ゴトゴトゴト。
廻る車輪は、意識のない貴方を運ぶ。
鬱蒼と茂る樹海の最奥、人の世界の果てにひっそりと佇む御邸へ。
やがて貴方は目を覚ます。
寝ぼけまなこを覗き込むのは、文字通りの人でなしたち。
彼らは口を揃えて言う。
「ようこそ、大切なお食事さん」
――しかし、奇妙なことにバケモノたちにも心はあった。
それどころか、一度気に入れば決して放さない、[耽溺]の気質を持つ者ばかり。
始めは貴方のことを餌としてしか見ていなかった彼ら。
触れ合いを重ねるにつれ、お互いの心に芽生えたのは果たして――?
>いらっしゃいませ、長旅ご苦労様でした。…と、よく眠ってらっしゃいますね。そのまま良い夢に溺れて、もう少しだけ、お静かに。