黒き桜の散るところ　[　非募　]

どうもこうも…お前にまた会いたいから…その理由が欲しい、だけで…、い、言わせるな、ばか。（　　しどろもどろ　　）
き、きもち…っ。（　　ぽぽぽ　　）…も、もう一度、試してみるか？キモチイっていうのがどういうものか。（　　何を言っているんだ俺は、と思いつつ　　）
……ん、（　　頭を優しく撫でて彼の言葉に応え、更に口付け躱せば舌で相手の唇をちろりと舐め　　）


なんで、だと？あんたが大切で、愛おしいからだ。お前も俺を助けてくれただろう、その気持ちと同じだ。（　　愚問だとばかり首を横に振って溜息。冷たく此方を睨む切っ先にごくりと喉を鳴らすも平常心を保ち、其方に近付こうとはせず気長に許しが得られるのを待ち　　）

――ふふ、そうか…そういうことか。（　くすくす　）ありがとう。俺も、あんたにまた会いたい。…それで?礼は何してくれるんだ?（　首ゆるり、じー　）
は?（　きょと　）…そんなこと…あんたできるのか?
…っ、ん（　気持ちよさげに目を細め、口をあーと小さく開け舌をちらと見せ　）


…っやめろ!そんなの…聞きたくない…!俺があんたを助けた所為でお前の主は…っ、それだというのにそういう事つらつらと言えたもんだな。俺なんて居なくなればいいとでも思えばいいものを…!（　綺麗事を聞きたくないとばかりに首を振り刀の柄を握る手は更に力を強め睨みも増し刀の軸にしつつふらり立ち上がると刃を向けるのはそのまま自然と片目から涙を流し。その様子を口も出せず黙っていた審神者が滔々口を開き”っ、切国!もういい…やめてくれ!”仲の良いあの二振りが争うのは見たくない。こんな展開になってしまったこと事態後悔するしかなく想いが爆発し止めに入るも聞くことはなく　）…、正直に言ってみたらどうだ。俺が…あんたの主を陥れたと。

礼、は…そうだな。あんたに何かしたいことがあれば付き合う。無ければ…海にでも行くか？（　　布に隠れるようにさり気無く首竦め　　）
出来るかどうかなんてわからない。でも、あんたが心地いいと感じるなら…。（　　ちら　　）
おねだりが上手になったな。（　　ふ、と小さく笑えばそのまま相手の舌に喰らいつき　　）


そんな…、そんな風に思ったことなんて一度も無い。主の悪行はいずれ政府の耳にも入る事だった。あんたは悪くない。俺の切国を、お前自身が否定するな…っ！（　　今まで、そんな事を気にしていたのだろうかと思うと何故気付いてやれなかったのか、己の鈍感さが悔やまれるばかりで。こんな状況になっても相手の口から紡がれる言葉には思いやりが感じられ、それが輪を掛けて自らの心を痛ませるなら居なくなればいいだなんて口走る相手自身にも何故だか腹が立ち、審神者の訴えも耳に入らずつい声を荒らげてしまい。刃の切っ先を、負けじと鋭く睨み返す様など、かつての仲睦まじかった二振りの面影は其処にはなく　　）

特にない､な｡( 暫し考えるもふるふる首を振り )…海!海…いいな｡行きたい｡( ぱあああ )
それなら俺がそう感じるようにやってみろ｡( ネクタイを緩め鎖骨までボタン外し肌をさらけ出し )
ふ､…ん…ンっ( 相手の舌を絡めたり､弄ったりと此方も負けじと )


うるさいっ!あんたに…あんたなんかに俺の何が分かる…っ!綺麗事を並べても俺が悪いことに変わりはしない!もう…嫌なんだ…主も国広も…これ以上…傷付く姿は…見たくない…俺が……俺が折れれば――( こんな事､言いたくなかったのに口任せから出た言葉はもう既に取り消しのできないところまで発展してしまうなんて｡ここまでければもう大好きな彼に嫌われてしまって当然だ｡何処からかﾋﾟｷ､と小さく欠けたような音が聞こえてくる｡なんだろ｡もう考えるのも面倒になってきた｡それなら一層､楽な方へ｡自らの首元へ刀を晒し目を伏せてみれば､遠くから聞こえる主の声は必死に何かを訴えているよう｡――もう､聞きたくない｡キコエナイ｡ )…だいすき､国広､( そう告げるな否や自身の首もとへ刃を振り翳そうと )

そうか。では、日を改めて海へ行くか。日取りはいつにする？（　　撫で撫で　　）
――…。（　　晒される白い肌にごくり、優しく丁寧に鎖骨へ口付けて　　）
んっ…、ぅ、は…、（　　ぴく、相手の舌を嗜めるようにじゅ、ときつく吸い上げ　　）


（　　次々と零れ出る自棄的な台詞。もう何を言っても相手の耳には届きはしない、それ以上にどうして其処まで自分で自分を傷付けてしまうのか分からず言葉を失って。痛ましい相手が見ていられず、揺れる瞳からは自然と涙が伝う。緊迫し下手に刺激できない状況に手をこまねいていると刹那冷たい刃が相手の首筋へ当てがわれ　　）――やめろっ！やめてくれ…‼（　　静かな本丸に響く己の絶叫。声を枯らし思わず叫んだと同時に相手の元へ駆け出せば、咄嗟に刀を持つ方の手首を掴み、と共に勢い余って二振りは縺れ合い、相手を硬い地面に押し倒して。間に合ったかどうかなんて分からない、恐る恐ると薄目を開けて　　）

俺はいつでもいいぞ。（　るんるん　）…あんたはどうなんだ?
っ、そうじゃないだろ。もっと強かったぞ。…やはりあんたじゃ無理か。（　ちら　）
んぅ…っ、ぁ…（　ひく、もっとと訴えるように背中へ回された手はぎゅと服を握り　）


――っ、ぁ…!（　手首へ刃を晒す際に僅かに震えていたことは自分でもわかるくらいで。躊躇していたことが丸わかりだと弱い自分に自嘲気味に笑みを浮かべつつ首筋へ刃を晒したままでいれば突然、彼の絶叫に目を見開き無意識に刀を持つ方の手が緩む寸前に此方へ駆け寄る相手に思わず後退るように足が後ろへ行くも、もう既に目前に来ておりバランスを崩し後ろへ倒れ背中を地面にぶつけ、刀は手から落ちてゆき硬質な音を奏で。痛さのあまり顔を歪め至近距離に顔をがある相手の顔、それよりも何をされるかわからない。咄嗟に投げ出された刀へ手を伸ばそうと　）

明日、明後日は天候が悪そうだから後日にしよう。三日後、また此処で…どうだ？（　　首傾げ　　）
…人が折角優しくしてやっているものを…。（　　むか、苛立ちに瞳の色を変え、相手の肩口に歯牙を突き立て　　）
――ふ、…、（　　唾液を絡めながら口内蹂躙し、呑めとばかりに送り込んで　　）


（　　涙でぐしょぐしょの視界。相手が投げ出された刀に再び手を伸ばそうとしている事など気付かず、止め処なく零れ落ちる雫をそのままに相手の胸板へ何度も何度も頬を擦り寄せ　　）きりくに…好き、好きなんだ。失くしたくない…。（　　今の相手に出来る事は必死に彼へ気持ちを訴え正気に戻って貰う他なく、嗚咽交じりに言葉を紡ぎ。先程の絶叫を聞き付けてか辺りには政府の者の人だかりが出来始める中、事の深刻さに皆息をひそめて二振りの行く末を見守っており。庭には、己のすすり泣く声が響くのみ　　）

!ん､大丈夫だ｡( こくこく )ふふ…楽しみだ｡( にへ )
そんな無用な気遣いはいら…い"ｯ､( びく､ )
は…っ､ん…ん…( 二回に分け飲み込みんく､んく )


…え､( 掴めそうで掴まれないあの刀を必死に手を伸ばしていた刹那､彼の言の葉が耳に届く｡ぴたり､伸ばしかけた手を止め啜り泣く彼へと顔をやり｡今…なんて､言った?好き?俺が?なんでこんな時にそんなこと言えるんだ｡なんで､なんで――嬉しいなんて思う俺はどうして )…っ､くに…ひ､ろ…好き｡おれ…も…すき…っ

ああ。…では、今日はもうお開きにするか？(　　眉下げ　　)
…ん、っ…(　　赤い痕の付いた其処をちろちろと舐め、甘噛み　　)
ふ、は…ッ、(　　銀糸引きつつ唇を離し恍惚として目を細め　　)


(　　好きだ、と返された言葉に安堵し泣き腫らした顔を上げ微笑みかけたその際に視界端に刀へ伸びた彼の手の動きに気付くと表情を凍て付かせ　　)…それでも、俺を斬るのか…？(　　在るのはただただ哀しい現実だけで、しかし尚も相手を信じようと静かに問うて　　)

ん、（　しゅん　）…!なあ、国広—―また三日後にな。（　何を企んでいるのか一瞬、悪戯な笑みを浮かべ、そろーり彼に近づき頬へちゅ、　）じゃあな、国広。（　ふふ、そそくさと彼の元から離れ　）
ぁ…っン、くに、ひろ…もっ、と（　頭やんわり撫でふへ、　）
っは…ん、くにひろ、（　彼の頬撫で幸せそうに笑って　）


っ、（　ふるふる小さく首を振り刀へと伸びた手を彼の頬へもっていき小さく微笑み返し。彼のお陰で先程まで自身の情緒不安定なのも大分落ち着きを取り戻し一文字、一文字彼にとっても己も傷つく言葉でしかなかった事を思い返して眉を下げ申し訳なさそうに表情を暗くさせ　）…国広、すまない。（　ピリとした雰囲気も少しずつではあるが緩和されてきたように感じると、遠くで見守ることしかできなかった審神者も政府の番人達も胸を撫でおろしたのも束の間、その空気を再び流す様にあの政府の男が現れ　）

――！…全く、童子っぽいというか何と言うか…。(　　頬を押さえながら彼を見送るその耳元はほんのり赤く　　)…覚えてろよ、切国。
……。ヘンタイ。(　　じっと見つめ、徐に耳元へ唇を寄せそう囁くと耳朶を甘噛みし　　)
満足したか？(　　唇から伝った唾液をぺろりと舐めつつ、相手の金髪を手櫛で梳かし　　)


(　　頬へ触れた手の平は暖かく、すり、すり、と擦り寄せながら言葉少なに小さく微笑んで返し。何はともあれ、落ち着いた様子の相手。いつまでもこの体勢でいるわけにもいかず腰を上げ掛けたその瞬間、背後に人間の気配を感じぴたりと動きを止めて。事態は丸く収まったかに見えたが、一人の男の登場によって状況は再び不穏なものへと変わり。“斬れば良かったものを。”男の気紛れな発言が、自身と分霊を責める　　)

――早く来過ぎたか。（　そしてその三日後、例の待ち合わせ場所に着くと彼の姿はなく辺りをキョロキョロ。それらしき影はないとしゅん、　それでもじーっと待ち続け　）
っふ…ン、ゃ…（　やんわり肩を押さえぎゅ、と目を瞑り抵抗を　）
…ん、（　こくこく　）国広…あんたは?（　じー　）


（　その言葉に一番に反応したのは審神者。ここまで大切な刀二振りを苦しめたあの男が許せず穏やかだった表情は段々と険しいものへと変え男の背後へ早足で歩み寄り　）――今、何と仰いました?貴方みたいな頑なな性格では理解し難いでしょうが、いい加減理解したらどうです。（　あの男が目の前に来た瞬間、あの時の記憶が蘇り再び震え始め　）

――すまない。用意をしていたら遅くなった。(　　現れたのはそれから更に数十分後。大きな荷物を抱えパタパタ駆け寄り　　)
嫌じゃないだろう？(　　はむはむ、と耳を弄び、ふ、と息を吹きかけ　　)
……どうだろう。(　　目を逸らし曖昧に誤魔化し　　)


偉くなったものですね、あまり私に喧嘩を売らない方が身の為ですよ。大切な刀達とこの先もずっと暮らしていきたいのならね。(　　審神者の言葉には十分な皮肉が見て取れ、男は眉を寄せて形ばかりは穏やかに諭し。審神者などいつでも解任出来る――暗にそう伝えれば震える一振りの刀と視線を合わせ、ずけずけと其方へ歩み寄り。彼の分霊が相手を庇うようにすかさず立ちはだかり、チ、と舌打ち　　)

!くにひ――え?なんだその荷物は｡( 後ろに背負う大きな鞄にぎょ､不思議そうにそれを見つめ )
っ､ふ…( 一番敏感な所へ刺激を続けられると声を抑えることに必死できゅ､と唇を噛みしめ )
……( がーん )やはり写しの俺では国広の相手にならないと…?( しゅん / ← )


ひっ――､国広…っ( 主とあの男のやり取りをハラハラしながら見つめていれば､不意に男と視線がかち合い思わず声を引き気味に益々恐怖に引き出されるな否や視界から男の姿はなく彼の背中が現れと弱々しく彼の名を呼び後ろの布をぎゅ､と掴み )

…内緒。(　　悪戯な笑み浮かべ、しい、と人差し指立てて　　)そら、行くぞ。
声を聞かせろ。切国。(　　耳朶から耳裏、特に弱い箇所探る様に舌を這わせ　　)
えっ、いや、そういう訳じゃ、ない。同じ写しだ、そんな事は気にする必要はない。ただ…、(　　言い掛けて言葉を濁し　　)


(　　己を頼り、背中越しに相手の震えを感知すれば幾ら政府の人間相手でも彼の為立退くわけにはいかない。両者の睨み合いが続く中、無意識に心の奥底に眠る闇を引き出したかその瞳は紅く染まり　　)…切国に手を出したら殺してやる。(　　およそ刀剣男士として有り得ない不穏な言葉を吐き捨てれば、言われた男は少し怯み、しかし怒りを露わに眦を吊り上げ。“覚えてなさい”そう吐き捨てたなら男はくるりと踵を返し本丸の方へと去りゆく　　)

?( 帰ってきた言葉にきょとりするものの彼の後を着いていき )…なあ､国広｡重たくないか?半分くらい持つぞ｡
ひぃ…っ､ゃ…そこ､や､だ…っ( すー､と滑らかに探るように弄られる耳｡ぴく､とやや反応を示した耳裏に反応 )
…ただ?ただなんだ｡( その続きが気になって仕方なくじーと相手を見 )


( 思わぬ彼の台詞を耳に主も己とて驚きが隠せず男から彼へ視線を移し"山姥切…"と名を呟くことしか出来ず｡初めて見た彼の中に眠る闇がここまで迫力があるとは…それも不穏な台詞には男も応えたようで僅かに怯む姿を目の当たりに少しは懲りてくれればいいのだが｡そんな事を思いつつ男の背中へ静かに睨みを送り付けこの場には二振りの刀と己だけ｡この雰囲気だと彼とて居ずらい筈｡多少は息抜きになるかもしれないと､前に約束した護衛の事を思いだし口を開く )…山姥切｡護衛､頼めるかい?

まあ、嵩張るだけで中身は大したものは入っていないんだがな。じゃあ、これを頼む。（　　小さい方の荷物を相手に渡し　　）
嫌ならやめるか？本当は苛められたくて堪らないんじゃないのか。（　　唇を離し、意地悪に囁いて　　）
ただ、その……い、いや、やはり何でも無い。今はまだ、口吸いや抱擁だけで我慢するさ。（　　目伏せ　　）


――…ああ、分かった。（　　どうしようもない憤りと殺意に気が狂いそうなほど心はすっかり荒み切っており。審神者からの声掛けにも反応は鈍く、護衛は承知するものの心ここにあらずといった調子で緩慢に自らの刀を拾い上げて腰元に差し。今の状態ならば護衛といわず己の癇に触れた者全てを斬り殺してしまうだろう。不穏な危うさを漂わせる赤い瞳はそのままに分霊の方へと視線を映せば、彼もまた男の被害者であり心配そうに問うて　　）…切国も、大丈夫か？

…海に行くのに必要な物ばかりなのだろう?そこまで大荷物になるんだな｡( 小さい荷物を手に取りじーと見つめ )
っふ…くにひ､ろ…ごめ…っ､やめな､いで…っ( 涙目で訴え )
国広…本当にそれでいいのか?( ちら )俺､平気だから｡あんたなら…いい｡


( 今までの雰囲気とは比べ物にならないようなただならぬ彼に声を掛けた審神者も息を飲む｡これが闇墜ちした彼の本来の姿､刺激を与えればどうなることになるのか｡切国もそれに気付き怯えた様子で彼への問いに首を振ってはゆっくり立ち上がると､彼へ抱きつき )…国広､落ち着け｡俺なら…大丈夫だから｡ありがとう､守ってくれて｡

まあ、な。この三日間、色々と勉強したんだ。じっとしていられなくて。（　　気恥ずかしそうに頬ぽり　　）
ふ、やらしいな。誰があんたをそんな欲張りにしたのやら。（　　耳裏をつつ、と指でなぞり　　）
…な、何がだ。何がいいんだ…？それはつまり、俺があんたを…。（　　跳ね上がる心拍数　　）


（　　不意に抱すくめられる温かさに慣れず、唖然と目を見開いて動作を止め。これで正気に戻ったかに思われたが心に芽生えた闇は根深く、とん、と胸を押し相手の抱擁から逃れ　　）――俺は落ち着いている。どうしてそんな目で俺を見る？（　　審神者も分霊も、何処か怯えたような瞳で此方を視る。気が昂ぶっている所為かそんな些細な変化さえも刺激となり、敏感に感じ取ると二、三歩後退りやや敵意を孕んだ訝しげな眼差しを遣って　　）

…そうなのか。海は初めてだからどんなことするかは俺にはわからない。だから…国広、色々教えてくれるんだろう?（　小さく首傾げ何処か期待の眼差しを向け　）
ぅ、ん…、（　ぴく、ぎゅうと思わず抱き着き　）
ん、（　こく　）こういうのも変な話だが…俺…いつでも待ってた。あんた我慢してただろ。抱擁や口吸いまでして終わらせて満足そうにしてても何処か物足りなさそうに見えた。…違うか?


…国広、（　ずっと彼の傍に居た切国なら正気を取り戻せた――と思っていたのだが…これは一筋縄ではいかないようだ。初めて見た闇堕ちの彼にどうすればいいかわからず困ったように彼の名を呼ぶ切国は今にも泣き出しそうに表情が浮かび。自身もこの状態の刀剣男士は初めてなものでどうすればいいかわからず只々立ち尽くすしかなく。相当彼の中に潜む闇の根はかなり深いようで、自身たちの”怯え”に反応してしまったのだろう。どうすれば正気を取り戻せる…悶々と考えていると切国が動き出し　）…落ち着いてない。あんたはあんたじゃない…!俺の知ってる国広じゃない…!（　分霊だからこそ敏感に反応してしまうのだろう。彼自身じゃないことが、正気の沙汰ではないことも。一歩、一歩近づきつつ彼に正気に戻ってほしいと元に戻ってと必死に訴え続け　）