半堕刀剣 2018-04-15 23:28:01 |
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…まあ、俺が助言などしなくてもあんたなら自分で解決出来た事だろうがな。あんたは優秀な山姥切だ。顕現したのが俺ではなくあんただったら、俺の主ももっと喜んでくれていただろうか…。
あんたも主が恐いくせに。気持ちだけ受け取っておく。( 暴力を受けても尚強がる相手の健気な姿にふ、と鼻を鳴らして軽口を交え。審神者が去った後の苦しげな相手の表情を目の当たりにしてしまった以上いつまでも守られてばかりの存在でいられず、いざという時は主に反抗する覚悟を決め、本丸へと足を向け。正常に機能していない本丸は庭の草木も畑も荒れ果てており、正面玄関からの入室は主に気付かれる恐れもある為本丸の裏口へと向かい)
…俺は別に優秀なわけではない。…こう見えてまだまだ未熟な刀だ。主には色々と迷惑をかけているのもある。…それにそういうこと言うもんじゃないぞ。俺がもしあの審神者の所へ顕現したとしても同じ茨の道を歩んでいただろうな…。( 目伏せ )…俺の前では弱音を吐いていいんだぞ。あんたとてあの審神者の為によく頑張ってる。( 頭ぽんぽん )
あんな奴…怖いわけがないだろ。( その呟きは本心であるのか冗談なのか…何方も取れる様な言い草を。彼の本丸へと足を進めるな否や目の前に広がるは荒れくれ重苦しい空気が漂っているように感じ乍本丸の裏口へと入っていき。そこも先程と同じように中もえらく荒れ果てており他の刀剣男子の姿は目に見ず居るのだろうかと気配を探りつつ )……分霊、他の刀は居るのか。
そうは見えんがな。あんたはあの審神者に信頼されているようだった。聡明で強い刀こそ主から頼られる存在なのだと、俺は思う。茨の道、か。まあそう言うな。何も棘ばかりじゃない。主に顕現されてから、良いこともあったさ。
ありがとう…。だが俺は弱音ばかりだ。寧ろ弱音を吐かないようにもっと…もっと、強くなりたい。( 拳を握り )
( 目を凝らせば木造の建物は所々ひび割れ、床の隅には埃が被っている有様。それでも日常の光景に過ぎず特に気に留めることなく主に出会さぬようにだけ気を付けて慎重に歩きながら )ああ、一応な。といっても主の命でも無ければ基本的に皆部屋に篭っている。理由は…察してくれ。( 此処の刀はどれも主からの理不尽な暴力を恐れて滅多なことでは姿を現さず、かく言う自分も万年床である自室の襖を開け中へ入るよう促し )…散らかっているが、まあ、入れ。
…俺は、そうは思わない。刀そのものを強いや弱いやと決めつけるのは俺は嫌いだ。皆、それぞれの持つ力は異なるが厳しい訓練や修養を積み重ねて俺達は強くなっていくのだと思う。そうか…それなら、よかった。あんたの口からそう聞けて安心した。
弱音を吐くことはいけないことではない。吐き続けて罪悪感を感じなくていい…俺もできる限りあんたの弱音を聞いて少しでもあんたが楽になればと思う。…だから大丈夫だ。あんたならその困難を乗り越えられる。( 相手の手を取りぎゅ )
( 他刀の姿は見られずのまま相手の発言ですぐに察しては何も言えず口を結んでは押し黙ってしまい。他の刀までもそんなことをするとは更にあの審神者が気に食わなくなくなると、布越しからは険しい表情を相手へ見せないように浮かべ。ぶんぶん、と左右に首を振り元の表情へ戻せば、相手の自室へと入っていき。日々の生活が物語るように散らかっているというのか荒れているように見え。所々物が転がっていたり、畳は破けていたりとここまで酷い状態だったのだと呆然とし )…すまない。邪魔する。
そんなの自己満足だ。少し修行しただけで強くなった気になっているだけだ。俺達は刀、使える刀か使えない刀かは主が決める。結果がすべてだ。
――その言葉だけで十分だ、分霊。…だが、あんたには仲間がいる。俺に構ってばかりもいられないだろ。( 貴方の手の甲をそっと撫でつつ、やんわりと繋いだ手を外し )あんたは俺の事なんか気にせず、あんたの本丸の主と仲間と、楽しくやれよ。
適当に座ってくれ。すぐに手当してやるから。( 主に対する相手の憤りなど露知らず、抑揚のない語調で相手に告げると部屋の隅から座布団を一枚手に取り彼の前に敷いてやり。そして最早必需品である薬箱を棚から取り出すと慣れた手つきで必要な用具類を見繕い始め。医療道具はどれも消耗が激しく、普段から頻繁に使用されていることが窺われ )
それは…そうかもしれない。だが、結果がすべてだとしても主はそんないとも簡単に俺達を捨てたりなどしない…!使えようが使えまいが主は…俺が知る主はそんな無責任な人間ではない。( 視線を逸らし拳を握り )
…分霊?何故そんなこと…。そんなことはない!俺はまだまだ力不足なところもあるかもしれない。それでもあんたを――…っ、わかった。あんたがそこまで言うなら俺はもう何も言うまい。…何もしてやれなくてすまない。( 相手に一瞬だけ悲しげな表情を露わにするも布で隠し背を見せ )
( 目の前に敷かれた座布団へ腰を下ろし正座をし彼の様子を窺がってみれば、この慣れた手つきから見るにあの審神者から理不尽な暴力を受けること多いためか医療用具の消耗が激しいようで。ふと、自身の左腕に残る火傷の痕を見、そんな貴重な医療道具にこんな小さな傷の為に使っていいものなのだろうかと頭を過りはじめ )……分霊、俺の傷など大したことない。放っておけば治る。だから…もういいぞ。俺なんぞの為に使わなくていい…貴重な薬を使うわけにはいかん。
捨てはしないが飽きられるかもしれない。見向きもされなくなって、蔵入りするかもしれない。強い名刀は沢山あるんだぞ。それでも主を信じられると?( 毒を吹き込むように貴方の耳元へ囁き )
…いや、良い。何かをして貰う為にあんたと関わっていたわけじゃないからな。…――何処かへ行くのか?( 背を向く相手にぱちぱちと瞬き )
遠慮するな。何のための薬箱だと思っている。そら、手を出せ。( 心優しい彼のことだからこそ気を遣われているのはすぐに分かり、少々強引だとは思いつつも痛くない程度に相手の手首を掴み、患部がよく見えるように引き寄せて。確かに面積は小さいが痕に残りそうな火傷痕。その痛々しさに顔を顰めては、早速治療すべく軟膏を患部へ塗ろうと )…少し沁みるぞ。
っ、や…めろ…!( トン、と相手の肩を強めに押し )はあ…っ、強い名刀が沢山いようが俺には関係ない。主は…俺達の事を平等に扱ってくれている。俺は主を信じる。…俺には主しかいないんだ。( 両耳を塞ぎぽそり、嘆き )
いや…もう俺は用済みだろ。だから俺は本丸へ帰ろうと…( ちら、僅かにしゅん / ← )
ちょ、っと…俺は平気…だ――!( このくらいの傷何とでもなる、とでもいうように何度も何度も拒否るものの彼はそれでも自身の怪我の事を心配してくれているのは十分承知の上。だが、ふと見えた彼の苦し気な表情をさせたくなかったのも事実。諦めたように溜息を吐くものの顔を横へ向け軟膏を患部へ塗られると地味に染みる傷に顔を歪め無意識に拳を握り )…ッ、
……あんたは人間の恐さを知らないからそんな事が言えるんだ。人間は簡単に裏切る。( ぽつりと呟けば今度は不意に手を伸ばしそっと抱き締めて )だが、刀は違う。お前には俺がいるだろう?
…!ま、待て。もし時間が許すなら、もう少し俺の話し相手になってくれないか。あんたといるだけで、俺は救われた気になるんだ。( )
( 不承不承ながら、最後には大人しく手当をさせてくれる相手の聞き分けの良さに微笑ましさすら感じつつ、軟膏を塗り終えると後は患部にガーゼを貼って手当は完了。痛みを訴える拳を宥めるよう撫でてやり )…よし。帰ったら主に手入れをして貰え。( 相手の手を離し、薬箱を片付けながら暗に帰ることを促すような言葉を告げ。どうしても、我が審神者に彼を近付けるわけにはいかないのだ )
っえ…、( いつの間にやら相手の腕の中におさまっており思わず体を強ばらせ )…ぶん…れ、い?
…分霊…、時間ならあり余っているし、特に予定はない。俺なんかでよければ…話し相手になる。( 視線すす )
すまない。手間を掛けさせてしまった。( 応急処置も終える際、拳を優しく撫でられると少し痛みも和らいだ気がし手当してくれた方の腕をそろり撫で )……あんたはこれからどうするんだ。( 遠回しにそのような言葉を掛けらたことに気付けば、それでもやはり自身の本丸へ帰る気はなく。彼を一人にさせたくない気持ちが勝りそこから動かずに視線だけ相手へ向け )
人間なんか信じるなと言っているんだ、俺を信じれば良い。( 抱きしめる腕に力を込め )
…気を落としてしまっただろうか?元気がないな。( 眉下げ )
どうするも何も…元の生活に戻るだけだ。( それとない己の忠告も聞かず、腰を据え頑なに動こうとしない彼をもどかしく思うと、一瞬鋭い目を向けた後無愛想に顔を背け。平行線を辿る静かな押し問答、どちらも譲らずといった空気の中、不意に襖の向こうに人の気配を感じると同時に“山姥切君、主がお呼びだよ。”との言葉が。声の主は恐らく伊達の刀の一振りと思われ、審神者の言い付けに従うべく緩慢な動きでその場を立ち上がり )
…っ、ある、じ…、( 悲しげな声でぽそ、 )…人間はそう簡単に裏切らない。あの人は聡明な方だと。だが、いつか本性を露わにするやもしれん…その時は俺のこの手で――…( 目を伏せぽそ )
…別になんでもない。俺はいつも通りだ。( ふっ )
( 襖の向こうから聞こえた聞き慣れた声音に漸く一振り目は声だが居ることを再確認でき。何の用があって呼ばれたかは大抵な予想はつく。また理不尽な暴力をされるに決まっている。それか己のせいで八つ当たりの様な事を…。審神者に呼ばれた彼の腕を咄嗟に掴んで )行くな。あれの命には従わなくていい!またあんた…ぼろぼろになって帰ってくるんだろ?もう…あんな姿は見たくない。俺達の本丸へ、帰ろ。
そうだ、裏表のない人間なんて居ない。偽善の皮を被った主などそれ以上忠義を尽くす必要はない。斬ってしまえ。( 貴方の手に優しく触れ、腰元の刀の柄を握らせて。その瞳は紅く染まり )――共に堕ちよう。分霊。
そう、か?何処か寂しそうにも見えたが。
…主は裏切れないと言っただろ。どうしてもと言うのなら、俺を斬り伏せて無理にでも連れ出してみろ。お前に其処までの覚悟があるのならな。( 何の感情も映さない硝子玉の瞳で、掴まれた腕、相手の表情へと順に視線を滑らせ紡ぐ言葉は彼の優しさを試すもの。其処に期待など無く、これほど冷たくすれば彼も諦めるだろうとの考えから告げたもので、相手の手を振り払うように軽く振って )…離してくれ、早く行かないと痺れを切らた主が此処へ来る。
――…主を…斬る。( 段々虚ろな目になりハイライトも消えていき、刀を抜こうと )
……もう俺はあんたの傍に居られないのだと思っただけだ。…ただ、それだけだ。( ふい )
…俺はあんたを斬れない。その代わりあんたをねじ伏せることはできる。( 軽く振られてもその腕を掴む力は強めたまま。その勢いを使いぐい、と此方に引き寄せると同時に腕を離し刀の柄で出来る限り加減をしつつ彼の鳩尾を狙い此方側に倒れたであろう彼を支え )…手荒な真似をしてすまない。これしか方法がなかったんだ…許してくれ。…そのままあんたは大人しくしていろ。俺が身代わりになる。( そ、っと彼を寝かせ立ち上がりその場から出ていこうとし )
良い子、だ。分霊。…いや、きりくに。( 敢えて相手の主が呼んでいた呼称を耳元へ吹き込み )
…あんたにはあんたの居場所があるだろう。俺はそこには入れない。そう思って冷たい言葉を言ったかもしれない。…すまない。( ぺこ )本当は俺もあんたと居たいんだ。
――ッぅ、ぐ…っ!……くそ、……おま、え……、( 相手の覚悟を甘く見ていた事が仇となったか、一瞬の隙を突かれては為す術も無く彼の術中に嵌り、痺れるような腹部の痛みに意識朦朧とさせながらも恨み言をぽつりと零し、暗転。相手に凭れ掛かり、だらりと力なく垂れさがった腕。傍目から見ても意識を完全に失った状態であることは瞭然で。相手を止められず、去りゆく分霊の気配にさえ気付く事はなく穏かな寝姿を晒し )
…ん…もっと。( ぴく、居心地よさそうに目を細め彼の肩口へ頭をのせ )
あ、あんたが謝る事では…。俺もすまない…あんたの気持ちを考えないで口走ってしまったこと。…っ、俺も、だ。あんたと一緒に居たい。
――…おやすみ、分霊。( 襖の引手を手にかけるも何を思ったのか彼の方へ振り返り少し微笑一言ぽつり。その言葉が何故か悲し気なトーンに聞こえるのは気のせいなのか。そう一言告げ引手を開け出ていくと静かに閉め審神者の待つ部屋へと向かい重い足取りで進め。自身の本丸とはあまり変わらないこともあり慣れた先々に歩を進めていれば審神者のいる部屋へ辿り着き )…主、待たせてしまってすまない。
…、きりくに、切国。俺の事、好きか?( 相手の背、腰の順に腕を回し抱き寄せて )
――俺と一緒に、か。悪い気が移るかもしれないぞ。…なんてな。( くす )嗚呼、それより。物語の方では審神者を主要に返事をさせて貰ったが良かったか?
▶ 審神者
( 煙草の臭いの染みついた一間の和室。文机の前に腰掛け、何をするでもなく煙草を燻らせていると漸く己の命を受けて刀が一振り訪れた。灰皿の上には幾本もの吸い殻。それが彼の苛立ちを表している様で、また一つ煙草をもみ消すと悪態交じりに言い捨てて)…遅ェよ、呼び出しを受けたら五秒で来いと言っただろ。ほんっと使えねえ刀。――まあいい、入れよ。
…ん、分霊が…好きだ。( 相手の背にそろり、腕を回しぎゅ、 )
え?( きょと )…悪い気なんかどうでもいい。俺は、あんたと共に居るだけでいいのだから。…ああ、問題ない。その方が物語もお互い進めやすいだろうしな。あんたもたいみんぐがいい時に来てくれ。( こく )
( 襖越しに悪態交じりに言い捨てる審神者にギリッと歯を噛み。今迄こんな罵倒され続けていたと思うとなんだか悔しくて、悔しくて仕方がない上に言い返してやりたい。だが、今は彼にならないといけない。そこは我慢し、何度も深呼吸を繰り返し落ち着かせ襖を開け中へと入り )……、…主…俺に用とは…一体。
自分の主よりも?( 紅い目を細め、頭を布の上から撫でてやり )
…お人好し、というのだろうか。お前のような刀は庇護欲をそそられるな。ああ、分かった。俺の主はこの通り横暴な性格だ。俺が言うのも何だが、その、失礼があったらすまない。
▶︎審神者
…さっきの生意気な山姥切はどうした?まさかこの本丸に連れ込んでねえだろうな。( 中へと踏み入る己の刀に、特に何も気付くことはなく代わりに射殺さんばかりの鋭い目を向けて普段のように相手を威圧し。先程の刀――己の悪行を他本丸の刀を通して知られるのは厄介で、関わりを持たぬよう命じるべくそう尋ねてはふらりとその場から立ち上がり、ゆっくりと相手の元へと近付いて )
……あ、るじ…?俺は…主を斬るのだからアレへの感情は………、ない。だから…あんた、だけ、だ。( 少々戸惑いを見せるも、心地よさげに相手の肩口へ頬を擦り寄り )
えっ…ひ、庇護欲…?ふっ、あんたが謝る事はないだろ。俺の事は気にしなくていい、大丈夫だ。俺は俺であんたの審神者相手に無礼な態度をとるやもしれない…、その時はすまない。
ッ、…分霊なら…自身の本丸へ帰った。( 成程。そこまでこの本丸自身の事を知られるのが嫌だ、ということか。そんな隠蔽したところでいつ気づかれても可笑しくないのに。鋭い視線に思わず肩を揺らしてしまう。あの時――初対面で食らわせられた左腕にされたあの恐怖が少なからず残っているようで。何故、目の前の人間に怯えなくてはならないッ、と苦虫を噛んだ表情でその腕を手で押さえ一歩、二歩と後退り )
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