下校時、居眠り運転の車に轢かれたと思った瞬間に、目の前の景色が一転した。
何も無い白い空間に黄金に輝く光が一つ。その光が突然話しかけてきた。
「お前の命を助けてやろう。その代わりに妾が造った惑星の管理の手伝いをして欲しい」
と言う事だった。
断れば元の世界に今すぐに戻して貰えるそうだが、戻った瞬間に車に轢かれて死ぬ運命だそうだ。
もし手伝いをするのならそれ相応の礼をし、今後の生活には不自由がないようにしてくれると言う。
この究極の二択を示され、私は若干十七歳で後者を選んだ。
親や兄弟、友達と離れ、独り立ちする事を選ぶしかなかった。
だって、まだ死にたくないもん。
恋だってした事が無かったし、結婚だって一回くらいはしてみたいと思うじゃん。
それに、人生十七年って早すぎるじゃない!
で、話を良く聞くと、その新しい世界では魔法が使えるらしい。
夢にみていた魔法。妄想していたファンタジーな世界。これは行くっきゃないよね!
でもでもー、このままではダメなようで、下界に降りる際に体を作り替える魔法の実を二つ食べなきゃいけないんだって。
そうしないと魔力が体に宿らないんだってさ。
そういう訳で簡単な説明を受けた私は、下界へと繋がる道に案内をされ、門を潜った瞬間に…床が滑り台のような急勾配になって滑り落ちていった。
「ぎゃあああああああああ!!!」
プールにあるスライダーの様に、真っ直ぐだったり急勾配だったり、グネグネと曲がっていたりと、そりゃあ迫力満点のジェットコースター並のスリルと共に、途中に生えている魔法の木の実をもぎ取り食べなきゃいけないという苦行まで付いていた。
もうね、なんでも良いからもぎ取って食べたわよ。大きいのはちょっと無理そうだったから苺サイズとかサクランボサイズのを食べたんだけど、まあ基本一口で食べられるってサイズなんだけど、途中でリバースしないように頑張って両手で口を押さえていたわよ。
そのおかげで体が魔法耐性に作り替えられて、二つの魔法が私の物になったの。
一つは【再生の力】、もう一つは【破壊の力】。
なんかこの二つは最高級の力らしくって、【破壊】に関する魔法ならなんでも使えるし【再生」は治癒とか癒しとか果ては、死体の鮮度にもよるらしいけど【生き返し】が出来る超優れもの。
私は今まで夢や妄想の世界でしか出来なかった事がこれからできるのよ。
ひゃっほーい!
生きてて良かった!
ブラボー!!