見習いマスター 2018-09-02 23:37:37 |
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>>アンリマユ
(がさがさ、ごそごそ、森のそこかしこから気配がして歩いても歩いても誰もいない場所がない。監視カメラのある部屋みたいで落ち着かない、と振り返ると…小さな影が必死についてきてくれていて。枯れかけの花冠、心配そうに見上げる目…そっと手を伸ばして抱き上げたなら「あのひとの、そばに、かえればいい?」と。返事は無いけれど、夢なら願いながら歩けば辿り着けるはず。来た道をぐるぐる歩いて、遠くに小さく見えた黒い影に気が付いたなら小走りに…)
___おにいちゃん、おともだち、ひろについてきちゃった
御影尋.
やっ、おかえり~。帰り道は見つかったのかい?
( その辺の切り株に腰掛け、カルデアのキッチンからコッソリくすねてきた林檎に口をつけているとものの数十分もしないうちに、出発地点とは反対の方向から少女が駆け寄ってきて。すっかり懐柔されたらしい妖精達がワッ!といっせいに彼女の周りに集まっていき、人ならざる言葉で遊ぼうと誘う。果実の芯を適当にその辺に放り投げたのなら、「こらこら邪魔したらいけないよ。君も早く帰りたいだろう…?」とそちらに穏やかな眼差しを投げ、そして嗜められた妖精達は皆、残念そうにションボリしており、)
>>アンリマユ
…かえりみち、なかったから、いじわるなおにいちゃんとあそぶ
(そっと、腕に抱えていた小さな生命を地面に下ろせば、他にも寄ってきてくれた影に、ぱっと表情を明るくする。膝を折って、その輪の中心に座り込んだまま不思議そうに見下ろしていたけれど__どうやら彼等の言葉が分かるらしいヒトを驚いたように見上げて。おかえりなんて、意地悪だ…その上で帰りたいか聞くなんて、もっと意地悪だ!咄嗟に帰りたいと返事をしようとして唇を引き結んだのは、起きたら親が迎えに来ているかもしれなくて、あんりや皆と遊べないのだという…そんな事実を思い出したから。「ひろは、おきたくない。ねてたい」…ふいっと顔を逸らすように、足元の小さな頭に乗った花冠を手に取ったなら_再び色を取り戻したそれをそっと小さな頭に戻してあげて)
御影尋.
…いや、帰れよ。
( こちらに向いた無垢な目が一瞬、抗議したげにつり上がったが、次の瞬間には弱々しく伏せられ。愚図る少女も確かに厄介ではあるが、それよりも鼓膜を揺らした声無き本心に、微かに眉間にシワを刻んではポツリ上記を。先程の質問はあくまで現実世界への帰還を指しているのであって───そもそも、この世界のどこにも彼女の帰る場所なんて無いじゃないか。なぁにも知らず妖精を飾り付けている少女に、呆れをぶつけるように肺から深々と息を吐き出し。「ていうか…その呼び方やめてくれる?呼ばれるたびに鳥肌が立つ。」などと名乗っていないことを棚に上げて、腕捲りすれば青白い肌を曝け出して、)
>>アンリマユ
ええ____じゃあ、ううん…“おーさま”
(胡蝶の夢とはよく言ったものでコレが現実なのか、あるいはお世話役を買って出てくれたヒトなんて最初からいなかったのか…いずれにしても、寝ても醒めても今の自分に帰る場所はない。いくつかの花冠を綺麗にして、ゆっくりと立ち上がれば、心底迷惑だと言いたげな目の前の青年の傍に寄り…多くの小さな命に慕われる、王冠を乗せた王子様…いや、横暴さ的に“王様”にしよう。嫌われていると分かっていても、迷惑そうだと感じていても、今ここで話が出来る登場人物はこのヒトだけ。「おーさまも、あんりたちとおなじ?まほうつかい?…“ひと”じゃない?」と…捲られた袖から覗く腕はヒトのモノ、冷たそうにも見えるそれに触れるように指先を伸ばし)
御影尋.
君にその呼称で呼ばれる謂れは無いんだけど、まあ良いか。
( 渾名の由縁はもちろん視えている…とはいえ、純度100%の善意で“ お兄ちゃん ”と呼ばれるよりは断然マシだ。己の中で落とし所をつけたところで腕に妖精よりも温かな体温がペチリと、触れた為顔をそちらへ。…子供という生き物はすべからず恐れというものを知らないのか、先程出会ったばかりの見知らぬ男の腕に平然と触れてくる少女に何やってんだ…と言った眼差しを送りつけ。一方で「名前ね…いいよ、言ってやっても。俺は妖精王オベロン・■■■■■■■■。」と…後半の音は本当に、たまたま、吹いた強い風に乗って攫われた。とはいえこれで己が魔術師はおろか人間でもないことが伝わるだろう、)
>>アンリマユ
…よーせいおー。おべぉ、おべろぅ__おべ!
(触れた腕は、あんりと比べて、冷たい。こちらを見下ろす目がそれはもう不満気だったけれど、多分こういう目をするヒトなのだろう…笑っていた顔も、どこか冷たい目をしていたから。だから、まさか名前を教えてくれるなんて思っていなくて、じっと忘れないように、強い風の中で動いた唇の動きを見ていても…後半は分からなくて。「おーさまなんだね、おべ。ひとじゃないんだね…きれいだもんねぇ、おべ」、それは見た目じゃなくて、在り方の話。温めるように小さい手で触れていたけれど、腕だけを温めていてもきっと全身冷たいに違いない…それなら、こんな自分でも抱いていれば少しは温かいだろうか。ぱっと両腕を広げたなら、ぎゅってします?と問うように苦そうな目を向けて)
御影尋.
オベって…、
( たかだか名前一つでパアアと一気に表情が華やぎ、それはもう嬉しそうにおべ、おべ、と名前を連呼してくる少女を見つめる目は依然として冷めきっており。普段以上に彼女に忌避感を覚えていたが、その理由がやっと分かった…似ているのだ。弱くて、純真無垢で、愛されていないと分かっていながら人を王様と呼び、慕ってくる彼らと。うじゃうじゃと蠢くだけのモノに王様扱いされても気持ち悪い、身勝手な好意を押し付けられても気持ち悪い、目の前の光景が気持ち悪い。得意げに腕を広げ待ち構える少女と、期待に満ちた目で見上げてくる妖精達。そんな彼らを見て髪の奥からキュウと双眸を眇め、昆虫じみた指を向け問う、)
その腕はなに…?
>>アンリマユ
…つめたいから、あたためようかなって、
(冷たい目、この温度に近い嫌悪の目には随分と慣れている。怖くもなければ、辛くもない、優しい目なんてカルデアでしか手に入らない奇跡だもの。じっと青い目を見上げて…眠たそうな茶色い目の奥で、ぱちぱちと光が揺れる感覚。硬そうな作り物のような腕に手を伸ばしたなら、小さな手で鋭いその指先に触れようと…畏怖、尊敬、そんな生半可で優しい言葉なんかじゃなくて、自分はこんな自分を大切に扱ってくれた未来の相棒のように、このヒトに優しく触れてみたい。ただ単純に「いじわるだけど、たぶんいいひとだから、ひろはすき」、相棒に向ける敬愛とは別の、この夢を出たら二度と会えないかもしれない王様に向ける共に在りたいという感情に名前は無いけれど、何となくこのヒトの傍は嫌いじゃない…困ったように、へにゃと笑って“多分もう会えないから、折角だからぎゅってして!”とは言わないけれど)
御影尋.
そういうの余計なお節介って言うの知ってる?第一そんな小さな体で温められても、寒さなんて凌げるものか。
( 嗚呼、ほら、やっぱり彼らと同類じゃないか。頼んでもいないことを勝手にされるのも、好意を向けられるのも…良い迷惑だ。腕を撫でていた紅葉が今度は手へと伸びるのを見たため、追っ払うように軽く払いつつ、胸の中で渦巻く嫌悪とも怒りともつかぬ赤い感情をなるべく抑えながら言葉を紡いで。意気消沈とした空気が流れるなか、とある一匹の妖精の頭上にピコン!と電球が灯る。無邪気に『ぼくたちもいるよ!』なんて…声高々に言ってのけては周囲の雰囲気もつられて明るくなり。王様!オベロン!と此方に飛びついてくる群れに嫌な予感がし、慌てて立ちあがろうとして、)
>>アンリマユ
…ん、わかった。じゃあ、ひろがおっきくなったら、ちゃんとあったかくするね
(お節介、こんな小さな体じゃ意味が無い…確かに。迷惑だ、と邪険にする訳でもなく、その言葉の奥に怒りとも呆れとも諦めともつかない何かを感じ取れば、じっと見据えた後…にぱっと明るく笑って距離を取り。周りの小さな影たちの好意的な動向を見ていても…それでも目の前の王様の根底にあるのは触らないで欲しい、あるいは近寄らないで欲しい、構わないで欲しい…どれだけ彼等が慕っていても、多分“好きだなんて言うな”。理由は分からないけれど、何となく、そんな気がする。この場を去ろうとする王様に、慌てて「さ、さわってごめんなさい。おーさま、ここにいて。ひろがどっかいくから、」…王様がいなくなったら、小さな皆が寂しがってしまう。穏やかな秋の日差しの中に放り込まれた雨雲は自分、早く帰れと言われて居残ると我儘を言ったのは自分。ぺこっと頭を下げて…距離をとるように、傍に見えた落ち葉の山に駆けて行き)
御影尋.
ちょっお前たち止め───ぐわっ!?
( 時既に遅し、雪崩のようにのしかかってきた小さな命の圧に耐えきれず傾く体、そのままグルンと視界が回転し、バターンと背中から派手に倒れ込んで。これだけ寄られると確かに温かい…が、重いわ転ぶわで最悪だ。妖精達は無事なようでいくつもの楽しそうな目が己を取り囲んでおり、鬱陶しそうに肩を竦めて。「君たちねぇ…脆い体してるんだからもうちょい考えて行動しなよ。」なんて注意してみたところで次の日には、綺麗さっぱり忘れ去られていそうだ。髪についたゴミを払い起き上がってみれば、今の今まで傍にいた少女の姿が忽然と消えていることに気がつき。「あれ、アイツは…?」と訊ねてみるも行方を知っている者はおらず彼女がやって来た方を見遣り…帰り道を探しに行ったのだろうか、)
>>アンリマユ
(どさっと音がして、振り返ってみれば何だかんだと小さい命を潰さずに倒れ込む優しい王様が…多くの国民に慕われて、望むと望まないと大切にされているヒト…さて、咄嗟に駆けて来てしまったものの、行き場なんて無いわけで、もうこうなったら目覚める道を求めるほか無い。ふらふらと適当な足取りで森の奥へ進んでみたり、ぼんやりとあの冷たい腕の感触を思い出したり…ぴた、と立ち止まったそこにあったのは茶色く枯れ広がった花畑、何匹かの蝶のような小さい影も__こちらに気がついたのか、近寄ってきてくれた一人に「これ、げんきにしたいの?」と__夢の中なら、あんりが言っていたこともきっと大丈夫。いいよぉ、なんて小さく返事をして、その場に膝を折ったなら…願うことは、この場所が、この夢の世界が、あの王様の治める国が、少しでも幸せでありますように。見える範囲の花達を甦らせるように、指先を地面につけたなら…このまま力を込めれば、寄せる波のように花に半永久的な命が与えられることは知っている)
御影尋.
仕方ない…ブランカ!急で悪いけど、出発だ!
( 出口を探しに行ったのならそれで良し、ただもしそうじゃなかったら…?子供特有の好奇心の強さと、幼いゆえの物知らずさからくる無鉄砲な行動に、翻弄された経験があるからこそ“ 遭難 ”というよろしくないシナリオが頭の中をよぎり。…元敵対者としてこびり付いた印象から己がマスターを手に掛けた、なんてデマが流れてもめんどうだ。渋々ポスンと、マスコットスタイルに霊基を変えたのなら颯爽と飛んできたパートナーの背に跨り。植物や花、妖精…秋の森に住まう生き物の声を頼りに木々の間をすり抜けてゆき…深い緑に覆われていた視界がパッと開けて、小さな草原に出る。花畑と呼ぶには些か彩りが少ない場所に少女はいた、少しの間頭上から彼女の手元を観察した後、「…そーれ!」掛け声と共にふわり、空中に身を投げ出して。6kgのモフモフが背中に落ちてくるまで残り5秒前───、)
>>アンリマユ
(ここで力を入れたなら、半分くらいは咲かせられるかもしれないけど、それ以上は…ちょっと怖い。でも夢なら、怖い思いをすれば目が覚めるし…ぽた、と少しの緊張で冷や汗が頬を伝って…と、不意に感じた魔法の匂いに顔を上げようとした瞬間、背中に降ってきた重たい塊。「うわぁ!?」、ずべっと転がるように茶色と緑の入り乱れた花畑に倒れ込んでは…え?何が起きたの…?物凄く背中が痛い、え?…ほんの一瞬の襲撃に放心状態、地面にうつ伏せに倒れ込んだままぱちぱちと瞬きを繰り返して…体感としては岩が空から降ってきた様なものだったけれど、この秋晴れのような空から岩が降ってくるとは思えない)
御影尋.
あいたたた…ちょっと高さつけすぎたかも。
( 喩えるならだいたい猫一匹分の重さだろうか…がズドン!とマスコットらしからぬ効果音を立てながら小さな背中に落下して。少女が下敷きになってくれた…いや、この場合は、下敷きにしたといった方が本当は正しいのだが、下に人がいても小さな体では落下の衝撃を殺しきれず一回バウンドした後、背中から地面に滑り落ちていき。顔を軽く振り白髪にくっついた草を、払い落とすと、在り方を歪められてしまった花々を一瞥し。蘇生させられてしまった種もいるようだが、まあ今からでも遅くはないだろう…ぽてぽてと妖精と少女の間に割って入り。花畑が枯れて悲しむ彼女らに、)
やあ上空からすまない、急いでいたものでね。ところで君たち花が枯れてしまって、困っているんだろう?僕でよければ力を貸すけど、どうかな。
>>アンリマユ
…おべ?
(暫く土と目線を合わせて…背中から無くなった重さと共に、目の前に見えたのは曇り空のような灰色の髪の毛、金色の王冠、聞こえた声は優しく慈愛に満ちていて…それでも先程聞いたもの。ゆっくりと身体を起こして、眼下にある小さな頭に問いかけたなら…自分には分からないことを、きっと一生懸命に話しているのであろう小さな影を見据えて…それから、ふと手についた土に顔を寄せて…思う、土の匂いだけど、生きている土の匂いじゃない。カルデアの花壇にあった土も人が作った匂いがしていたし、隠れんぼした森は偽物の匂いがしたけれど、この森の土は…ふわふわとした白い生き物が、不意に傍に寄ってきて、慣れたように膝の上に座る。「__あなたは、」と、問いかけて黙ったのは、なんとなくこの白いもふもふの小さな影のことを知っている気がしたから)
御影尋.
君たちが一所懸命世話をしていた事は知ってるよ。でも死んでしまった者は生き返らない…生き返らせてはならないんだ、悲しいけどね。
( 起き上がっては狐につままれたような顔でこちらを見下ろしてくる少女にひとつ頷きを返した後、今度は妖精達の話に耳を傾ける。緩く相槌を打ちながら、決して育て方に問題があった訳でも、愛情が不足していた訳でもなく、それが自然の摂理なのだと教えてやり。それでもなお残念そうにしおれた花びらを、手に掬う姿に、東の方角を指差し告げる。「あっちに同じ花が咲いていたよ。種を取りに行こうか?」そう訊ねるとパッと彼女らの雰囲気が明るくなり。それじゃあ…と顔を動かすとそこにはじぃぃ、とパートナーに熱烈な視線を送る少女の姿。にこりと笑ったなら、)
彼女はブランカ。僕のパートナーであり…、僕の羽なんだ。
>>アンリマユ
__はじめまして、よろしくね
(どうやら妖精たちは、生き返らして欲しいようだった、それに間違いはなかった。問題は、それは本来してはいけないことだということ…だけど、自分には少しだけ難しい。だって、それしか出来ないのだもの。白いもふもふ、黒くて大きな目、知っているようで知らない何処かの国の女王様…そっと指先でその小さな脚に触れたなら、小さな声で挨拶を。どうやら種を取りに行くらしい妖精王たちを眠たそうな目でじっと見据え、そっと握手を終えた彼女を王様にお返しすべく、そっと手を離したなら「…あんりに、ずっといきてるのはだめっていわれたから、ずっとはしてない。ごめんなさい」と、ほんの少しだけ息を吹き返した花たちは、持って数日の命だろう)
御影尋.
ならなおさら種が必要だね。魔術のようにすぐには咲かないけれど、これまで通り愛情をかければ綺麗な花畑に戻るさ。
( かつて在った妖精國でも女王陛下の御業は届かず、自然のサイクルに従ってこの森は生きてきた…夢幻の中であろうと、それは変わらない。葉を編み込みタネを入れるための器を即興で作ったのなら、自分の元に舞い戻ってきたパートナーの背中にまたがり。ふわりと宙に浮き上がると眠そうな瞳を見下ろしながら「…さて、君はどうする…?」と彼女のこれからの行き先を訊ねて、)
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