UK 2018-03-31 03:00:05 |
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(戯れのように晴白竜を撫でる。そう言えば上司達は自分の匣兵器に名前をつけていた、自分はまだ付けていないが、やはり付けた方が絆が深まり、力を使いこなせるようになるのだろうか。
自分自身の名前は、子供の頃に孤児として暮らしていた国と地域からとったものだ。もちろん、今更本当の名前(両親が自分の名前をつけていない可能性が高いが)を知ったところで嬉しくもないし、今の名前の方が愛着が湧いている。
そういえば、生まれてから、ヴァリアーに拾われるまでの記憶がない。拾われたので孤児として暮らしていたのは間違いがないが、どうやって生きていたのか?毎日の食料は?寝床は?衣服は...? まったく記憶にないのである。思い出したところでどうというわけではないが。
晴白竜が甘えるように身体に巻き付く。そうだ、自分のことばかり考えていたが名前だ。あの国の名前がグレートブリテンだから、グレートとでも付けるか?
他にもボスは、感情が高ぶると模様が浮かぶところが自身に似ている似ている小説「虎よ、虎よ!」の作者アルフレッド・ベスターから名前をとっている。
それに倣って、自身も好んで読む有名な冒険譚からシャーロックやワトソン、ドイルにするか?あるいは、あの猛威を振るった細菌の小説から、カミュというのも...いや、竜なのだからドラゴンが登場するものの方がいいか...?と頭の中でぐるぐるとする。
個体を認識するために付けるものなのに、こんなにも悩んでしまう、確かにこれは絆が深まるのも頷ける。
もし、両親が自分に名前を付けていたらこのように悩んでいたのだろうか。そちらの名前にする気は毛頭ないが、自分が名前をつける立場になると自分の本当の名前が少し気になってしまう。
自分が拾われた頃のボスは確か、あの剣帝テュールだったか。彼に聞けばなにか分かるのだろうか?だが、とうの昔に彼は時代の流れに潰されてしまったし、こんな平隊員にもならない修行の身だった自分のことを覚えているとは到底思えない。
トップシークレットであるとは考えにくいから、紙の古く懐かしい匂いで充満している資料室にいけば見つかるとは思うが、見つけたところで本当の名前があろうがなかろうが、謎の虚無感が身体を襲うのは想像に難くない。うっかり顔も知らぬ両親が生きていたら、自分は任務を遂行するように首に、胸に、足の付け根に剣を突き刺すためにあの国に飛ぶだけではないだろうか。謎の虚無感を拭うように...。
晴白竜が二の腕を甘噛みし、はと現実に戻る。ごめんごめんと鱗で少しひんやりとする身体を撫で、まだ名前をつける責任を背負うほどの身分じゃないから、もう少しだけ待ってて呟くと、晴白竜を巻き付かせたまま、ワインを飲むためにグラスを食堂に取りに行くため部屋を出)
(キャラがかなりブレるために過去を振り返ってみる。キャラの芯が通るのは一体いつになるのだろうか。先代達のように消えてしまうのが先なのだろうか。)
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