半堕刀剣 2018-04-15 23:28:01 |
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…分霊…、あんたが思い悩む必要はない。そんなことしなくてもあんたとこうやって話せればそれでいいんだ。( ふっ、と控えめに笑み )
初回文ありがとう。いや、その長さで十分だ。
( 何度か刃を交える中、相手側の技術や知識に感服しつつ学んでいくにつれ己も相手側も満足のいく手合わせに一息ついては同時に頭を下げ暫し休憩をすることに。演練時の顔合わせの時、殺気だった雰囲気の刀に怯むよりも、何故か気になることもあってか一振りの所へ迷うことなく歩み寄り )――…あんたは手合わせはしないのか。
…、優しいんだな。あんた。( 嫋やかに目細め )
では、他に打ち合わせしておくべき事も無ければ、此方は蹴ってくれて構わないぞ。
( 向かって来る刀の気配に視線だけ其方へ遣った先には鏡写しのような同顔の姿。思わず目を見張ったのも一瞬、再び演練に励む刀達へ虚ろな瞳を向け、普段の調子で無愛想に口を開き )俺は眺めているだけで良い。手合わせしたところで結果は見えている。( 初めから傷付き刃毀れのした刀が彼らに敵う筈もなく。恐らく休息に来たと思しき相手の為、場所を譲るべくその場を去ろうと )
( その刀の傍へ歩み寄ると目の前にいる刀は自身と同顔の姿には驚きはしたもののそれよりも相手の無残な姿を見るな否や不安げな表情を浮かべその場から離れようとする相手を止めようと )…!ま、待ってくれ。そんな状態のあんたを見逃すにはいかない。手入れ部屋へ行かないか。( 思わず相手の腕を掴みお節介だと思われようがその状態をみすみす見放すわけにはいないと )
( 掴まれた腕に冷えた一瞥を。親切な彼の言葉さえ今の自分には理解し難いもので、募る不信感からあからさまに眉を顰め…然し此方を見据える相手の視線があまりにも真剣で、諦めたように嘆息吐くと力無く首を振り。此処は演練場、手入れ部屋なるものに心当たりはなく )俺がどんなにぼろぼろになろうが誰の迷惑にもならないだろう。それに、手入れするには審神者の在室する本丸に戻る必要があるのでは…?
( その冷ややかな視線は一瞬だけだというのにゾワリ、と背筋に冷たいものが走るのを感じ。それでも怯むことなく前のめりで相手に指摘されるまでそう発してしまったことに今更乍気づき。しまった…と気まずそうに表情を歪めるも暫し考慮しては自身の本丸へ招くのはどうだろうと。主なら事情を話せばわかってくれるはずだ、と。それでふと、相手の無残な姿に疑問に思ったことをぽつり口走ってしまい )…だから…その、俺達の本丸へ来ないか?そのままではあんたはいつ折れるかもわかったもんじゃないだろ。それに…あんたの主は何故、その状態を放置してるんだ。
信用出来ない。いきなり俺のような刀が現れて、あんたの審神者はどう思う?疫病神はすぐに刀解されるに決まっている。( 何故そうまでして救いの手を差し伸べるのか、同じ分霊だというのに相手の思惑をまるで推し量れず、素直に従う事に難色を示し。揺らぐ瞳に映るは審神者に対する異常な程の嫌悪と怯え。己が主について言及されると更に双眼を険しいものと変え、問いに答えると同時に掴まれた手を振り払い )……理由なんか無い。折れても替えは利くからだ。あんたも、そうだろ。
っ…俺の主は、そんな卑劣な人間じゃない…!あんたの癇に障ったのなら謝る。俺みたいな写しがあんたの審神者をとやかく言う権利は俺にはないのだから。だが、あんたの思う様な主ではないことは信じてくれ。( 彼にとって審神者の存在自体は想像以上なもののようで。審神者との間に何があったのかはその揺らぐ瞳を見れば心なしか感じとると、振り払われた手を元に戻し拳を握り。自身の問いかけに対し何処か )……折れることをあんたの審神者は望んでいるというのか…?
ふ、どうだか。…ならば、お前の刀を寄越せ。不審な動きが見られれば即手折ってやる。この条件なら、信じても良い。( 余程の忠義者か、審神者に洗脳されでもしたのか、己が主を想い声を荒立てる相手を不思議そうに観察し、軈ては彼の腰元の刀に目を留め。無論何を期待するものでもない。早々に立ち去ってもらうための無茶振りで )審神者なら刀の破壊を望みはしないと思うが、刀を使い捨てには出来る。それが、俺の主のやり方、だから。……この話はもう良いだろう。丸腰になるのが怖いなら俺なんかに構うな。立ち去れ。
( 自身の本体でもある刀に目を留められてしまうと、条件反射で刀へと手をやり少し体を横に向けてしまい。静かにそう語る彼の審神者のやり方が己の知る審神者とは違いあまりにも残酷もあり愕然で。一瞬、目を見開くも徐々に目を伏せてそれで相手の気が許してくれるならば、同じ分霊だからこそ気にしてしまうのは仕方がなくて。こんな易々と刀を渡すのはどうかと思うが。腰元にさした刀を取り出し )…丸腰が怖いならあんたに話かけるわけないだろ。そら、これでいいんだろ。
( 本体を庇うような素振りを見せたのも一瞬の事で、あっさりと差し出された写し刀に唖然とするばかり。直ぐには受け取らず右往左往に翡翠の瞳を泳がせては震える指先で危うげに其れを掴みて胸前に抱え込み。その真摯な態度から不信感は薄らいだものの目前の刀というものが益々分からなくなり、混乱が思考を支配し半歩後退って )…どうして…。何故逃げない…?俺は本気だぞ。
…ならその本気とやらを見せてもらおうか。俺の刀、折るんだろ。( 自身の本体を受けとる際、相手の動揺を見過ごすわけなく。微かに震える相手へ畳み掛けるような台詞を言いのけ一か八か。もし折れた時の対処なんて考えもしない。それで俺の幕は終る。理由なんてない。只、相手を救いたいだけ )
( 混乱した思考に吹き入る相手の台詞に、取り憑かれたように無心で刀を抜き。刹那陽の光に照らされる刀身は眩しくも綺麗で、一目に審神者から愛されている刀だと分かる。相手の真剣な気持ちが知れただけでも十分で、静かに目を閉じ刀身を鞘へ収めては緩く首を左右に振り。どうしてこの美麗な刀を手折る事が出来ようか )…美しい、刀だな。今はまだ、あんたを折る理由がない。――それより、本丸へ連れて行ってくれるんだろう?案内を頼む。
…それは本科に言うべき言葉だ。俺の様な写し刀ではなくな。( 何故だろう。こうも同じ分霊であるせいか目の前の彼に刀を褒められてしまうとどうも妙な感覚と何処か照れくさい感覚。表情を隠すように布を深く被り直すように下へと下げ卑屈染みた事を言うも本来言うべきのことである為、ぽつり。本丸へ連れて行くべく一旦演練場を出ていき )…嗚呼、そうだったな。こっちだ。
…それを俺に言うな。
( 自分自身に卑下されるという奇妙な感覚を味合わされ、複雑な心境を露わに顔を顰め。謙虚というにはあまりに自嘲的、我ながら卑屈だと客観的な視点にて思うも分霊だからこそ写しとしての葛藤もコンプレックスも、痛いほど分かってしまうのが皮肉的で。目前の刀に興味を惹かれたのか、ほんの少しの間を保って後を追いながら布に隠されたその素顔を窺い見て )
おい。あんたの主はどんな人間だ?男か?
( お互い気まずい沈黙が支配されるも相手の一言で促され、彼を本丸へ連れていくべく仲間に一言告げてから演練場から出て来た道を辿っていき。自ら話しかけることができないわけでどうすれば、悶々としていれば、相手に話しかけられ顔を相手の方へ向けるも元に戻し、布越しからは控えめに笑みを浮かべ )えっ。俺の主か?…前向きで俺達の世話を焼くことが好きな物好きな人間の男だ。
…そうか。俺からしてみればあんたも物好きな男さ。( 主の姿を思い出してか相好を微かに崩す相手の変化に気付かぬ己ではなく。幸せそうなこの刀に抱くは羨望のみに留まらず、嫉妬、妬み僻みの後ろ暗い感情が渦巻いて自身の胸に爪痕を残す。元より分霊相手には気負う必要もない為かそれ以上気を利かせて話題を作ることもなく、何処か思い詰めたように俯いて歩みを進め )
…大丈夫か?何か思い詰めたようだが…俺でよければ話を聞くぞ。( そういった物好きな所はもしかしたらもしかしなくても審神者の影響でもあるのだろう。ふと、相手の様子を窺がうべくチラリと視線だけ向けてみれば、何やら深刻な表情で歩む相手が気になりそう声を掛け )
何でもない。気にするな。( 心の内を打ち明けるにはまだ親交が浅く、ふるりとかぶりを振っては周りの景色へと意識を向け。どれほど歩いただろうか。見慣れぬ景色と自本丸から遠ざかっていく不安に心許無く相手の布を軽く引っ張り )…おい。本丸はまだ遠いのか?
そうか。なら、いいが…( やはりまだ会ったばかりなのもある為か相手から心の内を打ち明けてはくれず。残念に思うもののいつか心を許す時が来たら話してくれることを願いつつ歩む速度は緩めず進み。暫くし自身の本丸が見えてくると同時に後ろを引っ張られる感覚に視線だけ向け本丸を指さし )…いや、もう少しだ…そら、見えてきたぞ。
( 指差された方角へ更に進むこと暫し。相手の言う通り本丸へ到着するのにそれ程時間は掛からず、一歩中へ踏み入れたならあまりの景観の美しさに瞠目し。造りこそ似通っているものの、荒廃し荒れ果てた我が本丸とは違い、手入れの行き届いた庭先、玄関を目にし言葉を失って )――これが本丸、か…?( 呟くと同時に、本丸内に他刀や人の気配を察知すると直ぐに相手の背に張り付いて陰に隠れ、警戒心を剥き出しに刀の柄を握り )
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