【FGO】嗚呼、日常。【3L】

>>アンリマユ

…ええ、貴方も
（きっと、この世の中は、生きたい人達で溢れている。誰かの為に生きる自分はさぞ笑い草に違いない…貴方は全力で拒絶するだろうけれど、貴方が生きる理由になってしまったから自分は今まで生きてきた。そんな重たい鎖を貴方に縛るつもりは毛頭ないのだから、一生口にはしないが。それから、言葉ばかりが口をついてでるのは…いつだって貴方は自分に生きろと言うのだから、お互い様だ。遅れをとる前に｢さあ、殴りますか？蹴りますか？…王子様がいなければ、貴方も踊れないでしょう｣、隣に並ぶように立ち、いつも通り前を向いて。）

御影尋.

生憎バラバラに切り裂くことしか能がねえよ。
(置いてきたのに当然のように隣に並ぶ影から顔を逸らし黒山羊を見上げる。玄関で見た時点でそのスケールのデカさに内心ビビったというのに、間近に来ると余計に大きく見えて勝敗の分かりきった出来レースに、気が重たくなってくる。消えたくない…出来るなら飼い主を連れてこのまま逃げてしまいたいと思ってる心を無理矢理振り払い、凶器を具現化して。「いつも通り強化よろしく。多分あんまｶﾊﾞｰしてやれねえと思うからｱﾝﾀは前に出過ぎるな。」とだけ告げ、敵の前に飛び出していき、)
　

>>アンリマユ

…お互い、無理しかしないタチですね、まったく
（貴方よりも自分よりも大きく歪んだ黒い影を見上げて苦笑してしまう。先輩、何してるんですか本当。貴方だけでも逃がしてしまおうと少しでも考えなかったと言えば嘘になる、ほんの少しでも先輩の気配を残した化け物に刃を向けるのかと思うと吐きそうだ。それでも、礼装のスキルを使って飼い犬の攻撃の重さを、その体にはダメージが入らないように、そうして…｢貴方を無事に帰さなくては、飼い主の名が廃りますから仕方ないですねぇ｣と、物陰に膝を折り身を隠すと貴方の強化を断続的に…削られる魔力に歪に笑って冷や汗を拭い、それでも貴方が帰りたいと望むなら）

御影尋.

(案の定というか…せっかくバフを掛けて貰ってもスペックが低い己の攻撃では怪物に大した損傷を与えられず、聖杯の恩恵によって傷もつけたそばから治癒していく。此方の苦労を綺麗さっぱり塗り潰していくソレに小さく舌打ちしながらも、怪物の牙が届かないバルコニーに跳躍し。猫のように手摺りに着地すると、まるで主役のようにシャンデリアの光を浴びるソレを見下ろし考える。…己の力不足も遠因の１つなのだろうが、それにしても攻撃した時の手応えが無さ過ぎる。確かに肉体は傷付いているのに、あまり効いていないのは何故なのか…、)
　

>>アンリマユ

何か足りないんだ…先輩は物語に望まれた、それなら物語の登場人物足りえるわけで、物語から吐き出させる方法を…
（刃の傷は治ってしまう、それがどんなに的確な攻撃であっても。じっと、まるで観察者の様にその様子を眺めて考え続け…冷や汗がぽたりと地面に落ちた時、不意に浮かんだのは非常に馬鹿げた仮説。刃を交えることも、銃撃戦も、化け物も、物語では“ままある話”。つまり先輩も“よくある話”になってしまっていて、自分たちだけが“物語に無い”。｢アヴェンジャー！ドロップキックか頭突きか、ええと、背負い投げとか！｣、先輩を御伽噺で無くす為に、出来ることは“御伽噺にはない方法で”戦うことなのかもしれない。猫のように飛び退いた貴方に向けて、大声で叫んで）

御影尋.

えっ、ず、頭突き？ｷｯｸ？でもｱｲﾂ全然効かねえしまた回復されちまう……ｯ、
(下には主人も居るしいつまでも留まっていられない。かといって無策で飛び込んだ所で…ホール内を縦横無尽に暴れ回る怪物に脚が竦み動けずにいると、そんな己に向かって飼い主が叫ぶ。轟音の中でもハッキリと聞こえた声…正直ヘンテコな指示だと思うし自信だって無いが、あんなに真剣な顔で叫ばれては聞く以外の選択肢は無い。頬の傷を拭い脚にあるだけの魔力を流し込むと、そのままタンッと身を躍らせて。狙うは怪物の額、埋め込まれたコアごと壊す勢いで脚を思いっきりめり込ませ「とっとと体返しやがれえええ──！！」と叫び。ビシビシと、どちらのか分からないが骨が軋む音がしてブチブチと筋肉の繊維が切れるような感覚。怪物のつん裂くような咆哮が煩わしいが力は決して緩めず歯を食い縛り、)
　

>>アンリマユ
（こんな無茶な要望！自覚はあったけれど、貴方はグッと堪えて飛び込む。無謀な策は決して無策じゃない。聞こえた声は貴方にしては荒らげていて、何だかそれがまた御伽噺らしくなくて魅力的。咆哮は…貴方だけのものじゃなかった。貴方の脚が埋まった先がびきびきと｢…割れて、る？｣仮面のような、何かに亀裂が入ってそれはきっと今までと違う回復できないソレ。合っている、この判断は間違っていない。流石に減りすぎた魔力のせいか、立ち上がれるほどの元気はないけれど…座り込んだまま貴方を見上げて｢…あはは、ロックスターみたい｣なんて、小さく呟き）

御影尋.

(最後の力を振り絞り脳天に落とした踵が仮面を割り重たい音を立てて巨体が床に沈む。衝撃で自分も吹っ飛ばされそのまま床を転がり。魔力も何もかも使い切り死力は尽くした…それでも尚動くようならその時は、もう、大人しく食われるしかない。そう心に決めて山のように大きい影から視線を動かし、マスターは無事だろうかと。今すぐ探しに行きたいがいかんせん腰から下の感覚がなく、足元を見てみると赤ペンキのバケツに脚を突っ込んだ後のような酷い有り様に思わず眉を寄せ。飼い主には見せたくねえなと…隠れられそうな場所は無いかと眼を動かし、)
　

>>アンリマユ

（大きな音がして、飛び出した黒い影が離れた位置に潰れて落ちて、力を込めて立ち上がろうとした脚が震える…それでも、迎えに行かなくては。大きな山羊が少しずつ消えていく、きっと身体は先輩の元へ、この後はカルデアがどうにかしてくれるだろう…あとは聖杯を回収すれば帰れる。貴方の視線が周りを撫でて、その理由を理解するのに時間は掛からなかった。だから、その前に貴方の元へ。青いジャケットを脱いで、赤いその脚へ掛けて、｢…お疲れ様です。愛していますよ、私のアヴェンジャー｣、貴方の傷を癒すより先に口をついてでた告白を誤魔化すように貴方を抱き締めようと手を伸ばし…貴方が生きていてくれて、嬉しい）

御影尋.

(隠れる場所を見つける前に飼い主に見つけられてしまった為、諦めてその場に潰れて。せっかくの綺麗な衣装を自分の血で汚してしまうのは少々心苦しいが、大切な飼い主の気配に包まれるとほう…と緊張の糸が切れる。突然の告白に口元を弛ませながら「んだそれ今言うｾﾘﾌじゃねえ…けど、ｱﾝﾀも無事で良かった。」と背中に掌を回して抱きしめ返し。…うん、何方とも欠けずに済んで本当に良かった。無事に仕事が終わり気が抜けたからか、死んでいた痛覚が戻ってきたようで脚が痛くなってきた。鎮痛剤ではないがそうしていると落ち着く為、飼い主を抱きしめる腕に力が入り、)
　

>>アンリマユ

…帰りましょう、治しますから少し待ってくださいね
（貴方は自分の手が冷たいと言ったけれど、自分はいつも貴方に触れる度に火傷をするような心地がする。背中に回った腕に、ゆるゆると身体から力が抜けて自分も緊張していたのかと他人事のように小さく息を吐いて。それから、うん、聞こえた言葉に、戦いに出る前の貴方の真意を少し垣間見た気がして心臓が痛む…ぐっと唇を引き結んだのは、そうしていないと言葉を呑み込めなかったからで。このままもう少し、とツメが甘い思考を断ち切るようにぎちりと体が軋む感覚に、服の下の貴方の脚を思い出して｢…霊基修復｣と。一画残っていてよかった、貴方の髪を梳くように頭を撫でて）

御影尋.

令呪、が…。脚だけで良かったのに、仕事ｻﾎﾞれねえ。
(脚の痛みが少しずつ引いていく代わりに視界の隅で最後の聖痕が消えていくのが見え…そういえば自分が一緒に居て令呪を使い切るのは今回が初めてじゃなかろうか。縛りも無くなり晴れて自由の身となった訳だが底冷えするようなスリルはたくさん味わえたし、今日はこのままカルデアに帰るとしよう。大分痛みが和らいできた頃、息を吐きながらゆっくりと上体を起こして。「脚…治してくれてありがとね、だいぶ楽になった。ｱﾝﾀは歩けそうか…？」と尋ねて視線を投げた先には、黒山羊が落とした黄金の器が転がっており、)
　

>>アンリマユ

…はい、大丈夫です
（貴方が無事ならそれで良い。魔力も正直底をつきかけて、令呪が無かったら…貴方を治すことも出来なかっただろう。不甲斐ない、貴方を支えることもまだまだ満足に出来ない自分に向かって、貴方はどこか満足気にこちらを見る。上着の隙間から覗いた脚はいつも通り、問いかけにいつも通りの返事をしてからゆっくりと立ち上がり…｢あ、カルデア…連絡つきそうです、このまま帰りましょう｣聖杯に指先を当ててから、持ち上げて）

御影尋.

…ん、そっか。
(フラフラと覚束無い足取りで聖杯を拾い上げてから淡々と通信機を操作する飼い主をそばから黙って見つめる。いつも通り遠慮されるだろうが帰ったら飼い主と一緒に医務室に寄ろう。…暫く待機していると報告が終わったようで通信機を切った飼い主に向かってニコニコ笑顔で「ねーねー手ぇ繋ぎたい。」と甘えた声を出し手を差し出して。可愛い飼い犬のお願い、きっと優しい飼い主は聞いてくれるでしょう、)
　

>>アンリマユ

…だって貴方、医務室に連れていくつもりでしょう
（貴方が近くにいるとそれだけで少し呼吸が楽になる。魔力のせいか、繋がりがあるからか、どちらにせよ酸素ボンベみたいな存在にするつもりは無かったのになってしまったのかなんて…もう1、2分もすればカルデアに戻ることになる。手を差し出して、あまりにも無防備に犬のように笑う貴方にこちらは僅かに眉を寄せて｢自分、今回は外傷ほぼ無いですよ｣と。掌の傷は手当したし…それでも、もう少し呼吸が楽になるならと聖杯を持っていない方の手を差し出してその手に触れて）

御影尋.

怪我してなくてもﾚｲｼﾌﾄ後は、ﾊﾞｲﾀﾙﾁｪｯｸ必須だろ。ﾄﾞｸﾀｰが言ってたじゃん。
(お互い医務室は苦手。だけど行かなかったら行かなかったで面倒なので上記述べると、拳を両手で包み込んで温める。いつも通りの低体温…前から思っていたが、飼い主は不思議な体質をしている。人やサーヴァントに関わらず魔力が枯渇した際は大抵、発熱の症状に苛まれることが多いが彼女の場合は真逆のようで。レイシフトが始まり世界が少しずつ白んでいくのを眺めながら「帰ったらして欲しい事とか何かある？」と。お茶汲みでも何でも…普段通り自分に出来ることがあるならやるつもり、)
　

>>アンリマユ

それでも嫌なものは嫌で…帰ったら、
（自分より大きな手。温かいなあと思う度に、もっと先輩達のように手が温かければ貴方や仲間たちにもっと触れやすいかもしれないと思ったり…これからの季節には、冷たい手は少々不便。ぎゅっと指先に力を入れて貴方の手の形を確かめるように握り｢…帰ったら、少しだけ寝たいです｣と、あわよくばその時に貴方が傍にいてくれたなら嬉しいなんて、口にする前に光に飲み込まれるように目を閉じて）

御影尋.

(辛うじて聞き取れた眠りたいの声を最後に、辺りが眩しい光に包まれ目を瞑り。次に目を開けた時にはカルデアに帰ってきており、マシュ嬢を初めとするスタッフメンバーが労いの言葉を掛けながら此方に近づいてきて。嗚呼、あんな人数に囲まれたら火傷する…その前に離脱しようと手を離し。「先に医務室行ってるから絶対来いよ！」と面倒な報告業務を飼い主に丸投げすれば、自分はさっさと廊下へ。目的地に向かって歩き出し、)
　

>>アンリマユ
（するりと離された手。ぱちりと目を開けると逃げるようにその場を去る貴方と、聖杯を受け取ってくれるスタッフと、困ったように笑うマシュさんと…温かい人達だ。医務室を約束させた貴方の言葉に、周りのスタッフも同様の反応をするものだから困ったように廊下へ。壁に手をついて、支えるようにしながらのんびりとした歩調で医務室へ…嫌だな、魔力不足って言われるんだろうな、皆との食事とか勧められて、それから…逃げたいなぁ、なんて思いながらも扉の前で足を止めて）

御影尋.

(怪我人でもない奴が…というのはただの口実に過ぎないが、あの御仁と言葉を交わす気はさらさら無いので扉の横で静かに待機すること数分。管制室の方からよたよたと危なっかしい足つきで歩いてくる飼い主が見えて。見るからに嫌そうな顔…変に痩せ我慢していないのならバイタルチェックだけで終わる話だというのに、中に入ろうとしない飼い主に微かに目を弓形に細め。「ちゃんと待っててやるから早く行ってこいよ。」平然と顎で扉の先を指し、)