魔法使い 2018-10-02 22:51:17 |
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僕は1日店にいたよ、今日は祭りの翌日だからか薬を買いに来る人もほとんど居なくて、ケーキを持ってきてくれた人達とずっと話していた。店を閉めた後少し眠るつもりが、こんな時間まで寝てしまった。
(そう言って相手が出してくれたティーポットからカップに紅茶を注ぎながらそう言って笑って)
普段のお疲れが溜まっているんでしょう…お師匠様、明日はお師匠様が一日休んでください。お店の方は僕が致しますので
(椅子に座れば、切り分けも紅茶も注いでくれる師匠にありがとうございますと感謝を述べて)
…良いのかい?さっきゆっくりと休んだからもう大丈夫だけど、のんびり出来るのは嬉しい。
(相手の言葉にそう言って、一人で店を任せても大丈夫かと首を傾げて)
美味しいケーキですね、今度御礼をしなくちゃ
(はい、と微笑みながら頷いてケーキを口にすれば美味しいと食べ進め)
夜は寝られそうですか?
眠れるよ、僕は寝ていて良いって言われたらいくらでも眠れる。…良い夜だ。
(怠け者だからね、と冗談めかして言って笑い窓の外に浮かぶ月を見上げて)
お師匠様ったらっ
(クスクスと冗談に笑いながらもそう返して)
…そうですね
(月を見上げ、少し表情は曇り。というのも帰りに満月の時は症状が出やすいと聞いていて蜜の抽出を急がねばと考えて)
…それじゃあ、僕はそろそろ休むよ。いつも言うようだけど、ルイも夜更かしし過ぎないように。良いね。
(そう言って立ち上がると、普段から夜更かしをしがちな相手に釘を刺すようにそう言って。)
はい、おやすみなさいませ、お師匠様
(立ち上がれば一礼して部屋から立ち去るまで見送れば食べ終えた食器などを洗い片付け、明日のためにと仕込みだけを済ませて部屋の灯を落とせば鞄を持ち灯りと共に仕事部屋まで下りてくればそっと扉を閉めて、鞄から受け取った本を取り出して読みだす。所々に医者の手書きだろうか独特な走り書きが記されており、目を通しているだけでも大変興味をそそられるものなのだが、今は必要なページを開きその一枚の花びらをそっと机の上に置けばまずは花を増やさなければ蜜も取れない…とその小さな一枚から師匠を絶対助けるという強い意志を持って魔法を使い始める。ぼんやりとしたライトブルーの光が部屋を包みこみ、花びらがふわりと宙に浮けばゆっくりと花びらが増えて大輪の花へと姿を変え、その花から種が零れ落ちれば次々と花が咲き乱れるようにして大輪を咲かせていく。甘い香りが仕事部屋を包みその花すらもぼんやりとした光を放っていれば部屋は灯りを必要としないくらいに照らされて)
お師匠様のだけは残そう…
(そう呟けば、最初の大輪を避けて置き他の花を摘み取りゆっくりと時間をかけて一滴一滴を絞り出していく。しかし取れる蜜の量はティースプーン一杯にも満たさず大切にその蜜を小瓶へと入れていく)
これじゃ全然足りないや…
(本には吐き出す花のおよそ半量を摂取する必要があると書いてあり、お師匠様には悪いが今夜も夜更かしは必須になりそうだと思いつつ培養を続けて蜜を採取していく)
(助手が自室で密かに作業を続けている間、部屋に戻ったもののやはり医者の言う通り満月の日は悪化しやすく、深夜に目を覚ますとベッドに入ったまま目を閉じてその苦しさをやり過ごそうとしていて。窓からの月の光は明るく部屋の中を照らし、咳き込むとシーツの上にぱさりと花が落ちて。咳き込むたびに色とりどりの花が咲き乱れるように足元を彩り、手袋を取ると月の光に照らされて肘のあたりまで透けるように葉脈が浮かび上がっていて。ベッドから降りるも苦しさに冷や汗がつたい、思わず助手の名前を呼んでドアノブに手をかけて)
……っ、ルイ…
ルイ…ッ…ごほ、!
(助手には隠し通しておくべきなのに、助けて欲しくて苦しさを和らげたくて相手の名前を呼んでしまい。ドアノブに手を伸ばすようにしてしゃがみこんだまま咳き込むたびに花が足元に折り重なって、月の光に満たされた部屋の中で葉脈の浮かび上がる片手を強く握りしめて)
お師匠様?お師匠様っ大丈夫ですか?
(扉をノックし苦しそうに咳き込むのが聞こえれば扉を開けて床に散らばる花を見れば魔法で踏まぬように浮かび上がらせ師匠の背に手を添えて撫で)
…っ、…
(咳込むたびに色とりどりの花が散らばり、苦しそうに目を閉じるものの相手が背中をさすってくれることで少しは楽になり、体を支えてくれる相手の手を握りしめて。大輪の花は少しずつ小さな花へ、そして花びらへと変わっていきそれに伴って苦しさも落ち着いてくるようで。)
お師匠様がお戻りになられましたら、引き続きお願い申し上げます。
貴重な体験をさせて頂けた事を感謝しつつ、素敵な物語が出来上がる事を願っております。
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