【 この――愛の、行く先を。 】

ふむ！　ミスター・ウィーズリーとミス・グレンジャーも、一緒に過去へ連れていきたいと。
大丈夫じゃ、もちの彼で構わんよハニー。わしの方でも、君のお目付やkうぉっほん！忠実なる一番豚とガールフレンドたるふたりを連れて行った方がマー髭倍くらい楽しいだろうしおそらく任務も捗るだろう、そう思っていたところじゃ。
医務室から戻ってきたわしの豚も、ほれそこで、君の提案に狂喜乱舞して魔法火打ち上げまくっておるじゃろ？

君の背後の豚がサポートしてくださるとのこと、心よりありがたい。再三念を押しておくが、わしんとこのおかしな豚は、本当にひとり何役だろうとヒンヒン喜んでこなす心意気じゃよ。
もし君が望むなら、ハニー、別に君は君のままであるだけでも豚の望みを既に叶えきっておる。今のままでも充分なのじゃ。じゃがもしも、君の背後豚自身が望んで他の役もやりたいということであれば、それはもちろん、是非その懐の広さに甘えさせてもらおうと思っておるよ。

おぉーう、くれぐれもレビコーパスされんようにの。君の大事な友人ふたりは、あとからきちんと送り届けよう。ふたりに会いたくなったら、そうじゃの、「レモン・キャンデーが食べたい」とでも呟けばOKじゃ――それでは、ハニー。過去の世界の命運は、君にしかと託そうぞ……



――

――――



もっ、もうやめっ、ねぇってば！手当たり次第に呪文を撃ちまくるのはやめてよぉプロングズ！！この惨状がバレた時のマクゴナガル先生のお説教が怖いよ！！！それでなくたって僕ら普段から――あっ！！あれぇ！？！？エバンズだ！？！？！？！？

いい加減にしないかプロングズ！さもなきゃ君を満月恐怖症にしたっていいんだぞ。リリーが心配なのも、あのダンブルドアの涼しい顔にチョコをしこたま塗りたくってやりたい気持ちもわかるが、ここは少し……っ、リリー！？　君、いったいいつ戻って……！

抑えろ落ち着けプロングズ！！君がこのまま暴れるなら最終的には噛みつくぞ！？捜索には乗ってやるからまずは頭を冷やせと言うんだ、ここでうるさく喚くのはやめて――エバンズ！？……いや違う、君は……誰だ？何者だ？杖を下ろせ！

えぇい離せやめろ止めるな！！　僕の友人たるものがどうして僕の邪魔をするんだ！
エバンズが行方不明になってもう２週間も経つんだぞ――なのにダンブルドアは何ひとつ、何ひとつ！！痕跡すら掴めていないんだ！！！
こうなったらもう、直接僕が探しに行くしか――っ！？ エ、エバンズ！……じゃ、ないだって……？
……ダンブル、ドアに、寄越された？
……力を、貸せって。リリーを助ける、って……君は、君はいったい？　今、どうやってここに現れて……ハニー、君はいったい……まさかあいつの、スニベルスの言っていたエバンズの妹か……？

.....わぉ、思ったより大人数で驚きだわ。聖徳太子にでもなった気分よ。でも私はフェリックスフェリシスをも凌駕する完璧さを持っているし、1人ずつの質問に答えるわ。
––あー、、杖はそうね。下ろすわ。その...やっぱり若い時も素敵よね、じゃなくって！私はハニーよ。そうね、えぇリリーの妹に近しい存在よ。ややこしいからそう考えてくれていいわ、双子の妹とね。とりあえずエバンズは紛らわしいから、その...ハニーって、、あぁやり辛いわ！こんな時に豚がいたら！.....いえ、まだその時じゃないわ。今来たら流石に大混乱よ。


いいかしら、ワームテールにムーニー、パッドフットにプロングス。リリーはこんな呼び方しないでしょうね。だからという訳じゃ無いけど、私もこう呼ぶわ、ピーター、リーマス、シリウス、そしてジェームズ。いい事、まず落ち着きなさい！私も豚がいなくて落ち着か...えぇ落ち着かないけど、男4人集まってあたふたするなんて格好つかないどころの騒ぎじゃないわ。我がち...ンッ、とにかく本当に情けないわジェームズ。リリーオタクスニベルよりも更に情けないから、落ち着いて。

––まず、ダンブルドアが私を何故ここへ呼んだか。私はリリーと強い繋がりがあるわ。所謂絆...いえ愛よ、これは強いもので私自身がリリーを探す手掛かりの１つとダンブルドアはみたようね。まぁ、後は私が何より可憐で高貴で儚げで伝説的で家庭的で道徳的他ならないけど。とにかく今回もまたも「選ばれた」て訳よ。
杖は下げたけど、この惨状打破のために振るうわよ。豚もいないし私自ら片付けて差し上げるわ。おおかた大好きなリリー失踪で取り乱したジェームズの仕業でしょうね。

それで、リリーの手掛かりはどうなの。どこで最後に消えたか...痕跡は無いの？私も心配には変わりないのよ。
––あぁ、それもあるけど城の現状も知りたいわ。今日は何月何日目で、城の外へは探索へ行ける状態なのかしら。
あー、できれば...ダンブルドアに合うべきかしらね、

　リリー・エバンズの妹だって？
　　てっきり本人かと思った！
　　　でも目の色が違うみたいだよ？
　　　　ﾋｿﾋｿ……ﾋﾝﾋﾝ……ﾋｿﾋｿ……


！？　ﾘﾘｵﾀｽﾆﾍﾞﾘｰって……君はあのドブ水野郎のことまで知っているのか、えぇと、ハニー？
あー、そうだな。僕らはどうも、悪戯を仕掛けるのは得意だが片付けるのは苦手でね。助かるよ……
どうやらダンブルドアを知っているあたり、身分は保証されているらしいな。だろう、プロングズ。……プロングズ？


エバンズを見つける手掛かりが、ハニー、君自身……？
…………。
最後に見たのは、正確には11日前のことだ。1975年、12月11日。土曜日で、この僕がスリザリンを下したクィディッチの名試合があった。観戦前に、あいつと確かに言葉を交わしたんだ……その後、試合を終えた数時間後の夜、同室の子が「リリーが帰ってこない」とマクゴナガルに報告した。
５年生だから、皆OWL試験に備えた勉強に夢中で……もちろんこの僕にとっては、さしたる関門でもないけれど。それで、エバンズの友だちも、夜になるまで気づかなかったという話だった。

痕跡は見つかってない。ホグズミード行きの日でもないから、城の外に出たはずもない。城の敷地内で忽然と行方不明になったんだ。
ダンブルドアは本気で探しているというが、絶対に嘘だ――あの人ほどの魔法使いが、自分の城の中で消えた15歳の魔女の居場所を掴めないなんて話があるもんか！

探索には行けるさ、この僕がいろいろと直訴したからね。――エバンズがいなくなったことに、教師たちだって少なからず動揺してる。冬休みが少し前倒しになって、冬に実家に帰る生徒は、明日の……23日のホグワーツ特急に乗ることになったんだ。
もちろん、僕らは全員この城に残る。エバンズを探す作戦を建てなきゃならない。この城を拠点にすれば、図書館の禁書から必要な呪文を学べるし、厨房のしもべ屋敷妖精たちが非常食を作ってくれる、そうだろ？　仮にエバンズが城の外だとしても、僕らは特殊なアイテムをふたつばかり持ってるから、教師たちにバレずに城の外を出歩けるからね。今どこにいるにしろ、エバンズがいなくなったここを拠点に、あいつを探すんだ。
　
ダンブルドアは――会いに行こうと思えば、行ける。ただ、あの人はこの前から役立たずなことしか言わない。「もうすぐこの上ないリリー探知機が遥か彼方からやって来るじゃろう、ヒンヒン」とか……あの余裕綽々な表情にはイライラさせられる、そもそもヒンヒンって何なんだあれは意味が分からない――とにかく！　君が行くなら、この僕もついていってあいつの鼻を三度折れ曲がらせる心づもりだ。どうする、ハニー？

あら、この中に私の豚がいるらしいわね。ヒンヒン言ってるという事は、そういうことよジェームズ。
––それで、私の身元に関して既に問題になってないようだから、腹黒豚の鼻頭をわざわざ折りに行く手間は掛けないわ。


城の中で消えたなら.....秘密の部屋。それから....必要の部屋にある姿をくらますキャビネット。どちらかな気がするの。この城はかなり広いし、おかしな部屋に迷い込んだ可能性もなきにしもあらずね。ただ優秀なリリーが自らいらぬ危険を起こすはずはないわね。
煙突が教員の部屋にあるから、そこから連れ去られたという可能性も無くはないけど、ホグワーツの煙突は全て魔法省が見張っているだろうから連れ去りなんて出来ない。
取り敢えず、明日から休みで人が減るならば監視の目も少なくなるし、その間に秘密の部屋を確認しに行きましょう。そこにリリーがいなければ、必要の部屋にある姿をくらますキャビネットで色々な場所へ行って見るしかないわね。
リリーが外に連れ去られたのならば、かなり手こずるのは必須よ。なんせ消えた場所はでは城だけど何の痕跡もないのだから...。連れ去られたのならば、キャビネットを使うにも禁書の棚を見るにもよる行動になってしまう事になるわね。
...取り敢えず今からあなたの秘密道具で禁書の棚から有効なものを探しましょうか？あの腹黒豚に会っても意味はないでしょうから。

――「秘密の部屋」？


あぁ、屋敷しもべ妖精に当たりの強い君は知らないだろうねパッドフット。城の五階のある廊下に、特殊な方法でしか認識できないそういう仕掛けがあるんだよ……チョコレート料理を増やしてほしいと厨房へ頼みに行った時、ここの妖精たちが噂していたのを聞いたことがある。それ以来手持ちのチョコが切れるたびに、つまり一日に４回はあそこhゴホン。確かに、僕らはそれを見落としていた……喚いてばかりの君なんかより星の如く現れたハニーの方がずっとリリー探しに本格的なようだよ、プロングズ？


うるさいな、僕だってパッドフット同様今初めてその部屋の存在を知ったんだ。どこぞの狼君とは違ってね。
ハニー、君は「透明マント」のことまで……あぁ、ダンブルドアから聞いたのか。そうだな、そうしよう。
だがあまり大勢で行くと目立ちかねないし、透明マントにも入りきらない。――だから、「秘密の部屋」について詳しいらしい君は確定として、僕らの方は行く者と残るものに分かれた方がよさそうだ。
守るべき立場がある優等生のピーマスと、何かとドジを踏みがちなワームテールに拠点の留守を任せるとして。
この僕はもちろん行く。それに、万一ピーブズやフィルチに見つかった時僕と君が逃げられるよう、囮役としてこの真っ黒な犬っころを――


――おいこの眼鏡！


――連れていく。３人で図書館に行くんだ。この僕の判断だ、それでいいな？ ハニー？

––えぇ、いいわ。


リーマス、あなたがどれ程のチョコレートホリッカーかよく分かったわ。その情熱を彼女に向けてあげて欲しいものね。
あなたが見つけたその部屋は「秘密の部屋」ではなく「必要の部屋」と呼ばれるものよ。私が優秀な事は、至極当然のことで、火を見るより明らかよ。そこを探すのはリーマスには向いていないかもしれないわね。あなたが強く求めるものはチョコレート以外に無い様子だし。
屋敷しもべ妖精に気を配るなんて、私の可愛いハーマイオニーが聞いたら飛んで喜んでバッジを渡すでしょうね。そうしたら胸に輝くバッジの横につけてあげて頂戴。


––取り敢えず落ち着いてよかったわ、お優しいジェームズ。「秘密の部屋」に行くのならば...危険は多いわ。大人数で行くべきよ。ただし「必要の部屋」へ行くだけならば3人でもさして問題はないでしょうね。シリウスと私が2人だけであっても問題ないわ！べっ別にそうしたいわけではないから！ほら、早く行きましょう...朝になって仕舞えば動きづらくなるでしょう。姿をくらますキャビネットがもうここに設置されているならば、おそらく必要の部屋にあるはずよ。
「秘密の部屋」はかつてのホグワーツ にサラザール•スリザリンが作ったもの。正統な後継者が現れるまで開かないと言われていたし、かなり先まで一度も開かれる予定はないけれど......今は何が起きるかわからなわ。行ってみる価値はあると思う。ただし、彼はまだ私の豚じゃないから...。行ってみないとわからないけど。


リリーの部屋も後で見に行くわ。何か手掛かりがあるかもしれないけれど、あなた方じゃ入れないでしょうし。

情けないところを見せたね、すまないハニー……言い訳にはなるが、正しく知っていたはずなのに素で言い間違えてしまったようだ。平日はずっと、ほら、この馬鹿な牡鹿と黒犬とこいつらに煽られるネズミの尻拭いをしてたものだから。あぁ、うん、疲れているのかもしれない……君の言うとおり、チョコレートを摂る必要がありそうだ。
屋敷しもべ妖精には日ごろ世話になっているからね……ハーマイオニー？　君の友人かな、是非そうさせて貰おうか。


ただチョコレート食べたいがための言い訳じゃないかなぁそれ……了解、ハニー、プロングズ、パッドフット。いってらっしゃい、ミセス・ノリスに気を付けてね！


わかった。それじゃ、あのギトギト髪のお好きそうな「秘密の部屋」や、君に捜索を頼むリリーの部屋は後回しにするとして――うん？　何だい君、シリウスとふたりで、その必要の何たらの……ははぁん？　ほおう？　――全くパッドフット、君ってやつは！
ハニーの目が僕みたいなハシバミ色じゃなければ、澄んだ緑色だったならば、例えエバンズ本人とは違っても親友相手に決闘するところだったけど。まぁ相手が妹の方のハニーなら、うん。僕は構わないよ？　義兄のよしみで？　許してやっても？


何だプロングズ何の話だあぁいい加減うるさいな――！


――そうだな、そうと決まったらすぐさまここを発つことにしよう。遅くなればなるほど見つかった時にマズイからね、もっともこの僕と僕の友人たる君たちがそんなヘマをするはずがないけど。
さぁ、ふたりともこちらへ。やぁ『太った婦人』、悪いけど通してもらうよ？　大丈夫、帰ってきたらどうせプロングズが明け方までわんわん甘く囁くかr痛い！　ハニー！？！？

あー.....、あなたも苦労しているのねリーマス。色々察するわ。変わって謝りたいくらいには。
ピーターもこれ以上リーマスの胃に空いた穴を広げない事ね。ここで大人しくお留守番していなさい。ミセス•ノリスには気をつけるわね。


ジェームズ、私親族を豚にするつもりは無かったのだけれど、其方の出方によってはこの制約を見直そうかと思うの。ほらダドリーという例外もいることだし。ただ、ママが怒る可能性もあるから、今回だけは許してあげるわ。次はその眼鏡を取り上げ代わりに首輪をつけるから。


それにしても3人で入るにはこの透明マント狭いわ。いつも3人で入っていたけれど、下に1人いるのとは広さが違うわね。あっ、ちょっ、、そんな近くで、喋られると！ダメよシリウス！........それで、階段はどこから上がるの？5階まで行かなくちゃならないのよね？私は8階だと記憶していたけれど、リーマスが間違うわけはないし。年によって違うのかしら...？
地図は持っているのかしら。あなたたちの集大成とも言えるアレよ。先生たちの動きを見て登る階段を決めましょう。いざとなったら.....そうね、あまり使いたくはないけれど...失神呪文に忘却術よ。ピーブズにはきかないでしょうけれど。
ほら、早く出して。持ってきているんでしょう？ルーモス––光よ。

親族……？ はどうでもいい、おいハニー、豚ってのはいったい――あぁなんだ、この僕でいう下僕の事か。
この僕に、首輪？ ごめんだね、そんなものはパッドフットにでも着けさせておけばいい。エバンズくらい見目麗しい君からなら、さしものジゴロ犬っころも喜んでリードごと着けたがるはずだ。


プロングズいい加減にしろ、そういういじりはムーニーひとりで沢山だ。確かに、男ふたり女の子ひとりでは、このマントは狭すぎるな。うん？　あぁすまないハニー、僕の吐息が耳にかかってしまうようだね。申し訳ないが体勢を変える余裕がないから、例の部屋につくまではこのままでいてくれるかな。
いや、君が合っている。何しろムーニーが先ほど狼語で「５階じゃない８階だ僕たちの寮と同じ階だいい加減ミスが多すぎるぞムーニー今一度読み直せムーニーこれは早急にチョコレートフォンデュを取らなければならない事案だそうだチョコが要るすまないハニー」だの何だの鳴いていたからね。
とにかく、階段は使わずこのまま必要の部屋に行こう。だから君の耳に僕の息がかかってしまうのも、もうそう長くは……うん？　どうしたねハニー？


全く、この僕がいるというのにふたりの世界へ片足を突っ込まないでくれるかい。ムーニーがいないとツッコミ不在だなもどかしい……ハニー、あの地図をこの僕が忘れていると思うか？
失神呪文か、君も意外と手荒なようだね。気に入った。僕らはもちろん、相手がこちらに気が付く前にオブスクーロのちレビコるけど……明かりをこっちに。
ダンブルドアが校長室にいないな、厨房に名前があるがいったい何をしてるんだあの人……？ ピーブズもよし、念の為見たスニベリーも寮の中でお仲間とベタベタときた。あとはフィルチとその猫が……！　マズイ、何故かマクゴナガルも一緒だ――下手に呪文を使えない！ ハニー、パッドフット、こっちのタペストリーの裏に！

下僕なんて愛の無いものと、私の豚とを一緒にしないで頂戴。いくら相手が貴方でもそれだけは許せないわ。私は豚たちを愛し、豚も私を愛するわ。そういう関係で、主従とは違うのよ！
シリウスが首輪なんて、そんな、だっダメよ、ハニー一緒に散歩するのもいいなんて...！


はぁ、リーマスも本当にいつでも苦労しているわね。彼には必要の部屋が本当に必要ね...。チョコレートフォンデュを山ほど食べてぐっすり眠って貰いたいものだわ。
ついでに私に何か出来ることや、間違いがあれば突っ込んでもらいたいところではあったけれど....置いて来てしまって本当に良かったのかしら。ストッパーのないジェットコースターみたいなものよ、今の私たち。いい加減レモンキャ....


こっ、このまま必要の部屋まで⁈––とはならないみたい！ノックス––闇よ。
せっ、狭いわ！マントよりさらに...！ちょっと、ジェームズ？足を踏まないで！それに近い！髪がッ、髪...⁈
....ハァ、それでどうするの？このままじゃマズイわ！静かにしてたらやり過ごせるような人かしら...？
あっ、来たわ。––––––、–––何か話しているみたい。なんの話かしら...もしかしてリリー？
WWWのグッズを使う時がもう来たかと思ったけれどある意味必要かもしれないわ、「伸び耳」とか。でも今は使えないわね....。せめてフィルチ1人だったら...。マグゴナガル先生にはイタズラ道具も呪文も意味がないわ！
近くに来たわ...っ！ ちょっと、詰めないでよ、ただでさえギュウギュウなのに！今回は話の流れ的に重要な局面だから多少手伝ってからは耳を澄ませるだけだけれど、私が決めても良いところはまた手伝うわ、と今になって背後豚が煩いわ！しーっ、静かに！豚は部屋で待ってなさい。





––そこに誰かいるのですか？ こんな夜更けに生徒が寮を抜け出したのでしょうか。いいえ、そんな事よりも今はリリー•エバンスのことですわ、ミスター•フィルチ。
ンッウン、この後は任せるとして、一体どういう事です？こんな夜更けに呼びつけ、生徒の話とは、何を見つけたというのです。もうあの子が居なくなって11日目...なんと嘆かわしい事でしょうか。ダンブルドアも痕跡を見つけられていないのです。

仕方ないだろう狭いんだから！それよりなんだか聞き捨てならない言葉が聞こえたけどねハニー、この僕の親友を本気で犬として散歩させる気満々だっていうんなら、それは別段明日の朝から冬期休暇中の日課としてホグワーツの敷地内でやってもいいんだぞと言っておく。心置きなく楽しんでくれ、フリスビーとジャーキーは僕とムーニーで提供するから。


おいこら、それこそ聞き捨てならないが――ハニー？　なんだ、君は高嶺の花のようなタイプかと思っていたが、そうしてテンパっているとなんだかとても素直で可愛いな……うん？　髪も良い匂いがする、ずっと嗅いでいたくなる香りだ。ジャスミンか？　そう無理をするな、ほら、もっと僕の胸元に寄って――


その心配は要らないさハニー、スリザリンから流行したこの呪文を使うのは少し癪だが――『マフリアート・耳塞ぎ』！　さぁ、これであっちの声は聞こえても、僕らの物音には気づかれないはずだ。
『伸び耳』？なんだいそれ、盗聴できる道具か何かか？大丈夫だ、今はフィルチの話に気を……おぉっと、近づいてきたな。パッドフット、ハニーをしっかり引き寄せて僕の後ろに隠しておけよ？
これなら盗聴工作するまでもなく話が聞けそうだな。おっと、なんだか僕の下僕の方も、君の豚の言葉に対して「ヒンヒン！（そのお言葉に是非とも甘えさせていただきたいです、是非こちらに気兼ねすることなくお好きなタイミングでお好きなように局面を動かしてくださいませ、それと今更なのですが毎日貴女様のお返事が来るたび踊り狂っています同胞様とこんなにもいろいろ共有出来て本当に幸せですハニーの次にとは言えないくらい感謝していますありがとうございます！）」――だとさ。わけがわからないな、下僕は下僕らしくヒイヒイ言っていればいいと教育した筈だろう？
……うん？　髑髏に、蛇、だって……？



――何！？　どこかにまたあの小癪な悪ガキどもめがいるのか！？　あぁマクゴナガル教授、これは大変失礼いたしました。いかんせんこれがわたくしめの仕事でして――さあミセス・ノリス、パパは今お話があるからおまえが先に偵察を。明日美味しいカリカリをあげるから、しっかり頼んだよ？

　ﾅｰｰｰｺﾞ!

――それで。教頭をお呼びしたのは、緊急に確かめていただきたいことがあったからでございまして！
角を曲がった、こちら……現在使われていない教室の扉が並んでいる、故に城の人間がほとんど足を向けない細い廊下の突き当り。この壁、この壁をご覧ください！
髑髏に絡まる蛇などという、意味の分からぬ腹立たしい焼き印――そしてこの、これ！「守護魔法は永久に成らざるなり」などというまるで意味のわからぬ文句！
えぇ、えぇ、これはリリー・エバンズには関係のない悪趣味な悪戯でしょう。あの子は私にまで優しかった……あぁ、そんなことは今どうでもいい。
とにもかくにも、私はｽｸｲbｺﾞﾎﾝ学がない人間であるからして、これがどれほどの魔術により刻まれた痕なのか見当もつかんのです、だがもし！もしこれが、例えばあのポッター一味も扱えるような呪文で刻まれたものならば！或いはこの現場から、ポッター一味独特の魔法の癖が窺えるようであれば！
私は今すぐにでもダンブルドア校長を探し出して、今一度、鞭の使用と生徒をつるし上げる罰則の許可を願い出たいと思っておりまして……！

ジェームズ、あなたには噛みつきフリスビーっていうとっておきののアイテムが必要そうね。朝から気分爽快でしょうね。主に私の。
––しっ、シリ、シリウスッ！私の、髪はジャスミンじゃなく蜂蜜の香りがっ...そんな、あなたのムスクのような香りに包まれて私、いえそんなダメよ！.....とにかく、近いわ！もう、早く先生方どこかに行ってくれないかしら！
....待って、今髑髏に蛇って言わなかったかしら⁈–– あっ、ごめんなさい耳ふさぎの呪文をかけたからって...


あなたの下僕は本当にできる豚よ。褒めてあげなくちゃね。私の豚もヒンヒン「いつもお早いお返事をくださり本当に感謝感激でございます。これからもハニーという女神をよろしくお願いします！同胞としてこれからも末永くよろしくお願いします。ハニーの豚でありますが貴方様の下僕も是非兼任さs...」言っているわ。途中で言葉が切れた？気のせいよ。部屋に戻ってる途中にヒンヒン言っていたから尻すぼみになったのよきっと。


とにかく、髑髏に蛇の模様...、それに「守護魔法は永遠に成らざるなり」ですって⁈ 大変だわ....!!!リリーの命が危険よ！それに長い目で見ると私もね！...とにかく時間がないわ。
誰かが....私以外にも使っている人間がいるわ！タイム•ターナーを、、守護呪文のことを知っているなんて...。しかも、この言葉を残すなんて、私を挑発してるわ！私がこの城にいると分かっていて書いているのよ！––これが、興奮せずにいられる⁈ダンブルドアに会わなきゃ...！意地悪豚に全部話さなきゃ....！そうしたら、私がこんなに焦っている理由を2人にも話すわ。




––なんて事...!ミスター•フィルチ!!これは由々しき事態です！城にいる教員全員をすぐに集めるのです。もちろんアルバスも！....これは闇の印です。あの子達に使えるような魔法ではありません。いいですか？––何者かがこの城に入り込んでいる可能性があります。ここは生徒にとって安全とはいえないでしょう。冬休みを前倒しにして正解でした！朝一番に全員を家へ返すようにしましょう。寮に誰か一人でも残してはなりません...！
罰則なんてとんでもありません！事態は急を要します、お早く先生方を集めて下さい。生徒には絶対に見られてはなりません...！





今の聞いたでしょう？あれは闇の印よ！それより早くここから立ち去りましょう、先生方が集まるなら長居は出来ないわ！ダンブルドアに話をしたかったけれど...この様子では今は難しいわね。まずはそうね落ち着いたらキャンディに知恵を借りるべきかもしれないわ。

「畏れ多いですがもちの彼で喜んで！では同時に私の方もハニーの豚兼貴女様の下僕とさせていただき是非貴方様に踏まれとうございm」さっきからヒイヒイ五月蠅いぞ下僕風情が、どうしたんだ踊り喰らって……タラントアレグられたかな？あぁ僕の下僕が見苦しくて申し訳ないね、君の為ならいつでも引きずりだす用意だから、必要な時があったらいつでも鞭を鳴らすと良い。
それより、何故「守護魔法」とエバンズに関係が……彼女だけじゃなくて、ハニー、君も危険だって……？
落ち着けハニー、タイム・ターナーだ守護呪文だとこの僕でさえなんだか話が読み込めないが――わかった、そうだね、すぐにダンブルドアのところに行こう。君の顔色を見る限りそうした方がよさそうだ。あぁ全く僕ららしいね、まさか探索開始直後に重大なことを知るだなんて。
……僕の方でも、話しているうちに君に対する引っ掛かりがますます気になっていたところだ。君は何か秘密を抱えているらしいけど、そうだな、エバンズを一刻も早く見つけるために後である程度のことは知らせてもらうよ。


––は？　はっ？　闇の、とは……例のあの人の！？　この私とミセス・ノリスの愛の巣に、闇の輩が侵入ですと！？
わ、わかりましたマクゴナガル教頭！　ホグワーツの守り人の名に懸けて、大至急連絡してまいります！
あぁミセス・ノリス！おいで！！パパのそばを離れちゃだめだ、下手したら悪い魔法使いに石にされるかもしれないよ！

　＼ﾌｰｰ……ﾅｰｰﾝ? ﾅｰｰｰｰｰｰｰｺﾞ！！／


くそっあの猫公め、タペストリー裏に隠れてなおかつ透明マントをかぶっているというのにこちらに向かって唸っていたな忌まわしい……ところであの管理人を三回ほど蹴飛ばしたくなったのは僕だけか？
あぁハニー、君の髪の匂いを堪能しながらしっかり耳を傾けていたよ。――闇の印、あの最近調子づきはじめた恥ずかしい厨二病ども＜死喰い人＞のシンボルだな。だが、なぜエバンズがそんな奴らに……？
ハニー、待ってくれ。考えてみてほしいんだ、本来冬休みの間も城に残るはずだった僕らまで明日の朝にも強制帰宅になるのなら――その前に、フィルチが見つけた例の印を君の目で見ておかないか。
君はどうやら、僕やプロングズが知り得ない何らかの情報を持っているな？ しかも聞く限り、エバンズの安否は何故か君にもかかわるようだ。それなら、フィルチの見つけた焼き印を見て、奴やマクゴナガルでは気づかなかったことを君なら読み取れるのかもしれない。そうは思わないか？
ダンブルドアが来るまで数分はあるだろう。マクゴナガルが今どう動くかわからないが、もし現場から動かなさそうなら――僕とプロングズで教授の気を引いておくから、その隙に確認してくれ。一応君はこの城の生徒ではないはずだから――エバンズの妹なら有名でない筈がないからな――もしも見つかりそうになったら、そうだな、君には切り札か何かあるようだが、その時はそれを使ってみてほしい。……ハニー、いいかい？

もう！そんなセリフがスラスラ出てくるあたり色々と考えたいけれど...どうでもよくなってしまう気持ちもあるわ。
––さすがミセス•ノリスね。飼い主とは大違い。もちろん貴方ともねシリウス。でも、貴方達は本当にあの双子達と同じくらい、いえ、それ以上に先生方を悩ませていたのだから疑われても文句は言えないわ。...シリウスが言うならストゥーピファイするのも吝かではないけれど。
....私しか知り得ない情報、山程あるわ。シリウスの言う通りよ。闇の印...やっぱり見ておくべきよね、、わかったわ。でも、2人とも見つかるような真似は止してよ。明日帰るからといっても、今出て行けばややこしくなるわ。気をつけて....私行くわ、切り札は...出来れば取っておきたいわね。こんな危険だと思わなかったから...2人を巻き込めないわ。
––あ、明日からの休暇....どうしましょう。いえ、今はいいわ。


ダンブルドアは、ここを確認して部屋に戻ってから、もしくは1人きりになったら話をしに行くわ！こっちのダンブルドアにsosされて来たのだから、私を知らないはずないもの。きっと話せば分かってくれるわ。貴方達に話すにもあの人の一押しで信憑性が増すわ。....残念ながら私1人の話では信じてもらえない話だし、ややこしくなる事必須だもの。
とにかく後で会いましょう。少し行ってくるわ....！




壁際を行けばなんとか、耳ふさぎの呪文もあるし、2人が気を引いてくれる。信じて行かないと！
–––これ！....秘密の部屋の時にそっくりだわ。でも違う。闇の印...つまりアイツの仕業じゃなく、手下がした事。実行はそうだけど、裏で糸を引いているのは誰？やっぱりトム•リドル？それとも........私と同じく時間を戻った誰か？
ママ....どこへ行ったの？誰に、こんな...。痛ッ....傷が....。やっぱりアイツが？それならもうママは...。でも私がここにいるということはまだ、生きている！どこを探す？正直秘密の部屋にいるとは思えない.....。でもこの感じからして0とは言い切れない。ママが日記を見つけた？でもこの文章は先の事を知っている人間にしか、私に知らせて反応を面白がる人間にしか書けない。思い出すのよハニー、死喰い人の事を...。やっぱり傷が痛む事をダンブルドアに言いにいって道を示してもらうべきよね。私1人じゃ解決できない。

あぁハニー、にゃんこ女史は任せろ。だがくれぐれも、気を――
……
…………

……明日からの、休暇……か。


――おや？ どうしたパッドフット、遠い目をして君らしくもない。この僕を誰だと思ってる、タペストリーのせいで闇の中だろうと丸わかりさ。僕の眼鏡を通せばね。
今焼印を確認しに行ったあの子を、ハニーを。革新的な家風を掲げる君の素晴らしいお屋敷に連れてって、あの物静かで麗しい母君にでも紹介するかい？


……彼女は、普通の存在じゃない。僕の嗅覚がそう言ってるんだプロングズ。
何故かはわからないが、ハニーは、とにかく遥かに遠いところから……ダンブルドアに、招かれて。これも何故かはわからないが――エバンズを救おうとしてる。だから、こうして僕らと出会った。
それたけじゃない。ハニーは何故か、何故か僕らの透明マントや忍びの地図を知っている。それがダンブルドアの入れ知恵だというのなら、僕らとハニーの出会いは何らかの狙いから必然たった、仕組まれていた……そういうことになる筈だ。
それでも本来は、ここに居ないはずの女の子なんだ――うまく説明出来ないが――この世界では、身寄りがない。独りなんだよ。……わかるだろう？


だからといって……あぁ、全く。ジゴロのくせて情けない顔をするなよ犬っころ。僕は生憎と立派な角を持つ鹿だから、そんな嗅覚はないけどね。うだうだ言い訳を並べずに、ハニーが気になるなら素直にそれを当人に伝えろと、はっきり言ってやりたいところだ。

さぁ、ハニーが現場を検証すべく孤軍奮闘している時間を浮いた話だけで終わらせるわけにはいかない。地図上のダンブルドアは……あぁ、こちらに向かっているな。おそらくあの人には僕らの探索も筒抜けだろう。
ダンブルドアがマクゴナガルと話し込んでいるあいだに、もうじきに、きっとハニーは帰ってくる――ダンブルドアとは後で改めて、僕らも交えた話をしたいと言っていたからね。

それから。ハニーが僕らと合流してから、これから開く教員会議を終えて校長室へと戻ったダンブルドアに会いに行くまでの間に、もうひとつ。おそらく一時間もないだろうが――ハニーの言っていた、『必要の部屋』を調べよう。
『姿をくらますキャビネット』は、ノクターン横丁に横流しにされている闇の魔法道具だ。妖精の魔法と同じで、城の保護呪文が通用しない。
他のことにうつつを抜かし始めた君には悪いが、僕はエバンズ発見が最優先だ。エバンズが連れ去られたなら、その犯人が出入りしたツールとしてはキャビネットが最も怪しい。……それに、他にもなにか、見つかるような気がするんだ。そう思わないか━━あぁ、おかえりハニー。

えぇ、ただいま....。やっぱりマグゴナガル先生が仰っていた通り、闇の印で間違いなかったわ。あの腹黒豚もじきに教員達を引き連れて来るでしょうし、サッと見ただけだけれど...やっぱりリリーに関する事で間違いないと思うの、私に関しても。...何か血のようなもので書いてある文字だったわ。一度私が目にしたものと類似していて、でも子供が書ける高さではない位置にあったの。見たのはそんなところよ。
––2人とも変な顔をして、一体何？マグゴナガル先生の気をうまく引けなかったからかしら？ジェームズ、あなたってその意地悪な顔がテンプレなの？本当にパ...いえ、でも、私もそんな顔するのかと思うと...うーん。可憐で儚げで完璧な私の事だから、私が同じ表情を見せても天界から落ちた天使のようにしかならないわね、当然よ。.......そんなことは良いの。それで、この後はどうするの？先生達が集まれば動きにくくなるし、早くしましょう。ダンブルドアの部屋に行って部屋で待ち伏せするのか、「必要の部屋」へ行ってみるか、談話室へ戻ってリーマス達に今見たことを伝えるのか。ジェームズ、何をニヤニヤしているのよ、私今真剣に話をしているのよ、このハニー•ぽ、ハニーがね！



––事態は入り組んでて、本当は私が介入する事は良くないかもしれない。でも...失敗しても今ならまだやり直せるわ。でも、1回でも選択肢を間違えれば私は消える。そう考えながら行動しなければならないの。リリーを救えても私が消える可能性だって、無くはない。それは構わな...魔法界の未来的には構うけれど...。とにかく失敗は許されない。ジェームズ、シリウス。おふざけは抜きにしないと、私だけで無くリリーも、未来も失う事になるわ！なんて...今言っても分からないわね。でも、事態はそれぐらい深刻って事よ。追い詰めても仕方がないのだけれど、伝えておくわね。目先の事だけに囚われるべきでないわ、と言いたかったのよ。



皆さんこれをご覧下さい！ 本校にこのようなものがあるとは由々しき事態です。いいですか、生徒の安全を最優先に考え、生徒には伝えずに、この事は穏便に処理しましょう。いいですね？
それにしても...この「守護魔法は永遠に成らざるなり」とは一体どう言った意味なのでしょう、アルバス、貴方はお分かりで？兎も角これは消します。今から1時間程度これについて会議をする事とします。職員は取り急ぎ私の部屋へお集まり下さいね。



先生達行ってしまわれたわ。先生達もやっぱりあの文書の意味は理解していないのね。あの腹黒豚以外は。あの人こっちを見て笑っていたわ...！なんて腹黒なのかしら、分かっていてやっているのよ。––あの腹黒の意地悪豚は1時間は戻らないみたいだし、部屋にいても待ちぼうけね。その間に憂いの篩を覗くのもいいかもしれないけれど.....必要の部屋へまずは行くべきよね？透明マントは必要なさそうね。

大人が書いたであろう血文字、か。如何にも奴らが好みそうな演出だな。
ｶﾞﾌｯ、ﾜﾌﾝ､僕の様子がおかしいって？ いや別に何ともないんだハニー、この眼鏡が少しばかり変なことを口走っただけであって……だからそこにはどうかツッコまないでくれると、ﾜﾌﾝ。


あぁ、とびきりリディクラス級なことをずばり指摘してやっただけさ――君が気にすることはないよ、ハニー。
この僕の自信に満ち満ちた凛々しい顔がなんだって？ ほんの遊びで女装したらどこぞの伝説のジゴロが滅多にしない告白をしたくらいには……よせやめろパッドフット狂犬病にはなりたくないんだわかったから杖をしまえ。
この後は、あぁ、そうだな。ダンブルドアもしばらくは教師たちに捕まっているだろうから、その間に「必要の部屋」を探そう。君の考え、そしてこの僕の決定だもの、異論はないね？


――ハニー、僕の方からもひとつだけ伝えておく。リリーを救えたら君が消えたって構わない？　冗談じゃない。今回の事件には何やら死喰い人が関わっているようだが――魔法界の未来のためだろうと、ひとりの女の子を犠牲にしてそんなものを手に入れるようなことは、僕が許さない。……出会ったばかりだが、既に僕は君が赤の他人だという気はしていないし、何より君は――
……、とにかく、一手でも間違えると君が消えるというのなら、僕やプロングズはそれを回避するためになんだってする。こいつはエバンズのために動いているが、だからといって君を犠牲にするのを厭わないような奴じゃないんだ。ダンブルドアもどうやら訳知りなんだろう？　あのお方に翻弄されることにかけては、僕もプロングズも、ムーニーやワームテイルだってとっくに慣れてる。あの策士に課せられた重圧を、君１人で背負うことはない。だから……できるだけ、頼ってくれ。たのむから。

せっかく思いきった本音を零しかけたのに慌ててひっこめるなよ歯がゆい……そういうわけだ、ハニー。今魔法界の未来がかかっていようと、どんなに深刻な事態だろうと、この僕が今動いているのは結局エバンズの為――つまり、この事件は僕自身の事件でもあるんだよ。
女の子と引き換えに手に入れる未来なんて糞食らえだ、君本人がどういおうとね。僕の友人たる者にもそんな女々しい真似はさせないし、確認するまでもなく同じ意見の筈だよ。君自身も無事のまま、エバンズを見つけて助け出す――それが僕らの最大の目的だ。いいね？
そうと決まれば、ぐずぐずしていられないぞ。そうだな、教師たちもいなくなったから透明マントは閉まってしまおう。さぁ、『必要の部屋』のキャビネットを確認するんだ――あぁ、それと。
もちろんこれは悪ふざけじゃなく、至って真面目な話なんだけど。僕はなにぶん目立ちたがりでね、いつだって戦闘じゃないと気が済まないたちなんだ。場所さえ先に教えてくれれば先鋒は僕が引き受けるから、おふたりは僕の後方の警戒に回って、どうぞ？

そう、やっぱりこの時のシリウスって...、いえ落ち込んでいる場合じゃないわ。ほとんどこの可憐で高貴で儚げで伝説的な私の判断だし、必要の部屋へ向かう事に異論なんてないわ。


そうね、私を愛して私を護ろうとするのは人類としてもはや生まれた時から当然の行いよね。こんな時に一番豚がいたらもっと良い言葉を選んだでしょうね。でも、この私から紡がれた言葉が最高でない訳はないから、ロンなんて....。ハーマイオニーも、呼ばなくったって大丈夫だわ、、今は4人がついているもの。そうでしょう、ジェームズ、シリウス。...頼りにしていいのよね？
私は今は平気なんだから、今はリリーの事だけをかんがえましょう。ジェームズがエバンズ、エバンズ煩くて敵わないわ。それも仕方のない事だけれど...。いえむしろこうじゃなきゃ私も？
さぁ、早く必要の部屋へ行きましょう。出来れば戦闘は避けたいところだけれど、後ろにはまわっておくわね。本当なら下にいて欲しいところだけれど、今回だけは我慢してもいいわ。
.....もし、本当にピンチの時には、呼ぶわ。2人をね、、本当に頼れるの、心から。危険にさらしたくはないけれど、2人の事だから私の為なら喜んで身を投げるでしょう。本当に馬鹿なんだから。貴方達みたいにね。
ルーモス––光よ。 さぁ、行きましょう。この城の中に闇の魔法使いがいる可能性だって0じゃない...気をつけて。あの廊下の先に必要の部屋があるはずよ。強くイメージすれば扉が現れるはずよ。

あぁ、もちろん。吸魂鬼も裸足で逃げだすような僕だぜ？ 相手が死喰い人程度なら尚更どうということはないね、君や友人たちを片手で守ってもまだお釣りがくるさ。……それでも、君の言うロンとﾊｰﾏｲｵﾆｰも、きっと。君の力になれたら、喜ぶと思うよ。


あぁ全くだ、これがなかなかどうして、本人を前にするとかっこつけるしか能のない駄眼鏡なんだがね……
……良い友人たちなんだな、僕にとってのプロングズやムーニーのような。だが、馬鹿になってやりたいと思える相手がいるというのは幸せなことだ。その相手が君なら、尚の事そうだろう。
強くイメージを――成程。ここの壁側だな？ 「姿をくらますキャビネット棚」が置いてあると言っていたね。ホグワーツの魔法を欺くような魔法道具を押し込むくらいなら、きっと元の持ち主は『隠そうと』思って秘密の部屋を開いたはずだ。
『僕は隠さなければならない』『僕には隠したいものがある』『僕は……』……！ ――何もなかった、壁に、扉が。あー、ジェームズ。君が斥候を務めてくれるか。僕はハニーの足元を照らそう。……それでも、物が多すぎて足元が危ないな……ハニー、手を？

そうね、あの2人ならきっとそうだと思うわ。あの2人は私を信頼しているし、私もあの2人を信頼しているもの。持つべきは友よね、ジェームズ。........信じるべき友...。


そうね、女々しくスニッチなんかに名前を書くほどには駄目眼鏡ね。あんな乙女チックなんて笑ってしまいそうよ。普段下僕をヒイヒイ言わせてるとは思えないわよね。
––本当に現れた、中はどうなっているのかしら...？手....？あ、そっそうね！暗くて私が転びでもしたら豚達が心配して飛んで来る可能性もあるし！必要な措置よね...っ！えぇ、いいわ！
シリウス、何を隠そうと念じたの？強い気持ちでなければこの部屋は出てきてはくれない筈よ。



ジェームズ、あれ！キャビネットに見えない...？そこの大きな木製のよ。.......確かめるには入ってみるしか無いわよね？でも、姿をくらますキャビネットは私の予想ではボージンアンドバークスに繋がっているわ。その先に誰がいるかは....予想できない。それにもしこれが壊れていたら、姿現しで失敗するのと同じリスクを負うと....本で読んだわ。この時代に流行ったものだから恐らくは壊れてはいないはずだけど。待って、流行っているならどこに繋がるかわからないという事...？
どうするの、ジェームズ。リリーはキャビネットから連れ去られたとは限らないわ。それにまだ城内に死喰い人がいるのなら、いつまでもいないはず...つまり、ここへ戻って来るんじゃ...！