◆狸 2018-01-01 00:20:57 |
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( 時は現代。妖と人が世界を住み分けてから既に百年以上の時が過ぎ、互いの世界に干渉することなく二つの種族が伝説として言い伝えられ始めたころ。
君はどこにでもいる普通の人。しかしそれは見た目だけ。君は昔から、人じゃないものが見えていた。" 妖 "と呼ばれるそれは隙さえあれば君に話しかけようとしてくる。いつでも、どこでも。しかし君は知っている。妖の中には言葉巧みに人に近付き喰らおうとするものがいることを。そのため、君は今まで妖の存在を見えないものとしてきた。――― しかしある日、突然目の前に現れた俺は君を守るべく人の世にやってきたと君に告げた。俺の話を聞くに、どうやら最近妖の世界で君を喰らおうとするものが増えてきたらしい。その理由は単純明快で、その昔、人にも妖にも名が知れた巫女がいたが、その生まれ変わりである君を喰らうと人と妖を統べる王となれるから。だがしかし、君を探して喰らうおうとする妖がいる一方、君を守り世界の秩序を保とうとする俺のような妖もいる。後者の妖は異端者と呼ばれて前者の妖と対立しているのが妖の世の現状だ。 )
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―――― それで、ここからが本題なんだけど、君はまだこの世で生きていたいだろう? それで、俺たちは君を生かしたいと願っている。 俺が何を言いたいか、分かるかい? … そう、君と俺たち異端者は利害が一致している。だから、異端者の代表として俺が君に接触して、君を守りたいと言ったんだ。俺たちが近くにいる限り君の安全は保障するし、君が望むのなら一生傍にいてもいい。 … あ、いや、すまない、これは俺の独断だし、そもそも君は祓う力を持っているから俺なんていても居なくても一緒だと思うけど …… と、ともかく、俺たちは君を守るために人の世に来たんだ。君が許してくれるのなら、傍に居ても良い … かな ?
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もし構わないのなら、もう一つ君に言っておかなければならない話があるんだ。それは … もしこのまま君を狙う妖が減らないようなら、君は何れ妖の誰かと " 契約 " を結ばなければならなくなる。それは、君のためでもあり妖のためでもあるんだ。 妖は其れぞれ色んな力を持っているけれど、人の世でそれを使うためには妖の世以上に気力が必要になる。妖の世では仲間からその気力を互いに補うんだけれど … 人の世において " 仲間 " とは " 契約者 " のことを示すんだよ。だから、契約を結ばなければ妖は気力を補えないから満足に君を守れなくなるし、君はそのことによって命を落とす危険だってあるんだ。だから契約は必須、… でも、この契約はどちらかが死ぬまで有効で、その、つまり、" 一度契約すると死ぬまで離れられない " と考えてくれ。だから、えっと、誰と契約するかは勿論君の自由だけど、よく考えてからするんだよ。 君を守ってくれるといっても、異端者は異端者。言って良いのかわからないけれど … みんな、変わってる。契約をした以上は守るけれど、気に入られたら君は彼らの縄張りに " 神隠し " されてしまうかもしれない。 ――― ああ、すまない、怯えさせてしまったかい。えっと、大丈夫、変わってるけどみんな良いやつだし … どうか、後悔のない選択をしてくれ。
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