半堕刀剣 2018-04-15 23:28:01 |
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――…切国。……、やっぱり、だめだ。こんな形でお前を俺のものにするわけにはいかない。( 不意に伏せがちの瞳は紅から翡翠に戻り、ぐいと肩を押しやって )
守ってやりたくなるという意味だ。…無礼な態度、か。いや、あんたが正しいんだ。無礼だと感じるのは俺の主だけだということを覚えておいてくれ。…あんたと主の絡みは見ていてひやひやするな。
( 美しい顔ばせが恐怖に引きつり、表情を歪める様を見ると堪らない高揚感に浸ることが出来、我ながら異様な性癖だとは思うも更に相手を追い詰める形で歩み寄り。すると、何かを隠すように、或いは守るように腕を庇う相手の様子が不自然に見え、襖に彼を追い詰めるや否やがしりとその手首を掴んで己の目線にまで力任せに引き上げ。其処には腕まくりされた袖口からガーゼのようなものが覗いており、思わず眉を寄せ。手入れされたはずの刀が、早々にこれ程の怪我を負うだろうか。 )――…お前、こんなところに傷なんてあったか?
――…っえ…おれ、は…どうして( フッ、と虚ろな目から元通りハッキリした目に戻り、何度も瞬きを繰り返している内、状況を把握しては )…分霊、いや…――国広。俺は、あんたの事が好きだ。あんたは嫌がるだろうが、主は俺にとっては尊敬する人間である故に好いでいる相手だ。好いでいる、と言ってもそういった感情ではなくて、ただ…信頼しているんだ。あんなこと言われて堕ちかけた俺もまだまだ修行が足りないということを痛感した。…だが、あんたの気持ちも知ることもできた。…ありがとう。好きだ。( ほんの少し恥ずかし気乍も、控えめにはにかみ )
そっ、それは分かっている!だが、俺なんかがあんたに守られるとなると俺の立場…というのか…その、なんだ…気が進まない。( うぐぐ )分かった。…そう、だな。俺もばれないかどうか不安でしかない。
っぃ…や、め…ッ、!( 逃げ場のない空間にどうすることもできず思わず庇うように腕を掴んでしまった腕にすら気づかず一歩、また一歩と後ろへ下がるもそこからはもうそれ以上逃げ場のなく後ろには襖、前は相手という袋の鼠状態に。すると、突然力任せに腕を掴まれてしまうと少しばかり痛みがある左腕に顔を顰めるも、そこは目の前の審神者にやられた左腕。そこだけは見せまいと抵抗を促すもそれはもう既に叶わず。 )……ッ、それ、は…さっき…俺がヘマをして茶を零したんだ。
審神者なんかをよく尊敬出来るな。俺にはやはり理解出来ない。――俺の事が好き?それは、どういう意味の“好き”なのやら。俺はあんたを洗脳して、刀剣男士として再起出来なくなるほど堕とそうとした。それなのに礼を言うだなんて、おかしい。( ふるふると首を横に振り )
気が進まなくても守りたくなるのだから仕方がない。あんた、悪意を持つ者に直ぐ騙されそうだから。――…あ、その。こればかりは……すまない。( 遠い目 )
▶ 審神者
( 抵抗示す小さな悲鳴など構いもせずに、掴んだ手に力を込め襖に押し付け。彼の説明には何の疑問点も無く普段ならば愚図だののろまだのと罵倒して済ませるところだったが、その場所には自身にも心当たりが有ったことから無理にガーゼを引き剥がしてしまい。現れた火傷痕は小さいながら傷が深く、茶を零したくらいでは此処まで皮膚を深く抉ることは不可能。己の予感は確信に変わり、不気味な程にこやかに目を細め、そのまま折らんばかりに手首をギリギリと締め上げて )ああうん、成程。よぉく分かった。…きみ、俺の刀じゃないよね?
――…さあな。あんたの好きな方でとってくれ。
…それでもあんたは途中で俺を堕とすのを拒んだだろ。あのままだったら俺は…深い闇に堕ちたままであんたは罪悪感を感じた筈。まあ…俺はそのままでもいいと思えたが。
うっ、うるさい。俺はそう易々と騙されやしな…い、はず…だ。( 段々自信がなくなり小声 )?何故謝る?いつバレても可笑しくないし、あんたが謝ることはない。
…ッ、…フッ、ああ。そうだ。俺はあんたの刀ではない。( ガーゼを引き剥がされた瞬間からもう目の前の男を騙すのは無理だと。不気味で冷たい視線に怯むもののそれには負けじと嘲笑うかのように笑みを浮かべ )…安心しろ。あんたの刀なら自室で寝てもらっている。
――フン。生意気なことを。( でこぴん )…簡単にあんたが堕ちてしまっては詰まらないだろう。ただそれだけの事。…捨て身な考えだな。あんたの審神者が泣くぞ。
切国…。急に身体が、痛い。( 突然腹を抱え蹲ってみせ )
▶審神者
( 自身の刀が簡単に打ち負かされた、そう相手の物言いから解釈すると己の刀の弱さに、相手に、腸が煮えくり返る思いで勢いで拳を振り上げるものの、相手の豹変ぶりを見て途端に冷静に頭を働かせては静かに拳を降ろし相手の胸倉を乱暴に掴んで。焦りを表情には出さぬよう、ぎらついた瞳を相手に近付け )…てめぇ、一体何が目的だ?俺を斬り殺しにでも来たのか。
っぅ。( あう、額さすさす )…じょ、冗談に決まってるだろ。俺は主を悲しませたくない、が…あんたのことも気になるのもあるわけでだな…( うむむ )
――?!く、国広?!お、おい!どうした?腹でも下したのか…?!( おろおろ、しゃがみこんで背中をさすり心配そうに覗き込み / ← )
…そんな卑怯な真似、するわけないだろ。( 目を強く握り殴られる覚悟で顔を横に向けるもいつになっても痛みは感じずそろり、目を開けて見れば拳を振り上げたままで。少しだけ感じた相手の焦りが見えたように思うのだが、気のせいだろうか。とにかく冷静になれなければと、表情を元に戻し )…あんたを斬り殺したいのは山々だが、そんなことすれば分霊や他の刀が悲しむだろ。ただ…あんたから分霊を救いたいだけだ。
…堕ちた刀に好奇心で触れると怪我をするかもしれないぞ。…まあ、何方を取るかはあんた次第だがな。
――くくくっ、…ばか。( 相手の反応に肩を震わせながら笑いを堪え、軽く頭を小突いて)
▶審神者
( 要するに、目前の刀剣は我が刀の替え玉ということ。それをあの刀が望んだのか、将又彼が自ら進み出て身代わりとなったかは知る由も無く興味も無いが、非力な刀剣達の傷の舐め合いの如き行為に笑い声をあげ。腹を抱え、一頻り笑うと目尻の涙を軽く拭い )――っはは、嗚呼、何だ。そういう事か。国広も悪い子だ、友を犠牲にして自分だけ助かろうなんてなァ!…まあいい。俺は優しいから、お前を俺の刀だと思ってたっぷり可愛がってやるよ。( 澄ましたその顔を歪ませたくなる衝動に駆られると、胸倉を掴んだまま部屋の中央まで連れ込み叩きつける様に壁めがけて相手を投げ飛ばし )
…俺は――我儘なのかもしれないが、何方も取るだなんて言えば…あんたは笑うだろうな。( そ、っと相手へ手を伸ばし頬に触れてみせ )
うぐっ。…え?は?国広、あんた…体大丈夫なのか?( 目ぱちくり )
ッ、く、そっ…!や、め…はな――…がは…っ!!( 室内に響く不気味な程に笑い声をあげる相手に対し”コイツ、狂ってる。”そう相手の反応を目の当たりにすれば不快感を覚え思わず引き攣った表情に。この相手のいいようにこれは逃げないとやばいかもしれない。そう思うと胸ぐらを掴まれた腕を掴んで抵抗を示すもそれも空しくそのまま投げ飛ばされ体制を立て直すこともできずおもいっきり体を強打。意識が飛びそうな痛みに何とか耐え肩を抑えズルズルと壁を背に崩れ落ち目の前の相手を睨み付けて )
…期待はせずに待っていよう。言うは易し行うは難しとも云うからな。――でも、あんたの手は、温かい。( 静かに目を伏せ、頬すり、すり )
嘘に決まっているだろう。あんたを試しただけだ。……それで、誰がそう易々と騙されないと?( くす )
▶審神者
さて、山姥切。俺が愛刀を可愛がる時には、まず何をすると思う?――逃げられないように足の健を斬るのさ。お前ら自身の刀でな。( 攻撃的な視線を涼しい表情で受け流しつつ、口先留まる事を知らずに語らうはあまりに身勝手なたわ言。問い掛けの形を取りつつ相手の傍へ歩み寄ると、彼の腰元の刀に手を伸ばして刀身を引き抜き。そして相手の足首の辺りへ刃を当てがっては喜々として反応を窺い )今、俺に赦しを乞うならきみを見逃してあげる。どうする?
ああ…そうしてくれ。あんたからもいずれ聞けるといいがな。( ふっ )…それはよかった。( その様子に微笑んで )
なっ…?!あ…あ、ああ…いや、誰がそんなこと言った…?( 段々視線を逸らし / ← )
…あんたは狡いことをするんだな。そうやって刀達を心胆寒からしめて愛刀などと言いつつ実際はあんたの玩具でしかない扱いだ。( 俯き加減で布からでは表情は窺がうことはできないもののそろり、と顔を上げ足首に刃を当てがれても尚恐怖心というモノはなくただ沈痛な面持ちで相手に向け )…そんなあんたに俺は赦しを乞う必要もない。
…俺から?何を聞くんだ?( きょと )
おい切国…その惚け方は無理があるんじゃないのか?潔く間違っていたと認めろ。( 相手の頬つまみ )
▶︎審神者
お前らは審神者の所有物だ。故にどう扱おうが主の勝手だろ。人権なんて無いんだよ。( 恐れるでも怒るでもなくただ淡々とした否定的で平坦な言い回しが気に入らず、表情を消すと彼の最後の一言が引き金となり当てがった刃を思い切り引いて。足首から踵を繋ぐ足の健ごと深々と斬り付け、滴る緋色に唇を歪め )…どうだ、自分の血の味の感想は?
あ。いや、なにもない。気にしないでくれ( 首フルフル )
いひゃい…ははへ。( 相手の手ぺしぺし )
!うぁッ…ぁ…ッぐ……はぁ…ぁ…っ、( 両手で足首を抑えるようにするもみるみる内に裾からじわじわ紅く染めあげてゆく。荒い息遣いを繰り返し、繰り返しつつ畳の上に広がるは止まることのない自身の血で。痛さのあまり翡翠の目からは涙を浮かべ視線だけ其方へ向け相手の問いに答えるわけでもなく )……、ッ…悪趣味。
?そうか。――嫌だ、と言ったらどうする?( 頬むにりと伸ばし )
▶審神者
どうとでも言え。これでお前は歩くどころか自力では立てまい。その綺麗な唇から命乞いの一言でも聞きてえところなんだけど?( 苦しい筈にも関わらず泣き言一つ言わぬその強情さが却って男の加虐欲を煽り。俯く相手のその表情が見たく、指で顎先をすくって上へ持ち上げ、形の良い唇を親指でなぞりあげながら潤む翡翠を上から見下ろし )
?!――ふひひ、ほ…ははひへふへ…( 相手の手首掴み眉下げしゅーん、 )
否。お前みたいな葛に言う言葉じゃないな。そんなこと言う位なら…折れた方がマシだ。( 実に悪趣味なのにもほどがある。この目の前の男に”命乞い”なんていう位なら一層の事。主、すまない。其方に戻れそうになさそうだ――。そう胸の内に留め相手の手を払い除け )
ん?何を言っているか分からんな。( みょんみょん )
▶︎審神者
じゃあ折られてみるか?ただし楽には逝かせられそうにもないがな。( 反抗的な態度も想定内の内。相手を睨み返し、言うや否や奪った刀で相手の肩をまた深々と斬りつけて。あえて急所は外すが彼を中傷たらしめる損害を与えようとするとふと我が刀をこの場に呼び出したらどうなるかと興味本位で考え )とどめは国広に刺してもらうか。お前もその方が本望だろ。
……、ひはへし( む、ならお返しと言わんばかりに相手の頬を摘まみ )
ッぐ…!はぁ…はぁ…っ、( またも傷を覆わされ傍から見れば何処もかも痛々しく、殆ど相手に外的損傷を加えられ所々戦装服もボロボロで血に染まりあげ既に自身は中傷に近く。手で肩を抑え苦しそうに荒い息遣いを繰り返し、ふと聞き慣れた名を耳にすればバッ、と顔を上げ翡翠色の双眼を見開き )…‥あんたは本当に狡いな。そういうところが気に食わない。…あいつまで傷つけるつもりなのか…!
…!ひゃへろ。ひひふに、ひぇをははへ、( つねる指先に力を込め、軽く睨んで )
▶審神者
まだ口答えする元気が有るわけ?( 此処まで手負いとなっても屈しないその姿勢に、鋭い眸に、ぞくぞくとしたものが背筋を走るような気さえして。いっそ口が利けなくなるほどに痛めつけてから破壊するか、と加虐的な笑みを浮かべると再び刀を構えて振りかぶり。すると同時、出陣部隊の帰還を知らせる鐘を遠く耳にすれば残念げに大きく舌打ち、刀を適当に放り捨て )…首の皮一枚繋がったな。其処で大人しく待ってろ。お前の処分はそれからだ。( 足の健を斬ったことにより逃げられる心配もないと判断すればそのまま相手を残しくるりと踵を返して )
いっ…!ひょへはほひはほへひふは、ふひひほ。ひぇをははへ( むむっ、負けじと軽く睨みつけてみてはみょーんと伸ばし )
…ッ、( 不気味な程に浮かべあがる笑みにも動じず睨みつける視線は逸らさず振り落とされる瞬時を目に映し身を引き締め受けようと決意した刹那、遠くから聞こえる鐘の音。その音には聞き覚えがあり、男の様子を見る限り遠征部隊が帰還したこのタイミングに何処かほっ、とした自分が居て。 )……っはは…酷い有り様、だな。( 相手が出ていった事を確認した後、あの男の前では弱音すら吐かず気迫だけで乗り越えてきたが、居なくなった瞬間に緊張の糸が千切れ酷い有り様を見ては渇いた笑いを漏らし )
いひゃい…。あんひゃがひぇをははひひゃら、はなひひぇやる。( いらいら、相手の頬をむにむにと弄び )
( 何度も聞いた鐘の音。今日も誰かが傷を負って帰って来るのだろう。閉じた目蓋をうすらと開き、あまりの寝覚めの悪さに暫くは思考も働かずにのんびりと身体を起こし。打たれた鳩尾にはまだ違和感があり、腹を抑えながら意識失う前の記憶を辿ればこれまでの経緯を思い出すのにそう時間は掛からず、気付いた時には身体が勝手に動き出していて )…!きり、くに…。切国…!( 主の部屋の襖を勢いよく開け、相手を捉えるなりその表情は血相を失い。血塗れの変わり果てた姿に言葉を失うと、ふらふらとした足取りで相手の元に近寄り彼の前でへたり込んで )…すまない、すまない。
…ほんひょはほふは…( じとぉ、ぱっ、と相手の頬から手を離し )はなひはほ。ほら…あんひゃほははへ( うむむ )
――…ッ…ぅ、ぁ…く、に…ひろ…?( もう限界が近いこともあるのか意識が朦朧としている中で、一時的に意識を手離していたのか。彼の気配すら感じ取れず、気づいたときは既に彼が目の前に馴染みある声は今にも泣きだしそうな声音の彼。慰めようにもその両手は殆ど自身の血で濡れこの状態では、彼を撫でることもできず力なくその手は静かに垂れ )……国広。一つ、俺の願いを聞いてくれないか。
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