名無しさん 2018-07-26 02:54:24 |
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…はぁー もう、
若い子 わけわからん…
(ファミレスから出てしばらく歩くと せっかくワックスで固めた髪をぐちゃぐちゃに髪乱す。最後の最後まで行動がよくわからなかった。
同級生に告白された と相談された時心臓が底冷えする程の思いをしたが、付き合っている相手がいるなら断るはずなのに迷う時点で その相手に揺らいでいる証拠だろう。六つも年上で、同性な自分が引き止める権利などないのだと思えば何も言えなかった。
気晴らしにあたりを散歩していると、見慣れないカフェを見つけて足を運んでみる。)
(それから 数週間後の話)
……なあ、おい…おいって…
無視すんな コラ…トモー …智也!
(用事の帰りついでに、課題用の夜食を買いにコンビニに行くとスーツ姿の宮尾がいたのでつい声を掛けてしまった。明らかに目が合ったのに こちらを無視して逃げる様子にムキになって追いかけている。手を掴もうと伸ばすが 何度も振り払われていた。)
…あぁ もう 鬱陶しいな…
いい加減にしなさい…何の用ですか?
(コンビニデザートの新商品を買いにコンビニに寄ると帰り際に 早坂と遭遇してしまった。特に逃げる理由もないが びっくりして変な声を出してしまったので他人のふりをして無視していた。早々に諦めるかと思ったが 事務所前までついて来そうなのでこちらが折れて渋々声をかける。最近は激しい運動はしないせいか 少し疲れた。)
…特に用はないけど 智也が無視するから
今から事務所戻るの?もう 閉まってる時間じゃん
(やっと反応を返してもらったが 特に用があるわけではない。時計を見れば もう7時を回っており、宮尾がいる事務所の就業時間はとうに過ぎている。そこそこな量の買い物をしていそうなレジ袋を見ながらそう尋ねる。)
なんだよそれ…お前は、全く…
…まだ少しやる事が残ってるんですよ 早めに終わらせておきたいから少し残ってるんだよ
用がないなら 早く帰りなさい
(ここまでついて来ておきながら そんな事を言う相手に呆れて物も言えない。事務所の裏口に回って 入ろうとポケットの鍵を取り出しながら シッシと追い払おうとする。)
…俺も手伝おうか?
書類整理とか、制作ならできると思うし
二人の方が早く終わるだろ
(自分を邪険に扱う様子にムッとしてしまう。対応が付き合い出す前の姿で気に入らない。偶然会っただけだが なんとなく帰りたくなくなってそんな提案をして 裏口に向かおうとする。)
余計なお世話。…邪魔だから帰れ
…話を聞きなさい
(手伝いなど不要なこともあるが、新しいコンビニスイーツを早く食べたいので 本当にさっさと帰って欲しい。しかし 強引で言い出したら聞かない性格なのはよく知ってる。適当にあしらって 早々に帰らせるしかない。)
…そーいや、さ
コンビニでデザート買ってたじゃん 誰用?
社員の人に頼まれたわけ?
(相手が自分を帰らせることを諦めたのだと悟ると 押し掛け成功、と心の中でガッツポーズをする。ふと コンビニで会計をしている時 宮尾のレジ袋にコンビニスイーツが沢山入れられているのを目撃した。誰の為に 買ったのだろうと探りを入れるが、ただの嫉妬だという自覚はある。)
…だ、れの だっていいだろ 別に
お前には関係ない
それより 新しい恋人はどうした?あれから付き合ったんだろ?
(やはり見られていた と内心ヒヤリとする。動揺を露わにしないように裏口の鍵を開けて中に入る。この三年 隠し通していた甘い物好きだという事実を知られたくない。話を逸らそうと話題をすり替えようとする。しかし 咄嗟の話題選びに失敗した気がする。)
…はぁ?恋人?なんの話…?
もしかして 別れた時のあの下りか?
告白された ってだけで 付き合うなんて言ってない
そもそも…、って なんだこのシロップのカラ…?
(いきなり恋人だの言い出す相手に 思考を巡らせる。確かに 別れるという話になる前に 同級生に告白された話をした気がする。前々から自分には恋人がいると公表してるのに それでもいいからと言ってきた馬鹿な奴だった。少しでも嫉妬してくれないかなと期待して出した話だったが、あまりに無関心で 勢いのまま別れる流れになってしまっていた。たまにある意見の食い違いのように、今回も宮尾が話を柔らかく双方の話を纏めてくれると思っていたのに 呆気なく別れてしまったのだった。
この数週間 自分も冷静になって もう一度話し合うきっかけがあればな と思っていた。その話を切り出そうとしたが 電気を付けた時に相手のデスクのゴミ箱に大量のなにかのカラがあるのに気づいた。)
だったら何でわざわざ…、っ
…ただの ゴミだろ たまたま僕のゴミ箱に纏めただけ
っ!!
(早坂の言葉の引っ掛かりを尋ねようと振り返ると、デスク前のゴミ箱を見られていて 背筋に冷たいものが走った。慌てて誤魔化すが 机の上におもむろに置かれた自分の名前付きのプリンのカップ、折りたたまれたお菓子のゴミなどがあるのを思い出して 咄嗟にソレを取り上げようと近寄る。)
…コレ お菓子の袋?『ミルキィプリン』…?
もしかして…って うわっ?!
(お菓子のゴミに気づくと 不思議そうに眺める。ソレを見て まさか机にゴミを置かれて イジメでも受けているのではないかと一瞬疑ったが あの仲の良い事務所メンバーでそれはないかと考える。他の可能性を考えていると ゴミを乱暴に取り上げられ、その勢いに驚く。)
……
(取り上げたゴミを無言でゴミ箱に押し込み、ゴミ袋毎縛り上げてプラスチックに分別して捨てる。自分でも驚くほど動揺していて 取り繕う良い案も浮かばない。何か言おうとするも言葉が出てこず、ただ早坂を睨みつけているだけとなった。)
……、甘い物好き だったのか?
なんで 俺全然知らなかった…そんな姿一回も見た事なかったし、むしろ 避けてただろ…?
っつーか、何で隠してたんだよ
(暫く睨み合っていたが こちらがソレに耐えきれず口を開く。出かけた時も 日頃の食生活も、甘い物を好む様子など 出会ってから 見た事なかった。むしろ 苦手なんだろうとすら思っていて、コンビニデザートも自分で食べる為だなんて思いつかなかったのだ。睨まれてこちらも狼狽しながらも 逆ギレのように返してしまったのを 口に出してから後悔する。)
…ぇが、…
…お前が言ったんだろ
『クールでお洒落な辛党の大人の男がカッコイイ』って…『甘い物好きの男は嫌』だって…
でも もう関係ないもんな…もう付き合ってるわけじゃねーんだし…お前のタイプとか好みとか、もう 関ッ係ないもんな!
(出会った頃 自分に理想の男性像として語っていた相手の姿を思い出す。異性愛が普通の少年に アプローチを受けつつも 邪な感情を抱いてからというもの、すこしでも理想に近づけるカッコいい姿になろうと努力していた。甘い物も必死に我慢して、興味がなかったファッションも勉強して、出来るだけ優しく 大らかに 大人の余裕を見せようと努力していたのに、もうそんな必要はないんだと ヤケになる。)
はぁ?!…今までずっと かよ?
…そんな それって…
俺の理想になろうとしてたってこと…?
…は うわっ えっ なにそれ…えぇ…マジか…
(いきなり暴露された事実に理解が追いつかない。今まで自分を良く見せようと 我慢して努力してきたというのだろう。今までの姿は偽りだったと分かった訳だが裏切られたという感情はなく、むしろ そんな姿にいいようもない感情が湧き上がってくる。)
あぁぁ もう 帰れ帰れ!
バカなクソガキは今すぐ うちに帰れ!
ほら さっさとしろよバカ!
(半分涙目になりながら 早坂を裏の出口に押し返そうとする。出会った頃は背丈はチビなガキンチョだったのに、今や 自分とあまり変わらないくらいで無駄にイケメンで腹が立つ。可愛くない。この際 いっそ二度と会いたいだなんて思わないくらい嫌われてさよならしたい。叶うあてもないんだから期待させないでほしい。)
この状況で帰れと?!…いやいやいやいや!
つーか 甘いもの好きの智也は全然アリ
一回 一回落ち着こ?話しよーぜ
(ドスドスと押し出されてようやく焦る。男女ならとりあえず抱きしめてしまえるのに、体格も背丈もあまり差がないので意味無さそうだ。なんとか食い止まり 落ち着くよう促す。)
…どちらにせよ、
僕ら 続かなかったと思うな
互いに 言いたい事言わなかったし
なにかと 食い違うことも多かったし
(押し出そうとするのを止めると 椅子に座りながら相手に言い放つ。何かちぐはぐで 三年は騙し騙しやってこれたけれど恋人同士では上手くいってない気がする。苛立ちが治らないのでコンビニで買った いちごみるくにストローを刺して飲み始める。)
あのままじゃ駄目だっただけで、
別に全てが合わなかった訳じゃねーだろ
そうじゃなきゃ 三年も続く訳ねーし
…つーか、コップ…
(いつもとは逆で、不機嫌な宮尾をこちらが宥めようとしてる状況に違和感がある。散々 パックのまま飲むなとか、家では缶もコップに空けろと言っていたくせに 今は堂々とパックから飲んでいる。
いつも "上品な"大人を纏わせて どこか壁一枚隔てられていた様な感覚だったが、今の宮尾にはそれが感じられず むしろいまは ダメな大人の雰囲気がある。)
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