坊っちゃま 2018-05-12 23:43:08 |
通報 |
……………………ッ…、ぼ…坊っちゃま…何を
(普段は自分から縮めていた互いの距離感、けれどどうしても埋められないものはある。どんなに容姿が似ていても根本的な種族が違うのだと引こうとした線を主自ら切り捨てては掴まれた手に力が籠められて。珍しく我儘のような無茶苦茶とも言えるような言葉に困惑していてはそっと口付けられて。一瞬固まってしまう、何が起きたのか分からないままに気付いたときには真っ赤な主の顔があり、唇に口付けられたのだと理解すれば主とのスキンシップの時は何時だって余裕を含んでいた表情はその色白を通り越して不健康とも捉えられかねない肌が真っ赤に染まっていく。自分が主に抱いた感情は恋慕を含んだものであった、だが主から向けられたものもそうだとしたら…嬉しい、怖い、そんな相反する感情が浮かんでは消えてを繰り返して。)
ヘンリエッタ....僕には、僕には恋と言うものが全く分からない。生まれてこのかた、恋なんて甘い誘惑に溺れる暇などなかったし、周りに同い年の女の子だっていなかった......でも、でもね、ヘンリエッタ。僕はキミを見る度に、触れる度、声を聞く度に痛むこの嫌じゃない胸の苦しみが恋じゃないと言うなら、僕は恋と言うものに焦がれる事など一生出来ないと思う。_____ヘンリエッタ、僕はきっと、キミに恋をしているんだ。
( 本当に咄嗟の判断だった。何故そうしたのか、詳しい理由は全く分からない。それでも、彼女への触れ方、その場でどうすべきかを考えても分からず、反射的にそうした。恋を知らぬ僕が、恋を語るなど片腹痛い話ではある。きっと何度も恋をして来た人達に比べれば僕のこの感情など日常茶飯事かもしれない。でも、可笑しいのだ。今まで一度も、こんなにも誰かに触れたい、誰かの傍に居たい、彼女の声に、仕草に、時折見せる人間離れした表情、笑顔、指に、髪に、全てに愛しさを感じるのは。分からない、何も分からないが、これは只の家族愛ではない。彼女を一人の女性として見た時に起きるグルグルと渦巻きながらも絡まることのない艶やかな色をした感情。ポツポツ、と溢れ出る言葉を紡ぐ。紡いで、吐き出して...下を向いていた顔を上げる。するとそこには、顔を真っ赤に染める彼女の姿がある。その表情を見ては、肩に入っていた力が抜ける。ふふ、と可笑しそうに笑えば一呼吸置く。改めて、彼女の瞳を見れば、自分の正直な想いをぶつけた。)
ギル…ベルト坊っちゃま……、御自身が何を仰られているのかお分かりですか…?
私は…メイド……いいえ、吸血鬼です。今はまだ分からないかも知れません、けれど私は歳をとらない、坊っちゃまと同じように老いていくことは出来ないのです。
使用人ならば諦めもつくことでしょう…けれど…恋となっては話が違います。きっと坊っちゃまはいずれ傷つき後悔します、ですからお戯れは此処までと致してくださいませ。
(二人しかいない場所、二人だけの空間に甘く響く声は心より愛している主のもの。告げられる一つ一つは何よりも甘美で自身の心を熱くさせていく、本当に最初は存命の為だった。このまま死ぬのだろと覚悟をしていた自分の前に現れたのは何処か人間離れした容姿の女の子と見間違うほどの儚げな男の子。まだあどけなく無垢で純粋で、騙すことが容易く思えてしまうほどの真っ直ぐな眼差しに次第に自分は絆され、そしてかけがえの無い存在へと変わった。きっとこの人が居ない世界ではもう自分は生きてはいけないと思うほどに……出会ってからの数ヶ月は温かく甘く吸血鬼として忌み嫌われてきた自身の凍りついた心を溶かした。だから同時に誓ったのだ、これ以上決して望んではいけないと主が求めるものが家族へのそれならば誰より甘くそして幸福になれるよう、自分の人生よりも遥か短い命が尽きるまで共にいると、そして最期の時は自分も共にと……。吸血鬼である自分が捕食対象である人間に恋をするなど滑稽でしかないのだ、だから決して踏み込んではいけないと誓っていたのに。耳を刺激する愛しい人の言葉に自分は今高揚している、本当にそんな夢みたいな未来を望んでも良いのかと。けれど種族の違いに自分はまた逃げ腰になってしまう、他者との関わりを断絶に二人だけの世界を作った自分が言えることではないのは百も承知している、だがどうしても自分と生きることは様々な辛い想いを主にさせてしまうのだと、今ならまだ冗談に笑い話に出来ると悲しげに微笑んではまるで母が子供にするようにと頭を撫でて)
ああ、ヘンリエッタ。僕は僕が言っている事の意味をちゃんと理解しているよ。
ねぇ、ヘンリエッタ..人間ってとても弱い。キミの言う通り、老いていき、必ず死に至る。でもさ、ヘンリエッタ..、じゃあその生きている間、恋をしちゃいけないなんて決まりはあるのかい?逃げないでくれ。人の人生に、傷つかない事なんてない。後悔しない事なんてない。たった一度きりの人生何だ、それなら...傷付き、後悔を重ねてでも僕は、キミの愛すべき人になりたい。我儘を通したっていいだろう?
ヘンリエッタ....、僕から、僕の想いから逃げないでくれ。僕の気持ちに向き合って欲しい、僕は____僕は、キミを愛しているんだ。
( 種族間の生涯の在り方。それはこの二人の一番の問題であり、障害なのは理解している。それでも、あの日..出会ったあの日に、僕は既に彼女に淡い恋心を胸に抱いていた。当時はそれが恋だとは分からずに、恐怖からくる何か別の物と捉えていたが、ここまでくれば流石に馬鹿でも分かる。僕は初めから人とは異なる、吸血鬼の彼女に、そしてメイドとして僕に忠実に従ってくれる彼女に恋をしていたのだ。彼女はきっと、種族間の違いを気にしているのかもしれない。然しながら、それは些細なことで僕らは生きていると言う点では何も変わる事のない似た者同士なのだ。吸血鬼に恋心を抱いてはいけない?否。愛してはいけない?否。人間紛いの怪物?否。否だ。彼女は一人の人だ。誰が何で罵声を浴びせてこようが、僕が人間だと、人だと断言すれば彼女は人なのだ。/ 頭を撫で、悲しげに笑う彼女にほんの少しの自然と溢れる小さな微笑を浮かべながらその手に自身のもう一つの小さな手を重ねる。ああ、人間では無くとも僕には分かる。此れはとても暖かく、落ち着くものだ。深呼吸をする。先程よりも真剣な表情で、真剣な眼差しで、彼女を視界に捉える。ぎゅ、と手を強く握りしめると、溢れる言葉の数々を、想いと共に彼女に放った。)
( 此方こそ気が付かずにお待たせしてしまって申し訳ありません。引き続き宜しくお願いします。)
ギルベルト坊っちゃま…
そうですね…恋をするのは自由です。相手が誰であっても坊っちゃまの心は坊っちゃまだけのもの…誰にもそれを咎めることなどできません。
……坊っちゃま、最後に一つ確認をさせてくださいませ
きっと私の愛は坊っちゃまを傷付けます、先程のように急に血を求めることが増えてしまうかもしれません。己でも抑えることの出来ない衝動に襲われるかもしれません 、……吸血鬼の愛とはそういったものです。
本当にそれでも…良いのですか…?
(一つ一つ真っ直ぐに拒絶を見せた自分の心へと届けるように紡ぎ告げられる言葉は人間の弱さも生涯の違いも理解した上で、それでも傷付こうとも構わないと己の願いは自分に受け入れてもらうことだけ。その姿はいつの間にか自分が守る対象ではなく寧ろ真逆、吸血鬼であることで線引きをして逃げようとしている自身の弱さすら包み込もうとする強い優しさで溢れていて。ずっと守らなくてはそんな風に思っていた…が違う、自分は出会ったときからずっと守られていたのだ。救われたのは命だけではない、心を救われた、恐怖することなく差別することなく一人の女性として扱ってくれたこと
、その事に自分は酷く救われた。ずっとずっと己は捕食者なのだと、どれだけ大切な存在へと変わっても主は被食者にすぎない。だから線引きをした、傷付かぬよう…主の為?いやそんなのは欺瞞だ、自身が傷つくのが怖いだけ。だから主の心が移ろわぬよう閉じ込めた。この狭い屋敷こそが楽園なのだと、二人で過ごせれば良いのだと……。本当に主の幸せを願うのならば、己を吸血鬼だと主は人間だと区別するのであれば人間との幸せを与えるべきだったのに。まるで自分自身へと言い聞かせるように心は誰にも縛れない心だけは自分のものだと告げては包まれる手の温度は何処までも温かく心地の良いもので、だからこそ自身が主を壊してしまいたくない、人の愛と吸血鬼の愛は異なる。恋人となってしまえば愛しい人となってしまえば急な吸血衝動に駆られることも増えるのだ、だから再度問いかける。本当に自分で良いのかと何処までも冷静に、少しでも迷いが見えたのなら自身の愛情は家族へのそれなのだと偽ることを決めて、主とメイドという関係性を壊さない事を己に誓っては真っ直ぐに見つめて問いかけた)
(引き続き絡めるとのこと大変嬉しく思います、此方こそ宜しくお願い致します。)
(ご連絡ありがとうございます。
把握しました、此方の返信速度は無理のない範囲で絡んで頂けるだけで大丈夫なので、何時までもお待ちしております。)
ヘンリエッタ....僕は本気だよ。僕の覚悟は、そんなに甘いものに見えるかい?
( もう、終わりにしたいのだ。この気持ちに、関係に、ケリをつけたい。僕等は人間だ。彼女は吸血鬼。未だ嘗て、その異なる種族間の恋など本やお伽話でしか聞いたことのないもの。此れが世間で受け入れられるかと言えば限りなくゼロに近い。それでも、人間が吸血鬼に恋をするのが悪だと誰が決めた?吸血鬼が人間に恋をするのが悪だと誰が決めた?決められる訳がない。例え決められたとしても、この想いがそんな決まり事程度に揺れがされる程度な訳がない。人間でも、吸血鬼でも恋をするのは自由。その自由を縛ることなど到底不可能だ。魚に水の中で泳ぐなと言っているようなものだ。僕は、出会ったあの日に恋に落ちていた。彼女の美しさに、優しさに、笑顔に、声に、一つ一つの動作に、温かな雰囲気に、時に見せる哀しい表情に。彼女は僕が壊れないように、優しく触れようとしてくれる。でも、それすら僕には愛おしい。乱暴にされたって構わない。彼女が望む事なら何だってしてあげたい。叶えてあげたい。吸血衝動だって平気だ。彼女の為なら喜んで血を与えよう。/ 握る手に指を絡めて、薬指に口づけを落とす。もう一度顔を上げる。何処か哀しそうなその綺麗な顔がそこにある。そんな顔をしないでおくれ。僕まで哀しくなるじゃないか。でも、彼女が哀しい表情をするなら、せめて僕だけはどんな時でも微笑おう。彼女の為に。僕等の為に。優しく、太陽の淡く包み込まれるような笑顔を向けては首を傾げた。)
( お待たせしてしまいまして申し訳ありません。今後も遅れる事がありますので、その時は必ず一言伝言を残すようにします。)
……………いいえ、出会ってからずっと坊っちゃまはずっとお優しく、真っ直ぐで、嘘など付く方ではありません。
…私も坊っちゃまのことを心よりお慕い申しております。
(自らの指に絡む女性である自分よりもか細く少しでも力を込めてしまえば簡単に折れてしまいそうな主人の指、けれどそれはどこまでも力強く自分の俯き萎んだ心を上へ上へと引っ張りあげてくれる。吸血鬼である自分には穏やかで暖かな温もりある生活など有り得ないと思っていた、そして主人に会うまではそれを求めようとも思っていなかった。理由は簡単だ、知らないから…生まれてからずっと温もり何て知らなかった長く生き自らを生んだ親には子に注ぐ愛情すらなかったから。だから誰に気を許すことなく寄り添うことなく一人、ただ一人でひたすら生きて…いや、永遠のような時を生き長らえていたに過ぎない。意味もなくなにも産み出さず奪うだけ、ただそんな日常を幾年も繰り返してきただけなのだ。だから驚いた、甘く優しい日々に、己にとって毒としかならないと知りながら、一度犯されてはもう知る前には戻れないと分かりながらこの屋敷という箱庭を楽園とし生活を続けた。だから自分はこの温もりを手離したくないのだ例えどんなことをしても、この柔らかく日の光に嫌われた己に唯一注ぐ太陽を。もう、逃げてはいけない、失いたくないから真っ直ぐに問われる問いに此方からも目を合わせ静かに呼吸を整えては自分の想いを紡いだ。)
(此方も遅れてしまった為あまりお気になさらないで下さいませ。此方も3日以内に返せない場合は今後ご連絡をさせていただきます。)
うん..うん..!愛してる、愛してるよヘンリエッタ!
( 漸く、漸く伝えられた想い。例えこの気持ちに対する返事が自分の望んでいたものじゃなくても僕は構わない。だって僕にとって、彼女は恋人じゃなくても恋人以上。家族よりも大切な存在だから。だから、気持ちは伝えても別に恋人なんて大それた事まで欲張ったりはしない。ただ、それでも彼女の口から答えだけは聞かせて欲しかった。きっと子供っぽかったろう。それでも構わない。だって僕はまだ子供だ。少しくらい駄々をこねたって構わないだろう?でも、そうか。良かった、彼女の言葉からも同じことを聞けて。/ 呼吸を整えてから紡がれた言葉。嬉しそうに目を大きく見開き、繋ぐ手を解いて彼女へと抱き付けば満面の笑みを向けながら愛言葉を伝える。)
っとと、すまない。主人にあるまじき姿だったね。
( ある程度ぎゅうう、と抱きつき擦り寄ればはっ、と我にかえる。そして離れると何とか威厳を保つ様に咳払いをしながら赤らむ頰のまま大人びようと見栄を張る。愛すべき人の前だ。なるべくなら格好良くありたいのだ。)
…っ、私も愛しています。この世に存在する誰よりも、どんなものよりも。
私はギルベルト坊ちゃまが居ない世界でなど生きてはいけません。
(幼くそして愛らしい無邪気な笑みを浮かべては精一杯の、まるで日の光の如く降り注ぐ愛の言葉に此方からもぎゅうっと宝物を大事に抱き抱えるように抱き締め返しては家族愛としてではなく、異性として愛していることを告げては冗談でなければ少し歪とも思えるような言葉を真っ直ぐ瞳を見つめて述べ。もう、偽らなくて良いのだと、必死に取り繕っていた使用人として家族としてのそれではなく異性として愛情表現をして良いのだ。取り繕うように慌てて離れ威厳を保とうとばかりに己に謝罪をする姿すら愛しく映ってはそっと空いてしまった距離を再び埋めるように小さな主の背中へと手を伸ばして己の胸の中に閉じ込めてしまっては、自分よりもずっと幼く小さな命を失ってなるものかとばかりに存在を確認するかのように力強く、けれどどこまでも優しく抱き締めてはそっと耳元に唇を寄せて懇願するように言葉を吐いた)
………ですから、坊ちゃまがこうして私のすぐ側にいるのだと
こうして想いを通わせられたのが夢ではないと確かめさせて下さいませ。
(ご連絡及び返事が大変遅れてしまい大変申し訳ございません。次回から気を付けます。)
....エンリ..エッタ....、うん。うん...いつまでも、僕が君の傍にいるよ。絶対、絶対だ。
( 嗚呼、何て綺麗で醜い嘘だろうか。人間に絶対なんて無い。必ずその絶対は壊れるし、確定などされない。其れを分かっていながら言ったのはきっと、この幸せに満ちた瞬間故だろう。だがしかし、嘘でもいいではないか。この暖かな今を、愛しい彼女を守る為なら、少しくらいの嘘が許されても良いではないか。既に自身の身体に、限界があるとしても。病を治す事が出来なくたって、彼女を想う事はできる。愛す事はできる。我儘を赦して下さい、神よ。僕はやっぱり生きたい。彼女に隠し続けてきた病故の死を、もう少し先延ばしにして下さい。そう祈る様に、彼女との残り少ない時間の中で実った愛を至極喜び、涙を流しながら頷いた。頰同士を擦りよせ、顔を離してにこりと、太陽の様に笑えば、次の瞬間。その幸せを壊す様に。否定する様に、自身の中の悪魔が牙を剥く。)
っ..ぐふっ..!
( 胃から込み上げる胃液と血が混ざった液体が口から出そうになるのを手で塞ぐも、隙間からは血が噴き出す。まずい、最近まではかなり身体の調子が良かった筈なのに、何故今更になって..何て考えているものの、そんな呑気さは吐血の苦しみに掻き消される。必死に彼女に血を見せない様、自身の身体で床に飛び散った血を隠す様に覆い被さって、)
( 遅れて大変申し訳ありません。此方も次回から気をつける様に致します。)
( 後、申し訳ありません。名前の方を間違えてしまいました。気分を害された様でしたらこのまま切っていただいても構いませんので..、)
……はい、坊っちゃま…。
(絶対など永遠などないことは知っている。自分が手を下すまでもなく老い死んでいった人間を何人も見てきたのだから、長い長い時間の中で人が脆くそして吸血鬼である自分と比べたらまるで刹那のように消えてしまう存在なのだと…知っている。いや、知っていた筈だった。それでも愛しい人と永遠を、少しでも長い時を願うことを誰が咎められるというのだろう。頬に触れる優しく柔らかな肌の温もりに目を細める、鼻腔を擽る嗅ぎ慣れた優しく甘い香り鮮やかに彩られていく世界にずっとこの瞬間が永遠に続くことを願い目を細めた瞬間、甘い香りが血の匂いに変わる。愛しい主人から吐き出された血に世界はモノクロに色を変えていく、苦し気にそれでも必死に自分からその吐き出した血を身体を使って隠そうとする姿にみるみる顔は青ざめては、震える手でその小さな身体を抱き締める。嫌だ、いかないでほしい、自分を一人にしないでほしい。そんな自分勝手な感情が身体を駆け巡っては目の前の現実を否定するかのように首を左右に振りながら何度も名前を繰り返し呼んでは一体主人の身体の中で何が起きているのかと子供のように怯えて)
坊っちゃま…っ!!?
い、嫌です…坊っちゃま……ギルベルト様…っ
(いえいえ、此方も遅れてしまいましたのでお気になさらず。
名前の件も全く問題ありませんのでどうか気にせずにまたお相手いただけたらと思います)
だ、い..じょぶ...大丈夫、だよ..ヘンリエッタ。
( 嗚呼、泣かないで。怯えないで。貴女の顔にはそんな表情は似合わない。僕は、貴女にそんな顔をさせたいわけではない。ただ、笑っていて欲しいのに..何故こんな時に限って発作がくるのか。ぼんやりとする視界の中、抱き締め、此方を見詰める彼女の頰を血の付いた手で撫でては安心を促すように優しく笑い掛けながら宥める。大丈夫、大丈夫と。勿論、死ぬ訳ではないが大量の吐血は少ない人間の命への負担を表す。辛い出来事ではあるものの、何とか身体を起こせば、)
ヘンリエッタ、すまない。ベッドに寝かせてもらってもいいかい?
( けほけほ、と軽く咳き込みながらなるべく彼女の動揺を消そうと先ずは心配の根っことなっている自身の身の安静を最優先にする。自身の身が安全な事を彼女自身で確認出来ればきっとまた笑顔に戻るだろう。ベッドを震える手を伸ばして指差せば申し訳なさそうに眉を八の字に下げながら懇願して、)
トピック検索 |