◆　燃え爆ぜるニューヨーク　◆

「嬢ちゃん、それを俺に寄越しな。──真っ黒な骨になりたかねぇだろう？」

「……うるせえ、いいからこのままで居させろ」


◆ 影島 恭一郎　Kageshima Kyoichiro

　　──黄色い放火魔 “The Yellow Fire Bug”

◆ 41歳 / 男 / 日本人 / 不法滞在

◆ パサついた黒髪。目尻に皴の刻まれた、切れ長な瞳は鳶色。普段は衣服に隠れているが、胸元や背中には広く火傷の痕が目立つ。それを除いても年相応に乾き傷んだ肌だが、180cmの長身痩躯で、肩幅があり、手足が長く、スタイルは良い。黒いライダースジャケットを羽織り、口元には常に咥え煙草。枯れかけていながらもどこか飄々とした雰囲気を身に纏う。しゃがれ声。

◆ 前科400犯の大犯罪者。本人単独だけでも脅迫、暴行、殺人、遺棄、詐欺、密売、 強盗、その他ありとあらゆる犯罪に手を染めており、矯正しようのない天性の犯罪者気質であることから、日本では死刑、アメリカでは終身刑が確定している。
　 中でも際立って多いのが「放火」。どうやら炎を崇拝する異常性癖者らしく、建物や車、また生死にかかわらず人間をも派手に燃やす。記録された数少ない犯行映像の中に火を自在に操る姿が映っていることから、ネット上ではパイロキネシス持ちだとの噂だが、真偽は定かではない。

◆ 日本でも放火魔として元々悪名高かったが、20代のころに数年間消息を絶つ。その後、アメリカにアジトを置く世界的なテロ組織に加わっていたことが明らかにされ、アメリカを拠点に12年間、テロリストとして世界中で破壊行為を行った。
　 しかし現在は組織を抜けたらしく、拠点だったニューヨーク周辺にて、再び単独の犯行を繰り返している。ＦＢＩやＮＹ警察にはもはや顔馴染みにすらなった因縁の刑事が複数。

◆ かつてのような「ただ純粋に楽しむための」自由な犯行を本人も謳歌しているものの、実は「テロ組織を抜けた」というのは半分嘘。組織の仲間ではなくなったが、現在の単独の犯行は、ワシントンＤＣで近々起こる大規模なテロからＦＢＩの注意を事前に逸らすための攪乱行為であり、いわば囮となっている。
　 しかしながらどういうわけか、指名手配されており、ネット上に顔写真が出回っているというのに、街を普通に出歩いていてもあまり気づかれることがないらしい。

◆ 基本的には冷静な一匹狼。独立独歩の精神を持ち、ハッキングから船舶による航行まで一通りのことができるが、男のさが故か料理などの家事はいまいち。また散々派手なことをしてきながら逃げおおせ続けたわりに、妙なところで慌てたり狼狽えたり、そんな自分にキレたり、しかも少女と過ごすうちにそんな人間臭いところが少しずつ増えていく。
　 錆びれた安宿、高級ホテル、あるいは被害者宅などを転々とする生活。静かな夜には、どこからか買い付けた日本酒を啜って過ごす。
　 刑事に銃口を向けられながらのんびりハンバーガーを食べる、殺した被害者の家で悠々と過ごすなど、大胆を通り越した不気味な精神の持ち主。警察に追われることを楽しんでいることから、自分の命を賭けた状況に生の喜びを見出す傾向がうかがえる。

「（通常の台詞）」

「（仄かに甘い台詞）」


◆ （名前　Yomigana or Spelling）

　　（──あれば異名）

◆ 年齢（14～19歳） / 女（固定） / 人種（白人・ヒスパニック・日本人） / アメリカ国籍持ち

◆ （美しい、あるいはこれから美しく成長することを予感させる容貌 / 非現実的な容姿ではない / 年齢相応であれば身長は自由）

◆ （生まれついての泥棒。「刑事である厳格な父親への反発で」「貧困な家庭や暴力を振るう家庭の養育者に命じられて」「そこから家出してきて生活するために」「ただそれが本能だから」など、境遇や経緯は様々だが、既に数えきれないほどの盗みを犯している。罪悪感の有無は少女によりけりだが、自分が泥棒としての天性の才能に恵まれた異端者であることへの自覚だけは共通。少女によっては自分なりの哲学も持っている。）

◆ （放火魔と出会い、彼と行動することになるが、数々の犯罪を犯してきた正体を知ってもさほど動揺せず、本来抱くべき忌避感も抱かない。「放火魔がそこまで悪い人間とは思えなかったから」「彼女自身が犯罪者だから」「実は影島をも遥かに凌駕する犯罪者的資質が潜在しているから」「身近に殺人者のいる境遇で育ったため違和感などないから」など、理由は様々。）

◆ （昔から、あるいはここ最近はＮＹで暮らしている。単独で、家族と、あるいは同年代やコミュニティの仲間と、などの境遇は少女によって様々。）

◆ （目的はどのようなものであれ、また日常でそれが締める割合が低くとも高くとも、「盗みの才能を積極的に使う」という普通ではない感覚を持つため、同年代の普通の少女とはどこか違ったところを持つ。）

◇ （ロルテ：設定・場面自由。希望制であり、なくても大丈夫です。）

“眠らぬ街”ニューヨークを近年震撼させている男、「黄色い放火魔」こと影島と、ふとしたきっかけで彼と出会った、「天性の泥棒」としての一面を秘める少女の物語。

初期の舞台はニューヨーク固定。そこから内容次第でアメリカ各地に移るでも、世界を飛び回るでも、日本に向かうでもＯＫ。

「虐待していた両親を、ふらりと現れた影島が殺した」「刑事に撃たれ衰弱していた影島を、同じ犯罪者の匂いを嗅ぎとった少女が助けた」「少女の生き別れた父親は影島がかつていた組織のボスであり、彼に命じられて少女を探していた」など、ふたりの出会い方は様々。

「行く当てのない少女を、一流の犯罪者として影島が育てる」「影島に連れ添うように少女が彼の右腕となり、ふたりで逃避行を図る」「少女に借りを返すため、彼女の望みを影島が叶える」「ボスに命じられて彼女を殺さねばならないはずが、穏やかな日々を送ってしまう」など、ふたりが辿る道のりも様々。

恋人関係、愛人関係、親娘関係、師弟関係など、ふたりの深める関係も様々。


ロルは200字以上、最低で週に１度のペース。

「若く瑞々しい少女」と「枯れて傷んだ男」の物語に需要があることを願いつつ。



◆　レス解禁　◆

素敵な世界観に惹かれやってきました。
Keepが出来るのならさせて頂きたいのですが大丈夫でしょうか？

( / 「刑事に撃たれ衰弱していた影島を、同じ犯罪者の匂いを嗅ぎとった少女が助けた」というところからスタートして、「影島に連れ添うように少女が彼の右腕となり、ふたりで逃避行を図る」or「少女に借りを返すため、彼女の望みを影島が叶える」といった感じのストーリーで参加希望です！関係性は最終的に師弟とはいえないが、恋人ともつかぬ関係が1番良いなと思っております。

希望者様が他にもいらっしゃる為、お断りいただいても構いません。ただ影島さんにとても惹かれまして...よろしければ御一考ください。 プロフ選定してくださるのであれば、お声掛けお願いします！ )

＞４様

（／閲覧ありがとうございます。恐れながらKeep制ではなく、PF選定式とさせていただいております。そちらの明記を失念しており申し訳ございません…！ もしそれでも大丈夫でしたら、PFとご一緒に再びお声がけ下さると幸いです。）


＞５様

（／閲覧、及びご希望をお伝え下さりありがとうございます。物語の大筋や関係の方向のご要望をお聞かせいただけてとてもありがたいです…！ 明記し忘れてしまっておりましたが、匿名様の仰る通り選定式ですので、是非PFをお持ち寄りいただけるとありがたいです。）


◆追記

◇ PF選定式。相性重視とさせていただいております、ご容赦くださいませ…！

◇ 最初にお声がけいただいた時から「24間以内」を一応の提出期限とさせていただきます。お忙しいようでしたら＋24時間の延長も可能ですので、ご検討ください。募集の締め切りは状況に応じて臨時に行います（僭越ながら、現在は募集中です）。

◇ ＞２の「◆」（項目）は、自由に増減可能です。ある程度こちらでお願いしている設定もございますが、性格や備考、過去、様々な要望など、思いついたことなど、是非ご自由にお書きくださいませ。

(／初めまして。素敵なストーリーに惹かれ、是非お相手として立候補させていただきたく思いpfを作成している最中でございます。つきましては早速不躾で本当に申し訳ないのですが、テロ組織に纏わる創作と窃盗の内容に関してお伺いしたいことがございます。お手数おかけ致しますが、お手すきの際にでもご回答いただけると幸いです。
まず、「アメリカの大手製薬会社に対し、件のテロ組織が恭順しろと脅しをかけ傘下に収めた」という設定を作りたいのですが、この時点で何か不都合等はないでしょうか。詳細はpf内に記載するつもりですが、「製薬会社を手中に収めるにあたってテロ組織側が人質を要求し、一社員であったこちらのPCに白羽の矢が立つと殆ど騙されたような形で組織に引き渡され人質としての生活を送る」という筋書きを想像しています。出会いは、警察に撃たれて・犯行中ミスを犯してなど何らかの形で負傷した影島さんが、組織の支配下となった製薬会社が管理しているNYの生薬園へ命からがら転がり込み渋々療養中、人質としてやってきた少女と知り合うといったような感じでも大丈夫でしょうか……。テロ組織が製薬会社を手に入れたがった理由は生薬ではなく毒薬の方―――薬にも劇薬にもなる毒草の、安易で素早い安値な入手が目的ということにすれば現実味があるかなと考えています。拙い説明で申し訳ありません。わかりづらい箇所などなかったでしょうか。
また、窃盗行為は家庭や職場内のみにおけるものでも宜しいのでしょうか？生きるために必ず必要としているわけではないような盗みなので、その分初犯の年齢を低く設定し犯行回数を膨大にしようと考えているのですが、どうでしょうか……。お気に召さない場合は遠慮なく仰っていただいて構いませんので、ご意見お聞かせ願えたらと思います。)

＞７様

（／初めまして。閲覧、及びご希望をお伝え下さりありがとうございます。
製薬会社とテロ組織の関係、その動機についてですが、不都合等は全くございません。リアリティある具体的な設定を作ってくださり、ありがとうございます…！

ただ一点、「一社員であったこちらのPCに白羽の矢が立つと殆ど騙されたような形で組織に引き渡され人質としての生活を送る」とありますが、少女は単に社員の家族というのではなく、10代の若さで既に研究員として働いていた、ということで宜しいでしょうか？ アメリカは特異な才能社会ですので、もちろんそちらでも大歓迎です。

「泥棒少女」の「泥棒」の部分についてですが、「家庭や職場限定の、必須の生活手段としてではない盗み」でも全然大丈夫です。ただ、これまでの人生で「盗み」という手段に何かしら頼ってきたこと、「盗み」が行動の選択肢のひとつに自然と入ることがあること、盗みの勘を持っていること、などを念頭に置いていただければ嬉しいです。

長くなってしまいましたが、回答になっていれば幸いです。「最初にお声がけいただいた時から24間以内」とさせていただいているため明日の朝までとなってしまいますが、PFを楽しみにお待ちしております。）

( / >5です。 大変申し訳なく、また残念なのですが今回の参加は辞退させて頂きます。何日か忙しい日も続くことや、この先も週に1度200字以上を厳しく感じました。ストーリーも人物も素敵で、是非参加させていただきたかったので残念ではありますが主様に良縁がありるトピが盛り上がることを祈っております！ またどこかで機会がありましたらよろしくお願い致します。 )

(／>4の者です。24時間後の22:43という約束の時間に間に合いそうにありませんので大変申し訳ありませんが延長をお願いさせて頂けないでしょうか？)



「 御機嫌よう、ミスター？貴方を攫いに来たの。その力、私に貸しては頂けない？」 


「…言葉にしないと伝わらない？鈍感なのね、貴方。でも、そんな所も嫌いじゃないわ」 


◆ Vera・Losev （ヴェーラ・ロセフ）

◆ 18歳 / 女 / 白人 / アメリカ国籍持ち 


◆
白人らしく彫りが深く、すっと通った鼻筋。眉は意志の強さを表すようにキリッと眉尻があがっている。長い睫毛に縁取られた瞳はエメラルドグリーンで、幅の広い二重が瞳を大きく見せる。ルージュで色付いた唇は薄く、普段より口角が緩く持ち上がっており、初見は愛想の良い印象で受け取られやすい。ストロベリーブロント色の髪は、緩く波打ち背中中程の長さ、泥棒業をする時は邪魔にならないよう、編み込みアップスタイルに纏めている。普段は淑女らしく清楚な白を基調としたワンピース、全体的に花があしらわれ、長い袖やスカートの裾に透け感、長さはミモレ丈のものが多い。泥棒業をする時は黒のピッタリしたレザー調の服、動き易いようにパンツスタイル。身長は172cm、過酷な場所へも潜入する事からしなやかな筋肉がついており、細身。


◆
元々貧民層の出であり、幼い頃から生きる手段として盗みは常套手段。5歳の時に借金に首の回らなくなった両親に影島が所属していたテロ組織に売られる。其れからは主に政府やFBIから極秘情報を盗む事が主となる。ハッキング、変装、声真似など盗みに関連する事ならばお手の物。泥棒としての天性の才能は神からの贈り物であると思っている。光る宝石に目が無く、仕事がない時や仕事のついでに良く富裕層の邸宅に忍び込んでは宝石を盗んでいたりする。盗んだものは己のコレクションにする他、お眼鏡にかなわなかったものは気紛れで貧民層にお金へ変換してばら撒く、といった義賊紛いの行為をする事も。


◆
テロ組織に在住していた頃より彼の事は知っていた。己にはない才能を持つ彼に前々から目を付けており、組織上層部の目を掻い潜り接触しようと試みていた。理由としてはテロ組織を裏切り、崩壊を目論んでおり、其れに彼の手を借りたいと思っていたから。崩壊を目論んでいる理由としては、表向き組織が懐深く隠し持つ古代の宝物。実際は幼い頃より組織のボスに良い様に弄ばれており屈辱を晴らすため。


◆
組織の仕事で世界中を飛び回っていたが、現在は長期の仕事を終えた事でNYにある一人暮らしのマンションに身を置いている。表向きは市内の学校に通う女学生、実際には籍のみ所属、その籍も赤の他人のもの。近隣住民には都会に憧れて家元を離れてNY市内でアルバイトをしながら学業を頑張っている学生で通しており、愛想も良い事からすれ違う際には立ち止まって挨拶をする程度には顔見知り。其れ以外の国にも色んな顔、人種に扮して籍を置いていたりする。


◆
盗みイコール生きる事であり、罪悪感はない。殆どゲーム感覚のように楽しんでおり、所有欲が満たされることに一種の幸せを感じる異常者。お金、宝石は自分を裏切らないものだと思っており異常なまでの執着心を見せる。その反面、人に対しては何処か冷めており、本来は信頼など抱く事はないが、影島と共に行動するようになると、徐々に彼に対して気持ちを開き始める。
◆
プライドが高く、仕事に対して完璧主義者。仕事柄色々な人物になりきる事が多く、演技力はお墨付き。過去に政府御用達の料亭にも潜入した経験があり料理もお手の物。手先が器用で元々そこそこのものならば作れていたが完璧を求める故に、影の努力家でもある。巧妙かつ慎重に準備を行って仕事に挑むタイプだが、時には想像も出来ぬほど大胆な行動をとる事もある。


◇ 

（ニューヨーク市内、住処にしているマンションの一室。テーブル上に置かれたパソコン画面にはある組織の内部のリアルタイム映像が流れている。白いティーカップに注がれた珈琲は美しい琥珀色と漂う香ばしい匂いが魅力的だ。そっと細い指先を滑らせ把手を待ち、傾けたカップに唇をつけ喉を潤す。映像内の人物は己が盗撮されているとも知らず、呑気な顔で作業している。彼の指や目線の動きから、必要な情報を読み取って。艶やかにルージュで彩られた唇は、優美に弧を描き笑みを深くする。着々と整いつつある準備、後は最も高い成功率を計算して弾き出し曜日を決めるだけ。パチリ、と軽い音と共に電源は落とされパソコン画面は真っ暗に。くっ、と組んだ手を頭上に上げ凝り固まった筋肉を伸ばしては、部屋を後にして。さて、気分転換に買い物でも行くか。気分の赴くままにマンションを出て人で賑わうショッピングモールへと足を運び）


（/参加希望のお声掛けはしていないのですが、PF選定式との事で、候補の一つに入れて頂ければと思います…！）

＞９もとい＞５様

（／ご丁寧にお伝えいただき感謝いたします。短い間だけでもお話できてとても楽しかったです。お声がけくださりありがとうございました、其方様のより良いなりきり生活を心よりお祈りしております……！）


＞１０もとい＞４様

（／ご連絡ありがとうございます、畏まりました！　＋２４時間として、明日の２３時頃までお待ちしております。）


＞１１様

（／初めまして、当トピ閲覧およびＰＦ提出ありがとうございます！　なんとも妖艶でしたたかな女泥棒様……映画のヒロインのような大物感にわくわくが止まりません。恐れ入りますが、暫しの間お待ちくださいませ。）

「あの、お願いをしてもかまいませんか。私の好きなものを、ここに植えてもかまいませんか」

「あなたが好き――ずっと好き。あなた以上の人はいないと、私、確信してるんです」


◆ナオ・ジョーンズ　Nao Jones

　―――取り換え子 “Changeling”

◆19歳 / 女 / 純日本人 / 日本籍→アメリカ籍

◆癖一つない濡羽色のセミロングヘアー。左眉の真ん中辺りで分けた前髪は顎下まで伸びていて、片側のみを耳にかけている。小さな頭に引き締まったフェイスライン。肌は陶器のように滑らかで象牙のように白く、夜空の如く黒い瞳が見る者の目を奪う。二重瞼の下で上を向く長いまつ毛に縁どられていて、女性らしさがありつつも聡明な印象。筋の通った鼻はすらりと高く、桜色の小さな唇とのバランスが良い。とどのつまり、どのパーツをとっても美しい非常に整った顔立ちをしている。体の線は細く、小枝を集めたような指に細長い手足と華奢な体躯で頼りない。動きやすいという理由でよく膝丈のワンピースを着用している。暑い時期には白やアイボリー、寒い時期には黒やブラウンのものが中心。また生薬園用のサンダルに素早く履き替えられるよう、着脱に手間取らないパンプスの類を好んで履いている。装飾品は身に着けていない。身長は160cmほど。透き通るような落ち着いた声をしている。

◆推定10歳の頃、下の名前以外の記憶があやふやな状態で日本国内を彷徨っていたところ、ナオという名の10歳の娘を亡くしたばかりの夫婦に保護された得体の知れない孤児である。後に正式な手続きを踏み養父母となったその夫婦は、アメリカに本社を置くとある製薬会社の契約農家であった。彼らがきっかけで薬草に興味を持ち、11歳頃から栽培の手伝いを始めるが自分が手を出して良い範囲の薬草では満足できず、子供には扱いが難しいからと触らせてもらえなかった薬草を盗み自分の部屋で栽培していた。
　高校卒業後はその製薬会社が所有している日本の生薬園に就職し、盗みの場を家から職場へと移行。研究員の資格を持っているわけではないのであくまで薬草を育てることを任されているだけの管理人だが、その知識欲に背中を押されるまま商流に乗る前の薬草をちまちまと盗んで持ち帰っていた。目的は勉強、研究。善良なスーパーから食品を盗っているわけでも銀行から他人のお金を盗っているわけでもない、ただ己の知識欲に従い勉強の材料分けて貰っているだけだという感覚なので、そこに罪悪感はない。家庭内での盗みの延長という意識がそれを助長しているやも。しかし生きるために強いられている仕方ない窃盗などでは決してないので、たちは余計に悪い。個人規模では手に入らないような希少な物を少しずつ、だが総合すると余りにも大量に持ち帰っているが、気付かれたことはただの一度もない。組織としての規模が大きいからバレにくかったわけでも運が良かったわけでもない。狭い家庭内でさえ疑いをかけられたことだってないのだから、それはもう才能としか言いようがないし、第一、盗みを働いた回数は既に「運が良かった」等と言えるような可愛い範囲ではないのだから。

◆本人ですらはっきりしていない過去と、家庭内から始まり段々と規模が大きくなった窃盗。一度もバレたことがない故に誰にも止められなかった悪事はしっかりとナオを可笑しくして、自分以上の犯罪者を目の当たりにしてもどこか他人事のよう。大事なのは目の前に立つその人の今であって、過去など関係ないと思っている。

◆NYに本社を置く大本の製薬会社は、ペンシルベニア支部の倉庫を消し飛ばし社長の家の写真を送り付けられるというわかり易い手段で件のテロ組織に脅されていて、最近止む無く降伏した。大手製薬会社の倉庫の一つが突如機能しなくなったというニュースは瞬く間にアメリカを駆け巡り、日本支部で働く者たちの耳にもすぐに届く。社長は倉庫の移転だと発表したが、移転先を頑なに公開しないことからそれが偽りであることは火を見るよりも明らかだった。しかし頑なに移転だと主張し続け、それがあまりにも頑固なので世間の関心はすぐに他へ移る。
　騒ぎの最中、組織は製薬会社に対し恭順と労働、それから金銭と人質を要求。アメリカで共に働く仲間たちを引き渡すことを躊躇った社長は、立場の低い日本支部所属かつ特殊な経歴を持つナオに目を付け「すぐに渡米して私の養子になれ、でなければ日本支部を廃止する」等とめちゃくちゃな脅しをかける。日本支部で働く人間全員の生活に揺さぶりを掛けられては逆らうわけにいかず、また孤児であった自分を慈善事業のダシにして株の回復を図りたいのだろうなと予想をつけ、そう深刻にとらえていなかったナオは割とあっさり渡米を決断。それからはあれよあれよという間に籍を移され、気付いた日には「これがトップの孫です」とテロ組織に身を引き渡されてしまっていた。
　現在は一も二もなく生殺与奪権を奪われた人質兼、テロ組織の所有物と化した生薬園の管理人となり、何の身分も保証されずに生活している。NYの生薬園は本社所有の森の中に屋敷と共に存在していて、ぱっと見では庭付きの豪邸のようにしか映らない。が、やたらと広い庭には薬草ばかりが植わっているので、見る人が見れば異様である。屋敷は研究員が住み込みで働くためにあつらえたもので、本社はまた別の場所にある。

◆自らの盗みを犯罪と思っていないきらいがある。そこに“学びたい”という崇高な正義がある限りきっととどまることを知らない。そのめちゃくちゃな価値観と今まで一度もバレたことのない盗みのテクニック以外はごくごく普通の少女である。礼儀正しく、素直で賢い。しかしそれだけではなく確かな異常性を孕んでいて、研究のために盗みを働き続けるべく息を吐くように嘘を吐くともある、かも。人質として差し出すためナオのことを調べていた社長や幹部たちからは、その謎めいた過去のせいでチェンジリングと呼ばれ気味悪がられている。夫婦の苗字は佐々原で、ナオの綴りは奈央。亡くなった娘も同じ漢字だったそう。英語は簡単な日常会話ができる程度だが、薬草の呼び名は一通り暗記している。

◇( 日本史的に説明するなら、つまりは江戸幕府そのものである。尤も戦国時代のように大っぴらに世界を支配しようなんてつもりではないだろうが、表面化ではじわじわと支配が広がっていた。きっと統一にはまだまだかかるが、しかし、事実私の職場は取り込まれている。最近吸収を成功させた製薬会社に対し、江戸幕府ならぬテロ組織が要求したものは労働、恭順、金銭、それから人質だ。つまるところ“外様”である。アメリカのテロ組織が江戸徳川家を知っているとは思えないので、統治方法としてはメジャーなのかも知れない。そんなことを考えながら、知らないアメリカ人の後ろを黙って歩いていた。話す相手はいないも同然なので、考えただけ、だ。
ここがお前の私室だ。そう言い放ち、無愛想に立ち去った研究員の男性の背に頭を下げる。恐る恐るドアを開けた先に広がるその部屋は、実家の私室に比べると少し広かった。8畳くらいだろうか？と予想をつける。アメリカの屋敷に日本の基準を当てはめてずばり合うはずがないとは思ったが、自分が把握する分にはそれが一番都合が良い。慣れないベッドに腰掛けて、わあ、と年甲斐もなく声を上げる。敷布に慣れた体にとっては、ちょっと衝撃的な柔らかさであった。 )


(／お返事ありがとうございます！>7にて質問させていただいた者です。
アメリカで働く研究員でもその家族でもなく、「日本国内でその製薬会社の契約農家として働いている夫婦に拾われ、高校卒業後はその縁で管理人として日本支部の生薬園で働いている」という設定に致しました。働き出して一年後辺りにテロ組織に脅しをかけられた社長から声が掛かり、渡米すると人質にされてしまったといった流れです。長々と書いた割にわかりづらくて申し訳ありません。
盗みに関しても了解いたしました。その三点を念頭に置きpfを練って参りましたので、お手すきの際にでもご確認よろしくお願いいたします。)

(/明けましておめでとうございます。
定刻を余分に過ぎましたので、その間恐れながらおふたりの内から選定させていただきました……！ 連絡が遅くなってしまい、申し訳ございません。

相性等の点から、お相手は是非＞13様にお願いさせていただきたいと思います。＞11様、ご希望に沿うことが出来ずすみません……お声がけ下さり、本当にありがとうございました！


改めまして＞13様ことナオ背後様、まずはお返事が大変遅くなってしまいすみませんでした。素敵な娘様に影島背後共々惚れ込んでしまいましたので、これから是非よろしくお願い致します……！

つきましては、今後の簡単なご相談をば。
「警察に撃たれて・犯行中ミスを犯してなど何らかの形で負傷した影島さんが、組織の支配下となった製薬会社が管理しているNYの生薬園へ命からがら転がり込み渋々療養中、人質としてやってきた少女と知り合う」
とのご設定を希望とのことですが、影島は自分自身で療養している、ということでしょうか。それとも屋敷にいる他の研究員に匿われている状態でしょうか……？ 具体的にどの辺りの場面から始めてほしい、というご要望があれば、そちらに合わせる形で初回ロルを回させていただきますね！

また、影島とナオの関係の方向性、演じたいドラマ、出会ったふたりが何を目的にどう動きだすか、影島に更に求める要素、などもございましたら、そちらも是非。
既に背後が勝手に筋書きを妄想し始めてしまいそうなので、＞13様のお希望をお早めに伺えたらとの気持ちからです。実際にロルを回しながらゆっくり考えたい、というのでも勿論構いません。初っ端から質問ばかりで申し訳ございませんが、お返事をお待ちしております…！)

(／明けましておめでとうございます。素敵な一年になりますようお祈り申し上げます。
そして、お選びいただきありがとうございました……！こちらこそ、これからよろしくお願い致します。

研究員に匿われていると言いますか、NYで働いている人たちだけはテロ組織の元へ下ったと聞いてはいたもののあまり実感はなく漠然として不安があるような状態でした。しかし突如傷だらけの影島さんが転がり込んできて、上からは彼に部屋を与えろとの指示が来たので研究員一同びくびくしながらあまりかかわらないようにしている、という感じでしょうか。下っ端の研究員が渋々食事などを運んでいますが、それくらいの関わりで特に治療の手助けをしている感じでもなく出て行ってくれるまでそっとしておいている……というような。
それとナオは生薬園にこもりきりですし、影島さんはお部屋で療養中ですから、影島さんの私室の窓がちょうど生薬園を見下ろせる位置だったということにするのはどうでしょうか？それでナオを知っていて、歩ける程度に回復した・もしくは歩くことには支障がないような怪我を負っている影島さんが薬を頼みに来た、という出会いなんかをぼんやり想像しています。勿論私が思い描いているだけなので、別のご意見がおありでしたらぜひお聞かせください。

恋仲になるかどうかは交流してみないと何ともという感じなので、相性が良さそうであれば是非というところでしょうか。なろうとすることを決めてなりきりをしてしまうと自由度が下がってしまうような気がするので。それと影島さんに求める要素というほどでもないのですが、犯罪者であるとはっきり口にしてほしくはないです。勿論それらしい行動や考え方を示すのは構いませんが、はっきりと自分の身分を口にせずにいてほしいということをお願いしても宜しいでしょうか？具体的にどのような物語を紡いでいくかはお話ししていくうえで考えていけたらと思っています。)