【FGO】嗚呼、日常。【3L】

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
（それは綺麗だと言ってくれているんですか？と聞く勇気はなく、そっと取られた手に導かれるまま先を進む。纏わりつく魔術の気配は知らない人のモノ、辿り着いた先で辺りを見回す飼い犬に倣うように辺りを見回そうとして…そういえば探しものは得意だった、と思い出せば手を握ったまま一度目を閉じて＿＿知らない人の気配が強いのは何処だろう。｢…アンリさん、あそこ｣、と指さしたのは壁のレンガとレンガの隙間。あそこから知らない気配がします、と示すようにゆっくりと瞼を持ち上げれば、おずおずと黄色い瞳を見上げて）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

─嗚呼、あそこか。解析で手一杯なんで見張りよろしく。
(細い指先が差した先を見ると確かにそれらしい気配を感じ、パッと見ただけでも分かる複雑な術式にやや眉を寄せながら近づく。壁に腕を突っ込み目を閉じ…ると脳内には術式の構造図が勝手に浮かんできて。なんとなく自分の魔術回路を魔術式に重ねられるのは幽体の利点であり、不幸中の幸いだ。10秒、50秒、1分── 術式の解析に勤しみ始めて早3分が経った頃。不意にカチリと、金庫の鍵がピッタリ嵌った時と似たような手応えを覚える同時に「…お、開いた！」とすぐさま飼い主の方を見遣り、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…誰か来ます、アンリ、奥、早く
（飼い犬が視界に収め、近寄る姿を見つめた後、任された仕事を全うするように辺りを見回し…再び目を閉じる。多分自分は少しだけ気配に敏感な方なのだと…飼い犬の気配に包まれていたからか、それ以外のものを異物だと判断しているだけに違いないのだけれど。暫く人形のように目を伏せること数分、聞こえた声にぱちりと目を開けると同時に遠くで何かの気配が揺れる感覚。こちらに向かっているとはいえ数分はかかるに違いない、開いたらしい扉に向かうよう飼い犬を促しながら｢よくできました、流石ですね｣と、それこそ飼い犬を褒めるように貴方の背中をぽんぽん叩き）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

ｱﾝﾀもﾌﾞﾚねえなぁ…！
( 良くも悪くも主人の鑑と言うか。いつ敵がやって来るかしれない状況でも褒める事を欠かさない飼い主の手首を掴めば、急いで隠し扉の奥へ身を隠し。逃げ込んだ先には先と同様、レンガ造りの空間が広がっており壁に備え付けられた蝋燭の火がちろちろと辺りを照らす。…ただ一つ、違う点があるとすればそれは部屋の中央に階段があるってこと。近づき見下ろしてみると一間先どころか底すら見えず相当長いことが伺える。「はえー深ぁ。踏み外したらおむすびころりんでおっ死ぬじゃん。」と緊張感の無い台詞を吐きつつ、嫌に急勾配な段差にまずは一歩足をつけ其方に手招き、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
（引かれるがままに滑り込んだ扉の向こう、こちらに向かってくる人間の気配はあくまでも周辺の見回りだったようで奥まで踏み込んでくる様子はない。ほっとしながら、掴む体温に促されるまま先を見据えて…嗚呼、嫌な予感がする。妖精国で訪れた教会にも似た空気に気がつけなかったのは、扉の向こうの鍵の気配が強すぎたせい。｢…アンリさん、おむすびにならないでくださいね｣と貴方の手を引くことが出来たなら、その手を少しの間だけ自分の頬へ。貴方の気配がする、匂いがする、その一瞬だけはトゲトゲした敵意のある魔力を感じなくて済む…暗闇も、少しは怖くない。一瞬、溶けるように安堵した目を伏せては、招かれるまま暗闇へ一歩を踏み出し ）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

あれ、もしかしてﾋﾞﾋﾞってらっしゃる…？
(本当に転んだら洒落にならないため視線は足元に縫い止めたまま、ロウソクの弱々しい灯りを頼りに一歩ずつ、一歩ずつ地下に下っていく。…と2人分の足音に混じって不安そうな声が鼓膜を揺らし軽く手を引っ張られる。しんなりとした様子の飼い主に不覚にも胸が甘く痛み。思わずニヤけてしまいながら少しでも彼女の気を紛らわそうと話を続ける。「暗いの駄目なの？それとも狭いの？お前さんじみーに弱点多いよね～。」前に触れてると落ち着くと言われた為、地下に着くまでは好きなようにさせておくことにして、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…どちらも。別に、貴方が傍にいてくだされば良いだけの話なので些事です
（ビビっているのか、と問われれば否定出来るほど余裕はない。ので、小さな足音を響かせながら触れていた手をしっかりと繋ぎ直して後を追い。暗いから、飼い犬の表情は見えないけれど…だからこそ、好き勝手に自分が安心出来るように、繋いだ貴方の手の甲を指先で撫でて、片一方の手で青い宝石の耳飾りに触れて、｢…シャルルさん、大丈夫でしょうか。自分なら、こんなにも魔術の気配が澱んだ場所に長くは居たくないものですが…会場もきっとこれくらいの濃度でしょう？｣と、小さく問うて）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

んなすげえか…？まあｾｲﾊﾞｰほどの高ｽﾃｰﾀｽなら大丈夫だろ。
( 些事と言うわりに何処か落ち着かない様子で耳飾りをいじる飼い主から今度は、辺りに目を遣り。皮膚に突き刺さる敵意や殺意はそれこそ些末な問題。澱んだ気配も魔力感知を持っていない身からするとピンとこない。…ただ、時折鼓膜を掠める鎖を引きずるような音、血の匂い、なにより外界と隔離されたカビ臭い空間になんとなく、昔を思い出して。嫌悪感を覚えるどころか寧ろ心が落ち着き「…あっち(会場)よりは居心地良くね？」と弛んだ唇から感想をこぼすと以降は、口を閉ざし。自分たち以外の足音が聞こえてこないことを祈りつつ底に降りて、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…アンリ、これだけ教えてください。“此処に聖杯はありますか”？
（貴方の言葉に、その感情に慣れきったとでも言いたげな貴方に、泣きそうなくらいに心臓が痛くなった。たどり着いた先は酷い鉄の匂い、それから、時々響く重たい音…嗚呼、どうしてか貴方のことを見た夢を思い出す。小さな声で問いかけたのはこれ以上奥に行きたくないという意思表示、この場にないのなら、それでも今日出品されることが確かならば、｢アンリマユさん、聖杯がないなら、戻り…｣そこまで言って、近くで揺れた影に目を向けて。鉄格子に繋がれた鎖、その先に居るのは人か人以外か、いずれにしても…この鎖を解きたいと願うのは間違いなのだろうか。だって、あまりにも、夢で見た貴方に似ている、助けたい、助けたい…少しずつ繋いだ手から力が抜けて、ぺたりとその鎖の傍に膝を折って）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

……、…ﾏｽﾀｰ？
( 傷付いたような痛そうな表情に気付くことは終ぞなく、ただ聞かれたことに応えるように鋭く細めた瞳が薄暗い牢屋を撫でて回る。…しかし聖杯との距離が遠すぎるのか、はたまた此処でない別の場所で保管しているのか。この世全ての悪を以ってしても何故か気配を捉えることが出来ず。もう少し色々調べてみようと提案しようとして…する前に、ふらふらと離れていく飼い主に瞠目し。「おい、他の奴に見つかるって…、」と注意しつつ飼い主の隣に並んでは、泣きそうな目が映す先を見遣り。…それは部屋の隅にて、いつから放置されているのか性別が判別出来ないほど長く伸びた髪の隙間から覗く瞳は酷く怯えたように揺れ、そして見開かれており。なんだ珍しいお宝でも見つかったのかと思ったのに…ただただ黙って此方を見つめ続ける人間から視線を外すと飼い主に向かって退屈そうに、)
あんだよ、こんなの何も珍しくねえじゃん。ほら、次行こうぜ。
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
＿＿この人、魔力の気配がしないと思いませんか。他の檻からはするのに、此処だけ異様に薄い
（妖精国ではあんなにも簡単に切り捨てたのに＿＿知らないはずの飼い犬にそう言われた気がして、心臓が痛む。貴方の言うことが事実だと知っていて、それでも我儘を貫きたいと思ったのは…理由なんて伝えはしないけれど貴方に出会ったから。呆れられると分かっていて、両方の耳飾りを外し、手に握りこんで鎖を掴む…あとの事はこの人が舞台に上がるより前に全てを終わらせれば問題ない、自分はこの人を助けたい。生身の人間に魔術は悪戯に向けていいものじゃない。｢…カルデアには内緒ですよ、あとシャルルさんにも。皆さん優しいから、怒っちゃう｣と、鎖にかけられた術に掌が焦げるように熱くても耳飾りごと握り込んで、ガンドの要領で力を込めれば…パキンと小さく音を立てて鎖が切れて）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

ああっ……おま、ｲﾔﾘﾝｸﾞ！
(かの騎士だったら彼女の行いに大いに賛同し共犯者になることを厭わなかっただろう。…しかし、復讐者は違う。目の前に居るのが無辜の人間だと言われてもだから何だという話で食指が動くことは無い。状況次第ではその身を守る盾となったのに…貴重な資源を何の躊躇なくもなく、見ず知らずの他者のために使ってしまった飼い主はお人好しを通り越して馬鹿だと思う。外れた枷よりも中の魔力が抜け、輝きが落ちた宝石がやるせなくてついため息が溢れる。「……で？どうすんだよ。」手枷の外れた商品なんて見つかったらどうなる事やら。かといって身を守る術を持たない人間を連れて調査を続けるのは…言ってしまえば非効率。厄介な荷物を背負ったとしか思えず、じとりと責めるような目を向けてしまい、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…この人は此処に居てもらいます。それが、今からのことを思えば安全です
（イヤリングは近くの石の隙間に隠して、ゆっくりと立ち上がると此方を見上げる人間に説くように告げる。この場から聖杯が消えて、魔術師達が逃げ出した時に…わざわざ口封じをするとは思えない、ただの人間を手にかけたとなれば悪手だ。地下牢にいる魔術師の卵達は自力で逃げられても、この人は違っただろうから…自分は他の人と同じスタート地点に立たせたに過ぎない。ヒリヒリと痛む手を叩いて、唇を一度引き結べば｢…さあ、お待たせしました。行きましょう、少しだけ奥へ行って…貴方が無いと断言したならばシャルルさんの所へ戻ります｣、と。飼い犬の方を見ることはなく、掌を一度見遣ってから指先でドレスの裾を正して）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

( 立ち去る間際、最後に一度だけ牢屋のほうを振り返る。見たところ栄養失調気味ではあるものの手脚は健在で腱を切られていないのなら…まあ逃げられる可能性はあるだろう。警備隊に見つからないように気をつけながら、聖杯の気配を探しつつどうあがいても檻に目が惹かれる。怖がる者、助けを求める者、自分達を看守と勘違いして文句を吐く者…色んな者達が閉じ込められていて中には魔力を持たない人間もいて。「もしかして此処にいる奴ら全員逃すつもり…？」と少し先を歩く飼い主に尋ね、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…もちろん。宝石を使って3割程の魔力が必要なら、なしでも6割と言ったところです＿＿＿＿貴方の暴走を止めようと撃ったガンドより、よっぽど安上がりですよ？
（助ける、全員…だって、彼らはカルデアに来る前の普通の生活をしていた自分と、檻に入れられた貴方と同じだもの。檻の鍵が出入口と同じように魔術回路に関係するものならば、取り仕切る魔術師がいなくなれば自然と檻は開くだろう。そして閉じ込められている魔術師たちも…その卵である以上、魔力のない人間に手を差し伸べるなんて思えない。｢アンリ…さんは、奥まで一通り目を通してきてください。目当てのものが無ければ直ぐに自分の元へ…自分は追いながら魔力のない人の鎖を切って回ります。逃げるか否かは彼らが選ぶことだから｣、名前を呼ばなかったのは貴方を危険な目に合わせないため。話しながら近くの檻の傍に膝を折り、火花を散らす鎖を掴んでは、ぱきんと砕き）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

うへぇﾏｼﾞかよ…、俺達ゃ聖杯を探しにきたんだろうが。
(即答…まあそんな気がしていたから聞いたんだけど。鉄格子はまだまだずうっと奥の方まで続いており、全て開けると言うのだからあからさまに面倒臭そうに顔を歪めて。…とはいえ、ここで自分が止めたとしても飼い主の意思は変わらないだろう。開錠に務める飼い主の手をやや強引に掴み、軽い火傷を起こしている拳を見ると本日何度目かの溜め息が溢れる。「…ったく、魔術師の真似事なんかするからこうなるんだよ。それにどうせ全部の部屋見て回るんだろ。」ならこれまで通り彼女に付き合いながら聖杯を探せばいい。…それにこういった場所には“番犬”の存在が付き物、彼女を1人にする事は出来ない、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…てっきり、呆れて先に行くものとばかり
（面倒そうに顔を歪めた飼い犬のことだから、そのまま分かったと奥まで駆けていくのだろうと思っていた。ぱきんと音を立てて壊れた3個目、4個目の鎖の後、手を掴まれるとは思っていなくて…飼い犬が溜息を吐く度に心臓が痛んでも、それが自分のことを多少なり思ってのことだと分かるから、困ったように僅かに眉を下げて。｢これでも自分はマスターですから…魔力のない人は救いたいんです。抵抗する術を与えられないのは、不平等だから｣、全員を助けても仲間2人を支えるくらいの力は残したまま此処を出れるはず。安心してください、と言うように掴まれた手を握ったり開いたりして）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

そうだな、ﾏｽﾀｰじゃなけりゃあ檻にぶち込んでたかも。ひひ、珍獣にはお似合いだな。
(このまま魔術を行使し続ければ、下手したら手が使い物にならなくなる。瞳を三日月形に歪め…あくまで魔力の心配をしていると思っているらしい飼い主に対してつい、辛辣な毒が飛び出してしまうが今のはそちらが悪いと思い。…それに何となく分かっている、ここまで歩いて聖杯の反応が無いのはおかしい。ここに自分達の探している物は無いのかもしれない…だったらまあ、少しくらいだったら正義の味方ごっこに付き合うのも悪くない。「ま、とにかくへっぽこなんだから程々にしておけよ。」と自分の事は棚に上げて檻に触れ、扉もろとも鎖を破壊し、)
　

>>アンリマユ/シャルルマーニュ
…珍獣はどちらですか、まったくもう
（はっきりとした嫌味は不器用な貴方なりの意思表示だと…流石に長く隣に立っていれば理解もできるというもの。だからこそ、その真意を汲み取れない自分が悪いのだと分かっていて、生意気な言葉と共に目の前で鉄が文字通り屑に変わる様を見せられて…素直にお礼を言えるほどイイコではない。自分も鎖を砕きながら｢あまり派手に暴れては、萎縮させてしまうじゃあありませんか…嗚呼、それとも怯えた顔がお好みでしたか？｣、と部屋の隅へと逃げる人間の姿を目に収めながら心中で“このヒトは優しい諸悪の根源ですよ”だなんて何のフォローにもならない言葉を吐いて…このペースでいけば、十数分で目的は達成されるに違いない）

御影尋.

ｱﾝﾘﾏﾕ/

まあ？素手で檻ぶっ壊す女なんて───、
(売り言葉に買い言葉を受け牢屋の方を見てみると、いくつもの怯えた目が。魔術を知らない者達からしてみれば自分も飼い主もきっと得体の知れない超人に見えているのかもしれない、と思えば愉快で。くつくつと喉を鳴らしつつ立ち上がった丁度その時、突然つん裂くような怪物の咆哮が一帯を震わせる。それはまるで獲物を見つけた獅子の一声のようでもあり…声の正体を知っているのか騒めき出す人間達を尻目に「ﾏｽﾀｰ！！」。早く逃げないと人を助けるどころじゃなくなる、もう十分だろう？と言いたげに振り向いて、)