一番豚 2018-02-18 21:50:37 |
通報 |
仕方ないだろう狭いんだから!それよりなんだか聞き捨てならない言葉が聞こえたけどねハニー、この僕の親友を本気で犬として散歩させる気満々だっていうんなら、それは別段明日の朝から冬期休暇中の日課としてホグワーツの敷地内でやってもいいんだぞと言っておく。心置きなく楽しんでくれ、フリスビーとジャーキーは僕とムーニーで提供するから。
おいこら、それこそ聞き捨てならないが――ハニー? なんだ、君は高嶺の花のようなタイプかと思っていたが、そうしてテンパっているとなんだかとても素直で可愛いな……うん? 髪も良い匂いがする、ずっと嗅いでいたくなる香りだ。ジャスミンか? そう無理をするな、ほら、もっと僕の胸元に寄って――
その心配は要らないさハニー、スリザリンから流行したこの呪文を使うのは少し癪だが――『マフリアート・耳塞ぎ』! さぁ、これであっちの声は聞こえても、僕らの物音には気づかれないはずだ。
『伸び耳』?なんだいそれ、盗聴できる道具か何かか?大丈夫だ、今はフィルチの話に気を……おぉっと、近づいてきたな。パッドフット、ハニーをしっかり引き寄せて僕の後ろに隠しておけよ?
これなら盗聴工作するまでもなく話が聞けそうだな。おっと、なんだか僕の下僕の方も、君の豚の言葉に対して「ヒンヒン!(そのお言葉に是非とも甘えさせていただきたいです、是非こちらに気兼ねすることなくお好きなタイミングでお好きなように局面を動かしてくださいませ、それと今更なのですが毎日貴女様のお返事が来るたび踊り狂っています同胞様とこんなにもいろいろ共有出来て本当に幸せですハニーの次にとは言えないくらい感謝していますありがとうございます!)」――だとさ。わけがわからないな、下僕は下僕らしくヒイヒイ言っていればいいと教育した筈だろう?
……うん? 髑髏に、蛇、だって……?
――何!? どこかにまたあの小癪な悪ガキどもめがいるのか!? あぁマクゴナガル教授、これは大変失礼いたしました。いかんせんこれがわたくしめの仕事でして――さあミセス・ノリス、パパは今お話があるからおまえが先に偵察を。明日美味しいカリカリをあげるから、しっかり頼んだよ?
ナーーーゴ!
――それで。教頭をお呼びしたのは、緊急に確かめていただきたいことがあったからでございまして!
角を曲がった、こちら……現在使われていない教室の扉が並んでいる、故に城の人間がほとんど足を向けない細い廊下の突き当り。この壁、この壁をご覧ください!
髑髏に絡まる蛇などという、意味の分からぬ腹立たしい焼き印――そしてこの、これ!「守護魔法は永久に成らざるなり」などというまるで意味のわからぬ文句!
えぇ、えぇ、これはリリー・エバンズには関係のない悪趣味な悪戯でしょう。あの子は私にまで優しかった……あぁ、そんなことは今どうでもいい。
とにもかくにも、私はスクイbゴホン学がない人間であるからして、これがどれほどの魔術により刻まれた痕なのか見当もつかんのです、だがもし!もしこれが、例えばあのポッター一味も扱えるような呪文で刻まれたものならば!或いはこの現場から、ポッター一味独特の魔法の癖が窺えるようであれば!
私は今すぐにでもダンブルドア校長を探し出して、今一度、鞭の使用と生徒をつるし上げる罰則の許可を願い出たいと思っておりまして……!
ジェームズ、あなたには噛みつきフリスビーっていうとっておきののアイテムが必要そうね。朝から気分爽快でしょうね。主に私の。
––しっ、シリ、シリウスッ!私の、髪はジャスミンじゃなく蜂蜜の香りがっ...そんな、あなたのムスクのような香りに包まれて私、いえそんなダメよ!.....とにかく、近いわ!もう、早く先生方どこかに行ってくれないかしら!
....待って、今髑髏に蛇って言わなかったかしら⁈–– あっ、ごめんなさい耳ふさぎの呪文をかけたからって...
あなたの下僕は本当にできる豚よ。褒めてあげなくちゃね。私の豚もヒンヒン「いつもお早いお返事をくださり本当に感謝感激でございます。これからもハニーという女神をよろしくお願いします!同胞としてこれからも末永くよろしくお願いします。ハニーの豚でありますが貴方様の下僕も是非兼任さs...」言っているわ。途中で言葉が切れた?気のせいよ。部屋に戻ってる途中にヒンヒン言っていたから尻すぼみになったのよきっと。
とにかく、髑髏に蛇の模様...、それに「守護魔法は永遠に成らざるなり」ですって⁈ 大変だわ....!!!リリーの命が危険よ!それに長い目で見ると私もね!...とにかく時間がないわ。
誰かが....私以外にも使っている人間がいるわ!タイム•ターナーを、、守護呪文のことを知っているなんて...。しかも、この言葉を残すなんて、私を挑発してるわ!私がこの城にいると分かっていて書いているのよ!––これが、興奮せずにいられる⁈ダンブルドアに会わなきゃ...!意地悪豚に全部話さなきゃ....!そうしたら、私がこんなに焦っている理由を2人にも話すわ。
––なんて事...!ミスター•フィルチ!!これは由々しき事態です!城にいる教員全員をすぐに集めるのです。もちろんアルバスも!....これは闇の印です。あの子達に使えるような魔法ではありません。いいですか?––何者かがこの城に入り込んでいる可能性があります。ここは生徒にとって安全とはいえないでしょう。冬休みを前倒しにして正解でした!朝一番に全員を家へ返すようにしましょう。寮に誰か一人でも残してはなりません...!
罰則なんてとんでもありません!事態は急を要します、お早く先生方を集めて下さい。生徒には絶対に見られてはなりません...!
今の聞いたでしょう?あれは闇の印よ!それより早くここから立ち去りましょう、先生方が集まるなら長居は出来ないわ!ダンブルドアに話をしたかったけれど...この様子では今は難しいわね。まずはそうね落ち着いたらキャンディに知恵を借りるべきかもしれないわ。
「畏れ多いですがもちの彼で喜んで!では同時に私の方もハニーの豚兼貴女様の下僕とさせていただき是非貴方様に踏まれとうございm」さっきからヒイヒイ五月蠅いぞ下僕風情が、どうしたんだ踊り喰らって……タラントアレグられたかな?あぁ僕の下僕が見苦しくて申し訳ないね、君の為ならいつでも引きずりだす用意だから、必要な時があったらいつでも鞭を鳴らすと良い。
それより、何故「守護魔法」とエバンズに関係が……彼女だけじゃなくて、ハニー、君も危険だって……?
落ち着けハニー、タイム・ターナーだ守護呪文だとこの僕でさえなんだか話が読み込めないが――わかった、そうだね、すぐにダンブルドアのところに行こう。君の顔色を見る限りそうした方がよさそうだ。あぁ全く僕ららしいね、まさか探索開始直後に重大なことを知るだなんて。
……僕の方でも、話しているうちに君に対する引っ掛かりがますます気になっていたところだ。君は何か秘密を抱えているらしいけど、そうだな、エバンズを一刻も早く見つけるために後である程度のことは知らせてもらうよ。
––は? はっ? 闇の、とは……例のあの人の!? この私とミセス・ノリスの愛の巣に、闇の輩が侵入ですと!?
わ、わかりましたマクゴナガル教頭! ホグワーツの守り人の名に懸けて、大至急連絡してまいります!
あぁミセス・ノリス!おいで!!パパのそばを離れちゃだめだ、下手したら悪い魔法使いに石にされるかもしれないよ!
\フーー……ナーーン? ナーーーーーーーゴ!!/
くそっあの猫公め、タペストリー裏に隠れてなおかつ透明マントをかぶっているというのにこちらに向かって唸っていたな忌まわしい……ところであの管理人を三回ほど蹴飛ばしたくなったのは僕だけか?
あぁハニー、君の髪の匂いを堪能しながらしっかり耳を傾けていたよ。――闇の印、あの最近調子づきはじめた恥ずかしい厨二病ども<死喰い人>のシンボルだな。だが、なぜエバンズがそんな奴らに……?
ハニー、待ってくれ。考えてみてほしいんだ、本来冬休みの間も城に残るはずだった僕らまで明日の朝にも強制帰宅になるのなら――その前に、フィルチが見つけた例の印を君の目で見ておかないか。
君はどうやら、僕やプロングズが知り得ない何らかの情報を持っているな? しかも聞く限り、エバンズの安否は何故か君にもかかわるようだ。それなら、フィルチの見つけた焼き印を見て、奴やマクゴナガルでは気づかなかったことを君なら読み取れるのかもしれない。そうは思わないか?
ダンブルドアが来るまで数分はあるだろう。マクゴナガルが今どう動くかわからないが、もし現場から動かなさそうなら――僕とプロングズで教授の気を引いておくから、その隙に確認してくれ。一応君はこの城の生徒ではないはずだから――エバンズの妹なら有名でない筈がないからな――もしも見つかりそうになったら、そうだな、君には切り札か何かあるようだが、その時はそれを使ってみてほしい。……ハニー、いいかい?
もう!そんなセリフがスラスラ出てくるあたり色々と考えたいけれど...どうでもよくなってしまう気持ちもあるわ。
––さすがミセス•ノリスね。飼い主とは大違い。もちろん貴方ともねシリウス。でも、貴方達は本当にあの双子達と同じくらい、いえ、それ以上に先生方を悩ませていたのだから疑われても文句は言えないわ。...シリウスが言うならストゥーピファイするのも吝かではないけれど。
....私しか知り得ない情報、山程あるわ。シリウスの言う通りよ。闇の印...やっぱり見ておくべきよね、、わかったわ。でも、2人とも見つかるような真似は止してよ。明日帰るからといっても、今出て行けばややこしくなるわ。気をつけて....私行くわ、切り札は...出来れば取っておきたいわね。こんな危険だと思わなかったから...2人を巻き込めないわ。
––あ、明日からの休暇....どうしましょう。いえ、今はいいわ。
ダンブルドアは、ここを確認して部屋に戻ってから、もしくは1人きりになったら話をしに行くわ!こっちのダンブルドアにsosされて来たのだから、私を知らないはずないもの。きっと話せば分かってくれるわ。貴方達に話すにもあの人の一押しで信憑性が増すわ。....残念ながら私1人の話では信じてもらえない話だし、ややこしくなる事必須だもの。
とにかく後で会いましょう。少し行ってくるわ....!
壁際を行けばなんとか、耳ふさぎの呪文もあるし、2人が気を引いてくれる。信じて行かないと!
–––これ!....秘密の部屋の時にそっくりだわ。でも違う。闇の印...つまりアイツの仕業じゃなく、手下がした事。実行はそうだけど、裏で糸を引いているのは誰?やっぱりトム•リドル?それとも........私と同じく時間を戻った誰か?
ママ....どこへ行ったの?誰に、こんな...。痛ッ....傷が....。やっぱりアイツが?それならもうママは...。でも私がここにいるということはまだ、生きている!どこを探す?正直秘密の部屋にいるとは思えない.....。でもこの感じからして0とは言い切れない。ママが日記を見つけた?でもこの文章は先の事を知っている人間にしか、私に知らせて反応を面白がる人間にしか書けない。思い出すのよハニー、死喰い人の事を...。やっぱり傷が痛む事をダンブルドアに言いにいって道を示してもらうべきよね。私1人じゃ解決できない。
あぁハニー、にゃんこ女史は任せろ。だがくれぐれも、気を――
……
…………
……明日からの、休暇……か。
――おや? どうしたパッドフット、遠い目をして君らしくもない。この僕を誰だと思ってる、タペストリーのせいで闇の中だろうと丸わかりさ。僕の眼鏡を通せばね。
今焼印を確認しに行ったあの子を、ハニーを。革新的な家風を掲げる君の素晴らしいお屋敷に連れてって、あの物静かで麗しい母君にでも紹介するかい?
……彼女は、普通の存在じゃない。僕の嗅覚がそう言ってるんだプロングズ。
何故かはわからないが、ハニーは、とにかく遥かに遠いところから……ダンブルドアに、招かれて。これも何故かはわからないが――エバンズを救おうとしてる。だから、こうして僕らと出会った。
それたけじゃない。ハニーは何故か、何故か僕らの透明マントや忍びの地図を知っている。それがダンブルドアの入れ知恵だというのなら、僕らとハニーの出会いは何らかの狙いから必然たった、仕組まれていた……そういうことになる筈だ。
それでも本来は、ここに居ないはずの女の子なんだ――うまく説明出来ないが――この世界では、身寄りがない。独りなんだよ。……わかるだろう?
だからといって……あぁ、全く。ジゴロのくせて情けない顔をするなよ犬っころ。僕は生憎と立派な角を持つ鹿だから、そんな嗅覚はないけどね。うだうだ言い訳を並べずに、ハニーが気になるなら素直にそれを当人に伝えろと、はっきり言ってやりたいところだ。
さぁ、ハニーが現場を検証すべく孤軍奮闘している時間を浮いた話だけで終わらせるわけにはいかない。地図上のダンブルドアは……あぁ、こちらに向かっているな。おそらくあの人には僕らの探索も筒抜けだろう。
ダンブルドアがマクゴナガルと話し込んでいるあいだに、もうじきに、きっとハニーは帰ってくる――ダンブルドアとは後で改めて、僕らも交えた話をしたいと言っていたからね。
それから。ハニーが僕らと合流してから、これから開く教員会議を終えて校長室へと戻ったダンブルドアに会いに行くまでの間に、もうひとつ。おそらく一時間もないだろうが――ハニーの言っていた、『必要の部屋』を調べよう。
『姿をくらますキャビネット』は、ノクターン横丁に横流しにされている闇の魔法道具だ。妖精の魔法と同じで、城の保護呪文が通用しない。
他のことにうつつを抜かし始めた君には悪いが、僕はエバンズ発見が最優先だ。エバンズが連れ去られたなら、その犯人が出入りしたツールとしてはキャビネットが最も怪しい。……それに、他にもなにか、見つかるような気がするんだ。そう思わないか━━あぁ、おかえりハニー。
えぇ、ただいま....。やっぱりマグゴナガル先生が仰っていた通り、闇の印で間違いなかったわ。あの腹黒豚もじきに教員達を引き連れて来るでしょうし、サッと見ただけだけれど...やっぱりリリーに関する事で間違いないと思うの、私に関しても。...何か血のようなもので書いてある文字だったわ。一度私が目にしたものと類似していて、でも子供が書ける高さではない位置にあったの。見たのはそんなところよ。
––2人とも変な顔をして、一体何?マグゴナガル先生の気をうまく引けなかったからかしら?ジェームズ、あなたってその意地悪な顔がテンプレなの?本当にパ...いえ、でも、私もそんな顔するのかと思うと...うーん。可憐で儚げで完璧な私の事だから、私が同じ表情を見せても天界から落ちた天使のようにしかならないわね、当然よ。.......そんなことは良いの。それで、この後はどうするの?先生達が集まれば動きにくくなるし、早くしましょう。ダンブルドアの部屋に行って部屋で待ち伏せするのか、「必要の部屋」へ行ってみるか、談話室へ戻ってリーマス達に今見たことを伝えるのか。ジェームズ、何をニヤニヤしているのよ、私今真剣に話をしているのよ、このハニー•ぽ、ハニーがね!
––事態は入り組んでて、本当は私が介入する事は良くないかもしれない。でも...失敗しても今ならまだやり直せるわ。でも、1回でも選択肢を間違えれば私は消える。そう考えながら行動しなければならないの。リリーを救えても私が消える可能性だって、無くはない。それは構わな...魔法界の未来的には構うけれど...。とにかく失敗は許されない。ジェームズ、シリウス。おふざけは抜きにしないと、私だけで無くリリーも、未来も失う事になるわ!なんて...今言っても分からないわね。でも、事態はそれぐらい深刻って事よ。追い詰めても仕方がないのだけれど、伝えておくわね。目先の事だけに囚われるべきでないわ、と言いたかったのよ。
皆さんこれをご覧下さい! 本校にこのようなものがあるとは由々しき事態です。いいですか、生徒の安全を最優先に考え、生徒には伝えずに、この事は穏便に処理しましょう。いいですね?
それにしても...この「守護魔法は永遠に成らざるなり」とは一体どう言った意味なのでしょう、アルバス、貴方はお分かりで?兎も角これは消します。今から1時間程度これについて会議をする事とします。職員は取り急ぎ私の部屋へお集まり下さいね。
先生達行ってしまわれたわ。先生達もやっぱりあの文書の意味は理解していないのね。あの腹黒豚以外は。あの人こっちを見て笑っていたわ...!なんて腹黒なのかしら、分かっていてやっているのよ。––あの腹黒の意地悪豚は1時間は戻らないみたいだし、部屋にいても待ちぼうけね。その間に憂いの篩を覗くのもいいかもしれないけれど.....必要の部屋へまずは行くべきよね?透明マントは必要なさそうね。
大人が書いたであろう血文字、か。如何にも奴らが好みそうな演出だな。
ガフッ、ワフン、僕の様子がおかしいって? いや別に何ともないんだハニー、この眼鏡が少しばかり変なことを口走っただけであって……だからそこにはどうかツッコまないでくれると、ワフン。
あぁ、とびきりリディクラス級なことをずばり指摘してやっただけさ――君が気にすることはないよ、ハニー。
この僕の自信に満ち満ちた凛々しい顔がなんだって? ほんの遊びで女装したらどこぞの伝説のジゴロが滅多にしない告白をしたくらいには……よせやめろパッドフット狂犬病にはなりたくないんだわかったから杖をしまえ。
この後は、あぁ、そうだな。ダンブルドアもしばらくは教師たちに捕まっているだろうから、その間に「必要の部屋」を探そう。君の考え、そしてこの僕の決定だもの、異論はないね?
――ハニー、僕の方からもひとつだけ伝えておく。リリーを救えたら君が消えたって構わない? 冗談じゃない。今回の事件には何やら死喰い人が関わっているようだが――魔法界の未来のためだろうと、ひとりの女の子を犠牲にしてそんなものを手に入れるようなことは、僕が許さない。……出会ったばかりだが、既に僕は君が赤の他人だという気はしていないし、何より君は――
……、とにかく、一手でも間違えると君が消えるというのなら、僕やプロングズはそれを回避するためになんだってする。こいつはエバンズのために動いているが、だからといって君を犠牲にするのを厭わないような奴じゃないんだ。ダンブルドアもどうやら訳知りなんだろう? あのお方に翻弄されることにかけては、僕もプロングズも、ムーニーやワームテイルだってとっくに慣れてる。あの策士に課せられた重圧を、君1人で背負うことはない。だから……できるだけ、頼ってくれ。たのむから。
せっかく思いきった本音を零しかけたのに慌ててひっこめるなよ歯がゆい……そういうわけだ、ハニー。今魔法界の未来がかかっていようと、どんなに深刻な事態だろうと、この僕が今動いているのは結局エバンズの為――つまり、この事件は僕自身の事件でもあるんだよ。
女の子と引き換えに手に入れる未来なんて糞食らえだ、君本人がどういおうとね。僕の友人たる者にもそんな女々しい真似はさせないし、確認するまでもなく同じ意見の筈だよ。君自身も無事のまま、エバンズを見つけて助け出す――それが僕らの最大の目的だ。いいね?
そうと決まれば、ぐずぐずしていられないぞ。そうだな、教師たちもいなくなったから透明マントは閉まってしまおう。さぁ、『必要の部屋』のキャビネットを確認するんだ――あぁ、それと。
もちろんこれは悪ふざけじゃなく、至って真面目な話なんだけど。僕はなにぶん目立ちたがりでね、いつだって戦闘じゃないと気が済まないたちなんだ。場所さえ先に教えてくれれば先鋒は僕が引き受けるから、おふたりは僕の後方の警戒に回って、どうぞ?
そう、やっぱりこの時のシリウスって...、いえ落ち込んでいる場合じゃないわ。ほとんどこの可憐で高貴で儚げで伝説的な私の判断だし、必要の部屋へ向かう事に異論なんてないわ。
そうね、私を愛して私を護ろうとするのは人類としてもはや生まれた時から当然の行いよね。こんな時に一番豚がいたらもっと良い言葉を選んだでしょうね。でも、この私から紡がれた言葉が最高でない訳はないから、ロンなんて....。ハーマイオニーも、呼ばなくったって大丈夫だわ、、今は4人がついているもの。そうでしょう、ジェームズ、シリウス。...頼りにしていいのよね?
私は今は平気なんだから、今はリリーの事だけをかんがえましょう。ジェームズがエバンズ、エバンズ煩くて敵わないわ。それも仕方のない事だけれど...。いえむしろこうじゃなきゃ私も?
さぁ、早く必要の部屋へ行きましょう。出来れば戦闘は避けたいところだけれど、後ろにはまわっておくわね。本当なら下にいて欲しいところだけれど、今回だけは我慢してもいいわ。
.....もし、本当にピンチの時には、呼ぶわ。2人をね、、本当に頼れるの、心から。危険にさらしたくはないけれど、2人の事だから私の為なら喜んで身を投げるでしょう。本当に馬鹿なんだから。貴方達みたいにね。
ルーモス––光よ。 さぁ、行きましょう。この城の中に闇の魔法使いがいる可能性だって0じゃない...気をつけて。あの廊下の先に必要の部屋があるはずよ。強くイメージすれば扉が現れるはずよ。
あぁ、もちろん。吸魂鬼も裸足で逃げだすような僕だぜ? 相手が死喰い人程度なら尚更どうということはないね、君や友人たちを片手で守ってもまだお釣りがくるさ。……それでも、君の言うロンとハーマイオニーも、きっと。君の力になれたら、喜ぶと思うよ。
あぁ全くだ、これがなかなかどうして、本人を前にするとかっこつけるしか能のない駄眼鏡なんだがね……
……良い友人たちなんだな、僕にとってのプロングズやムーニーのような。だが、馬鹿になってやりたいと思える相手がいるというのは幸せなことだ。その相手が君なら、尚の事そうだろう。
強くイメージを――成程。ここの壁側だな? 「姿をくらますキャビネット棚」が置いてあると言っていたね。ホグワーツの魔法を欺くような魔法道具を押し込むくらいなら、きっと元の持ち主は『隠そうと』思って秘密の部屋を開いたはずだ。
『僕は隠さなければならない』『僕には隠したいものがある』『僕は……』……! ――何もなかった、壁に、扉が。あー、ジェームズ。君が斥候を務めてくれるか。僕はハニーの足元を照らそう。……それでも、物が多すぎて足元が危ないな……ハニー、手を?
そうね、あの2人ならきっとそうだと思うわ。あの2人は私を信頼しているし、私もあの2人を信頼しているもの。持つべきは友よね、ジェームズ。........信じるべき友...。
そうね、女々しくスニッチなんかに名前を書くほどには駄目眼鏡ね。あんな乙女チックなんて笑ってしまいそうよ。普段下僕をヒイヒイ言わせてるとは思えないわよね。
––本当に現れた、中はどうなっているのかしら...?手....?あ、そっそうね!暗くて私が転びでもしたら豚達が心配して飛んで来る可能性もあるし!必要な措置よね...っ!えぇ、いいわ!
シリウス、何を隠そうと念じたの?強い気持ちでなければこの部屋は出てきてはくれない筈よ。
ジェームズ、あれ!キャビネットに見えない...?そこの大きな木製のよ。.......確かめるには入ってみるしか無いわよね?でも、姿をくらますキャビネットは私の予想ではボージンアンドバークスに繋がっているわ。その先に誰がいるかは....予想できない。それにもしこれが壊れていたら、姿現しで失敗するのと同じリスクを負うと....本で読んだわ。この時代に流行ったものだから恐らくは壊れてはいないはずだけど。待って、流行っているならどこに繋がるかわからないという事...?
どうするの、ジェームズ。リリーはキャビネットから連れ去られたとは限らないわ。それにまだ城内に死喰い人がいるのなら、いつまでもいないはず...つまり、ここへ戻って来るんじゃ...!
トピック検索 |