匿名 2018-01-06 11:59:25 |
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知り合いの話です。
その日、出張で大阪のとあるホテルに泊まっていたその人は、することも無かったのでテレビを観ていました。
ベッドに寝転がってボーっとチャンネルを回していると、あるバラエティ番組で心霊写真の特集をやっていました。
怖い話が好きでも嫌いでも無く、また、特段怖がりでも無かったその人は、消去法でその番組を観ることにしました。
どれもこれもパッとしないな、と思いながらダラダラ観ていると、とある一枚の写真が目に留まりました。
その写真の内容は忘れてしまいましたが、特に他の写真と変わらない一枚だったそうです。
ですが、その人は何となく「これ合成なんだろうな」と思ったそうです。
そしてその人は、これまた何となく口に出したそうです。
「あ、これ偽物じゃん」
すると、ベッドにうつ伏せになっていたその人の、背中の上辺りから、
「違うよ」
と男の声がしたのです。
その部屋には他に宿泊している人はいません。
ですが、余りにもクリアーに、はっきりと、その声は聞こえました。
確実に背中の上辺りから聞こえました。
テレビの声ではありません。
重さこそ感じませんでしたが、誰かがその人の上に跨っているような感じです。
その「違うよ」は雑談でもしているかのような普通の調子で、その人も驚くというより「え?」と呆気にとられてしまいました。
そのまま二分ほど固まって、それからゆっくりと振り向くと、そこには誰も居ませんでした。
変わった気配や嫌な感じも何も無く、その人は怖がり損ねたような不思議な気持ちできょとんとしていました。
ただ、もうその番組は観る気が起きず、別の番組にチャンネルを変えて、その日はテレビをつけっぱなしにして寝たそうです。
それからもおかしなことは起きず、その人の人生の中では、今の所これが唯一の怪談じみた体験だったそうです。
その人が言っていました。
「テレビとかでああいう写真や動画を見て、偽物だって思ってもそれを声に出しちゃダメなんだね。思うに留めておかないと。あんたも気をつけな」
以上です。
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