Nobody 2017-11-19 03:10:28 |
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>>83 メーヴィス・ロウ
……!
(己ともあろうものが、この至近距離にありながら、追っ手を警戒しておきながら……背後に立つ凛とした声の主に一瞬たりとも気づかなかった。そのことに暫し本気で驚愕するが、やがてゆっくりと口角を歪めながら後ろの彼女を振り返り。嗚呼、やはり彼女はどこまでも己の想像を超えていく──ロンドン警察が誇るまだうら若い女刑事、メーヴィス・ロウ。己が因縁の相手と認めた、味わい深い、愛しい女。街灯を背に立つ彼女は荷台の入り口側に居て、己はそのずっと奥にいる。身を潜ませて安全を確保したつもりが、それが仇となって逆に追い詰められたのだ。くつくつと笑いながらも、しかし殺人鬼は取り立てて顔色を変えず、悠然とした佇まいで彼女の方に向き直り。こうも早くその瞬間が訪れるとは思わなかったが、いよいよ彼女に捕まるか否かの瀬戸際にやってきたのだ。しかし急いては楽しめない。此方を見据える青い瞳を悪戯っぽく細めた灰色の目で見返しながら、道で出会った友人同士が立ち話をするかのように、穏やかな声音で彼女のことを褒めたたえ。)
あの爆発で負傷せず、今の罠にも踊らずに、まっすぐ俺を探し当てるだなんてよ……さすがだなぁ、美人さん。これも俺への愛ゆえに成しえた御業なんだろう?
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