……入ってこいよ(BL)

おう、おかえり……後少しで出来っから(帰ってきた相手をキッチンでグラタンの仕上げに掛かりながら出迎えて)ハンバーグだけじゃ足りねえと思ってよ……でも少し焦げちまったかも(既に出来上がったハンバーグはテーブルに並んでいて)

へぇ…美味そうだ。何か手伝うか？(上着を脱げばテーブルの上のハンバーグを見ては頬緩ませ。手を洗いながら何か出来ることはないかと訊ね)

あぁ、じゃぁグラタン用の取り皿とか並べといてくれると助かる。(直ぐ、食べれるようにと手伝ってくれる相手には、まだ用意されてない皿を頼みながら)……今日、電話した時昼休みだったんだな。仕事してたら切ろうかと思ったけどよ…弁当食ってくれて……サンキュ(少しぶっきらぼうに礼を伝え)

わかった。(指示通り皿を準備しながら)ああ…電話は予想外で少し驚いたが。(ふっと笑みを浮かべると、ぶっきらぼうながらも素直な相手の頭をぽんぽん撫で) 出来る時でいい。また作ってくれ。

……飯食って、暇だったからな何となく電話しただけだ仕事邪魔してねえなら良い。(相手の顔を見れば、昼間とは別の事を言い返しながら大人しく撫で受け)まぁ、たまになら作ってやるよ(少々得意気な表情を浮かべながら晩御飯の準備が出来て)

まぁお陰でやる気が出たけどな。(ふっと笑うと出来上がった様子を見、グラスに冷たい水を注げば待ち遠しそうに) 美味そうだな。見てたら腹減った。

やる気出んなら……また作ってやるよ(相手の言葉には嬉しそうにしながらテーブルに全て並べ終えると心做しかソワソワと落ち着かず)ちょ、待ってろ……やっぱ、今持ってくる(寝室に向かうと紙袋を片手に戻り)

…？何だよ。(漸く夕食にありつけると思った矢先、そわそわした相手が寝室の方へ消えて。訝しげにしていると何やら紙袋を手にし戻る彼。不思議そうにするも、程なくして閃いて) なんだ、お前も何かくれるのか？(羞恥を煽るようわざとらしくにやにやとしてみせ)

(寝室に隠して置いた紙袋を手にし戻ってくれば相手の手前に座り)これ……って、お前もって何だよ。もしかして誰かに何か貰ったのか？……チョコとか(相手に紙袋を差し出す手前、相手の言葉が気になり眉根寄せると紙袋に視線を遣り)

貰ったものは全部同僚にくれてやったさ。(やや不機嫌な表情を浮かべる相手を見てふっと笑い) …特別な気持ちはお前のだけでいい。

ばっ、バッカじゃねーの……んな、小っ恥ずかしいセリフ良く……サラッと言えるよな。(相手にサラッと言われた発言には顔を赤らめながら後ろ手に隠した紙袋をズイっと相手の顔の前に持ってきて)やるよ……たまたま、何か良い感じのあったから買ってきた！(紙袋の中は綺麗にラッピングされたネクタイと万年筆が入っていて)

本心だ。文句あるのかよ。(そこに羞恥など微塵もないらしく不敵な笑みを浮かべ) ……ヘェ、なかなかいいデザインじゃねぇか。(何処と無く嬉しそうに受け取ると早速中を確認し、満足そうに述べ。ネクタイを手にすると早速器用に結び、似合うかと見せつけて) …どうだ？

……ねーけど……うっせえ聞くな！(余裕無い自分は顔を赤らめたまま精一杯反論しながらも相手が自分のプレゼントを身に付ける姿は、マジマジと見つめ)ふ、ふーん……結構似合ってんじゃねえか。まぁ、たまたま見つけた奴だったからな！(何店舗の店を回って探した等とは到底言えずネクタイ姿の相手を暫く見つめ)

たまたまね…。(ある程度察したのか何か言いたげな眼差しを送っていたが、ふっと笑みを溢し。ネクタイを緩めると万年筆と一緒に大事そうにしまい) まぁいい、礼を考えないとな。何がいい？

礼……？別に礼が欲しくてやったんじゃねえし……(礼と言われ暫く考えると相手をチラッと見れば)じゃぁ……俺を、抱きしめろっ(半日会えなかった事で相手に抱き締めて貰いたいのか、ぶっきらぼうな言い方で両腕少し広げ待機し)

俺に向かって命令かよ。仕方ねぇな。(命令形にも関わらず可愛く思えてしまいクツクツと笑えばそちらに向かい、ぎゅっと抱き締め軽く口づけ) …続きは後でな。折角作ってくれたご馳走が冷めるしよ。

う、うるせえ……別に命令じゃねえし。お前が礼を考えろって言ったんだろ……っん、(抱き締められ相手の胸元に顔を埋めた後、口付けには頬染めながらも名残り惜しそうに離れて)今日の、ハンバーグは上手く焼けたんだぜ？(若干焦げと形は少し歪だが前回よりはマシな方で)

(離れる際に頭を一撫でし、自分の席に着き改めてハンバーグを見つめ) まぁ焼き加減は良さそうな感じだな。形は相変わらず歪だが。…いただきます。(言葉とは裏腹に楽しみなようで、頬を緩めると挨拶をし早速ハンバーグに手をつけ)

…おい夏、体調崩してねぇか？忙しいだけならいいが…ここ数日寒かったからな。少し心配になった。
落ち着いたらでいい。顔見せろ。

お前をずっと待っていたいが、お前の負担にはなりたくねえからな。この辺で潔く諦めてやるよ。

短い間だったが、お前との時間楽しかった。俺には勿体無いくらいお前は可愛かったよ。これからもっともっと愛でてやりたかったが……気に入らない部分があったなら悪かった。
──…ありがとう、夏。(ぎゅっと抱き締めると頭を撫でながら暫くその温もりに浸り。名残惜しそうにそっと離し) じゃあな…元気で。(頭をぽん、とするとその場をあとにして)