xxx 2018-06-03 19:25:29 |
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>37 夏目 央
ええ、勿論よ。素敵な約束じゃない、あたくしとっても楽しみでしてよ。
("同じ位の年になった時は"――何気無く彼女の口から零れ落ちた様でいて、とても大きな意味をもつ言葉だった。今は未だヒトとして生きる為の寿命を奪われ、ただ途方も無い仮の生を与えられただけの不完全な存在である彼女の中に"未来"と言う選択肢が生まれつつあるのを感じたのだ。然し、この館における未来は二種類ある。ヒトとして迎える未来、ヒトならざるものとして迎える未来――果たして彼女が求めるものはどちらかと、明るい返事の裏に考えを巡らせた。初めて掌の中へ落とした宇宙の輝きに目を奪われ、小さいながらも確かなその美しさを感じ取る彼女の表情に思わず表情が穏やかになる。初めて見るものに喜び、惹かれ、そして美しいものをただ美しいと認める事の出来る彼女のその素直さに思わずくすりと笑みを零して)
これから央が作るのは、この世界にたったひとつだけの特別な品よ。あの子もきっと気に入るわ。
(と、はにかむ彼女の背中を押す。ヴィペールの事である、きっと分かり易く喜んでみせはしないだろうが、彼女からの特別な贈り物に対して良い感情を抱かない筈はない。糸巻きへ手を伸ばし、糸の先端を摘んでゆっくりと引っ張りながらそれを彼女へ差し出して微笑む。ことん、と彼女の前に置いたのは虹色のテグスを切る事の出来る唯一の鋏で)
さあ、あなたがどんなに素敵な贈り物を拵えるか、あたくしに見せて頂戴?あなたの好きな色と形で、思うままに作ってみせて。
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