半堕刀剣 2018-04-15 23:28:01 |
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そら、また騙された。お人好しだな、あんたは。そういうところが心配なんだ。( 愉しげに目を細め、敢えて手は離さぬまま )
( 酷く衰弱した様子の相手。止血しようにも生半可な手当で止めきれる出血量ではなく、彼の手を両手で包み込めば今はただ己の体温を分かつことが精一杯で。血の気が失せみるみる冷えていくそれに視界が滲み、まともに彼の顔も見れやしない。それでも彼の問い掛けには反応を示し、ほんの少しだけ顔を上げて )…願い…?何だ?俺に叶えられる事なら、何でも。
?!はひゃへ…!はひゃへほひへひふはほ…っ( 少々涙目になりつつ相手の手をぺしぺしぺし、 )
…ありがとう。あんたには重いモノを背負わせるかもしれない。それでも俺はあの男にやられるのは御免被る。だからアレが来る前に単調直入に言う。—―…国広、俺を折ってくれ。( ほんの少しだけ彼の体温を両手にほんわかと温かみを感じ取ると僅かに頬を緩め。そう自ら口に出た言葉は決意していた事、と言ってもあの男が言っていたことと同じことを言っていることは分かってる。あの男が言っていた通り”本望”なのかもしれない。だが、あの男にやられるくらいなら目の前の彼の方がいい。苦しめることは分かってる、理解してるからこそこれだけは叶えてほしい )
ふっ…はは。すまない、本当に何を言っているか分からない。( 耐え切れず吹き出すと、片方の頬だけ離してやり )
――っ、な……。( 紡がれた言葉に、彼の願いに、耳を疑う。幾ら満身創痍の身とはいえ生きる事を諦めたかの様な相手の物言いに愕然とし、見開いた翡翠の瞳からは大粒の涙が止め処なく零れ落ちては彼と己の手とを濡らす。例え相手の望みだろうと、救いたい気持ちに揺らぎはしない。力の限り首を横に振って否と示せば少々強引に繋いだ手を引いて立ち上がるよう促し。あまりにも切羽詰まった状況に焦るあまり、負傷した彼の身体を労わる余裕もなく )ッいや、だ。嫌だ。俺には、出来ない!…まだ助かるかもしれないんだ。此処から逃げよう、早く…ッ!
…っ、離せと言ったんだ…!もう片方は何故離さない?は・な・せっ( うがっ )
国広…、頼む。俺はもうこの状態で歩けることも困難なんだ。…あんただけなんだ。( 綺麗な瞳からはこれでもかと零れ落ちる涙に此方もつられるように静かに頬を伝う様に涙を流し乍願望を告げ。立ち上がろうにもあの男に足の健を斬られたこともあり中々足が言う事を聞かず彼にひかれても動じずこともできず繋がれた手でさえ力のないように見え )
あんたの反応が面白くてついな。悪かったとは、思っている。…一応。( 漸く手を離しお道化た調子で )
――あんたは卑怯だ。俺を助けておきながら、自分ばかり死に急ぐ。そんなの、絶対に赦すものか。( 相手の涙を見てやるせない気持ちに駆られると同時に、言い知れぬ苛立ちが胸に渦巻いては片腕で涙をぐい、と拭い断固とした強い眼差しで相手を睨む。歩けないのなら、己の手で連れ出すまで。両の手を離し、屈みこんだままの姿勢で背中を向ければ尚もおぶさるように促して)そら、捕まれ。あんたにはまだ、返せていない借りがある。
…おい。その一応とはなんだ、一応とは。…俺を弄ぶのはやめてくれ。( 不機嫌そうにむむ )
…あんたまでこんなことをすればあの男が黙ってはいないぞ。それでもいいのか?( 決意したような眼差しを向ける彼から視線を逸らしてしまい。この裏切り行為をすればあの男が何をしでかすかわからないという恐怖からか背中を向ける彼へと身を任すことはできず。 )…早く戻れ。俺の事はいい。借りなんてしなくていいんだ。あんただけは…生き残ってくれ。
そんなに怒らないでくれ。誰かとこうして戯れ合うのは、初めてなんだ。( 心底楽しそうにくすくす笑い、そんな自分が自分で意外に思い )
あんたが折られる覚悟なら、俺も共に。切国を、一人にはさせない。させたくない。( 聞き分けの悪い子供の様に何度も首を振り、逃げる選択肢がないのならと己も覚悟を決めて。再び相手の方へ向き直ると傷付いたその身体ごと優しく抱き締め、そこから一歩も動こうとせずに頑なに相手の声を拒み続け。ふた振りなら、審神者など怖くはない )
怒ってな—―…国広。あんた、そうやって笑えたんだな。( 楽し気にく笑う姿に此方もつられて笑って )
ッ…ばか。俺の事なんかほっといてくれてもいいだろうに。なんであんたはそう――…っ( この状態では逃げも隠れもできずないならこのまま折れた方が楽なのではと折れる方向へ考えがついてしまう自分がいて。なのに一歩も動こうとせず共に折れようとしている彼にキツイ言い回しで言いかけるも突然、相手に抱きしめられてしまい言葉を失い。覚悟はできている、という意味なのだろうか。嫌だ、彼まで巻き込むことはしたくない。力のある限りぐい、っと押し返し俯き加減で布で隠れているのもあり顔は窺えられないもののぽろぽろと涙が零れ )い、やだ…や、めろ…!あんたまで…国広まで折れることはない…!頼む…逃げて、くれ…!逃げろ…っ
…!すまない、見苦しい物を見せたか…?( はっとして笑顔を消せば布で顔を隠し )
一振りでは、心細いだろう。俺がそうだったから。あんたが残ると言うのなら傍に居るぞ。――だが、願わくば…もっとあんたと生きたかったな…。( 肩を押され、彼の様子を窺い見ると布の下から零れ落ちる雫に直ぐに気付き。泣かせてしまったことに胸を痛めて力なく視線を落とせばぽつり、彼と共に笑い合う未来に想いを馳せながら呟いて。そろそろ審神者も戻ってくる頃合いだろうか。もう先程のように無理強いするつもりもないが、少しでも彼に希望があるならばと頭を撫でてやりつつ一縷の望みを掛けて最後に問う )切国。生きて、俺に人並みの幸せというものを教えてくれないか?
あっ…い、いや…そんなつもりで言ったわけじゃ…?!( おろろ )…国広があんな風に笑うのを初めて見たから…その、驚いただけだ。( 視線すす )…もう一度、見せてくれないか。( 頭ぽふ )
ッ…そ、んなの…俺には人並みの幸せなんてよく分からない。だが、国広と…分からないなりに分かち合いたい…っ( やはり涙は一向に止まることなく零れ落ち迷いはさえ消え去り彼からの願いを受け入れ。気付かない間に審神者から数えきれないほど幸せをこれでもかと貰っていたのかもしれない。だから、彼にも自分なりに共に笑い合えたらどれだけ幸せなんだろう。それを想像しては、生きたいと強く望みを膨らませ静かに顔を上げ涙を溜めて相手を見 )…国広…俺と、帰ろ…、
……ずっと、忘れていたものだ。今更、笑えと言われて直ぐ出来るものでもない。あんたが…笑わせてくれ。( 布の裾からちら、と翡翠を覗かせ期待の眼差し )
ありがとう。…あんたは無事に本丸へ届けてやるからな。( 生への希望を取り戻したらしい相手に安堵の吐息を零し小さく笑めば、目尻に溜まった涙を親指で拭ってやり。そんな束の間の平穏もそう長い事は続かず、摺り足気味に歩く特徴的な足音を耳にすると途端に身体を強張らせてしまい。どうやら思っていた以上に早急に逃げ出す必要があるらしい、慌てて背を向ければ叫ぶように声を張り上げ )――っ、ほら、早くおぶされ。じきに主が来る…!
っえ?!急に笑わせろと言われてもだな…( 顎当てうむむ )……( 考えた末に両頬をみょーんと伸ばしてみて )
っわ、分かった…!( 一足遅く乍も独特な足音が聞こえれば小さく身震い。この平穏な空間に居たの事もあり余り感じなかった負傷した怪我でさえ今になりじわじわ痛み始めるも、ゆっくり腕の力で距離を詰め彼の背中まで行けばおぶさり。無事二振りとも逃げ切れますように )
いひゃいいひゃい、にゃにするんひゃ。( 眉間に皺寄せた不満顔と物理的に形成された笑みがアンバランスさを奏でる変顔 )
( 背中越しに彼の体温を感じ、一振りの命を預かっている重みを再認識すれば尚の事彼を救わねばならない使命感に駆られ、主への恐怖を振り払うかの如く心を奮い立たせては彼の刀も忘れず拾い上げて緩慢に立ち上がり。部屋を出ると、数歩先に唖然と此方を見遣る主の姿を見付け。目が合い、視線かち合えばほんの少しだけ後ろ髪引かれる思いで目を伏せ )――すまない、主。( 分霊に傷を負わせた主を赦せないが故に、こんな形で主を裏切る事が酷く残念で。何か言い掛ける主の言葉は聞かず、縁側からひょいと飛び降り草履に履き替えると急ぎ足で曇天の空の下を駆け抜けて )
――…ぶふっ。っす、すまな…っ、くっくく…( 彼を笑わせるつもりが反対に自身が我慢できずに吹き出してしまう始末。顔を横へ向けチラリ見やるもやはりその顔を見た瞬間吹き出し未だくすくす笑っては涙目 )
…国広、俺のせいで…いや、なんでもない。( 極力、あの男の顔は見ないように彼の背中へ額を付け目を瞑り今までのあの男がしてきたことを思い返す度に恐怖に震え。手入れをされていない中庭を通り抜け急ぎ足でその本丸を後にし。あの男が諦めるかどうかはそれは定かではないが、自身の本丸へ着くまで何も起きないことを祈るしかなく )
おひ……なんへあんひゃがわはっへいるんひゃ…。はなへ。へひおるぞ。( かちん。相手の鼻ぎゅむりと摘まんで )
……大丈夫か?( 相手の本丸へと向かう道すがら、背中の彼が震えている事に気付けば途中速度を緩めて心配げに振り返り。抜け出した自本丸は既に遠のいて辺りは閑散とした林道が続く。不意に曇天の空からぽつり、ぽつりと雨雫が肌や地面を濡らし始めると意識を相手から空へと向けて )――雨、か。先を急ぐぞ。
ふぐっ…!あんひゃほはほ…ひは…はんほなひ。( ビクッ。恐る恐る相手の両頬から手を離し )
( 今となってあの出血量もありつつ意識も朦朧としてきたというのにこの後も体力を奪われてしまうであろう雨まで降り始めては自身の体力は自本丸まで持つかどうか。その雨も段々強く殴るように打たれ。それでも彼に心配かけたくない気持ちがあり問いに応えようと軽く顔を上げ )…平気、だ。( 自本丸へ向かう道のりはあともう少し。そのまま林道を抜ければ自本丸へと辿り着き。帰りを待っていたかのように心配げな表情で和傘を持った審神者が居りその姿が目に入れば )――…お帰り二振り共…よく帰って来たね。
全く…油断も隙もないな。俺が写しだからか。( ぷんすこ。相手から手を離し赤くなった自分の頬撫で )
( 言葉には覇気がなく体力も限界に近いのだろう。弱っていく相手にぐっと悲しみを堪えて前を向けば、雨が降りかかるのも厭わず全力で林道を走り抜け。息は上がり、雨に体力を奪われ最早足の感覚さえ曖昧になろうとする頃、漸く本丸に着くと待っていたのは一人の男。審神者に対しての染み付いた恐怖に足が竦み、それでも優しい声掛けにそろりそろりと近寄れば深々と頭を下げて )…あ…、の…。…分霊が、俺を庇って酷い怪我を負ってしまった。本当にすまない。お願いだ、直ぐに手入れをしてやってくれないか。
な、何故そうなるんだ!あんたが笑わせろというから考えた末に出したのがあれだった…ん…だ。( 思い出し笑いでまたも吹き出し )…す、すまな、い( 口元を抑えぷるぷる )
>審神者
…っ、切国…そうか…君を守ったんだな。こうやって帰って来てくれたんだ。君を追い詰めるつもりはない。切国がそこまでして君を守りたかったのは分かっているつもりだよ。( 深い深い傷跡を消え去るのはまだまだ時間がかかるだろう。自身に近寄る際も何かされるのではないかという恐怖からか怯えたように近寄る彼に優しく微笑みをかけこれ以上濡れぬように和傘を差し入れ )…さあ、急いで切国を手入れ部屋へ。君はそのままだと風邪をひきかねないから堀川に後で切国の内番服を持ってくるように行っておく。( 彼と共に玄関から入っていくと長谷部が出迎え。事情を話急いで堀川の元へ早足に向かうべく長谷部を見送った後、手入れ部屋へと向かい )
――〜!笑うなッ…!笑うなと言っているだろう。あんたなんかこうしてやる。( 変顔を思い返し赤面、ヤケになり相手の頭の布をがばりと取り払って )
…すまない。( 何から何まで優しく包み込むような審神者の言葉と対応の早さに恐縮するばかりで、この男の大事な愛刀を傷付けてしまったことに尚更責任を感じてしまい。相手に続き手入れ部屋まで分霊を運べば敷かれた布団に優しく寝かせてやり、手にしていた彼の血濡れた刀を審神者へそっと差し出して )…これ…分霊の刀だ。俺のせいで、こんなに傷付けてしまった。治るか?( 刃毀れし亀裂の入った刀を目前にして再び涙で視界が潤み。しかし手伝うにも何をしたら良いか分からず困った様子で )
…えっ――…っ?!( 今まであった布がないことに気づけば慌て始め )っ、か…返せ!俺の布っ。それがないと俺は…っ‼( あわわわ )
…直す。いや、直してみせる。こんな形で切国を折らせるわけにはいかない。( 差し出されたのは所々亀裂が顕になった刀。それは、彼を守るために必死で庇った事がこの状態を見れば手に取るように分かり。――痛かっただろう…よく頑張ったな、と眠っている刀へと視線をやり、なるべく傷付かないようにそっ、と両手で受け取り。 )…大丈夫だ。君は切国の側に居てあげてくれ。目を覚ましたら君の事を一番に心配するだろうからな。( さて、始めるか。そう掛け声と共に刀の手入れを始め数時間後、刀の手入れを終え一息つき )
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