名無しさん 2018-07-26 02:54:24 |
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アレでダメなら、もうダメだろ
僕はあれが精一杯だったから、アレ以上の期待には答えられないよ…せっかく最後まで取り繕ってたのに なんでバレちゃうかな…
…一人で飲むんだから 別にいいでしょ、
(困惑した様子の相手を睨みつけていたが、唸りながらうなだれる。一つ綻びれば 全てが崩れてしまった。最後まで カッコいい姿でありたかったのに今までの努力が水の泡だ。カッコよくない自分になんて 相手は興味も示さないだろう。今 ここにいるのは早坂の根が真面目で優しい奴だからだ。パック飲みを再三注意してきた身としては 居た堪れないが プイとそっぽを向く。)
…今のが素の状態?
あのさ だとしたら 間違いだわ
むしろ今の智也の方が人間味あるっていうか
…構い倒したくなるなぁ
(子どもみたいに表情がコロコロ変わる相手の姿に もっと知りたいという欲が浮かぶ。隣の事務椅子を引っ張り出して後ろ向きに座りながら 宮尾を眺める。新鮮というか ギャップ萌えというのか、別れる直前よりずっと興味が湧く。)
…今まで 何だと思ってたんだ
構うな、鬱陶しい
(こちらをじっと見つめてくる相手にそんな事を言われてたじろぐ。構いたい だなんてまるで珍しいもののように扱われるのは不愉快だ。しかし こちらを面白そうに見つめる大きな瞳に平常心ではいられないのも事実で。)
…なあ いちごみるく美味しい?それ サークルの女子が飲んでた スッゲー甘いやつだよな
智也って 甘党なの?甘い物好きって 甘えん坊らしいけど、智也もそうなん?
(椅子を転がして 相手に近寄ると 持っている紙パックを指で突きながら ニコニコする。たまに女子が買って飲んでいる姿を見かけたが、ものすごく濃厚で甘いらしい。宮尾が甘える姿はまだ想像できないが 見てみたいし、甘えて欲しいとも思う。)
…さっさと帰りなさい
せめて邪魔だけはするなよ
(馬鹿にしたような質問をしてくる相手は無視することにした。パソコンを再起動させると 引き出しから資料を取り出し、間違いがないかチェックしていく。量自体は残り少ないのでそれほど時間はかからないだろう。)
データの照合?ふーん
(あまりにしつこいと本気でキレられるかと思い 少しだけ様子を見ることにした。真剣に画面を見つめる横顔はやはり大人の男 という感じで、確かに始めは憧れの対象だったことを思い出す。
短期バイトの自分と、下っ端で事務仕事をしていた宮尾。昔から器用なたちで 何をするにも上手く出来るのが当然だった中で、幼い子どもにするように沢山褒めてくれたところに憧れ 次第に惹かれたのが始まりだった。)
…終わるまで 居る気なのかよ
見てなくたっていい
(静かになったかと思えば 横からの視線が痛いくらいに刺さってきて非常にやりにくい。飲み干した紙パックを畳んで レジ袋に突っ込んでおく。)
……智也は さ、
もう 俺の事なんか何とも思ってないわけ?
俺の為に…"大人"演じるのは辞めちゃったの?
(この数週間 考えていたことを 恐る恐る口に出す。これを聞いてしまえば もう全て終わってしまう気がして、喫茶店の時から言えなかった。これを聞けば 相手を諦める方向に向かえるんじゃないかと思って。それでも 答えを聞くのが怖いので、いまは目を合わせられそうもない。)
…早坂は、
…そういう"好意"とは違うだろ
前にも言ったけどさ、お前くらいの時期にはよくあるんだよ 興味や好奇心の高揚感を恋愛のソレと勘違いするヤツ…僕に向けてるソレは 恋じゃないよ
(自分で言っていて虚しくなってくるが、自分はそれでも良かった。飼い犬の様に懐いてきて ありったけの好意をぶつけてくる所も、気まぐれでとても理解出来ない猫のような姿も、側に居られるだけで 幸せだった。時が経てば幻のような消えるだろう感情でも 今だけ自分に向けられる好意でも満足だった。)
俺の気持ち 勝手に決めつけんな
それさ ずっと、そう思ってたの?三年間?
……つーか それって、智也はまだ俺の事好きって事?
(相手の こちらの気持ちまで否定して決め付ける言い方にカチンとくるが、ここで口論になっても埒が明かない。ここはグッと抑えて考えると、少なくとも相手の気持ちはこちらに向いているのだと気付いた。それが分かると幾分か希望がある。)
…んなワケないだろ
別れた時点で スッパリ断ち切ったわ。むしろ ガキンチョのお守りから解放されて清々しい気分
あんまり下らないことばっか言ってると叩き出す
(早坂の質問にパソコンに向かう手が止まる。相手に背を向け、終わった資料を片付けに行く。今顔を見られてしまったら 動揺と本心を隠し通せる気がしない。)
…最後の最後まで 猫被ってて、バレた途端涙目になって半ギレするくせに?…そんな簡単に割り切れんの?
……俺は、割り切れない むしろ、もっと好きになったんだけど
(席を立った相手に、こちらも立ち上がって追いかける。経験上 この反応はまだ見込みがあるはずだ。戸棚と挟む様に背後に立ち、そっと抱きすくめる。あと一息だと思う。)
…割り切れるに決まってるだろ
お前と違って "大人"なんだから
離しなさい。仕事の邪魔するなって言っただろ
(抱きすくめられて 逃げ場を失い、どうしたものかと考える。幸い 体格差はないから 振り払おうと思えば簡単なはずだ 焦る必要はない。)
じゃあ 振り払えばいいだろ
振り払われても、俺やっぱり諦めないけど。これからまたしつこく智也に付き纏うつもり
……どうしたら 理解すんの…
(こちらを振り返る事もせず 冷静な声で告げる相手に、ストーカー宣言じみた事を言う。信じさせる手段は分からないけれど 毎日繰り返しアプローチすれば少しは伝わるだろうか、三年前のように。片想いの時期から考えれば四年近く、自分なりに根気強く好意を向けていたのに それすら気付いてもらえていなかったとなると 流石に傷付く。頭を肩口に乗せて 懇願するように尋ねる。)
…子どもみたいな事を
……早坂、…お前が思ってるより
素の僕は多分…相当面倒くさいぞ
それでも いいなら、全力で落としに来い
ただし 邪魔はするなよ。本気で怒るからな
(肩口に感じる重みと弱々しい声に それが嘘だとは思えなくて。少しだけ 信じても良いのだろうか、失望されはしないだろうかとまだ予防線を張ってしまう。本当はとっくに他のヤツなんか目に入らないくらい夢中だが、それは隠しておこう。)
…ぜってー 認めさせるー…
トモぉ…、こっち向いて
(一応 認めさせる心意気だけは感じてくれた様でひとまず安心する。思うに 自分の本気さを認めさせるのって物凄く難題なのではないかと今更ながらに思った。甘えたように相手の名を呼び 棚に押し付ける様にして身体を回転させる。)
…男前が台無し、だな?
言っとくが 今までみたいに簡単に捕まえられると思うなよ?
(身体を回転させられると 眉を八の字にして切なげにこちらを見てくる タイプどストレートの顔。おかしくて笑いながら その眉を軽く指で押してあげてやるとさらに変な顔になる。)
ぐ…、
俺のしつこさ 舐めるなよ…
(相手に指で眉を弄られているせいで キスしようとしたら目論見が失敗に終わる。以前は甘え声を出せば大抵笑って許してくれだが そうはいかないらしい。これは 長期戦も視野に入れなくてはいけないかも。)
やっぱり ガキンチョ…
…さて、帰るか
(悔しそうな相手の顔にまた笑ってしまう。仕事はもう平気なので このまま鍵を閉めて帰ろうかと思い 指を離してやる。)
……、…
…ふ いつまでも子ども扱いしてんなよ
(指を離された瞬間に手を掴みこちらに引き寄せる。片手で頭を、もう片手でそのまま手を下げさせて 唇を重ねる。そのまま 啄ばむ様に相手の唇を舐めると 悪戯が成功した子どもみたいにニヤッと笑ってみせる。)
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