、)…凄く、美味しいです。ありがとうございます。
はは、奇遇ですね。新年早々、忙しい毎日が続いてますが僕にとっても、僕の背後にとっても此処は安らぎを与えてくれる場所なんです。はい、無理はせず、これからもよろしくお願いします。
──当然だろう、自分の為に料理をするくらいなら食事を抜いた方が楽だよ。(まさか小説家が自ら台所に立つとは思わなかったのだろう、粥を見てそう確認する相手に呆れたように答えつつも相手の為に作ったのだと認めて、自分の為に料理をするくらいなら2日くらいなら食べない方がましだと例のごとく彼らしい極端な主張を。しかし自分が作った、決して美味しそうに作れた訳ではない粥を食べる相手の表情も、心から言ってくれているであろう美味しいという言葉も嬉しくて相手の布団の脇に座ったまま思わず少し表情を緩めて。)…そうかい、其れは何よりだ。食べたら、また昼の薬を飲んで休むんだよ。
嬉しい言葉だ、此方こそ、これからも末永く相手をしてもらえると嬉しい。こっちは蹴って構わないよ。
僕の為に、看病をしてくださるのは嬉しいですが先生もお食事は取って下さいね。
(時間と発言を聞き解く辺り、きっと先生は昼ごはんを取っていないのであろう。自分の為に台所へ立ってくれる気遣いは嬉しいが、それにより相手の食事時間や気力を削りご飯を取れないのでは元も子もない。しかし自分が台所に立つ訳にもいかず、食事を取る手を一度止めると困ったように苦笑を。少しずつ、粥を口に運び乍、最近の忙しなさと進捗がやや気がかりで。相手が原稿を落とした事は一度もなく、大丈夫であろうが世話人としても確認を1つ、)はい、ありがとうございます。先生、執筆の進捗はどうですか?
はいはい、私は何でも適当に食べるから気にしなくて良いよ。(食事を摂るようにという聞き慣れた相手の言葉には頷きつつも続く相手の問い掛けには溜息を。今回の受賞を機に仕事が急に増えたのは確かで多少の疲れは溜まっている様子。これまでにも賞を貰うことはあったが、今回が一番大きな賞でメディアに取り上げられる事も増え、執筆依頼も増加している。嫌いな取材にも臨まざるを得ず、自分のペースで話を書けないせいで珍しくスランプにも陥ったりと、慣れない仕事に振り回されている状況ではあるが原稿は今のところきちんと書き上げていると。相手の言葉を揶揄いつつも、余計な事は考えずに休むよう告げると執筆に戻るため立ち上がって。)…なんだい、お前さんまで出版社の人間みたいな事を言うんだね。ちゃんと書いていますよ、書かねえと彼方さんが煩いから。──とは言え、締め切りが近いのがまだ2つも残ってるんだ。お前さんの言う通り、大人しく執筆に戻るとするよ。
確か、昨晩の煮物の残りを冷蔵庫に入れておきましたのでよかったら食べて下さい。残り物で大変心苦しいのですが…。
(そういえば昨晩の残りを冷蔵庫に入れたな、とふと思い出す。そういった残り物は次の日の小鉢や新たに別献立として仕立て直す物で、申し訳無さも感じつつ相手の胃袋の容量を考えると一食分には丁度良い量だろう。きっと、お昼も取らず執筆に戻る姿が容易く想像出来る、1つ提案を。先月の大きな会見から、仕事量は増え多忙の毎日。加えて、お互い体調を崩したり行き違いを起こしたりと公私共に慌ただしくもあった。自分の看病の時間さえも惜しいはずだ、と残りの粥を食べ終えると昼の分の薬をぐっと飲み込む。明日にでも、復帰をしようと意気込みを、)お忙しい中お手を煩わせてしまい申し訳ありません。今の時期は踏ん張り所でもありますが、どうか無理はなさらずに。僕も早く体調を整えて、先生のお役に立てるよう精進致します。
ん、其れは丁度良い、頂くよ。…急く必要は無い、今はゆっくり休むと良い。(食事を摂る気があるかどうかはその反応で明らかに分かる、気の無い返事の時は口では食べると言っていても結局面倒で殆どの確率で食べないのだ。普段食べている相手の料理が残っていると聞けば頷き、食事を摂ることを約束しつつ無理はするなと声を掛けると部屋を後にして。一度熱中するとなかなかブレーキの効かない体質、執筆を第一に考えそれ以外のことは全て二の次にしてしまいがちなのは昔からで相手が来る前は朝夜関係なく執筆に没頭し、食事は気が向けば取り書斎で眠ってしまう事も多々あった。しかしその無謀なやり方は、相手が来て以来無理にでもブレーキを掛けて貰う事で、今では所謂普通の生活サイクルを送るようになっていて。しかし其の相手が居なければ再三注意を受けていても結局没頭してしまうのは今に始まった事ではない。筆を執って数時間、ようやく一度筆を置いた頃にはあたりは暗く、ずっと同じ体勢でいたため肩が酷く重く強張っていて。こういう時はいつも相手に解して貰うのだがそれも明日にしようと思いつつ夕食を相手に取らせなければと台所で粥をよそい再び相手の元へ。)
先生が用意してくださった草やお粥のおかげで、朝方より随分と気分が軽くなったんです。ありがとうございます。
(事実、早朝の起床後の身体の重さや熱っぽさもお昼を回ると幾分か軽くなった。相手の作る食事は自分が手間隙かけて作る料理より数倍美味しく感じたのはきっと想いが込められた物でもあるからだろう。病は気から、とはよく言ったもので、落ち込んでいた気分も晴れやかになった今は若干の風邪の症状は残る物の今にも体を動かしたくなるもので。相手が部屋から出て行ったのを見送ると、1つ考え事を。本来なら買い出しに行く事さえ出来なかった為、今台所にある材料で明日朝の食事を用意しなければならない。材料を思い出し、そこから献立を考えると同時に明日は恩返しの意味も込めて、少しだけ豪勢にしてしまおうと。その後は再び眠気を催し、微睡みに身を任せ深い眠りへ。相手が食事を用意する音でふと目を起こして、)
…よく眠れたみたいだね、昼間よりも顔がすっきりしてる。(昼間の時点で既に緩かった粥を温め直すことで、一層緩くなってしまう。それに頭を悩ませつつも、同じ味付けでは飽きてしまうだろうかと珍しく彼なりの配慮から冷蔵庫の中身と睨み合った末溶き卵を絡ませて、相手の元に運ばれたのは緩い事を除けばそれなりの卵粥。ちょうど目を覚ました相手を見ると幾らか昼間よりも顔色もよくさっぱりした様子にそう言い乍額に手を当てて。「よく冷まして食べるんだよ、」と言いつつ器を渡すと自分は布団の横に座り一息吐いて、盆の上に二つ並んだ湯呑みに急須で茶を注ぎ一口啜り。相手の具合が良くなってきたことで安心したのか甘やかすのはやめにしたらしい。普段通りの様子で、もう料理はしないと宣言して。)──…料理なんて慣れない物に手ぇ出した所為で、今日はやけにくたびれた。…もう作らないからね、
はい、充分過ぎる程に休養も取れましたので。ここまで動かない日も珍しいです。
(ここまで動かずに1日を過ごした日があったであろうか、楽と言えば楽だがやはり物足りなさは感じておりつつも、額に這うひんやりとした指先が心地よく、頬緩め笑ってみせて。頂きます、と手を合わせ口に運んだ。昼間の粥とはまた違う味付けは何とも優しく控えめで。ふわっと綴じられた粥を食べ進め、見た目の量とは裏腹に水分を吸っている為あっという間に腹にたまる。緑茶を啜り、「先生、お昼は食べましたか?一晩経っているので少々味も濃くなっていたかと思います、お口に合いましたでしょうか」と視線ちらり送り問うて。相手の作る料理を食べる機会が今後無いのは少々残念な気もするが、やはり自分は作る側が性に合っている。先程脳内で立てた献立を明日振るおうと、内心意気込んだ、)それは残念。では、明日からのお食事は僕が担当させて頂きますね。
良くなってきたとは云え、暫くは余り無理はしないようにするんだよ。またぶり返したんじゃあ困るから、(早速明日から普段通りに働き出しそうな相手の口振りに、牽制の意味も込めて敢えて自分が困る、という言い方をして注意を促し。「食べたよ、味が染みてたから飯も進んだ。その所為でまだ腹も空かないから、夕飯は要らないよ。」と相手の問い掛けには答えつつ、彼にしては珍しく昼からよく食べたらしい。茶を飲み干すと相手の食べ終えた器を盆に乗せ、薬を渡して。もう少し執筆を進めようかと考えつつ盆を持って立ち上がって、朝から一日中寝ているため何か本や文芸誌など暇潰しになりそうなものを持ってこようかと尋ね。)ん、お願いしますよ。今日はもう休みな、…寝付けないようなら何か持って来てやろうか。
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