【FGO】嗚呼、日常。【3L】

>>アンリマユ
（こういう時ばかり逃がしてくれない貴方に文句を、言えないので黄色い目が愉しそうに歪んだのを見て“まずい”と本能的に悟る。苦しい、痛い、鉄臭い…悔しいけれど、触れた先から溶けていきそうなくらいに気持ちがよくて、それをまだ認められるほど素直じゃない。貴方の肩に手を置いて、猫のように突っ張れたなら、目元は涙でぐちゃぐちゃで、口元は赤混じりで汚れているし、持て余した熱のせいで汗ばんで額に髪の毛は張り付くし…お世辞にもマスターらしいなんて言えない状態の自分は手を離せと貴方の指を少しだけ強めに噛んで。恐怖と快楽が隣り合わせというのは散々教えこまれたけれど、痛みと快楽が隣り合わせだなんて覚えたくない）

御影尋.

……？
( 嗚呼、噛み足りない──…と、親指がギチッと痛み強制的に引き離されれば何故と、茹だった頭ではカンタンな事さえ分からない。何時ものように不貞腐れるでもなく間の抜けた表情をしつつ、一方で血と涙と汗でぐっしゃぐっしゃになった顔を目の当たりにして…このまま、欲望に従い動けば己は彼女を手に掛けると未来視して。…、…名前を、呼んでもらえなくなるのは嫌だな…一度瞼を閉じると共に、深呼吸した後、再び目を開け。「…やっぱり、令呪使ってくんない。」飼い犬だから手加減してくれる、なんて甘い考えだともう身に染みて解った筈、ティッシュで彼女の顔を拭きながら自ら令呪に縛られる事を望み、)
　

>>アンリマユ
…“令呪をもって命じます、”
（不思議そうにこちらを見たあと、すっと閉じられた瞳の向こうで…多分何かを考えていてくれていて、それは自分のためのもの。痛む舌と血の味ばかりがする口の中が不快だけれど…ゆるゆると腕から力を抜いて、顔を拭いてくれている手を取れたなら、指を絡めてゆっくりと口を開く。「アヴェンジャー、アンリマユ、貴方は自分を“永遠に殺せない”」。中途半端で言葉足らずな命令、それでも確かに赤い令呪が光る…多分ずっと昔から心のどこかで決めていた、貴方を縛る以上自分だけが幸せになることは許されない。これは、貴方が自分を殺せない以上、自分も貴方の手にかかって死ぬことを選べない交換条件であり誓い。これで良いですか？と問うより先に、止まらない血を飲み込むのも嫌で片手で口元を押さえて）

御影尋.

───、
( 黙って紡がれる言の葉に耳を傾けながら思う、ここで彼女を止めれば何も無かったことに出来る。今ならまだ間に合う、力ずくでも口を塞げ、脳内で響く甘言に耐えるように奥歯を噛みしめ、ぎちっと指に力が入りながらも命令を聞き届けて。間もなく光が止み手の甲の紋様が消えたのを見て取れれば安堵と…それから白状すると同じくらい口惜しく思ったのは内緒だ。口端を上げへらっとした笑みを作ると「…こんなことなら、とっとと殺しちまえばよかった。ｱﾝﾀの全部、ｵﾚの物にしちまえばよかったな。」手段が完全に無くなった今だからこそ、ずっと胸にしまっていた本心を吐露し。破壊衝動をそそられる香り、気持ちとは裏腹に体は律儀に命令を守ろうとして…チグハグな器と心が気持ち悪い、)
　

>>アンリマユ
＿＿＿＿自分は、これでもう全部が貴方のものになってしまったと思っていますが…だって、もう貴方しか、こんな自分を生かせないんですよ？
（貴方の本質を否定するような呪いの言葉、首輪をかけるというのはきっとこういうことを言うのだと思う。なんてことはないように告げられた言葉だって本音だということは分かるし、ただ…ただ、自分もそうして貴方の手に掛かることが出来たなら幸せだったろうなと思うけれど。ごくり、と不味い血を飲み下して、また血が溜まる前に貴方の口を塞ぐように唇を寄せて…「貴方が望む限り、自分も貴方の“散歩”に付き合います。これからも、ずっと」。最期を委ねたかったけれど、それが叶わない誓いを立てた今、自分を生かす理由だって貴方しかなくなってしまったわけだから…皮肉ですね、と悪戯っぽく目を細めて）

御影尋.

──、─じゃあもし、ｶﾙﾃﾞｱが敵に乗っ取られてもｵﾚだけﾋﾛを殺せねえのか。…すげぇ忠犬みたいじゃん。
( これからも傍にいたいし、飼い主には自分が居なくなった後は穏やかに生きて欲しい。本心からの願いである一方で、全てとは言い難い…近くにいても己にとって今の彼女は、高嶺の存在と言えるから。流れ込んできた飼い主の欠片を零さないように飲み下すとやっぱり、他のサーヴァントが羨ましい…と思うのだからとことん貪欲で、忠犬にはなれないなと痛感し。それから傷つけた張本人とはいえ赤く染まった舌に、見るに見かねて「薬塗れねえから、血ｨ止まるまでこれ噛んでて。」引き出しから清潔なタオルを持ってくれば、おずおずと其方に差し出して、)
　

>>アンリマユ
＿＿＿逆に言えば、貴方がどれだけこれから先欲に忠実に動いても、自分は死なないということですよ
（殺せない以上、死にかければ貴方は手を止めざるをえないわけで…だから、自分としては、貴方を悦ばせることはできなくても、貴方の望みの一つだけでも叶えられることが嬉しい。促されるままに差し出されたタオルを手に取って、噛む…なんだろう、とてもこう、健全な図とは程遠い気がするが血が止まらないのは困るから。差し出してくれた手を握れたなら、自分の頬に引き寄せて…擦り寄りながら、薄く開いた目で悪戯っぽく見上げて、抱き締めてはくれないんですか？とでも言いたげに…ほら、貴方のせいで指先が冷えて仕方ないんですよ、と言いたげに）

御影尋.

死なねえから、もっと滅茶苦茶にしていいってかよ。──不味い薬塗りたくられるよりは、ﾏｼでしょー。
( 舌を噛まれた文句でも言えばいいのに…どこまでもお人好しな飼い主に、少々弱りつつ腕のなかに招いて。複雑そうにタオルを噛んでいる様に、凶悪犯に捕まった人質みを感じながら上記を続ける。少なくとも自分が提示した案よりは絵面も健全なはず…多分。他人に気を回せるくらいには、心身共に少し落ち着いてきて…冷静になった分、今まで見えてなかったことに考えが回り。へなへなと肩口に顔を埋めたのなら、「…舌噛まなきゃよかった。」と。悪化を防ぐために暫く口付けは控えるとして、お預けかと思うと一時の興味心と昂りに身を委ねるんじゃなかった。見えない尻尾と耳を力なく垂れ下げて、)
　

>>アンリマユ
（滅茶苦茶に…と言われると、それはそれで先が恐ろしいというか、なんと言うか。ただ、不味い薬よりマシなのは確かで、数度頷いてからぺしょりと潰れた飼い犬にゆるゆると擦り寄って。まあほら、衝動的に動ける点が貴方の魅力ですから＿＿＿＿とは言わないものの、自分はその点も含めて愛しいと思っているもので。とはいえ、舌を噛まれるというのは…いや、過去に甘噛みとはいえ自分も貴方のを噛んだことがあったから…ここまではしていないけれど！少しだけ考えた後、タオルをほんの一瞬口から離すと貴方の耳に軽く口付けて、それからまたタオルを咥え…貴方と違って我慢をした自分は、好きなタイミングで好きに貴方に触れられる、羨ましいでしょう？、そんな本音を飲み込むように小さく喉で笑って）

御影尋.

そーやって小分け？にするの良くない。こう…何だろう…このくらいのﾌﾟﾘﾝ、ちまちま出されるの焦ったいじゃん？それと同じ。
( 少しの後悔ともどかしさで頭をグリグリ押し付けていた最中、一瞬耳を擽った熱に顔をガバッと上げて。揶揄うようにくつくつと鳴る喉に、唇をへの字に結び…彼女相手ならどこにされても嬉しいけど、それはそれとしてお預け中の身としては食指を刺激させられる。このくらいと言って1cm程指と指の間に隙間を作り、まあタオルをくわえてるから伝わったのかどうかよく分からないが。何気なく壁に掛けてある時計を見ると時刻は23時を過ぎたところで、普段だったら彼女はもう寝る時間だろうか。…タオル越しにそっと唇を押し当てれば“ まだこうしていたい ”と伝えるように琥珀色の瞳で飼い主を見据え、)
　

>>アンリマユ
（不満そうな顔を見て満足したように口角をゆるゆると上げる…黄色い目がもう少し遊びたいと訴える犬のようで、なんだかそれも可愛く見えてしまうのだから末期というやつ。ぽすんと背中からベッドに倒れ込めば、血のついたタオルをそっと口から離して近くに放り…ピリピリするものの、先程よりは出血も穏やかになったと思う。タオルも用意してくれたし、何だかんだ止まってくれたし…「＿＿アンリ、おいで」と小さく呼んで、両手を広げて見上げる自分は飼い主なのかマスターなのか、あるいは気まぐれな何かなのか分からないけれど、それでも貴方が少しでも幸せだと思ってくれる時間が増えるならそれでいいかと思えるくらいには甘やかしてやろうと思っていて）

御影尋.

……ﾝ、ﾀｵﾙ噛んでなくて大丈夫なのかよ。
( 一度血を取り込んだからなのか。タオルに付着した赤色を見ても、抑えが効かない程の激しい破壊衝動が湧き上がってくることはもう無く。優しい声と広げられた腕に誘われるがままにそっと肘を折り、潰さないように…されど温もりや気配欲しさになるべく体を寄せ、相棒の頬を手の甲で撫でてみる。彼女は寒いと訴えていたが何時もよりは体が温かい気がする…そして自分も同じことが言えるだろう。ポカポカの掌をお腹の上に乗せ「んで、お嬢はどこがいいんで？」他人の世話なんてまっぴら御免だが、彼女に関してはお姫様扱いも悪くない、お臍を痛くない力で引っ掻きながら悪意を以って問い掛け、)
　

>>アンリマユ
＿＿貴方が触れてくれるなら、どこも全部気持ちがいい、ので、
（そっと身体を寄せて、優しく問うてくれる貴方は何だかんだ忠犬だと思う。頬に触れた手の温度に目を伏せて、ゆるゆると顔を寄せたところで貴方が毎回自分のことを潰さないようにしてくれている事に気がついて…ああもう、この相棒はとんでもなく可愛らしい。「こっち、」と呟いて、お腹を悪戯に触る手に触れられたなら、お臍の少し横、脇腹との間に指先を導いて…後ろから貴方がのしかかった時に、いつも貴方が撫でるのはこの辺りだから、安心する…とは勿論言わない、むしろ手を導いた時にそのことに気がついたからか居た堪れない気持ちになっているくらい。何とも言えない表情を一瞬浮かべた後、逃げるが勝ちだと言わんばかりにのそりと身を捩り）

御影尋.

ふぅん？
( 全部気持ちいい…毎度どこに触れてもされるがままになっているから本心からの言葉なのだと分かる。──嗚呼、可愛い…めちゃくちゃ可愛い。口にはせずとも嬉しそうに、それから揶揄するように弛んだ表情から満更でないことは伝わるはず。居た堪れなさそうに体を捩る飼い主に犬はお構いなしに、コツンと額同士を合わせた後、くびれを撫でいた指を滑らせ今度は手のひらを重ねて。─それから恐怖の中に僅かに息衝いた熱に気付いていて、あえて問うてみる。「…じゃあ、“ｺｯﾁ”は。きもちかったの？」と柔らかい唇に指を押し当てて…こっちと言っても口ではなく、その奥に隠れた舌のことを言っており。肯定にせよ否定にせよ、きっと良い反応が返ってくることが予想でき笑みを深めて、)
　

>>アンリマユ
＿＿＿嫌だったら、令呪使って突き飛ばしてますよ
（逃げるより先に、嬉しそうにどろどろに溶けた黄色い瞳が近づく。ゆっくりと這った手は腹部を突き破ることはないだろうし、本当に、伝わる温度に心地好さが勝つばかり…軽く触れ合った額に促されるままに、唇に触れた指先に従って口を開くと不服そうに一言を。「人間の急所を噛むとか、サーヴァントとしてどうなんですか…もう…」とぼやいたのも、もう二度と御免だという意思表示…もちろん、普段噛みつかれる度に二度と御免だと思っているのだけれど、ぐるぐると衝動と欲に揺れる飼い犬の姿を見る度に許してしまいたくなるものだから甘いと言われてしまえばそれまで。嬉しそうに笑みを浮かべたままの飼い犬から目を逸らすようにそっぽを向けば、べっと不満を唱えるように舌を出して）

御影尋.

その急所を噛まれてだらしねえ顔してたのは、何処のどいつよ。
( 彼女は令呪で突き飛ばすと言うが、他人から言われなきゃ自主的に使いたがらない…と指摘してやったら、恐らく歯型の指輪をプレゼントされるだろう。唇をなぞっていた指をちゃっかり避難させてから吐き出した言葉は、相も変わらず生意気でついさっきまで主人に狂っていたとは思えない。まあ同じ痛みを過去に味わったことがある身として噛むのは…否、甘噛みはしてしまいそうだ。のそのそと体を少し傾け、そっぽを向いている飼い主と無理矢理視線を合わせると「ｵﾚ相手だったら問答無用で気ｨ許しちまうの大変ﾀﾞﾈ。」と言って首に腕を伸ばして、触れられたならいつかのように─いつかよりは優しく指を這わせるだろう、)
　

>>アンリマユ
それは…＿＿＿貴方だって、
（唇に触れていた指が離れて、それから生意気な言葉に口を開こうとして…やめた、多分思惑通りになってしまう。外した視界の中に再び黄色い瞳が戻ってきて、それはもう意地悪に…指先が首筋を這う。ほんの少しだけ苦しくて、ほんの少しだけ満たされるのは…二度と叶わない貴方が与えてくれる終わりを想像するから。カルデアに戻ったら皆のマスターで、寝て起きたら自分は特異点に仲間と来たマスターで…だから、今だけは、マスターではなかったころの人間としての望みを。首に触れたままの手に自分の手を添えて、ほんの少しだけ力を加えて「…キスしてください」と。多分貴方がいつも自分に牙を立てる度に、自分は貴方に与えられる最期に期待をしていたのだと…叶わないと誓った今、お互い少しくらい満たされたって良いはず）

御影尋.

───、
( あの時と同じように指先はいとも容易く首に到達し絡み…ただあの時と大きく違うのは、本気で力を加えようものなら死ぬのは彼女の方ではなく自分という事実。指先にほんの少しでも殺意を乗せれば最後、肉体が弾け飛ぶこの状況に恐怖心が湧く──なんてことは無く、むしろ生活していく上でスパイスとなるのだから我ながら度し難い。令呪が作動しない範囲で指先に力を入れ、数度の口付けを得て呼吸のために一旦顔を離し。「…ﾊ。なあ、ｱﾝﾀ飼い犬に殺されたいの？それとも“ ｱﾝﾘﾏﾕ ”に殺されてえの？」こうして身を預けるのは自分だからなのか、それともｱﾝﾘﾏﾕという悪魔に目がないのか…少し熱っぽい息を吐き出しながら掠れた声で訊ねてみて、)
　

>>アンリマユ
っ、は＿＿＿＿
（ぐっと指先に力が籠って、魔力供給の為ではない口付けに心臓が無駄に痛む。心地好くて、貴方の気配が身体の中でぐるぐるしていて…僅かに離れた唇と、ほんの少しだけ頭に回った酸素に＿＿＿正しく生きること、人間らしく文明を紡ぐこと、人生は舞台なのだから役者が勝手に降りることは許されない…自分には光は眩しすぎるし、汎人類史より仲間を守ることの方が大切で…先輩たちが役者なら、自分は舞台の一要素。だから、最後にカルデアから光を見るのは先輩だけでいい、舞台の主役は彼等だもの…だから、使い古した舞台道具を捨てる役目は、貴方に担って欲しかった。「…うん。どうしても、貴方がよかったの。大好きな、今、傍に居てくれる、アンリマユ、貴方がよかった」と、本心を呟いて困ったように眉尻を下げて笑って）

御影尋.

……、お前さんは傍にいてくれっつーわりに、いっつもﾃﾒｪが死ぬことしか選ばねえよなぁ。
( 諦めたように苦しそうに歪んだ微笑みを向けられても黒き聖杯に願いを受諾する意思はない。…ただ、無欲恬淡としているクセに、一丁前に理想の死に方を切望し続ける彼女に一周まわって呆れたのか何なのか…頭に“ らしくない選択 ”がフッと浮かんだことに自分自身、少し驚きそれから呆れる。何故今まで忘れていたのかと…彼女の方は、使い魔の気質を考慮して敢えて選択を除外しているのか、単に知らないだけなのか。「死んだら同じところに行ける、とか思ってます？」仮に死後の世界とやらが存在するのだとしたら彼女は天国…或いは、地獄にしか行けないだろう。飼い主の上から退くと暖かな毛布の中で指と脚を絡ませて暖を取り、)