❀✿ 審神者養成学校 ✿❀　

　（ >>33 ）　物吉

　（何処ぞの鶴丸国永では無いが、頭の隅に燻っていた頑固な睡魔が吹き飛ぶ程には驚いた。随分と毛嫌いされているものだとばかり思っていたが、優しい所も有るらしい。対面してから日が浅い、相手の新たな一面を見付けられた高揚感に口元がゆるり、小さく歪み。──にしても、自分より背の高い自分をどう運んだのだろうか。ふと過ぎる疑問に直ぐ様声を出す事が出来ず眉を寄せ。
「 ──え、物吉が落ちてきたの。 」まさかの展開に開いた口が塞がらないとはこの事か。逆光により顔までは見えなかったものの、その場に居たのが候補生ばかりと云うこともあり。てっきり候補生が落ちてきたのだとばかり思っていたが。──まあ、物吉に怪我が無ければ…。そんな考えが過ぎり、ハッと顔を上げて。自分は頭を打っただけだが、相手はどうだろうか。「 ──物吉、ちょっと待ってろ。 」そう言うや否や、草履を突っ掛けカーテンを押し開き、つかつかと歩み寄れば相手の両肩に手を置いて。上手く言い表せないといった表情を浮かべながら相手を見遣り。）

──怪我は。物吉に怪我は、無かったのか…？


　（ >>34 ）　天鵞絨

──襷掛け用の紐をな、没収されてしまったんだ。
　（自分より幾許か背の高い、すらりとした容姿の男はどうやら後輩らしい。異国寄りの垢抜けた容姿は随分と整っており、候補生達が色めき立っていた事を思い出す。茶目っ気のある笑顔すら様になるのだから、身内で囁かれる噂も強ち間違いとは云えぬ様で。──にしても襷掛けはそんなに有名なのだろうか。ふと頭の隅で考えつつ、そんな彼が話し掛けて来る事が珍しく、何事かと思えば。
落としてもその場に捨て置かれる方が多い一枚の布切れはやんわりと掴まれており、相手が紳士的な人物だと示すには十分な対応で。「 嗚呼、大切なものなんだ。──ところで、だな…。名前、を教えて欲しいんだ…。 」ふふ、と仏頂面に仄かに滲ませた笑みは嬉しさから成る表情。頬面を外した鳴狐から手渡された時の事を思い出す。お供の狐が早口で説明して、鳴狐に咎められていたなぁ──。そんな表情も直ぐ様形を潜め、口元を一文字に結んでは頬を掻く。失礼だと分かってるんだが──。ふいと気まずそうに目を逸らし、ぽつりと後述を告げて。）


（＼有難う御座います…！過去云々につきましてはお気になさらず！此方も所々捏造を含める場合がありますので、同様に対処して頂ければ幸いです。）