魔法使い 2018-10-02 22:51:17 |
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お師匠様、お加減はいかがでしょうか?
(お昼過ぎ再び花の蜜の入った飲み物を手に師匠の部屋のドアを小さくノックして)
失礼致します。
(返答がないためにそっと扉を開けて中へと入れば眠っている師匠を目視で確認、そっと近づいてサイドテーブルに置かれたままの朝食を手に取れば今持ってきた飲み物とを入れ替えて置き、そのままそっと部屋から出ていく。キッチンへと降りてくればそっとそれを処分し、食器を洗って片づけ、引き続き作業と共にお店へ来た来客との対応をすればやがて夜を迎えて。お店をopenからcloseへとかえ本日の営業を終いにすれば自身、丸一日食事をすることも忘れ、作業部屋へすぐに戻り今度は気を散らすこともなくジャムの瓶一本分にもなる蜜を集め終えて、ようやく肩から力を抜き息を吐き出して)
(目を覚ましたのは相手がテーブルに飲み物を置きに来てから数十分後。ベッドに身体を起こしたもののまだ体は辛いようで、相手の姿を探して視線を彷徨わせ。今夜を過ぎれば、月はまた欠けて行き楽になると分かっていても苦しかった。弱っている今は相手にそばにいて欲しくて、立ち上がろうとしながら相手の名前を呼んで)…ルイ、
お師匠様、お加減は如何ですか?
(名を呼ばれた気がして蜜の入った瓶を手にしながら急いで階段を登っていく。小さくドアをノックすれば声をかけて)
(入ってきた相手に腕を伸ばすと、何も言わずにベッドに座った体制のまますがるように相手の背中へと腕を回してその肩に顔を埋め。まさか花の蜜で楽になるとは思ってもおらず飲み物も口にしていなかったため苦しいようでその背中は小刻みに震え、小さく咳き込んで)
お師匠様…大丈夫ですか?
(ベッドの縁へと腰かければ縋り付く師匠の背を優しく撫でつつサイドテーブルに置いた飲み物も減っていないことを見れば優しく声をかけ)
お師匠様、何か口にしないといけませんよ?温かいお飲み物をお持ち致しましょう
大丈夫だ…行かないで。少し背中をさすってくれれば、すぐに楽になるから…
(相手の言葉に引き止めるように相手を抱きしめたまま、そう言って目を閉じて。苦しかったが、相手がそばにいてくれる事が何より安心できると)
はい、お師匠様
(そう返事をすれば背を撫で続け、その儚げに思える身体を少しきつく抱きしめれば師匠の肩へと頬を乗せて今この瞬間の師匠の存在を感じれば目を瞑り温かさを感じて)
…ルイがこうして抱きしめてくれていたら、僕は自分がここにいると信じていられる。
(相手が背中をさすってくれた事で少しずつ落ち着いてきて、相手がいれば花に呑まれて自分を失ってしまうことはないと言って)
…僕はずっとお師匠様のお傍にいます
(顔をあげて師匠を見つめれば安心してくださいと優しくほほ笑み。そっと身体を放せば、持っていた花の蜜の入った瓶を見せて)
お師匠様、これで少しは症状が和らぐはずです…
…ありがとう、少しの間に頼もしくなったね。
(そう言って少し微笑むと、相手の持つ蜜の入った瓶に首を傾げて)花の蜜で、楽に?
はい、実は…
(先日の休みに隣町に行った理由、そして花びらや蜜が効果に期待出来ることを話して、少しの罪悪感から視線を落として)
隠していてすみません…
その時から、気づいていたのかい?
それにしても、花の蜜で楽になるとは知らなかったな
(相手の言葉に驚いたようにそう言って、怒る様子はなく興味深かそうに)
…はい、お医者様から書物も譲っていただきました。
(視線を師匠へと向ければ、興味深そうにする様子を見て少し微笑みを浮かべれば)
ですのでお師匠様、温かい飲み物に混ぜて少しづつでもお飲みください
ありがとう、…ルイには迷惑をかけてばかりだ。
(そう言って先程相手が置いてくれていた飲み物を手に取って、少し困ったように微笑んで)
何を仰っておられるんですか、お師匠様…僕は嬉しいですよ?
(ふふっと笑い、自分は師匠のお世話をさせてもらえることが嬉しいと言って)
夕食はお召しあがってくださいね?
もう3年近くも前の部屋を今さら上げて、未練がましいと思われるかもしれない。
ずっと君に謝りたかったけれど、勇気が出なかった。この部屋を何度も開いては、メッセージを綴る事なく閉じてを何度繰り返しただろう。
ルイ。突然居なくなって、本当に申し訳なかった。
当時部屋が荒れ気味だったことも、返事が出来なくなった一因でもある。君に落ち度は何も無かった事だけは、伝えさせて欲しい。ルイとのやり取りはすごく楽しかったよ。
時間が経って、君に謝罪をする覚悟ができて、今日此処に来た。君がこれに気づかなくても構わない。あまりに今更すぎる事は僕も自負しているから。
それでも、君がいつかメールを設定している、と言っていた言葉に一縷の望みを託した。いつか、君がこれを目にしてくれたら嬉しい。
ルイ、楽しい時間をありがとう。
勝手に此処を去っておきながらどこまでも身勝手だとは思うけれど、またいつか縁があったら君と話したい。
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