魔女 2018-02-13 12:58:54 |
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っ──!?
(このまま喰らってやろうか、と内心に出る欲望に従順になるのも悪くないと相手が恐怖を認めたのを聞けばニッと嗤うが、次に相手から出た言葉を聞けば驚いた表情で相手から飛び退いて「寂しい…?」と何が起きた分からないような表情で相手の言葉を繰り返しては、痛むことを忘れたはずなのに、なぜか胸が苦しくなり手で強く抑えながら乱れる呼吸を肩を動かして整えて。まさか、寂しいという言葉が出てくるとは思ってもいなかった。いや、1番驚いたのはその言葉を聞いて動揺している自分。なぜこんなにも、心が痛むのか。そもそも、これが心の痛みなのか正確には分からない。遥か遠い昔に、感情など置いてきた。全てを失ったあの日、声が潰れても泣き涙を枯らし、泣くことを忘れ、館を覆い尽くした茨のように心を閉ざし、ただ何時かこの命が朽ち果てる時まで孤独に生きる、そう思っていた。その間に、人間がもし訪れたのなら、忘れることは許されない憎悪のままに喰い殺そうとした。だが、今、そんな人間の言葉一つで動揺している自分がいる。ドクン、と鼓動が低く唸る音が聞こえたかと思えば、目は真紅に染まりその鋭い双眼で相手を見れば「私が寂しいだとっ…?お前に何が分かるっ!」と感情を爆発させたかのように風が吹き荒れ髪は真っ黒に染まり)
っ!?だ、だいじょう・・・なっ!?何が・・
(自分はこのまま殺されるんだろうなと思いある程度覚悟をするも自分の投げかけた言葉に一瞬驚いた顔を見せたと思ったら、そのまま後ろに飛び退き苦しそうに胸を押さえる彼女の姿をみては、やはり何かあるのだろうと、思い再び声をかけるも、さっきまでの空気とは思えないほど重くのしかかり何が起こったのか、ただ彼女の姿がさきほどとは違うことだけはわかり、『逃げろ』ただその言葉が体の本能あちこちから送られてくる。普通の人であれば、彼女の変わり果てた姿を見れば恐れ慄き悲鳴を挙げながら逃げていくだろう。しかし、自分の中では『助けたい』そんな思いがこみ上げてきた。「君に何があったかは、知らない・・・だけど、僕も君と同じ1人ぼっちなんだ」恐怖にまけないよう、震える足や手にグッと力を入れ、ただ彼女をじっと真っ直ぐに見つめながら言葉を投げかける。そう、自分も感情を持ったときから1人だった。そのためか、同じ1人でさびしい思いをしてる彼女を助けたいと)
何も知らない人間風情が…知ったような口をっ…!
(目の前の片手で簡単に捻り潰せてしまいそうなやわな人間の言葉一つにこんなにも動揺している自分が不思議でおかしくて、それがさらなる混乱を呼ぶ。目は真紅に、髪は黒に染まれば上記を吐き散らすように言うが、どこかその言葉を否定できない自分もいる。「寂しい」ということが正確にどういうことなのか、分からない。それとも分かろうとしていないだけなのか、それすらも今は分からない。ただ、その言葉が痛いほど胸に突き刺さり、気づけば真紅の双眼からポタリ、と一筋の涙が頬を伝えば床に落ちていき「っ──な、涙っ…!?」指先に触れる、忘れていたその感触。生暖かく、孤独な涙。もう、流すことは出来ないと思っていたそれは、自分の意思とは関係なく溢れ出して。両手で顔を覆うと髪の色が戻りフラフラとその場に膝を着いては「……っ、人間がっ……お母様を殺した人間がっ……」と独り言のように時々嗚咽を漏らしながら溢れる涙を手でゴシゴシと拭って)
・・・ん?収まった・・・のか?
(このまま、彼女に殺されてしまうのだろうか・・・と半ば諦めかけ、踏ん張ってるいるだけで精一杯な異様な雰囲気に耐えてるとその雰囲気がだんだんと薄れていることに気づき、再び彼女を見るとそこに先ほどのような姿に戻っており、泣いている姿が見えた。彼女は人間とは違うまた別の何か、さっきの姿をみると誰もがそう思うであろう。しかし、今では先ほどの恐怖とは違いそこにいるのはどう見ても同じ年代の女性にしか見えない。何も恐れることはないと思い、ゆっくりと彼女のほうに近づき方膝でひざまつきポケットからハンカチを1枚取り出して差し出しながら「悲しいことがあったんだね・・・とても辛かったんだね・・・」と優しく声をかけ、彼女もまた僕と同じ両親がいないなか生きてきたんだと1人で生きていく辛さは自分自身も共感でき、今の彼女の姿は昔の自分の姿を見ているようにも思い)
何でっ…こんな、人間の言葉にっ……心が痛くなるんだ…!
(涙がポタポタと流れ落ちるのを必死に止めようと拭っていると、目の前にハンカチが差し出され少し驚いたような表情で顔をあげ少年の顔を見上げて。その優しい声と表情が一瞬心に焼き付いた母親のそれと重なりこの人間は自分が知っている人間とはどこか違う。私の存在に恐れていても殺そうとしない。過去にみた人間は恐ろしい顔で、武器を持って襲ってきた。あれほど、仲良くなれると思っていた人間が牙を向いた。そして、お母様を殺した。だから、人間なんてどれも同じだと思っていた。でも、今目の前にいる人間は違う。そう思えた時には、自然と腕を相手に伸ばしそのハンカチを差し出す手を握って「……人間のくせにっ」とどこか拗ねたような口調で言えば相手の手をそっとどこかあどけなく握って)
はははっ…泣き止んだみたいだね、良かった。
(きっと彼女には自分以上に辛い思いをしてきたのだろう…そう思い思い立ってきた行動、余計なお世話になるかもしれないがそっと差し出したハンカチに彼女はそっけない対応するも手を握って来てくれる様子に最初は驚くもすぐに安堵するよう微笑み、先程まで怯えてた自分はまるで忘れたかのように今は彼女てをもう片方の手で握った後、前の彼女の姿と比べたら全くの別人にようにも思え少し愛らしいなと思った。「もし良かったら、君のこともっと知りたいな、僕はクロムって言うんだ。」彼女の事をもっと知りたい、そのような考えに次はなって突然の質問も少し失礼かもしれないと感じどこか遠慮をするように聞いた後、まずは自分の名前を名乗って相手の様子を伺う。
………セシル
(相手が名乗ってくると少し驚くも、相手は自分に臆することなくどこか心を許しているようにも見えて。だが、相手が名乗ったのにこちらが名乗らないのもどうかと思い、半ば場の空気に押される形でポツリと自分の名を口にしてから立ち上がり「…本当はお前を食ってやろうと思った後気が失せた」とそっぽを向きながら前記を言うと腕を組んで「扉は空いてる。逃げるなりなんなりすればいい……」とどこか悲しむような口調で言えば。館の扉がギィと音を立てて開き、そこには茨がまた門まで道を作っており。これだけ道を作ればこの少年も逃げ出すだろう。命を一つ助けてやるのも今回はいいか、と思い。これで、この少年とは合わないだろうと半ば寂しさを感じながらも視線は少年ではなく違う方を見ていて)
セシル・・・いい名前だね・・・
(きっと答えてくれないだろうと半ば諦めかけていたけども、彼女は小さな声だが名前を教えてくれたみたいで、その名を聞くと心からいい名前だと思い彼女に微笑みかけながらも名を褒めた。すると、すくっと立ち上がった彼女を見てこちらも同じように立ち上がったあと彼女の言葉に、やはり自分を食べるつもりであったのとその発言をする彼女は冗談にも思えず、やはり彼女は同じ人間ではないことを改めて確信した。『逃げるがいい』彼女の言葉の後に、扉のほうをみると先ほどまで閉ざされていた扉が開いており、茨もまた出口のほうまで道が開けているのが見えた。それに、驚き思わず扉のほうまで歩いていき、外を見つめる。きっと彼女の言う通りこのままここから、逃げてしまえば今まで通りの平凡な日常を過ごしていくであろう、そしてここへ一生戻ることはないであろう彼女とももう会うことはないだろうそんな気がした。しかし、彼女の見せた悲しむ顔あの涙をこのままほっといて逃げ出してしまえば一生後悔のまま生きていくことになるそんな気持ちになりながらの生活はきっと耐えていくことはできない、そんな思い惹かれ。小さく「よしっ・・・決めた」と意気込んだあと彼女方へ振り返り「セシル、1つお願いがあるんだ、僕もここで一緒に暮らしたら駄目かな?もちろん、タダでとはいわない、君の召使いとして何でも言うことは聞くし、邪魔だと思ったら僕を食べてもいい。」彼女が人間が嫌いだと言っていた、きっとこの願いは彼女にとっていい迷惑だと思うが駄目もとで彼女に聞いてみて)
ぇっ…今、何て……
(聞き間違いでなければ、今少年は「一緒に暮らしたい」と言った。せっかく、逃げるための道と猶予を与えたのに少年はどこか誇らしく優しい笑顔でそう言った。一瞬その言葉が理解できなくて思考が停止する。そのような言葉を言われたのは、生まれて初めてだったからだ。こんな化け物みたいな、というよりは実際に“普通の人間”からしたら化け物の存在である自分の側にいたい、と言う人間などいなかった。まだ、魔女がたくさんいた遠い昔は人間は魔女を聖なる使いとして崇めていた、と幼き頃にお母様から聞いたことがある。だが、魔女が数を減らしその力が脅威だと誰かが叫べば魔女という存在は、一瞬にして恐れられ虐げられ、蔑む存在となった。今では自分が最後の生き残りだと、お母様に言われた。そしてお母様が死んで、ずっと孤独に人間への憎しみだけを増やし、時には人間を襲い本当の化け物としての道を歩むのだと思っていた。でも、目の前にいる少年はそんな自分の側にいたいと言ってくれた。きっと、私の過去を知ればまた離れていくのかもしれない、だけど、一つ望みを言って良いのなら「……お前なんて、食べても不味いに決まってる」と相手の裾をきゅっと掴んでどこか照れたような口調で前記を言えばゆっくりと茨は閉じ、館の扉が重たい音をたてて閉じて「ぃ、今さら逃げたいなんていうなよ…そんなことしたらっ食べてやるからな」と意地やけるような、拗ねたような口調で言っては相手の裾から静かに手を離して)
逃げやしないさ!よろしく、セシル
(閉ざされていく扉を見ながら、自分の選択はきっと正しかったのだろうと少し誇りながら思うと、今更逃げたいなど、そんな言葉、考えすらもでてこずに仮にここで「今のはやっぱなし」なんて言ったらきっと彼女を怒らせてしまうんだろうなっと思いつつ、ここに留まる決意を改めて彼女の顔を見ながら笑う。彼女には人間を殺してしまいたいほど恨みをもっている、そんな彼女がいま人間であるこの自分を唯一残された自分だけの領域に居ることの許しを与えた。きっと、それは彼女が何かここから変わろうとしている、深く閉ざされた闇の中からほんの小さな光を見つけそこに向かって小さな1歩を踏み出したであろう、その光に向かって歩くそんな彼女の手助けに自分がなれたらいい。そんな思いを抱えつつも、どこからか、「くぅ~」っと気の抜けた音が聞こえその音は自分のお腹からというのが判明したあと、そういえば1日何も食べてないことを思い出し、「えっと・・・今後のこととか話しながら、さっきの食事の続きをしないかな?」と若干照れながらも1つ提案をしてみて)
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