若き将校 2018-03-28 22:31:14 |
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(確かな存在を、今腕の中に感じている。見た目通り骨ばかりの身体は可哀想な程やせ細っているが密着した肌から伝わる温もりは昔と変わらず皮膚を突き破って熱を与えてくれよう。それがとても嬉しくて、悲しくて一層の事一発殴ってやりたい気もするが変わり果てた身体にそんな事をする筈も無く、代わりに強く抱き締めたまま、掠れて消えそうな問い掛けに肩口に顔を埋めるようにして頷いてみせ。涙さえ出なくなってしまった瞳はかたく瞑ったまま瞳の裏には何も写さず、ただ其処に在る確かな存在だけに意識を研ぎ澄ませて。懐かしい香りに誘われて漸く口を開いたのはそれから暫く経った後、震える唇から溢れた思いは短く、それでいて多大な想いが込められた一言で収まり)ーーー会いたかった。
(相手の温もりと変わらない逞しい身体、抱きしめられた己の身体は昔に比べて痩せ細ってしまったが相手は気にする事もなく硬く抱きしめてくれる。病の影は感じさせるものだが、その顔にはかつてと同じ気品と誇りを携えたまま。顔付きは軍を離れてからだいぶ穏やかなものになったかもしれない。自分には相手を求める資格などないと思いつつも相手の背中へと添えられた掌、耳元で聞こえた相手の言葉に胸が熱く締め付けられる。自分で突き放しておきながら、どれほど相手を恋しく思っただろうか。寝付けず苦しかった夜、どれほど相手に抱き締めて欲しいと願っただろうか。今だけは、と昔相手にだけしていたようにその肩口に顔を埋めて)
(暫く抱き合っていれば巡り会えた安堵とは別に唐突に姿を消した事に対して長年抱いていた負の感情が次いで湧き上がり、背に回していた両腕を彼の肩を伝って、腕から肘、肘から掌へと滑り落とし双方の腕を繋ぐ形へ。いい加減な理由で姿を消した様には思えぬ性格を知っているからこそ、己の不甲斐なさに嫌気がさした結果なのかとも考えた程、随分と長い間答えの無い疑問を抱えて現在に至るわけだがこうやって対面している今でも真相は彼の知る。目元の皺を更に深めながら重々しい唇を開き)此処まできたのはただのエゴなのかもしれないが、それでも少し期待したんだ。またお前が必要としてくれるんじゃ無いかって。
ーーーお前を、傷付けたくなかった。先の無い俺の事など憎み、記憶から消し去って欲しいとさえ思った。
結果的にお前を傷付けた事に変わりは無いが…それでも、お前を壊したくなかった。今でもそれは変わらないーー…なあ総一郎、お前にはまだ未来がある。家庭を築くことも、また空を飛ぶ事も出来る、お前は一人でも夢を掴めるだろう、?
(相手の身体が離れ手を繋ぎ合ったまま真っ直ぐに絡んだ視線。嗚呼こいつはこんなにも深い哀愁を漂わせる、こんなにも世の痛みを知り尽くしたような目元をしていただろうか。何も告げずに姿を消した理由、それを始めて口にしながら今も思いは変わらない。相手を想うからこそ、自分を忘れ去り新しい人生を歩んで欲しいのだ。一年もの月日を自分に裂いた相手はもう自由になっても良いのだ、いつまでも相手を自分に縛り付けて居てはいけないのだと、その頰に冷えた手を添えて。自分の心の望むままに相手を縛り付けられたらどれほど良いか、行くなと、俺だけを見てくれと言えたらどれだけ良いかーーしかし我儘を言えない厄介な性分は昔から変わらず、こうすべきなのだという理性的な言葉ばかりが唇から紡がれる。)ーーもう、忘れて良い……忘れてくれ、探してくれただけで十分だ。俺は、お前の足手まといになりたい訳じゃない。此処に居たらお前の未来まで、血に奪われる。
俺の人生を語るな。ーーまだ分からないのか?俺には、…灯夜が必要なんだよ。先が無いだの、未来があるだのそんなに重要な事なのか、なあ、以前と何が違うって言うんだ。
(彼の思惑通り、憎しみも負の感情の要因として存在していた。しかしそれ以上の多大な哀しみの海に飲まれ鎮火していたが、再び訳も分からず置き去りにされた事への憤りが言葉という火種を得て焔を纏い、黒々とした瞳の奥で揺らめいて握る両腕に力が入り、口調は強いものへと変化し。健常者である己の未来への配慮を持った思考なのだろうがそれらを受け入れられる程の余裕は今は無い。自分勝手な男はどちらなのだと自ら自重を訴える理性は脳の片隅へと追い払い、側にいたいのだから離れたく無いとただそれだけを伝えたい一心で紡がれる言葉の数々には様々な感情が織り混ざり、いつの間にか目頭に熱い涙が溜まり硬い拳を作れば彼の背後、壁へと緩くぶつけて)側にいたいんだ、いや側にいて欲しい、お前に覚悟が無いとしても。もしそれが許されないのなら…俺は共に死んでやる。
ーーお前が、同じように血を吐いたらどうしたら良い。お前が、俺の手で壊れる所なんて…!
(結核は患った者を死に至らしめる不治の病、それでいて感染力が強いという。もし自分の側に居ることで相手にも病が移り、彼が壊れてしまったら。そんな堪え難い未来が脳裏を掠め振り払うように僅かに語気を強めた所でふと我に返る。相手は自分が恐れている未来と同じように自分が血を吐く様を見て親友が壊れていくという堪え難い苦痛を味わっている、彼を拒絶することは彼の為を思っての行動ではない、自分が怖いだけではないかと。不意に背後の壁を殴る音にびくりと肩を跳ねさせたものの、漸く相手の瞳を真っ直ぐに見据えた瞳からは嘘で塗り固めた御託は消え相手の手を握る掌に力がこもる。一度箍の外れた言葉は止まることを知らない、相手に見せたくないと願った黒い心のうちも、見せたくない弱い自分も全てが今にも崩れてしまいそうな脆い儚さをまとった言葉となり涙と共に溢れ出して)ーーー怖い、んだよ…お前に、嫌われたくない…血に溺れて、壊れて行く姿なんて、見せたくないーー…!俺に、失望しないでくれ…今の俺なんて忘れて良い、だから、昔のままでーーー哀れみの目なんて、向けないでくれ…!
…俺はお前と離れる方が辛い、どうしたら分かってくれるんだ。
(ゆるく壁に拳をぶつけたものの、ズキズキとした痛みは戦火の負傷によるものかはたまた胸に負う悲しみの感情によるものなのか。あれから気が滅入る程、幾多もの書物を読み繰り返し感染病の治癒について病識を深めたが一度たりとも感染が恐ろしいと感じた事は無かった。何ならば彼が疲労で眠りについたあの日に口付けをした時点で既に接触感染となっている筈だが、未だ健常者として立つ身に降りかかる病は無い事に対して己は身が朽ちようとも、たった一人になろうとも生き長らえる運命であるとさえ思っている。心身共々悲鳴を上げているのは彼だというのに、側に居たいという身勝手な想いは遂に本日まで無くなる事はなかった、しかしながら言動様々駆使しようとも再び彼を泣かせてしまった事に罪悪感と無力感を抱き、一度開きかけた唇を閉じて双方の瞳をじっと見つめ。張り裂けてしまいそうな胸の内をよそに、窓からの暖かな木漏れ日は二人に影を落としそよ風によってゆらりゆらりと揺れており、彼の顔に出来た影を愛おしそうに指の腹で撫でればまだこの世の人だと実感させられる。言葉だけではきっと伝わらないだろう、そう解釈した脳は次第に身体を近付けさせ、彼の顎を掬い上げれば互いの唇を数ミリの隙間も無く重ね合わせて)
またお返事が遅くなり申し訳御座いません…!
少々スランプ状態に陥ってしまい、毎日覗いてはいたのですがなかなか指が進まず…。
またこうしてお返事を返せるようになったのですが再び遅れてしまう事が多々ある事をご了承下さいませ、申し訳無いです…!
──…ッ、…
(相手を想う気持ちと自分の弱さと、様々な気持ちが心の中を掻き乱す中不意に奪われた唇。思わず目を見開き、相手に移ってしまうという恐怖からその肩を押し返そうとするが相手はびくともしない。側に居たいという相手の必死の言葉を思い出せばそれを身をもって表すような行動に抵抗をやめ、やがて強張っていた身体からふと力が抜けて。長年共に生きてきた親友、彼が側に居たいとそう言ってくれるのならそれに甘えたって良い、そんな気持ちが荒んでいた心を少し落ち着かせ、同時に一番傷付いているのは彼だという思いに駆られ。突然の口付けに驚きはしたものの嫌な気持ちにはならず自然と受け入れていて、それをきっかけに相手と笑いあっていた頃の自分へと戻ったような気持ちになったのはなぜだろうか。少しして唇が離れると自ら相手の首へと腕を回し自分の方へと引き寄せながら労わるように髪を撫でてやり、その耳元で囁く声は病を感じさせず昔と同じはっきりとしたもので。)……総一郎、俺は此処でお前の無事をずっと祈っていた。よく頑張った、生きて居てくれて良かった…1人にして、悪かった───…側に、居てくれ。本当は其れをずっと、望んでいた…
お返事ありがとうございます、私も何度か自分の投稿を読み返しては、返し辛い返事をしてしまったと反省している所でした…!こちらこそ申し訳ない限りです。
レスのペースに関しては承知致しました、遅くなってもお気になさらず大丈夫です。此方もなるべく返しやすいお返事が出来るようにするので難しい場合はあまり考え過ぎず、返しにくいわ!!!と思われたらいつでも仰って下さいませ…!
待たせてすまない、リアルの方が忙しくなかなか顔を出さずにいる。
来週いっぱいまでは返信が厳しいかもしれないが、打ち切りや無言での逃げをしたいわけではないんだ。
来週が終われば六月の初めまでは時間にゆとりが出来るからまたゆっくり物語を進めていこう、本当にすまない。
いや、俺こそ悪かった。
忙しくしてるお前に疑うような事を言ってしまって。
連絡をくれて感謝してる、お前が落ち着くまで待ってるよ。仕事も応援してる。
またゆっくり話せるのを楽しみにしてる。
1年以上も前の部屋を今更上げて、未練がましい奴だと思われるかもしれないな。
こんな雨の夜に、どうしようもなくお前が恋しくなった。
お前と物語を紡いだ日々を、忘れた事は無い。此処には幸せな想い出だけが刻まれているんだ。
もしも、お前が此処を見つけてくれたら…そんな願いだけを込めて、上げさせて貰った。
俺は今でも、此処でお前を待ってるよーー総一郎。
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