主 2017-12-06 05:38:43 |
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いいお店だね。騒がしくないしこれも美味しい。
( 明らかに態とだろう吐き出された溜息から会話を早急に終わらせたいのだろう事がひしひしと伝わってくるも、自分の中にあった店員像というものが百八十度覆された性格と、お店の雰囲気、それから一口飲んだだけでも美味しいと思った紅茶にふつふつと興味が沸いてくればなんて事のない口調で称賛の言葉を返し。続けてツイ、と持ち上げた視線を相手に向けると「本当は家こっちじゃないんだ。あそこの分かれ道、もう一本の方が本当」窓の外に見える分かれ道に視線移動させ相手にとっては全く興味がないだろう話を当人にしては珍しく滑舌に話して )
当たり前だろ、俺はプロとして仕事をしてるんだ、提供する品が最高なのも店が魅力的なのもそんなのは至極当然なんだよ
(店を褒めるような言葉に眉をピクリと動かして、さてはそうやってご機嫌をとろうという魂胆なのだろうとそう解釈し、当たり前のことをこうして改めて褒めることはむしろ侮辱だとでも言わんばかりに取り付く島もない返答をして。それでもこうして物怖じせずにストレートに感想を言ってくれた客は久しぶりだなとふと思い、少しぐらいならば付き合ってやってもいいかと珍しく興が乗れば話の内容に耳を傾け「へえ、そいつはわざわざこんなとこまでご苦労なこったな」帰り道から外れて偶然立ち寄ったという風の発言に、それほど関心なさそうに感情のこもらない返事をし)
__プロって凄いね。
( まさかの謙遜ゼロの返答にぱちくりと瞬きを一つ落とし、じぃと黒の瞳を見詰める事数秒、やっぱり新鮮だと感じると共にふつふつと沸いてくる好奇心は次第に膨れ上がり小さな小さな笑みを口元に蓄えながら今一度有り触れた称賛の言葉を返し。てっきりもう用は済んだのだからと去られると思っていたのに、返事を返してくれると言う事はもう少しだけ話をしてもいいのだろうか。「此処に来られたから良かったよ。此処はいつが休み?」返事こそは素っ気ないものの、本当に面倒になったのなら居なくなるだろうと判断しつつ、また此処に来るという意も込めて問い掛けをして )
そんなの言われるまでもないだろ、プロってのは凡人と違う凄い才能があるからプロなんだよ、それが凄いなんていうのはな、頭痛が痛いなんて言ってるようなもんだ
(わざとらしさも嫌味も感じられない相手からの真っ直ぐな称賛を受け、それに対して呆れた様子でそう口にしては鼻で笑い。そうして冷たくあしらうような態度をとりつつも本来ならば客との雑談に応じるなど面倒でしかないと思ってい自分が気がつけば何だかんだ言って律儀に対応してしまっていて「さあな…店を開けるも開けないもそんなの気分次第だ」わざわざ定休日を聞いてくるということはまた来るつもりなのだろうか、リピーターになろうなんて物好きだなとそんなことを考えながらも軽く肩を竦めて質問へと答えて)
何で喫茶店やってるの?接客、きっと好きじゃないよね?
( 饒舌に並べられていく"プロ"についての心得のようなものを時折相槌混じりに聞けば、続けて若干の失礼さ交じる質問を繋げて。それから再び紅茶を一口。「私、明日も此処に来るからお店開けてほしいな」口内が温まった所で図々しくも明日の約束を取り付けようとしつつ、緩く首をもたげ返事を待って )
余計なお世話だ、誰もが自分の好きな仕事で食っていけるわけじゃないんだよ、お前みたいな子供にはまだわからないだろうがな
(再び大きなため息をつき、質問に対する答えとして核心となる理由の部分には触れずに腕を組み相手を見下ろすようにして言葉を返し、遠回しに質問に答える義理はないという意思表示をし「…考えておいてやる」最初こそ相手は、なれなれしく干渉してくる煩わしい客という印象であったが、面白い…途中からの印象はそう変わっていて、それでもそんな考えを表に出すことはなくそれだけを口にして)
__少しだけわかるよ。
( 今はまだ学校にだけ通っていればいい学生。けれどほぼ毎日のように繰り広げられる両親の喧嘩の内容の中にそう言った類の事も混じっているのを思い出せば、ぽつりと控え目な呟きを落とし。てっきり断られると思っていたがこれで明日もまた此処で紅茶が飲めそうだ。「明日は店長のオススメの紅茶がいいな」いつの間にか最後の一口となっていた紅を喉へと流し込み控え目に笑みを浮かべては、まだ此処に居たいという意思表示の現れか再び何かを頼もうとメニューに視線やって )
はん、生意気言ってんな
(少しだけならわかる、そう理解を口にする相手を横目に鼻を鳴らし、そうバッサリと切り捨てて。自分の返答はあくまでも不確かなものであったはずだが既に明日も来るつもりでいるかのような物言いに「いいか?俺は考えておくと言ったんだ、約束はしてない」既に自身の心は決まっていたのだが、何となく素直に認めるのが癪で相手を指差し、天の邪鬼な返しをして)
子供だからね。
( だから生意気、そう全てが全てな訳ではないがこの会話が楽しいと不覚にも思っていれば適当にも感じられる言葉を返した後、デザートの欄で目を止めて「このチーズケーキって甘い?」と問い掛け。続けて不躾に指された指先を見詰めて確かに、と頷くと「じゃあ期待しないで来る。開いてたらいいなくらいで」結局来ないという選択肢はないのか言葉とは裏腹に期待に満ちた瞳を向けて )
こりゃまた随分と可愛げのない子供だな
(年齢不相応なまでにまるで達観したような淡々とした受け答えをする相手に軽く眉を寄せ、口角を釣り上げるようにしてやや引きつった笑みを浮かべて肩を竦め。メニューの中でどうやらチーズケーキに目をつけたらしく味について問われると「どうかな、お子様の舌には少々甘さは物足りないかもな」比較的甘さ控えめでさっぱり仕上げたその味を相手への皮肉を交えて説明し。どうあってもここへまた来るという意志は曲げるつもりはないようで、このままでは仮に自分が店を開けなかったとしても本当に馬鹿正直に店までやってくるであろうことは容易に想像出来て「…勝手にしろ」既に店を開けると殆ど認めてしまっているようなものだが短くそう述べて)
店長子供嫌いそうだもんね。
( 営業スマイルとも呼べぬ歪な笑みを向ける相手にさらりと言葉返せば続いて返されたチーズケーキの皮肉混じりの説明にふむと頷き、「じゃあこれにする。後、甘いミルクティー」ケーキが全く甘くなかった時の事を考え本日二度目の飲み物も共に注文して。勝手にしろ、と言う事は少なからず可能性はあるかもしれない。嬉しそうに頷いては後は頼んだものが出てくるのを待つ事にして )
それがわかってて平然と居座るその図太さ、呆れを通り越して尊敬に値するな
(つまりそれは当然ながら相手もその対象として含まれているということで、ある意味では正面きってハッキリ嫌いだと言われているのと同義な状態にありながら、それに対して怯むでも憤るでもなく更に注文を追加し、そのままここに居座る気満々な相手が何を考えているのか全く理解出来なかったが、何にせよ売り上げに貢献してくれるというのならば拒む理由もなく、注文を受けた品を用意しに厨房へと向かい。しばらくしてミルクティとチーズケーキをトレイにのせて持ってきて、それらをテーブルへと置き「それ食ったらとっとと帰りな、俺も暇じゃないんだ」他に店内に客はおらずダラダラ新聞を読むような時間がある時点で暇を持て余しているのだが、あくまでも自分は相手に構っているほど暇ではないのだとアピールするように言い捨てて)
( 何と言われても居心地が良いこの場所か、家かの選択肢ならばこちらを選ぶに決まっている。紡がれる呆れの言葉にも何て事ない態度で相手の背中を見送って。それからややして頼んだケーキと紅茶が来れば見た目からして食欲をそそる色味にふぅと一つ息をつき「__美味しそう」フォークで先端を削り口内へと入れれば広がるさっぱりとした甘みと酸味に自然と表情は綻ぶわけで、「うん、また明日にする。明日もやっぱりこれにしようかな」お客さんは自分しか居ないのに…と言う言葉をミルクティーと一緒に飲み込めば素直に頷いて )
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