匿名さん 2018-05-08 21:00:30 |
通報 |
「誰かいますか?」
そう言って辺りを見回すが、今のところ誰もいない。しかし、空間には確実に誰かがいたであろうと思わせるような空気が漂っていた。おそらく、昔は賑やかだったのだろう。そして、彼はそれを理解していた。彼もまた、同じ空間にいたからだ。
「ええ、楽しかったですよ」
そう独り言ちる。過ぎ去った日々を懐かしむように。
彼/彼女は姿を変えながら、時に喧騒に加わり、時に世界を見守っていた。
しかし時の流れに押しつぶされ、いつしか世界を手放した。
それでも
「再び、この世界に光が溢れんことを」
祈りは光になり、人型を包む。
やがて光が収った後には、一枚の羽だけが落ちていた。
またいつか
みんなで集まれる日を静かに
花は森の中から手を伸ばし、昔を探す。
長い腕は此処に有った日々を抱き締めて。
柔らかな白色は過去に縋り鳴いて。
鮮やかな羽根は、過去の優しさを運び出し。
黒い爪は今の誰もいない闇を割いて。
面倒の種は跳躍し、新たな未来を目指して。
許さぬ竜は静寂を噛み砕き、地を整える。
___丁か半か、どう張ろうか
今ここに賽は投げられた
トピック検索 |