Nobody 2017-11-19 03:10:28 |
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>>50 津原 映奈
面白い? ……マジか。女からは初めて聞いたな、その感想は。
(思えば、己の異常性をある程度は自覚しているがために、自分からこの手の話を積極的にすることなどなかった。なればこそ、多少理由はあるものの、下手をせずとも特に女性には嫌われ易い己の生き方の一側面を、ほぼ初対面の彼女に自然な気持ちで打ち明けたのは何故なのだろう。……我ながらそんなことを思いつつ話していたため、目を瞬かせた彼女が零した感想にこちらもぴくりと反応し、驚きの色の混じる声を返して。その瞳を見つめるうちに、どうやら彼女はマイナスな情報を得て尚此方に好感を持っているらしいと気づき。いつもならそこで、ああ、ここから落とすのはすぐだとしてあとどのくらい保つかな、などと下卑た計算に移るだろう。だが奇妙なことに、自身の胸を満たすのは同じような安心感だった。ラテの残りを飲み干すと、静かに笑みながららしくもないそのままの本音を打ち明けて。)
まあその通り、本当に「今の内」だけだろうな。……その間だけでも津原と過ごせんなら、悪い気はしねえけど。 いろんな女と話すたびにちょっとずつ嘘ついてきたが……おまえにはなんでかそうする気が起きねえわ。だから、楽だよ。話しはじめてすぐの相手に言うのもなんだけどさ、話しててほっとする。
(/大変申し訳ございません。一時間ほど粘ったのですが眠気の方が少々酷く……途中までは書いたものの、粗雑なロルをお返ししては取り返しがつかないので、メーヴィス背後様、アンジェル背後様への返信はもう数時間後にお返しするということで一旦落ちるのを許していただければ幸いです。大変申し訳ございません……!)
>>53 メーヴィス・ロウ
……、言われてみればそれもそうだな。次からはちゃんとそうするよ。
(可愛いとからかえば本気で怒りを露わにすることを躊躇わないその気性の激しさを、ああ、やはり好きだと肩を震わせて笑いながら受け流していたが、「自分のことを知ってほしいなら言葉で伝えろ」──そう言われると途端に真顔に引き戻って。尤もな意見だと思ったのももちろんあるが、何より『言葉で伝えれば彼女は自分に興味を持って理解しようとしてくれる、そう期待しても裏切られない』……そんな可能性を感じさせる台詞のようにも聞こえたのだ。故に最後にそこにだけは食いついてから、彼女が拳銃を握りなおしたのを朧げに視認しつついよいよ姿を掻き消して。最後に一度、霧の彼方から妙に響く甘い声だけを届けると、冷たい宵闇と霧の中で気配すらも匂わせなくなり)
また会おうぜ、女刑事さん。今夜はなかなか楽しかったよ。あんたとの次のデート、楽しみに待ってるぜ──
(/返信が遅くなりすみません、おはようございます。いえいえ、ご想像の通り此方も、ここらが一旦「相互理解」という第1ポイントの辺りなのかな……と思いながらロルを打っておりました。
ここから時間を後日に飛ばし、再会した時にいよいよ物語の本番が始まるという展開、大賛成でございます。そして背後様にあげていただいた案ですが、此方も後者の「誘拐・監禁されて、探索しながらの脱出を開始する」という案に同意です。一応此方が考えていた案を申し上げますが、少々長いです、申し訳ございません……!
「ジャックとメーヴィス&警官チームが裏街で再会、銃撃ありの追いかけっこ」
→「ジャックは道端の大型トラックの荷台に飛び乗り、荷物の奥に隠れてやり過ごそうとするが、メーヴィスひとりが追いついて彼の隠れ場所にいち早く気づき、同じく荷台に飛び乗る」
→「いよいよ追い詰めた・追い詰められたと思ったその時、人が乗ったことに気づかなかったのか、荷台の扉が外側から閉められ、ふたりを閉じ込めたままトラックが走り出してしまった。扉は内側から開かない」
→「更に2人は、閉じ込められた荷台の中に積まれていたのが十数人の人間の他殺体だということに気づいて戦慄する」
→「別の大量殺人事件に遭遇してしまったことに気づくメーヴィスは仲間と連絡を取ろうとするが、なぜか無線も携帯も使えない。流石に異常事態とあって、ジャックも冷静になる」
→「数時間後、トラックがどこかのガレージに入ったかと思うと、ごみ収集車が埋立地に積載物を吐き出すように、トラックの荷台が傾き、ふたりは突然死体ごと外に放り出される。そこは巨大な倉庫らしき屋内にある、大きな穴の底のような場所で、他にも同様に上から降ろされたらしいおびただしい死体の山があった」
→「壁があまりにも高く、トラックの走り去った地上には登れそうにないため、ふたりは周囲の壁を調べて、角にあった扉から内部の地下通路に入り込む」
→「余りに異常な場所なので、兎にも角にも脱出が最優先だ。メーヴィスは自分独りでは現状何もできないからと、応援を呼べる場所まで逃げ出すことを考え、彼女を生かしたい(無事に返して、外の世界でまた追いかけっこをしたい)ジャックは、彼女を手助けすることにする」
→「しかし、大量の死体をかき集めている第2の殺人鬼(たち)は、生きた人間が偶然荷台に紛れ込んで自分の殺人現場を知ったことにじきに気づいてしまった。そのためふたりを口封じに殺そうと、屋敷の設備や自分自身を使って襲いかかり、刑事メーヴィスと殺人鬼ジャックは脱出の過程で共闘することになる」
……というのが、此方がぼんやり考えていた流れでございました。一方からの雁字搦めの妄想ですので、参考程度にお考えいただければ……!背後様の第2の案と多少似ているかなと思うのですが、部分程度でも検討してくだされば幸いです。)
>>54 アンジェル・フィリエール
神に誓って、か……おう、りょうか……ってェ……っ!
(負う経緯が経緯だけに、今まで傷の処置というものは自分自身で行ってきた。故に、立場上看護になれている誰かに己の傷を任せられるというのにかなりほっとしたらしく、ぐったりとはしながらも寛いだ表情で部屋を見回るシスターを観察し。ミルクのように白く洗われた清潔なウィンプルの中にしっかりとたくし込んだ輝くプラチナブロンドの髪、気が強そうだがたおやかさも窺わせる深い紺色の瞳、女性らしい華奢な身体つき。如何にも、町から少し離れたところにある素朴な教会で日々身を清めている清楚なシスターと言った感じだ。だからこそ、胡散臭い怪我人の男相手にも一旦は事情聴取を飲み込んでまで奉仕精神を働かせるのだろう。だがこれなら、別段いつものようにせずとも己の望む展開に持っていける気がしないでもない──そんな算段を組み立てていたその矢先に布を強く押し付けられては、大の男でありながら悲鳴をあげて歯を食い縛り。こんな時にもしかし喋りだしてしまうのは、もはや己の性だった。痛みをどうにかごまかそうとばかりに、間近に明日彼女の顔を見上げながら問いかけて)
……そういや、さっきの、嬢ちゃんは……ちゃんとベッドに、戻ったのか……? 怖がらせた、みたいでな……すまんかった。あの子の、名前、何てんだ……
>>55 加我 佑哉
初めてそんな風に言われたかもしれない…。私も加我くんと話してると、自分が自分でいられる感じがする。あんな場面を見られたからっていうのもあるのかな。
(彼の普段の様子がどうなのかを詳しく知っているわけではないものの、自分がひた隠しにしてきた後ろめたい万引きという行為を咎めずにいてくれた上にこうして認めてくれているところから、彼にならば本当の自分を見せても問題無いだろうとこの短時間にも感じており。学校でも家でも息苦しい過ごし方をするあの苦痛な時間に比べたら今のこの時間は幾分もリラックスでき、正直に自分の本心を打ち明けられそうな気がしていて。少しぬるくなってきたカップの中身をゆっくり飲み干しては一息つき、一応店内に知り合い等が居ないかどうかを確認してから、相手にだけ聞こえるように若干身を乗り出しつつ話し始め)
…私の両親ね、お父さんが医者でお母さんが学校の先生やってるの。それで私は一人っ子なんだけど、…まあ、二人とも厳しいんだ。何て言えば良いのかな?愛情を感じない…って言い方は変かもしれないけど、とにかく愛されてる実感が沸かないんだよね。ただ自分達の恥にならないようにしたい感じなのかな。そういうのに耐え切れなくて、あんな事してストレス発散してるってわけなんだけど…。
>57 ♦ ジャック・マクガヴァン
──はい。──はい。…では、見付け次第各自確保という事で。
( 因縁の相手である殺人鬼と対面し、互いの心中を吐露してから早くも一ヶ月近くが経とうとしていた。あの日の別れ際、彼が囁いた言葉は常に鼓膜に木霊し、纏わり付いて離れない。結局真意は掴めず胸に燻りを抱えた侭、日々を忙しなく過ごしていたが、例の男の目撃情報が刑事課に報告されると、証言が成された裏路地に同僚と共に急遽出動し。其の路地の一隅で発見した場合の流れを確認しつつちらりと周囲を一瞥すると、路地全体に漂う荒廃と冷気が綯い交ぜになった雰囲気を全身に感知し如何にもあの男が好み、現れそうな場所だと納得するや否や微妙に眉を顰め僅かな不快感を露に。最終的な方針が決定すると、各自散開と命を受け少数精鋭の小規模団体で、警戒を一切怠る事なく辺りを捜索していき。──今日こそは絶対に捕えてみせる。夜の帳が降り、疎らに雲の掠める濃い闇空に決意するように天を仰ぎ、浅い息を一つ吐いて。今宵もロンドンは賑やからしい──都市部である事に加え真反対は表通り、煌々と光る照明が微かではあるが此方にまで行き届いているお陰で視界に困る事はなく、軽快な足取りで次々と周辺を確認していき。 )
( /同じように思っていらっしゃったようでとても安心しております…!
長い何てとんでも御座いません!寧ろ細かく緻密に流れを練って下さり嬉しく思います。端的に言わせて頂きますと、主様の案に大賛成ですので、是非とも提示して下さった流れで遣り取りをしていければと…!その一連の流れの中で、どちらか一方が怪我をする、逃げる途中又も拘束されてしまう、等のハプニングも取り入れたれたら物語に更に盛り上がるが入るのでは、と勝手ながら思案させて頂きましたので、其処の部分をご検討して頂けると幸いです。
絡み文も後日の場面からに一新させて頂きましたが、絡み難い等有りましたら仰って下さいませ…! )
(/これからふたりの物語をじっくりと紡いでいけます事、本当に嬉しく思います!何かと不安もありつつの持ち込み設定でしたが、この度は参加のご許可をありがとうございました。ひとまず、主様からのご質問にお返事をさせて頂きます。
まず、絡み期間につきましては主様のお考えの通り、ゆっくりじっくり長期間でお願い出来ればと思っております。ロル数ですが、心理描写を多めに含む傾向がございますので、やや長文寄りになるかと思われます…!必要に応じて調整も可能ですので、お互いにやり易い分量で楽しむ事が出来れば幸いです。
次に、舞台設定に関してですが現段階ではイギリスを想定しております。ご希望がありましたら変更も勿論可能ですので、その際にはご相談下さい。
また、エンディングについての考えが一致しているとの事で、此方も嬉しいです!ふたりの関係性の変化を見ながら、丁寧に相談を重ねていけたらと思います。
そして、此方の設定に合わせた殺人鬼の性格や生き方の変化についてですが、大歓迎です!寧ろ、更にぐっとイメージに近づいたように思いますので、本当に嬉しい限りです。殺人鬼そのものがメアリの求めるものに近づいた頃、また、殺人鬼自身がメアリと言う存在を必要とする或いは受け入れる理由を持ち始めた頃、まさしくぴったりのタイミングと状況であると考えます…!押し付けだなんてとんでもございません、大賛成ですので是非ともこの設定で進めていきましょう!今後物語が進んでいくにつれ、細かな要望や何か案など生まれた時にはその都度相談を重ねていけたらと思っておりますので、お互い積極的にもちかけていければ幸いです。
最後になりましたが、もし>>46でのロルにそのまま繋げる形での開始をご希望でしたら、次レスにて対応したロルを書かせて頂きます。その際には、とうとうメアリが殺人鬼の居所を探し当て、偶然にも仕事から彼が帰宅した所と言う絶妙のタイミングに出くわす事が出来たという体で進める形になるかと思います。メアリはもてる限りの情報網を駆使し、彼の住まいや行動範囲及び生活状況等を懸命に調査していますが、中々発見には至らない中で、此処暫らくで最も精密な情報の元に訪れた場所がまさに現在彼が生活をしているアパートであった、と言う想定です。とは言え、他の住人も居るアパート内の、それも部屋の前と言う状況でもありますので、そんな場所でかつて世を騒がせた殺人鬼である彼に堂々と声を掛けるという状況に不自然さを感じるようでしたら別の場面への転換も可能です!逆に、ついに十余年の時を経て彼を見つけ出したというこれ以上にない喜びと興奮から、我慢できずに声を掛け、それどころか寧ろ多少強引な手段を用いてでも彼に近づこうとする、と言う展開もメアリ的には十分あり得るかと思っていたりもする訳で…このようにぐらぐらと迷って揺れている状態ですので、主様のご意見もお伺い出来れば非常に助かります!)
>>55 加我 佑哉
…………。成程ね。
津原はさ、きっと不満とかストレスとか、相当の量抱え込んで沢山無理をしてんだろうな。
……けどさ、さっきみたいなことしてたって、肝心の親御さんは何ひとつ変わらないんだぜ。むしろ、もしもあのままバレたりしてたら……そんなにも厳しい津原の両親は、娘をいったいどう思ったろうな。
(ちらりと周囲を見渡してから、軽く身を乗り出して秘密を打ち明け始めた彼女。聞くに、家庭で抱え込んだストレスを先ほどのような背徳行為によって憂さ晴らししている、ということだった。──この十数分話しただけでも彼女は本当は根は良い娘で、このような行為は一種のSOSなのだとは容易に想像することができる。できるが、厳しい言葉を剥けることでそこを助けてやろうなどとは全く考えもしないのがやはり己という人間だ。彼女には確かに安心を覚える。自分を取り繕う必要がない。だからこそ、こちらも軽く前方に身を傾ぐと、心を覗き込むように彼女の瞳を見つめながら低い声で囁いて。理解、共感、労わり、それを示してから彼女のやりきれなさや不安を煽り──少しずつ会話の流れを変えていき。)
でもおまえだって、生半可な気持ちで万引きしてるわけじゃないんだろ? 津原は良い奴だから、そう簡単に解決するほどの事ならそもそもやってなかった筈だ。……親とのこと、どうにもならないんだよな。どれだけ辛くても何にもならないから、耐えられなくなって、悪いことしちまうんだよな。……そうすることで少しだけ、自由になれた気がするから。
>>60 メーヴィス・ロウ
──くそったれが、てめぇらみたいなむさくるしい野郎どもに捕まる気なんか更々ねぇんだよ!
(己を憎む愛しい女と逢引したあの霧の夜から、月が痩せ細り……また満ちた。この一か月の間にも3人ほどの男女を様々な理由で手にかけたが、依然としてロンドン警察は自分の尻尾を掴めずにいるままだ。やはり、脱獄以来初めて自分と接触できたメーヴィス・ロウだけが唯一にして特別で、あとのお仲間はろくに嗅覚の働かない有象無象の駄犬らしい──そんな慢心をしかし鋭く突かれたのが、つい2分ほど前の事。
ロンドン・ソーホー地区、映画と性風俗が人々を酔い痴れさせる煌びやかな歓楽街。そこからほど近い、しかし人影もごくまばらで嘘のように静まり返った、饐えた冷気の立ち昇るうらぶれた裏路地で、立ちんぼをしていた三十路半ばの商売女に“その気”で話しかけた時だ。視界の隅にふと、こちらをじっと見たかと思うと不意に近づいてきたコート姿の男が移り、目を見開いてから舌打ちし。──この野郎、これからがお楽しみだったってのに、よりによって今見つかるとは! こちらがいきなり取り出したナイフを見てぎょっとした娼婦の金切り声にも構わずに、八つ当たりと刑事の足止め双方を兼ね彼女の胸をずぶりと深く刺し貫くと、身を翻し、私服警官の怒鳴り声を背に恐ろしい速さで逃げ出し。奴は娼婦のそばから離れられない、だが──嗚呼、畜生! 近くを巡回していた警官が曲がり角から銃を構えて現れたのを見、思わず激しい罵り言葉を吐き捨ててから別の裏路地に駆けこんで。静まり返った不気味な街にしかし突如雷鳴のように響き渡りはじめた銃声、一発な耳を霞め焼けるような痛みが走るが、振り返る余裕すらない。ドカドカと激しく続く追手の足音を背に聞きながら、ゴミ箱やがらくたの類いを獣のように飛び越え、時には派手に蹴り倒し、真夜中の街の奥へ奥へと死に物狂いで逃亡し。)
(/なんと……ありがとうございます! では、>>57の流れにて進めさせていただきます。そしてなんとも最高のご提案……! 因縁の仲にある刑事と殺人鬼、という組み合わせでありながら、他方の負傷に動揺したり、見捨てれば良い筈なのに子属された相手を助けに行ったり、そういうハプニングを盛り込むとますますふたりの関係が面白くなりそうですね……! 是非ともお願いいたします。背後様の多彩なアイディア、随時物語に投入していってくださいませ!
いえいえ、変わらず情景が鮮明に浮かぶ素敵なロルでしたので、そのまま返させていただきました。それでは引き続き宜しくお願いいたします。蹴り可ですが、何かご相談があればまたお声がけくださいませ。)
>>61 メアリ・アンズワース
(/絡み期間、ロル数、舞台設定について畏まりました! 名前については名前欄にあるものにひとまず決めさせていただきました。寛容なお言葉ありがとうございます、随時ご相談させていただきますね。
そして、殺人鬼の変更点について許可してくださりありがとうございます。背後様の仰る通り、背後同士で適宜相談しつつ楽しんでいけたらと思っているので、こちらからもお伝えいたしますが、背後様も是非ご要望などあればお気軽にお申し付けくださいませ。
>>46のロルについては、「老いた殺人鬼」を表現したかったこと、また基本的にいただいたテストロルの続きを打つのが常だったとはいえ、メアリの場合はあれ単体で綺麗に完結していた為敢えて別場面のものを投げさせていただいた意図があることから、物語の都合を然程考慮できていなかったので、どちらでも大丈夫です。続きを打つ方が打ち易い、話しを転がしはじめ易いということでしたらそれで全然構いませんし、背後様の中で「この場面から始めたい!」という構想があれば其方も断然ウェルカムでございます。かなり熟してきたキャラクターふたりの設定を材料に、背後様の自由な発想で設定していただく場面から始めるのも楽しそうです……!
仮に続きを打ってくださる場合の想定について、了解いたしました。不自然等とは特に此方は感じないですし、毟ろ手段を選ばず強引に、というのもまた彼女らしくてたまりませんので、その辺りもどうかお気兼ねなく!
はっきりとしたお答えができず申し訳ありません。しかし殺人鬼の人物像やその前の相談段階でかなりこちらの願望を背後様に聞いていただいたので、始める場面については、背後様にとってより楽な、あるいは楽しい方から始めていただければと思います……!)
>>62 加我 佑哉
そう…、そうだよね。確かに私が万引きしていようとお父さんとお母さんは変わらないよ。寧ろ勘当されるかも。
でも、加我くんが言うように私はそれで少し救われた気になれたの。家にも、学校へ行っても自分の居場所のように感じなくて…、だからそうやってやっちゃいけない事をやって、自分の存在価値を作り上げて…。
(取り敢えずは彼に家族の事を話はしたが、家ほどではなくとも学校でも心から自分を曝け出せている感じはしていなくて。─全て彼の言う通り。自分が憂さ晴らしで犯しているこの罪は、決して許されるものではないし、もし今回のように店員に咎められ両親や学校に今までの行為を知られたとしたら、それこそ終わり。今よりもっと悪い状況になることは避けられない。しかし、今回の事を含めても自分自身の中にはこれからも万引きを止めるつもりはなく。勿論、怖いとは思った。バレたらどうしようか、とも。それでも止めてしまったら今以上に自分が周囲からの圧力で押し潰されそうで、そっちの方が何倍も怖く思えて。女性と何人も交際している相手であるし、だからこそこうして此方の気持ちもよく理解してくれているのだろうが、信用したとしても先程の話同様、いずれ裏切られるような時も来るかもしれない。自分の全てを話したのは逆に自分を破滅へ導く事だったのかもしれない。─ただ、今だけはどうしても彼に縋っていたいという気持ちが強く、少しだけ期待を込めて、言いづらそうにぽつりと呟き)
─…今日は、家に帰りたくないな。
>>66 津原 映奈
…………、おまえ……、それ、その表情でその台詞、変な男の前では絶対にやめとけよ……? 彼氏とかいるんなら、そいつには構わねえけどさ。
(順調に心を開いて胸の内を少しずつ取り出してはぽつりぽつりと呟く相手を、好奇心を抑えた目で
眺めていたが。一瞬の沈黙、からの躊躇いと期待に揺れる小さな声で危うい囁きを聞かされると、さしもの自分も思わず頬杖から顔を上げるほどには動揺して。今現在自分が付き合っている女たちからも同じように甘えてねだられ、その度に既視感と、彼女たちのキツく醸し出す狡猾な臭いにうんざりすることが多々あった。打算で言うのなら、津原映奈もある程度はそうだろう。だが彼女のそれは、既成事実をつくることで己を束縛しようというギラついたそれではなくて、自分の台詞がはしたなく聞こえることを知りつつも、それでも望まずにいられないという、一見誘惑ではあるものの小さな悲鳴のようにも聞こえる、明らかに異なるものだったのだ。またそれとは別に、優等生として明るいイメージを持つ彼女、明らかに男慣れしていない清純そうな彼女が色気のある台詞を囁くのは、それだけで単純に破壊力があった。……細い指でしかめた眉間を抑えると、如何にも己を棚上げしているおかしな忠告を返してから、長く大きくため息をつき。次に紡いだのは、単純に聞けば彼女の願いを素っ気なく退けるそれのようでいて、しかしその声音は明らかに彼女を家に泊める方法を探そうとしているもので。)
……うちのばばぁは入院してっから、俺は独り暮らしだけどさ。 ……忙しい医者業やってる親父さんは別として、おふくろさんは教師なんだろ? 流石にひとり娘が外泊となったら、遅かれ早かれバレて大目玉なんじゃねぇの。
>65 ♦ ジャック・マクガヴァン
──周辺でジャック・マクガヴァンの姿を確認、そのまま追跡中みたいね。
私達も───ッ!此方刑事課メーヴィス・ロウ、歓楽街周辺の裏路地で対象を確認、追跡しますので応援願います。
( 冷え冷えとした街一体に、未だ嘗てない程の熱気が立ち込める。怒りから生まれた熱気だ。怨嗟と憎悪による気流は縦横無尽に夜の街を駆け巡り、男を追い縋ろうとして離れない。──中には親族や友人、恋人達を無残に殺された仲間も居るだろう。執念は時として殺意へと変わる──その時静寂の支配する路地に鼓膜を突き破るような銃声が轟き、何事かと音の発生源へ目を向けようとした矢先、通信機器が俄に震え機敏に耳元へと持っていくと別部隊からの情報が通達され同じく同僚に内容を伝え。自分達も銃撃のする方へ行こうとした刹那、歓楽街の並ぶ方向から横に突っ切るように現れた影が視界を過ぎると人知れず足は地面を蹴り、器用に通信機器を口元へ運ぶと端的に情報と応援要請を送り乍手に握るものを銃へと変え。一体彼はどれだけ多くの人間に忌み嫌われ恐れられているのだろう、今回の事件捜査に加わる人員の多さから自ずと答えは出てきて仕舞う。彼を追い掛けるは自分達刑事課と同じ部類に区分される私服警官、極めつけはSCO19即ち特殊部隊の彼ら。銃規制の厳しいイギリスでも常時重武装が許された人間達は彼を追跡し遺憾無く撃ち殺す可能性が高く、彼を生きて捕え確りと法廷で裁いて欲しいという相反する自分の小さな望み何ぞ適用されないのか──と無駄な思案をする内に彼は奥へ奥へと進む。殿を務めているのは彼女ではあるが後方に特殊部隊班も構えている、互いの距離も離れている上緊迫した状況下彼が呼び掛け如きで足を留めるような生易しい者ではないと知っていながら、声を荒げ。 )
───待ちなさい!ジャック・マクガヴァン!
>>67 加我 佑哉
あっ、ごめん…。彼氏は…居ない、から、大丈夫。
─バレちゃったら怒るを通り越して『出ていけ』って言われるかもしれないね。だけど…17年間、二人の言う事にずっと従って生きてきたから、初めての反抗っていうのをしてみたいなって思うんだ。
(どう考えても自分のワガママであるし、はしたない言い方に聞こえてしまうというのも分かっている。けれど、今日はどうしても帰宅するという気分にはなれず、家に帰るくらいなら彼の家に行けずとも何処か小さなホテルにでもと考えていて。当然の事ながら相手は驚いてしまったが、尚も此方の身を案じてくれている事にじんわりと心が解され。彼氏、なんて言葉を聞けば、家の事情もあり出来た事もない存在に羞恥含みながら否定して。彼の家にもし行けたとしても、それが両親にバレてしまったら最後どうなるのか。万引きと比較すればまだ勘当とまではいかないだろうが、家を追い出される覚悟くらいはしておかなければならない。しかしこれまで何度も、いっそ数え切れないくらい厳しい事を言われ、それに一切反論せずに従い続けていた為、ずっと心の奥底で反抗したいと思っていたところもあり。それならばこれが最大のチャンスで、ここで勇気を振り絞らなければこの先も延々と圧力をかけられる状態が続いてしまう。自分なりの一世一代の覚悟を決めて口にした言葉なので後悔はしておらず。図々しいとは分かっていても、真剣な瞳で相手を見据え、念を押すようにして)
不躾な事を言ってるのは分かってる。…お願い、出来ないかな?…加我くん。
>>65 クレイグ・ウォーカー
(/ここまで、設定についてじっくりと時間をかけての話し合いに協力して頂きありがとうございました!優柔不断な背後故あれこれと主様に頼って質問を重ねてしまいましたが、今回は折角現在のクレイグの人物像や生活背景を丁寧に描写して下さったロルがございますのでそれに繋げる形でメアリを登場させて頂く事にしました。
ふたりのキャラクター像を練っていく内、物語が幕を開ける瞬間をとてもわくわくとした気持ちで楽しみにしておりました。そろそろ、満を持して開幕とさせて頂けたらと思います!では、背後は失礼致しますが、何かご意見ご質問等御座いましたらどうぞお気軽にお声かけ下さい/蹴り可)
(自身の人生にとって第二の転機となった日――"あの女"、もとい、母親が殺されたあの日から12年と言う年月が流れた。一日たりとも、彼の事を考えなかった日…考えずにいられた日は無い。まるで取り憑かれたかのように熱烈に彼を想い続け、まるで煙のように行方を晦ましてしまった彼の事をただただ夢中で捜し続けている。幼い恋心は決して尽きる事の無い原動力となり、ほんの僅かな諦めと失望さえも奪い去って自分自身を動かし続けた。今日という日もまた、買い換えてから少し時間が経ち、手に馴染み始めた手帳を片手にあちこちを歩き回っていたらしい。既に夕刻を迎え、街にはぼうっと明かりが灯り始める。今日はよく晴れた日だった。青々と澄み渡っていた青空は日が沈んでゆくにつれて微かな灰色を溶かし込んだようにワントーン暗くなり、今にも沈みきってしまいそうな夕日が僅かに残したオレンジ色と混ざり合いながらこの時間特有のグラデーションを成している。腕時計と手帳とを交互に見遣った視線は再び真っ直ぐに前を向き、目的地への到着を急ぐように少しばかり歩調が早まった。手帳に書かれた一軒のアパートの名前と住所、そして何やら複数記録されている時刻。どうやら、今から向かうこの一軒のアパートは、これまでのどんな情報よりも精密な情報の元に弾き出された場所らしい。今日こそは、今日こそは、とそう思わずにはいられない。そんな期待と焦りと興奮が、もう何時間も歩き回った筈の足をこうも元気良く回転させるのだ。
そうして辿り着いた目的地。情報通り年季の入った、世辞にも綺麗とは言えそうも無いアパートの錆びた螺旋階段を駆け上がり、息を切らしながら等間隔に部屋の扉が並ぶ通路に顔を出した――その瞬間は、視線の先に捉えたひとりの男性がドアノブに手をかけた正にその瞬間。確信はまだ無い。それでも、ばくばくと胸元に振動を感じるほどに心臓が速度を上げて脈を打ち、全身がかっと熱くなる。無意識の内に掌の中の手帳を合皮のカバーに爪が食い込むほど力強く握り締めながら、微かに震える声で呼び掛けて)
あ……っ、あの――!
>>68 メーヴィス・ロウ
……っは、くっそ、本格的な大捕り物じゃねぇか。主役に黙っていきなり上演開始とは趣味の悪い真似をしやがる……!
(予想以上に増えてきた追手の気配を感じ取り、荒い息を吐きながらもいっそ面白がるような声を上げ。狩人から逃げる狼のように夜のロンドンを逃亡しつつ、ジャック・マクガヴァンは考える──このひと月、警察は恐らく入念な準備を幾重にも重ねていたのだ。己と漸く接触したメーヴィス・ロウの証言と、己の今までの行動パターンや犯罪傾向のデータを元に、行動範囲や出没時間を最小規模まで絞り込み、確実に捕らえられるよう配置や動線を計算して。でなければ、そう易々と使えない特殊部隊の専門射手らが、たったひとりの、人質を取って立て籠もっているわけでもない殺人犯を捕まえるためだけに投入されるはずがない。異様に人影が少なかったのも、あの娼婦については偶然入り込んでしまっただけで、恐らく周辺に退去命令が出されていたからだと容易に想像することができる。己は既に囲い込まれていたのだ。今度こそ、ロンドン警察は本気なのだ。彼らの執念を己は見誤っていた──しかし、そう省みて尚、その乾いた唇は自然と獰猛な笑みに歪んで。上等だ、受けて立とう。生半可な気持ちで脱獄したつもりはない、ここで果てるなら己はそれまでの男に過ぎないということだ。
追いつめられたことで却って火がついた闘争本能は、己の思考を一方的な逃亡から、逃亡を兼ねた迎撃へと完全に切り替え、一切のリミッターを外し。狭い路地を突き進めば、目の前に飛び出してきた新たな私服刑事が牽制の声を上げながら銃を此方に構える姿。しかし撃たれる恐怖を完全に取り払った身体は不気味な無表情のまま瞬く間に間合いを詰め、彼を殴り倒すなり片手の銃を奪い取ると、持ち主だった男の眉間を至近距離からズドンと撃ち抜き、次いで仲間を応援すべくこちらに駆け寄りながら引き金を引こうとしていた他の警官たちにも次々に発砲し。雷鳴、雷鳴、雷鳴──さあ、猟犬たちはこれで一気に己のところに群がるはずだ。躍り出るように表の道に飛び出すと、偶然かち合った特殊部隊が血相を変えて迫ってきたのを視界の端に捉えるなり、また別の路地に滑り込み。だがその時、はるか後方から飛んできたのは懐かしい彼女の怒声。目を見開くなり嬉しそうに歯を剥き出し、脇の鉄柵を飛び越えると、野生動物じみた身体能力を発揮して建物の非常階段を一気に大きく駆けあがり。やがて地上15メートルほどの高さにある踊り場までやって来ると、撃たれることなどないとばかりに悠々と追手たちを見下ろして。その中に見つけたあの愛しい彼女に向かって気のふれた笑みを向け、大声で漸く返事をし。次いで、建物の外壁に取り付けられていたガスボンベをいきなり引き剥がし、安全弁をちぎるように外して大きく地上へと放り投げ──地面に落ちるまさにその寸前、ガスを漏らしていたそれに無慈悲にも発砲し。)
……! よおメーヴィス、久しぶりだなあ! 俺ぁ今しがた、おまえのお仲間4人に向かってぶっ放してやったところだ!
来るなら来いよ。メーヴィス・ロウ、おまえはこの世で唯一、俺を殺す資格があると俺自身が認めた女だ。手足がもげようと、首が飛ぼうと、俺のあとを追って来い。──地獄まででも追ってこい!!
(/申し訳ありません、動きの激しい場面故かなり冗長になってしまいましたが、気にせず普段と同じ長さで返してくださって大丈夫です……!また、追っ手がメーヴィスひとりになる、という都合の元大規模な全体攻撃をけしかけましたが、小さなガスボンベ故実は然程殺傷能力がない(目くらまし程度)というつもりであるというのがひとつと、無論肝心のメーヴィスは何らかの要因により全くの無事ということで構いませんので……!/蹴り可)
>>69 津原 映奈
お……そりゃあ朗報だな。
……ずっと我慢してたから親に反抗したいってのは、その気持ちはわかるよ、津原。おまえが“自分独りで”それをやるなら、俺はなんにも口を出さずに、無責任に応援してたさ。
けど、“俺の家に泊める”となると話は別だ。お前のその初めての反抗ってやつの片棒を、俺も担ぐことになる。さすがに俺ぁごめんだぜ、学校に乗り込んできたお前の親父に、娘をたぶらかしただ何だってぶん殴られたりするようなことは……だから、バレるようなことはやめとけ。
何より、仮におまえの言うとおり、おまえの両親がおまえに興味や愛情を持っていなくて、ただ「恥さらしになるな」とだけ思っているのだとしてもだ。「出ていけ」とは、ならないんじゃねぇかな。世間体を気にするような親ならむしろ、自分たちが目を離している間も娘がこれ以上変なことをしないように……って、尚更束縛を強くする気がするぜ。
(恥ずかしそうに此方の言葉を否定したその声に、彼女を元気づけようとしたのかおどけたように笑って返し。しかし、先ほどの万引きの失敗もあってか酷く思いつめた様子の彼女を、ふと真顔になり見つめ。……どうやら、自分が踏んでいたよりも、彼女の落ち込みや抱えている家庭の問題ははかなり深刻であるようだ。だが、今まで素直だったからこそ今になって激しく噴き出してきた彼女の反抗心を、今後も彼女と交流することを考えるならそのまま受け入れるわけにはいかない。そのままでは「お願い」を聞くことはできないとやや冷たく返した後に、しかし拒絶するわけではないのだと、ふっと穏やかに笑んで。親を騙せ等と無垢な同級生に吹き込む真似は、決してまともではないだろう。だが自分自身、彼女と時間を過ごすことを少しずつ望み始めていたし、それを長く叶えるために問題をできるだけ回避しておきたいのだ。望みを叶えるために、現実的にどう手を打つかをきちんと考えねばならないと、彼女の瞳をこちらもまっすぐ見返しながら、小声で悪魔の囁きを聞かせ。)
……何も、津原の覚悟に反対してるわけじゃねぇよ。おまえが変なところにふらふら泊まりに行くくらいなら、俺んところに来てほしいしな。
強硬手段をとるんじゃなくて、現実的になって保険をかけとこうって話だ。勢いのままに行動して、自由を楽しむのは今夜が最初で最後だった、なんて嫌だろ? 俺だって、来てくれるなら津原を何度か呼びたいんだ。だから、どうせなら──親を狡猾に騙そうぜ。
母親が帰ってきた後で、もう寝たと思わせてからこっそり抜け出すとか。或いはおまえの女友達んちに勉強会で泊まることになった、ってメールするとか。探せば方法はある筈だ。何も、家に帰らないことを馬鹿正直にバラしちまう必要はねぇんだよ。……親を欺くのだって、立派な反抗だろう?
>>72 加我 佑哉
っ…、そうだよね。私ちょっと焦り過ぎてた。自分の事ばっかり考えて…、加我くんの事は置き去りにしちゃってた。
加我くんのしてくれた提案、凄く良いと思う。逃げてばかりじゃなくて、しっかり案を練らないといけないもんね。─勉強会で泊まるっていう事なら向こうもきっと怪しまないと思うし、それでいってみようかな。
(彼の主張を受けていく中で、家から逃げたいあまりに自分の欲ばかりを相手に押し付けてしまっていた事に気付き、一度小さな深呼吸をしてから冷静に言葉を紡いで。振り返ってみると、彼の言う事も尤もだ。ただ単に反抗心を剥き出しにして立ち向かったのでは、現実的に見てしまえば自分だけでなく彼にも危害がいくのは避けられない。それは一番してはならない事。焦りからか目先の衝動しか考えられず、周囲の迷惑を気に掛けられなかったと深く反省し。─そして彼が口にした、狡猾に騙すという言葉。言葉を聞いた瞬間に、万引きをしている時の自分と似たような感覚があって思わず目を輝かせ。してはいけない行為を、欺きながら隠す。相手の言葉の全てが自分の全てを引き込んでいくように、それだけ魅力に溢れたもののように聞こえて。その中の一つの提案を拾っては、鞄から携帯取り出してメール画面開き。すると噂をすればというべきか、母親から一通のメールが届いており、一瞬顔を曇らせ。内容を確認してみると『今日は帰りが遅いけど、何処にいるの?寄り道してる暇があるなら帰って勉強しなさい』とあり。独り言のように小さい声で文面に向かい「うるさいよ」と呟けば『今日は○子っていう友達の家で勉強会することになったの。そのまま○子の家に泊まらせて貰うから、今日は帰らないよ。伝えるのが遅くなってごめんなさい』と返信して携帯閉じ。○子は実在するクラスメイトであるが、クラスの中でも気弱で主張の少ない人柄であり、親が直接あちらに連絡をした時用に上手く切り抜けられるよう、なるべく使いやすい人物を選んで。○子には後で、詳しい事は隠して勉強会をしている口実を作る旨のみを伝えようと考えており。ふと携帯から相手に視線移し、決心したような笑み浮かべ)
…うん。私なりにだけど、上手く騙せたと思う。
>>70 メアリ・アンズワース
…………
……俺に、何か?
(少々“大きな荷物”を運ぶ、若い頃の人脈から得た今の近距離トラックの仕事は、不定期だが高収入だ。今回のように2、3日で帰ってこられるときもあれば、時には1週間以上も家を空けることがある。その代わり普通のトラック運転手を遥かに上回る賃金が出るし、大抵ひと仕事した後は同じだけの日数を休めるスケジュールとなっていた。故に、完全に休日気分となって気が緩みきっていた今、こちらを見つめる人影には声をかけられるその瞬間まで全く気が付くことがなく。音を聞いてから遅れて気配を感じ取り。察知能力の衰えを突きつけられたように感じながら、ガタつくドアノブに手をかけたまま、若い女性の声がした方をゆっくりと振り向いて。
そこにいたのは、恐らく会ったことのない、年の頃二十歳前後のうら若い白人の娘だ。垢抜けているという訳でもなければ気配りがないという程でもない、年齢相応のシンプルなファッション。女性らしい曲線という点では華奢と言えるが、体つきはごく普通。柔和そうな顔。化粧はあくまでもほんのり程度で、目が良いためこの距離でも鼻や頬の淡いそばかすが見受けられるが、野暮ったいというよりも素朴な魅力を感じさせた。元々濃いのか、マスカラ故のものなのか、目をくっきりと縁取る長い下睫毛と、その上に浮かぶ澄んだアイスブルーの瞳は多少印象的であるものの、つまりは──どこにでもいるごく普通の少女だ。
自分の正体や仕事柄、この辺りに知り合いはほとんどいないし、四十代にもなればこんなに歳下の娘から話しかけられること自体がまずないと言っていい。念のため記憶を探るが、やはり関係を持った女の中に彼女がいた覚えもなく、第一現時点でこんなにも若い昔の女などいる筈もなかった。最近会った記憶もない。……己にいったい何用なのだろう、そう内心訝りながらも、依然ドアノブから手を離さぬまま、身体を軽く其方に向けて、平静を装った静かな声で返答し。)
>>73 津原 映奈
そうか。一応は、定期的に携帯見とけよ。連絡がつかなくなったとなると、騒ぎ出すかもしれねぇから。
(“親を騙す”……その言葉を聞いた途端彼女の瞳がはっきりと興奮で輝いたのを見、思わず苦笑を漏らしたが。納得したらしい相手が携帯を開き、恐らく当の親から何か小言を送り付けられていたのだろう、穏和な彼女には珍しい一言を零してから静かにメールを打ち始めたのを、悠然と見守っていて。
両親が厳しい、必要なコミュニケーションを取らないのに妙なところにうるさいというのは、確かに事実なのだろう。プレッシャーをかけられているのも本当の事なのだろう。だが、両親は両親なりに彼女の身を案じているような気もするし、きっとこれは彼女なりの、今まで我慢していたからこそ急に訪れた遅咲きの反抗期なのだ。そんなことを思いながら、その状態にある彼女を独占して眺められる、あるいは影響できるかもしれない展開に内心低く笑っており──まさか己も影響されることになるとは、露ほども考えておらず。
やがて携帯から顔を上げた彼女が満足げに微笑めば、またどこか可笑しそうな声音で念のためと一言呈し。それからふと周囲を見渡し、窓の外がもう暗いのを確認すると、腕時計を見てからやおら立ち上がり、悪戯を企むような表情を浮かべ問いかけて。)
……もう七時か。それじゃ、そろそろ行く? ──俺の家。
>71 ♦ ジャック・マクガヴァン
──…そう。あの時、貴方の手足の一本二本、撃っておけば良かったわ。
( ロンドン市内に響き渡る銃声、怒号、裂帛、悲鳴──この日の為だけに整えられたフィールド、万全の準備を施した装備、至る所に張り巡らされた立入禁止のテープ。俄然ロンドン警視庁は今日で殺人鬼の息の根を止めるつもりだ。死刑廃止制度を実施し平和を謳いながらも、逮捕を行う迄のプロセスの途中で射殺された事例は稀ではない。──矢張り撃ち殺すつもりなのだろう。自分の中の正義感は其れを容認する反面、確かな疑問を微かに抱いてしまっている。──嗚呼、まだまだ甘い。情状酌量の余地はない、彼は己の慕う師をその手に掛けたのだから。地を蹴る脚と拳銃を握る掌に溢れんばかりの力が籠るのを感じつつ頽廃した道を懸命に駆け抜け、特殊部隊と刑事課の仲間と共に砂糖に群がる蟻の如く後追いを続け。愈々大詰めかと推測した瞬間遠方の男は野生動物宛らに柵を飛び越え、聳え立つ建物の一角に身を滑らせると恐ろしい早さで上へと進むのが目視でき中には踏み込むなと片手で牽制を。きっと何かしらのアクションを取ってくる筈だ、と刑事としての勘を働かせ、期待を裏切らず凶悪な笑みを浮かべた彼が高々と己個人に向けて放たれた台詞には耳を塞ぎたくなる物が含まれており思わず碧眼を歪め。第三者の視線が彼女一点に向けられる中、激昂を見せる訳ではなく静かな怒りを体現したかのような面差しと声音で訥々と応答し。当たりの強い物言いではあるが、心臓ではなく手足に妥協した辺り結局甘ったれた精神は捨て切れないないのだろう。威嚇目的で銃口の照準を定めようと腕を挙げかけて──思わず瞳を瞠った。宙を舞ったガスボンベは男の手により爆発を起こし、反射的に腕で顔を覆うと数秒後にゆっくり瞳を開き幸い無傷という奇跡的な状態であった事に安堵を抱くも、咄嗟に周囲を見渡せば軽傷ではあるが傷を負った人員達。目分量で五分の一程度だろうか、動ける者に各自散開と告げると一人一人方方に散っていき。彼は此処までやってのけた。きっと生半可な覚悟ではない。ならば此方もそれ相応の姿勢で臨まなければ、そう決意すると彼が次に姿を現しそうな場所──建物の裏手、大きなトラック程しか確認できない荒涼とした地に足を運び。 )
( /展開についての容認をして下さった事にお礼を言い忘れておりました故に今回はお返事をさせて頂きました…!嬉しいお言葉有難う御座います。いえ、細かく書いて頂きとても分かり易いのでお気になさらないで下いませ。便乗するように此方も長くなってしまいましたが、次からは通常の長さに戻ります故…!詳細の付け加え、誠に有難う御座います。何人か動ける状態にありますが、個別行動と致しましたので実質一人という風に捉えて下さればと思います。此方蹴り可ですので、此方こそ引き続き宜しくお願い致します。 )
>>75 加我 佑哉
分かった。油断大敵っていうもんね。
──うん、行こう。
(逸る気持ちを押さえながらも気になってしまうメール画面を今一度、ちらりと見てみるとまだ返信は来ておらず、夕飯でも作っているのだろうかと薄々察しながら携帯閉じて鞄に仕舞い。忠告受ければしっかりと頷き、立ち上がった相手に続いて此方も腰を上げ。既に会計は済ませた後なので、飲み終わった食器等はその場に置き、一先ずカフェから出て。移動を始めてから施設自体の出入り口に差し掛かった辺りで、メールボックスを確認すると一通届いていて、送り主は言わずもがな母親。少しの間を置いて内容を開くと『○子さんはクラスの人?本当に勉強会なの?』なんて疑り深い台詞が。勘が鋭い母親の言葉に小さく眉寄せては『大丈夫だよ。証拠欲しいなら、明日勉強したノート見せるから』と返信し、くるっと相手の方振り返り)
じゃあ、案内してくれるかな。…加我くんのお家まで。
>>クレイグ・ウォーカー
見つけた……見つけた、見つけた…やっと――!
(此方を振り返ったその姿、顔をしっかりと確認すると言葉では形容し難い強烈な歓喜が全身を打ち震わせた。十余年の時を経て、あの日幼い自身の目に映った姿と比べれば随分と窶れてしまっている。生きとし生けるものの宿命である老いが着実に彼を蝕んだのだと言う現実は、逃れようもなく見せつけられた。それでも、死んでさえいなければ自分にとっては何の問題にもならない。見紛う筈のない、初めて目にしたあの日のあの瞬間から、一瞬たりとも揺らぐ事の無い想いを向ける彼をとうとう見つけ出したと言う甘美な事実に酔いしれながら、ぽつりぽつりと呟いた。本当は、彼の姿を見つけた時のシュミレーションを何度も何度も頭の中で繰り返し、何パターンにも及ぶ綿密な計画を立てていた筈だった。どんな場所のどんな状況で見つけたとしても、必ず彼を捕まえられるように。然しながら、結局の所そんなものは彼を見つけた瞬間の喜びと興奮の前には何の役にも立たないのだと言う事を思い知る事となる。いきなり現れて声を掛けて来たかと思えば、笑っている顔とも泣き出しそうな顔とも言えない複雑な顔をしてぶつぶつと何やら呟きながら近付いて来る女の姿は、嘸かし気味の悪いものだろう。
とは言え、漸く見つけた彼を目の前にして、ただ気味の悪い女だと拒絶されこの千載一遇のチャンスをフイにする事は出来ない。ふらふらと近づいて彼との距離は大凡2mほど、互いの姿をはっきりと目で確認出来るその距離で徐に手帳の中に挟んであった古い一枚の写真を取り出したかと思うと、そこに映るひとりの女性の姿を彼に見せつけるかのように腕を伸ばした。映っているのは他でもない在りし日の"あの女"。最早数えるのも億劫になるほどの人数を手に掛けてきたであろう彼のこと、10年も前に殺した女の存在など欠片も覚えていない可能性の方が高い。仮に覚えていたのしても、何の話だと白を切られてしまえば元も子もない――のだが、こんな手段を取ってしまうのは若さ故の浅はかさなのだろうか。ともあれ、今の自分にはこれしかない。知識も経験も不十分、年若くまだ青い少女が嘗て世界中を震撼させた殺人鬼を相手に彼の記憶を呼び起こさんとして早口に過去の出来事を語り始め。)
マライア・アンズワース――10年前のクリスマス、リッチモンドで殺された女です。外科医の未亡人で、娘と住み込みの家政婦とで3人暮らし…時々、貴方を家に連れて来ました。貴方が家に来る時、あの人はいつも酔っ払って、楽しそうに笑って……あの日もそう――ううん、あの日はいつもより酷かった。
酔っ払ってふらふらのあの人が帰って来た、貴方と一緒に…貴方はあの人の腕を肩に担いで、それから大きな紙袋を持ってキッチンに入って来ました。覚えてますか、キッチンでオレンジジュースを飲んでいた女の子……貴方はテーブルの上に紙袋を置いて、「食べな」って、そのまま二階に上がって行った…
――紙袋の中身は、クリスマスケーキだったの。
>>76 メーヴィス・ロウ
そりゃだめだぜ、メーヴィス・ロウ──撃たれちゃあ、お前を抱き締められないじゃないか。
(宵闇に沈む遥か地上で突如閃く爆音、熱風、そして鮮やかな赤い炎。狙っていたよりもずっと小規模な爆発ではあったものの、敵の大きく威力を削ぐには充分だったそれを眺めて満足げに目を細めると、傲慢に見下ろしながら甘い声で独り言の如く囁き。かと思えばくるりと踵を返し、非常扉の窓を蹴破って非常ベルの音にも構わず建物内部に入り込み。恐らくはホテルの一室であるそこはボロボロのベッドルーム、人が泊まっていた痕跡はあるものの、退去令の為か気配はどこからも感じない。テーブルの上に置きっぱなしだったチョコレートと酒瓶を通り抜けざまにかっぱらい、堂々と部屋を横切りながらチョコレートは上着のポケットに、酒瓶はそのまま口元に寄せ。ドアを開け、廊下を抜けながら中身をぐびりぐびりと飲み干すと、アルコールが入って気分が高揚してきたのか、大声で楽しそうに笑いながら、見つけた階段を勢いよく駆け下りていき。すぐにも辿り着いた無人ロビーの、しかし正面ではなく裏口へ。見つけた扉の狭いすき間に慣れた手つきで錆びナイフを差し込むと、一瞬で解錠し、出た先は殆ど何もない、隣のビルを更地にしたと思しきコンクリートで固められた場所。周囲を一瞥し、やはり退去令のためにうち捨てられたのだろう、荷台の扉が開いたままのトラックしか無いことを見て取ると、足を止め暫し思案する──ここを考えなしに横切るのは余りに愚かな自殺行為だ。予想が的中したように追っ手の足音を聞き取ると、にやりと笑い、まずは片手にまだ持っていた酒瓶の飲み口の方を持ち。そのまま腕を大きく後ろに引き、張りつめた身体をしならせ──ヒュッと短く息を吸うと、弾かれたように投擲。瓶は激しくスピンしながら無音で空き地の上空を舞うと、遥か60メートルも向こうのどこかへと落ちていき、何かとぶつかったのだろう、激しい破壊音を響かせ。「──あっちだ!」ばらけていた足音の幾つかがひとつに集い、酒瓶の落ちた路地の方へと駆けていくのを、しかし当の男は身を潜ませたトラックの荷台で嗤いながら聞いていた。彼らが応援を呼んでくれれば、此方の捜索が手薄になる。何とも呆気ないものだと喉を震わせて笑いつつ、念のために周囲の気配を隠れたまま窺った後、トラックの荷台の奥から漸く姿を覗かせて。)
いつ何時も、工夫ってのは大切だわな……子供騙しも馬鹿にならねぇ。それじゃ、俺が居もしない場所を奴らが血眼で嗅ぎまわるうちにのんびり逃げてやるとしようか。ああ言ったものの、ロウとやり合うにはこの状況は流石に不利だ……仕切り直しをせにゃあならんな。
>>77 津原 映奈
そう長くはかかんねぇよ。定期とか買う余裕ねぇから、学校のすぐ近くに家借りてるし。
(恐らくは念を押したそばから、娘の行動変化を訝るような言葉の類いが母親から送られてきたのだろう。それを見て顔を微かにしかめるもののすぐに返信を済ませた彼女が、軽やかに振り返って向けてきた可愛らしい言葉に、まるでデートみたいだなと内心苦笑いしながら平常通りの言葉を返す──家に泊めるわけだから間違ってはいないのだが。何はともあれ、彼女の気分がいつもよりやや高まっているのは事実だ。それは己が原因というより、今の今まで溜め込んできた鬱憤を、いつもとは違う、禁じられた行為──違法ではないが、万引きとは別の意味でそう軽々に出来ない真似をすることですっきりさせられるからだろう。どこか危なっかしい、不安定なその無邪気さが、しかし不思議と癖だった。……そこを刃物で突いてやりたい、火遊びを覚え始めたいちばん危ない隙に漬け込んで壊してしまいたい、そんな仄暗い欲望がふと浮かび上がってきたが無理やりに封じ込め。ふたり並んで出口を出ると、車道側に立って己の家へと向かいながら、ふと思いついて彼女に尋ね。)
……あ、でもそういや、夕飯は食ってないよな。どうする? その辺の店に入るんでもいいし、何なら俺自炊してるから、家でも多分何かしら出せるけど。
>>78 メアリ・アンズワース
────ッ!?
(安アパートの薄汚れた廊下で、暮れ行く夕日に照らされながら、少女が此方の顔をどうやらはっきり確認した──その瞬間。突然顔をぐしゃりと歪めて彼女が浮かべたそれは、まるで生き別れていた大切な誰かにようやく巡り逢えたかのような、溢れ出す強い感情に満ち満ちた泣き笑いの表情で。感極まるあまりに上擦った声を上げながら、少女はおぼつかない足取りで、熱に浮かされたようにふらふらと近づいてくる。想像を超えたそのあまりの反応にぎょっとして、流石にドアノブから手を放し、彼女にまっすぐ向き直るも思わず一歩後ずさり。──こいつは何だ? いったい何が──どういうことだ!? 未知の恐怖に心臓が激しく暴れ、目は大きく見開かれ、身体は臨戦態勢をとるべく固く張りつめるが、しかしぴたりと歩みを止めた彼女が不意に手帳から取り出したのは、一枚の擦り切れた写真。己が良く見えるようにとそれを突き出しながら、謎の少女は早口で、しかし何かへの強い期待で声を激しく震わせて、自分が思いもよらなかった過去の出来事を語りだした。
──マライア・アンズワース、外科医の未亡人、母娘と家政婦の3人暮らし、十年前、クリスマス、リッチモンド……女の子。言われてもピンとこない矢継ぎ早のキーワードに再び頭が混乱するが、何より己を狼狽えさせたのは、少女の過去に己が突然登場したことだ。何一つ覚えていないが、己はこのl奇怪な少女と、遠い十年前に会ったことがあるというのか? 一方、自分の意志とは関係のないところでどうにか機能する理性は、写真の女はかつて自分が関係を持ち、十年前にリッチモンドで殺した女らしいということ、そして……目の前の少女が、その娘だということを理解させ。
……遺族が居場所を突き止めて迫ってきたことは前にもあった、今回もその時のようにまずはシラを切れば良い筈なのだが、どうしてかそれが全くできない。目の前の彼女はあまりにも自分を殺人鬼のクレイグ・ウォーカーだと確信していて、ごまかしなど効きそうにない、そうひしひしと感じるからだ。それに何より奇妙なのは──目の前の少女がかつて殺した女の娘という推理が当たっているなら、彼女が今見せている激しい感情の奔流はまるで訳が分からないのだ。憎悪ではない、怒りや悲しみでも全くない。ただただ何かの喜び、それも天上の幸福に打ち震えているようなのだ。その感情が強い恐怖を覚えるほどに理解の範疇を超えていて、何ひとつ平時のような反応がままならず凍りついている。……それでも、もしも己を殺しに来たのなら、万一のために警察を既に呼んでいる可能性がある。全盛期のころに己を守ってきたその先を読む警戒心が己の唇をようやく動かし、彼女の真意を探るべく、疑心と動揺の色が濃い掠れ声でシンプルな問いを投げかけ。)
………おまえは、……、目的は、いったい何だ──復讐か?
>>80 加我 佑哉
夕ご飯の事すっかり忘れてた…。
自炊してるんだ?凄いなあ。─折角だから、加我くんの作ったご飯食べてみたいかな。邪魔にならなければ私も手伝うから。
(家の場所が近くだと聞くと、成程そうすれば親からの縛り付けから逃げる事が出来るか、と一人暮らしする案も思いついて。まずそれを許すかどうか、というのも確信の持てないところではあるが。相手から不意に夕飯について話出されると、色々あったせいかすっかり頭から抜け切っていた事を思い出し、急にお腹が空いてきて。このまま何処かの店に寄って食べていくのも悪くはないけれど、彼が自炊をしていると聞くとどうしても其方の方が気になってしまい。そうすると向こうにばかり負担を掛けてしまう事になるだろうと分かってはいるが、こうした機会はそうそう訪れない為に控えめにお願いしてみて。自分の手伝い等、足を引っ張る結果にもなるかもしれないが頼るだけよりマシかと一応付け足して述べ)
>79 ♦ ジャック・マクガヴァン
──その必要はないわ。…爪が甘かったわね、ジャック・マクガヴァン。
( 深く濃い澄んだ夜空に厚い暗雲が立ち込めると、まるでこの先待ち受けているであろう悪い何かを暗示しているようで酷く気味が悪い。そんな漠然とした予感を感じ取りながら微かに身震いをし──程なくして耳朶を激しく揺さぶった、何かが衝突し硝子と思しき物体の粉々に散る音。其れに伴い疎らに居た捜査人員達は音の聴こえた方へと足早に向かい、ならば自分もと足先を方向転換──しようとして、はたと思い留まる。あの男がこうも容易に襤褸を出すだろうか。周囲は痛い程の静謐に満ち満ちているというのに、その中で大きな衝突音を出す何て愚の骨頂だ、自分の居場所を自ら露呈しているようなものだろう。必ず裏がある、今も彼は何処かで息を潜め狂気に歪んだ笑みを浮かべているに違いない──そう確信に近い予感を感じては全神経を研ぎ澄ませ、五感全てをフル稼働し。軈て薄らと開かれた碧眼が捉えたものは、視界の隅に存在する大型トラック、の荷台。真正面からの突入は些かリスクが高いと冷静に思考回路を働かせると入り組んだ路地を伝って裏を周り後方からゆっくりと足を運び──予感的中、刑事の勘も棄てたものではない。此方に背を向け嘲笑うように喉を震わす殺人鬼の真後ろへと物音一つ立てず、且つ無駄の一切ない俊敏な動作で忍び寄ると抑揚のない淡々とした音を響かせて。 )
>>82 津原 映奈
了解。そうだな……それじゃ、今夜は無難にパスタにでもするか。
(此方としても、経済的な問題や食糧の管理の意味から、外食よりは自炊の方が遥かにありがたい。彼女の希望に穏やかに笑んで相槌を打つと、そのまま連れ立って街を抜け、静かな住宅街へと向かって。やがて十分ほど歩いてから辿り着いたのは小綺麗な高層マンション。ロビーを通り抜けるときに管理人と思しき老人が一昨日のとも先週のとも違う少女を連れ込む己に何かもの言いたげな目を向けたが、ないもののように受け流し。エレベーターで6階まで昇ると通路の奥へと進んでいき、突き当りにある紺色のドアのノブに銀色の鍵を差し込み。ガチャリ、と開けて彼女を先に中に通すと、軽く声をかけながら己も玄関口に立ち。
俺の家へようこそ。上着はそこのハンガーにでも掛けて……荷物は適当なところに置いてくれればいいよ。先に上がっておいてくれ。
(/初めまして、仄暗く独特な雰囲気のトピに是非❸として参加希望させて頂きたく、現在プロフィールを作成中なのですが、いくつか質問させて頂いても宜しいでしょうか?
まず殺人鬼様の妹として設定を練っているのですが、生き別れたとの事ですのでお互い幼少の頃の記憶は薄っすらと持っている方が良いでしょうか?腹違いの父を持つ妹、連れ子として共に過ごした日々が数ヶ月から数年。若しくは此方は乳児の時に離れ離れになり存在を知らない。どちらかお好みがあれば教えて頂ければと思います。
次に殺人鬼様のプロフィールに女の陰が絶えない、此方の設定として殺人鬼の才能があるとの事で、二人の生活を守る為に彼が共に過ごした女を殺害、殺人鬼としての才に目覚め、以降彼に接触する女は手にかけようとする歪んだ愛を持つ、との流れを考えていますが大丈夫だったでしょうか?この場合、殺人鬼様がこの犯行に関して知っているか否かはお任せしたいと思います。
最後に此方に対して萌え萎えや外見、年齢などのご要望があればお聞かせ願いたく存じます!
長々とお目汚し失礼致しました。)
>>83 メーヴィス・ロウ
……!
(己ともあろうものが、この至近距離にありながら、追っ手を警戒しておきながら……背後に立つ凛とした声の主に一瞬たりとも気づかなかった。そのことに暫し本気で驚愕するが、やがてゆっくりと口角を歪めながら後ろの彼女を振り返り。嗚呼、やはり彼女はどこまでも己の想像を超えていく──ロンドン警察が誇るまだうら若い女刑事、メーヴィス・ロウ。己が因縁の相手と認めた、味わい深い、愛しい女。街灯を背に立つ彼女は荷台の入り口側に居て、己はそのずっと奥にいる。身を潜ませて安全を確保したつもりが、それが仇となって逆に追い詰められたのだ。くつくつと笑いながらも、しかし殺人鬼は取り立てて顔色を変えず、悠然とした佇まいで彼女の方に向き直り。こうも早くその瞬間が訪れるとは思わなかったが、いよいよ彼女に捕まるか否かの瀬戸際にやってきたのだ。しかし急いては楽しめない。此方を見据える青い瞳を悪戯っぽく細めた灰色の目で見返しながら、道で出会った友人同士が立ち話をするかのように、穏やかな声音で彼女のことを褒めたたえ。)
あの爆発で負傷せず、今の罠にも踊らずに、まっすぐ俺を探し当てるだなんてよ……さすがだなぁ、美人さん。これも俺への愛ゆえに成しえた御業なんだろう?
>>85様
(/初めまして、当トピックを閲覧してくださり誠にありがとうございます。❸での参加希望でございますね、畏まりました。
まずは「幼少のころの記憶を互いに持っている(互いの存在を知っている)」設定、若しくは「妹の方は物心のつく前に殺人鬼から引き離されており、殺人鬼の存在を知らない」という設定、どちらの方が良いかというご質問についてですが、より良いストーリー展開になるのであれば、此方からは特にこれといった指定はございません。あまりお気になさらず、背後様のご想像のままにお好きな方で設定してくださいませ!ただ、>>02にあるとおり、いずれにせよ殺人鬼の方は妹の存在を知っている設定です。
次に、ふたりの生活を守るために殺人鬼が接触する女を妹が殺害、そのことで殺人に目覚め、恐らくは独占欲から彼に近づく女を加害していく……という設定ですが、こちらも問題はございません。
犯行を知っているか否かは自由とのことで、こちらは当方の勝手な妄想となるのですが、例えばこの場合、殺人鬼は己自身を棚上げして妹にはまともな人生を歩んでほしいと願っており、そのため彼女が自分と同じ殺人犯へとなり果てていくことに苦悩する……という展開にさせていただいても宜しいでしょうか? この路線の時、殺人鬼の方は初期段階ですと妹のことを恋愛対象ではなくあくまで家族として見ている設定です(後程>>02の設定を回収する心の変化は起こります)。
またいずれのストーリー展開にせよ、他の定型キャラクターと接する時とはまた異なり、お兄ちゃんお兄ちゃん下殺人鬼を提供することになる予定です、そちらもご了承いただければ……!
最後に萌え萎えについてですが、こちらも特に指定はございません。この定型はテーマの一つが「家族」ですので、最初から恋愛展開を視野に入れずに、妹がまだ幼い頃から始めるというようなこともOKですし、逆に成熟し始めた年齢の妹を引き取って大人っぽい日々から始めるのもOKです。背後様のお好きなように!
ただ、当トピックでは心理描写やストーリー展開かなり重点を置いていますので、妹のキャラクター造形がしっかりしている、またはストーリー構想への積極性がおありだと個人的にありがたいです。
加えて、非常にお時間をいただくPF・ロルテ提出をお願いしておきながら、万一相性が合わない、あるいは此方が其方のレベルに至らないと判断した場合、恐縮ながらお断りしてしまう場合もございます。どうか悪しからず……!
長々と申し訳ございませんでした、他にも追加の質問などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。)
>>84 加我 佑哉
パスタか、良いね!
──此処が加我くんの部屋…、お邪魔致しまーす…。
(夕飯の内容を聞くと、楽しみだと言わんばかりの微笑して。閑静な住宅街の中にある高層マンションに到着すれば、思わずキョロキョロと辺り見回し。途中ご老人に此方を見られたような気がするも、気にしないよう下向いてやり過ごして。ついに相手の住む場所に着くと、鍵を開けている瞬間にさえドキドキと胸が高鳴り。早速中へ足を踏み入れれば、初めて入る男子の部屋に緊張のあまり一歩一歩の幅が小さくなっていて。持っていた鞄を椅子に立て掛けるように床へゆっくり置いて、あまりじろじろと見てしまうのは無礼であると分かってはいるものの、何処に目を遣れば良いか迷い、つい挙動不信に部屋中を見てしまい。気恥ずかしそうに相手の方ちらりと視線向け、ふにゃりと笑い)
なんか緊張しちゃって落ち着かないなあ…。男子の部屋なんて初めてだから。
>>88 津原 映奈
別にそんなに変わらねえよ。適当にその辺の雑誌とかぱらぱら見てて構わないぜ、変なもんは置いてねぇし。──アレルギーとかあるか? 特に問題なければ、ボンゴレビアンコにしようと思ってるけど。
(ぎこちない様子の彼女を見て本当に手馴れていないんだなとおかしそうに目を細めてから、こちらも制服のブレザーを脱ぎ、ネクタイを取り払うと少し気を緩めた格好になり。フローリングのまだ真新しいそこは、こじんまりとしているものの居心地の良い、オレンジ色の明かりに照らされたモダンスタイルの1LDK。鞄を隣室のベッドルームに軽く放り込んでから、手を洗うとキッチンに赴き、冷蔵庫の扉を開いて。彼女に背を向けながら慣れた様子で食材を取り出し、無意識に思い出すレシピの手順を脳内で辿りなおしながら、夕食の準備を始め。)
>>89 加我 佑哉
アレルギーとかは無いよ。ボンゴレビアンコ、私大好きだし。…あっ、何か手伝おうか?
(これから此処に一晩泊まるというのに緊張ばかりしていては進まない。そう考え直せば近くの椅子にすとんと浅く腰掛け。相手が慣れた様子でキッチンに立ち夕飯を作り始めるのを眺めていれば、心の中で自分もこうして料理くらいは出来るようにならなければとぼんやり思い。わざわざアレルギーの確認をしてくれるところにまた彼の自然な優しさを感じ、無意識にも頬を緩めて。しかしこのまま作り続けるのを見ているというのも何だか申し訳なく、立ち上がって相手の元へ歩み寄っては自分の手伝いが必要かどうかを問い掛けて。ただでさえ今日は大変なお世話になるというのに突っ立っているばかりでは居られず、どうにか彼の役に立ちたいと考えており)
>86 ♦ ジャック・マクガヴァン
お互い、愛なんていう感情が生まれる間柄であれば、どんなに良かったかしらね。
( 荷台の中へと脚を掛け、履き慣れたヒールをこつり、こつり、とこれ迄の軌跡を辿るように一歩ずつ踏み締め、全く動じた様子を見せない毅然とした彼の美しい灰色の双眸と今一度確りと視線を合わせながら互い二メートル程しかない距離まで詰め。珍しくゆるりと緩慢な動作で、丁度彼の額部分に黒く鈍いを輝きを放つ銃口を宛てがうと、不気味な程に美しい月明かりと仄かな街灯の逆光に照らされた彼女の顔が深い翳りを落とし、そこから殺人鬼と対峙しているというのに何処までも冷静でそして酷く穏やかな表情を覗かせ。彼女らしいと言うべきか下らない談義に律儀に応答しながら、脳内にぶわりと浮かぶは夢幻の中で明朗に微笑む男刑事と、面影の僅かに残る血に塗れた屍体。他愛もない会話を交わした他愛もない日々。一つ一つ鮮やかに思い巡らせては、やっと今日全てに終止符が打たれるのだ、と抑えていた感情が蓋を切って流れ出し。──ありとあらゆる意識は全て眼前にいる男に注がれている。故に、気が付かなかったのだろう。幾ら職業で培われた研ぎ澄まされた感性を持っていたとしても、余りに想定外の第三者の存在と、其の揺らめく人影が自分達に気付かずトラックの荷台の扉を閉めようとしている事に。 )
>>90 津原 映奈
いや、大丈夫。……あー、それよりか、ベランダに干してる4枚くらいのタオルケット、悪いがちょっと取り込んでおいてくれるか。夜中に雨になるらしいからさ。
(ボウルに張ったぬるま湯に、業者が済ませているとはいえ念の為にとアサリを浸けて余分に砂抜きをする間、妙に鋭く研ぎ澄まされた包丁をすらりと抜き出し、ニンニクを軽快に刻み。そのときふと近づいてきた相手の言葉に手を止め、暫し考えてから、キッチンの狭さを踏まえるとひとりでやる方が調理しやすいからとあっさり首を振り。しかし己がキッチンに立つ20分ほどの間、完全んq手持ち無沙汰にさせてしまうのも問題だろう。そう思い直すと、リビングの大窓から出ることのできるベランダの方にちらりと目を向け、役割分担だというように頼み。……その時、彼女の状態を観察することも忘れない。呼吸も顔色も落ち着いていて、不慣れな場所故に多少ぎこちなさはあるものの落ち着いてはいるようだ。何を思ったかまたふっと微笑むと、再びまな板に向き直り。)
名前 イリーナ・ベレズスキー(Irina・Berezutsky)
役柄 ❸
年齢 10歳
容貌 出会った当初:父より引き継いだ明るい栗色の髪は栄養が足りずパサパサ、前髪は顔を隠す為に顎先に届く程伸ばしており、母譲りの澄んだ翡翠色の瞳を隠している。後ろ髪は自分で切っており、切り口がバラバラで肩に付かない程度の短さ。(元々は少しでも女の子らしく、と伸ばしていたが父の怒気を被り切り刻まれた事から現在の長さに落ち着く)痩せ細った身体は同年代よりも細く小さく身長は123cm、陽に当たらぬ事から病的に白い肌。服は粗末な麻で出来たぺらぺらの大きめなシャツを一枚ワンピースのように着ている。靴は買い与えられず、足は寒くても裸足のまま。不安になると親指の爪を切る噛む癖があり、常に爪はボロボロ。化粧などした事のない顔は、自分でも鏡を見る機会が少なくどうなっているか分からぬものの乾燥で唇はカサついており、頬も子供特有の丸みや瑞々しさを失っている。
今後:兄の背後に女性の影を見つけるようになると、異性として認識して欲しい欲求が深まり女性らしい美への執着が現れ始める。艶を取り戻した髪は伸ばし、綺麗にブローを掛けて真っ直ぐストレート。かと思いきや、兄が付き合っている女性が緩くウェーブした髪型ならば自身も髪型を其れに変えたりと、髪型に然らず服装もメイクも兄好みになろうと彼の付き合っている女性の影響を受け大きく変化する。体型は崩さぬよう日々弛まぬ努力を行いスタイルをキープ。爪は綺麗にマニキュアでコーティングし過去の名残を消そうとしているが、兄から漂う女の匂いに嫉妬し、彼の知らぬところで噛んでしまうことが常。兄と過ごす事で愛情を取り戻した為か、顔付きは以前の凄惨さに比べ穏やかで女性らしい柔らかなものへ変貌。眉の上で切り揃えられた前髪、覗く瞳は希望と愛情、さまざまな感情によって兄を見る時は輝いているも、兄の女へ向けられる視線は以前の凄惨な頃に比べより苛烈を極める。
性格 父から受ける虐待の影響で望む事を忘れ、未来を考える事を放棄。その日どう凌いでいくか、だけを考え生きてきた為、心に余裕もなければ人形のようにひっそりと息をして育ってきた。自身の考え、想いを伝える機会がなく、人との関わり方が分からかった。兄と出会ってからは、家族の愛情を知り、安らかな日々に表情を取り戻す。元来の真っ直ぐで直向きな性格が顔を見せ、献身的に兄へ支え、また依存的になる。兄の前では何処にも行って欲しくないと我儘な癇癪持ちの子供のような姿や、早く一人前に見て欲しいと態と大人びた言葉遣いをしたり、アンバランスな一面が際立つ。盲目的な迄に兄を愛しており、この世界は兄と自分その他大勢、と排他的な考えの持ち主。だが兄と関係を持つ女にだけは強い感情を有しており、兄の前では見せない狂気的で猟奇的な殺人鬼の顔を垣間見せる。
設定 自身が1歳数ヶ月の時に、彼の母親と己の父親が離婚し生き別れに。兄に関する記憶はないが、離れる前に一度だけ撮った家族写真に写っている赤児の自分を抱っこして笑っている男の子(兄)の姿が幸せな記憶と共に生きていく糧となっている。離婚してから直ぐに父は再婚、義理の母と姉に虐げられる日々がスタートする。父も段々と己の存在を疎ましく感じ、納屋へ臭い物に蓋をするように軟禁生活が始まる。自身が8歳になる頃、父の酒癖の悪さから再度離婚。以来女性に対する怒りが全部自身へと向かい、母に似た瞳などを理由に虐待は激しさを増していく。働かなくなった父は借金地獄へと陥り、近々売られる予定であっが、救世主のように現れ助けてくれた兄の存在に心から救われ依存するように。
要望 殺人鬼様に関しては、ぜひ最初はお兄ちゃん然とした感じで絡んで頂ければ嬉しいです!こちらの犯行に関する苦悩も説明して頂いた感じで全然大丈夫ですので、お好きに作成して頂ければ幸いです。
ストーリーに関しましては、最初は家族としての愛情を育んでいく所から、後々には彼の相手を殺害するまでにおよぶ歪んだ愛へ移行出来れば、と思っております。何れ兄までも監禁し束縛しようと強い思いに駆られるも大嫌いな父と似た様な事を繰り返そうとしている事に気付き苦悩していく感じが出来れば、と。
ロル
…また、あの人飲んでるんだ…。
(閉じ込められた暗闇、悴む両の手を温度を分け与える様に撫で摩る。納屋から本宅迄はそう距離も離れていない。今日も男が酒に溺れ、物を破壊する騒音が静かなこの空間にまで響いてくる。零した言葉は温度を含まず、只の感想。今日は来ないかも知れない__そう願い祈る日々はとうに過ぎ去った。より一層縮こめた身体は部屋の隅で闇と一体化するようにひっそりと蹲って。隙間から零れる月光に、今にも消えそうな己の存在を重ね、黙々と恐怖の時間が来るのを待つこと幾許か。今迄聞こえていた騒音は鳴りを潜め、変わりに父らしき男の悲鳴が聞こえた気がした。まさか今更都合の良い夢でも見ているのか。はっ、と漏れ出た嘲笑は自身に向けてのもの。きっと何食わぬ顔をして今日もそこの扉を開けるだろう父の顔を思い出し乍、長い前髪の隙間から扉を睨み据えて。)
(/先程質問させて頂いたものです。ご丁寧にお答え下さり有難うございます。つきましてはプロフィールが完成致しましたので、不備や相性など確認をお願いします。)
>>91 メーヴィス・ロウ
……なんでだろうな。こうやって、言葉じゃこんなにもはっきり拒絶されてるってのに……フラれたって気持ちには、何故だか不思議とならねぇんだ。
(同じ半密室の領域に入り込むと、靴音を慣らしながら彼女はゆっくりと歩み寄り……満を持して、その冷たい銃口が己の額に当てられた。互いの心音すら聞こえそうなほど今までにない間近な距離。嗚呼、漸く、ずっと待ち侘びていた瞬間が訪れたのだ。あとは彼女が細い指ひとつ引いてしまえば、己の命は呆気なく終わる。しかし彼女の浮かべる表情と同じく、己の今の心境は奇妙なほどに凪いでいた。
今まで、他人の命を犠牲にするのも躊躇わないほど己の生に執着してきた人生だ。だというのに何故か、この瞬間に死んでしまっても良いというような気すらしている。今はただただ、目の前にいる美しいこの女、己を裁きに来た彼女の事が心から愛しくて仕方なかった。──嗚呼、己は、だれかと会話をしたかった……心を触れ合わせたかった、それだけだったのかもしれない。
呟きながら軽く、自然に一歩歩み寄ると、彼女の顔を初めてそばから覗き込み、骨ばった手の甲を彼女の滑らかな頬へと撫でるようにそっと添え。「……メーヴィス、俺は──」……罪を侵してきた殺人鬼の、誰にも零すことのなかった本音を躊躇いがちに囁こうとした、しかしその瞬間だった。突然の重々しい金属音、突如世界から失われる一切の光。──甘い空気は一瞬にして失せ、さしもの己もいったい何が起こったのか咄嗟には理解できなかった。荷台の扉を何者かに閉じられた、漸くそう気が付いた頃にはトラックのエンジンがかかり、今にも走り出すところで。本能が危険を察知し、思わず銃を握る相手を押しのけ一歩踏み出そうとしたその瞬間、いよいよ走り出した激しい揺れと遠心力で、車内の荷物に叩きつけられ。不安定な足場でふらつきながら立ち上がるものの、辿り着いた扉は内側から幾ら本気で押そうと開かず、自分と彼女が閉じ込められたという状況に、焦りを孕んだ声を上げ。)
──逃げやしねえから、一旦どけ!
…………ッ、どうなってやがる……?
>>93 イリーナ
(きっかけは偶然だった。関係を持った女の一人が児童相談所に勤めていて、彼女の最期の晩餐の時に、ある被虐待児の話を不意にぽろりと零したのだ。酒癖の悪い父親に虐待される幼い娘、というごくありきたりな筈のそれは、少女の年齢や外見など細かいことを聞き出すうちに強く何かを予感させた。故に、レストランから帰宅して家に上がり込んだ瞬間彼女を灰皿で殴り殺すと、彼女の書斎に山と積まれた仕事関連の分厚い書類を血眼になって読み漁り──そうして漸く、長年探し回っていた妹の居場所を掴むことができたのだ。
寸暇を惜しんで列車に飛び乗り、該当する家に辿り着いたのは真夜中もとうに過ぎたころ。手入れもされず傾きかけている本宅では、8年以上も会っていなかったあのろくでなしの男が深酒に溺れていた。こちらがかつての息子とも知らず罵声を浴びせてきた彼の胸倉を掴み上げ、激しい言葉の応酬の末に読み取れたのは、あの女の書類に書かれていた内容など遥かに凌駕する凄惨な虐待が妹を傷つけてきたこと。視界がぐわっと真っ赤に染まり──あとはもう、何も覚えていない。気づけば、部屋中の壁という壁に鮮血が飛び散るほどに、男は惨い死を迎えていた。鏡に映った己の悪鬼のような顔を見、荒い息をどうにか鎮めて返り血を拭き取ると、最早用のない家を出てほど近い納屋の方へと。
扉の閂を外そうとする骨ばった指が、妙に激しく震えてしまう。生きているだろうか。どれほど弱っているのだろうか。心は壊れていないだろうか。強い恐怖心に晒されながら、それでも扉を開け、ゆっくりと納屋の中に踏み入り。やがて暗闇に目が慣れ、隅にうずくまる異様に小柄な子どもがこちらを見ているのに気が付くと──息が詰まり、感情がどっと溢れ出しそうになったのをどうにか堪え。そばまで寄ってゆっくりとしゃがんでから、しゃがれた声で言葉をかけて。)
……よお、大丈夫か。
…………、おまえは、イリーナ、なんだよな……?
(/PF提出ありがとうございます。イリーナのキャラクター造形や此方への要望、ストーリー構想等しかと読み込ませていただきました。不備等ございませんので、これから是非宜しくお願いいたします……!
最初のうちに確認事項だけ挙げさせてくださいませ。まず絡みについてはおそらく長期で宜しいかと存じますが、ロル数にご希望はございますか? 尚、今回は初回故経緯など含めた結果想定以上に冗長になってしまいましたが、普段は3分の1ほどで回せますし、背後様のやりやすい長さに落ち着けることが可能ですので、どうかお見逃しいただければ……申し訳ございません!
またふたつ目として、ロシア系の名前とお見受けいたしますが、舞台はロシア、殺人鬼の兄もロシアの男性名、ということで宜しいでしょうか……? またその場合、一口にロシアと言っても広大ですので、地方などにご指定があれば其方も是非。しかし別の国に移り住んだ家系等という設定もあるかと思うので、違っておりましたら遠慮なくおっしゃってくださいませ! また、良ければ殺人鬼の年齢も大体で良いのでご指定いただけるとありがたいです。
3つ目に、ご相談の段階では父親違い・あるいは母親違いということだったかと思いますが、イリーナと兄は両親ともに同じの、正真正銘の兄妹ということで宜しいでしょうか?
初っ端から質問ばかりすみません……お返事をお待ちしております。)
>94 ♦ ジャック・マクガヴァン
───!?
( これが長らく世間を震撼させていた、あの凶悪殺人鬼の姿だろうか。そう疑わざるを得ない程に、毒も狂気も含まれていない柔らかで閑かな面持ちと声色であった。無言で其れらを受け止め、今ばかりは接近を許し後退る等と野暮な真似はせず凛然とその場に佇み。無表情というには瞳に光を湛えた、然し矢張り特定の感情を映し出さない様々な思いが幾重にも重なったものを一杯に滲ませ、徐に伸ばされた武骨な掌を静かに受け入れ。己の白皙を撫ぜる手付きは酷く優しい、だがそれだけで気持ちが変わる程聖人君子の如き清らかな心の持ち主ではない。トリガーに手を掛け、せめて最期にとある殺人鬼の小さな願いを聞き届けようとした、その時。──彼女の鼓膜を震わせたのは男の呟きではなく、深々とした夜の静寂を一直線に突き破るように轟いた重厚な金属音であり、其れが荷台の扉だと気付く迄に少々のタイムラグの発生。次第に明瞭であった視界が段々と輪郭を忘れ朧気な物へと変化していくとはっと我に返り──僅かに乱れた思考で導き出した答えは実に単純な、閉じ込められたの七文字。一筋の光明も見い出せない中故に男の姿は薄らとしか確認出来ないが焦燥を隠し切れていない様子だという事は気配で分かる。次いで地震かと錯覚する程の激しい揺れに見舞われ当然バランスを崩さない筈もなく、その場に叩き付けられ同時に拳銃を握る掌から一気に力が失われ。彼の独白の言外から扉は内側からは開かなかったようだと分かる、冷静に取り繕おうとも余りな急展開に動揺は隠せず壁に手をつき覚束無い足取りで立ち上りながら、まるで生産性のない言葉を漏らして。 )
なッ、──一体何が…!?
(外の冷えた空気が開かれた扉から室内を浸食する。ぶるりと震えた肩は無意識の反応。淡い光を背に入って来た人物は見知らぬ人物__その筈なのに妙な既視感に息がつまる。呼吸を止めたまま男性の動きを食い入る様に見詰め、軈て掠れた声音で呼ばれた己の名にひゅっと喉からか細い音が漏れる。あまりにも久し振りに呼名された為、鈍った思考では反応が追い付かず、目だけが忙しなく頼りなげに辺りを彷徨って。一体、彼は誰なのだ。先程から嫌に鼻につく錆びた臭いがより一層警戒心を抱かせる展開であるのに、何故か冷え切った末端の血液がじわりと温まる、奇妙な感覚を覚えて。強く引き結ばれた唇は数度迷った後、ゆっくりと開かれ。彼が死神でも良い。写真の男の子に似た黒髪を持つからか、其れとも迫り来るタイムリミットへの諦めか、粛々と裁きを受ける罪人のように瞳を閉じては首を項垂れさせ。只、一つ願えるならば彼の黒髪に触れさせてほしい。小さな声は闇に溶け込み、脈絡なく最後に付け足された願いは果たして彼へと届いたかどうか。)
…あなた、誰?あぁ…でも、誰でもいいのかも。この生活を終わらせてくれるのなら。……綺麗な黒髪。最後に触ってもいい…?
(/確認及び受理有難う御座います。改めまして宜しくお願いします。
ロルに関しては此方は基本中から場合によっては長になるかと思われます。ロル数の希望は有りませんので、負担のないよう回しやすいロル数で返して頂ければと思います。
舞台はロシアでお願いします。別の国に移り住んだ、という設定は楽しそうですね!母がイタリア人でロシアに遊びに来ていた時に父と知り合う。情熱的な母に惚れ結婚するも、浮気が原因で別れ、父はロシアにそのまま在住、母はイタリアへ戻る。距離もあることから中々妹の情報が掴めず探し出すまでに月日が掛かった、といった設定は如何でしょうか?その場合、お兄さんにはイタリアの名前をお願いしたく。名前もさる事ながら、容姿も似ていないという事で本当に兄妹なのか、不安に思ったり、其処を彼の女から指摘されるのも後々の展開で面白そうかな、と思いました。因みに、此方が住んでいる場所は極東ロシアの小さな村を想像しています。年齢に関しましては20前後でお願いしたく…!
説明不足申し訳御座いません…!其方のプロフィールに父親と思わしき人物は複数との事でしたので兄とは父親が別であり、兄の方の父親と別れてから母と此方の父が結婚、出産。然し母の浮気が原因で離婚。二度目の結婚でも父は上手くいかず女性への憎悪を燃やす、というような流れを考えておりました。説明が下手ですみません…分かりにくい箇所やその他質問があればお伝えください!)
>>92 加我 佑哉
ベランダのタオルね、分かった。
(代わりの要望を聞けばこくりとしっかり頷いて、ベランダまで少し早足で向かい。夜中には雨になるらしい。空模様が気になってベランダから上を覗くと、確かに怪しい雲が遠くの方に見え、時間帯もあるかもしれないがいつもより雰囲気が薄暗く。吹き抜ける風に少し冷たさを感じると、丁寧かつ迅速にタオルを取り込み部屋の中へ戻り。家でもこのような手伝いは散々とさせられている為、自然に動く事ができ。取り込んだタオルをどうすれば良いか分からず、取り敢えず椅子の上にまとめて畳んでおき。夕飯作りに関しての手伝いは必要無いとの事なので、遠目に彼の料理中の姿を見ては、ベランダの方を振り返って薄暗い空眺め。家に居れば自分の気持ちを更に暗くする程のその空色だけれど、今は不思議と安らかな心持ちで捉えられる。長い呪縛から逃れたこの空間だからだろうか。ふと思い出して鞄の中の携帯確認すれば『じゃあ今日だけは認めます。明日、ちゃんとノート見せなさいよ。してなかったら今後学校以外の外出はさせませんからね』と母親からの厳しいメールが。ふう、と溜息つけば『分かってるよ』と短く返し。ノートも作らなければ、と鞄から教科書等取り出しては相手に顔向け)
これから口実の為に勉強したノート作るから、他にお手伝いあったら声掛けて?
>96 メーヴィス・ロウ
──銃のセーフティを引き上げろ。こんな狭い密室で暴発したらお前も危ねぇぞ……!
(揺れる車内で、扉であるはずのびくともしない冷たい壁に手を押し当て安定を図りながら、無理やりに落ち着くとどうにか頭を働かせる。恐らく運転手は、荷台に乗り込んだ人間に気が付かぬまま扉を閉めて走り出してしまったのだ。自分たちが閉じ込められたのは全くの偶然なのだ……だからこそ、この事態はまずい。万一これが長距離の運搬に使われるトラックなら、下手をすれば数日間もここから出られない可能性がある。記憶を辿って外観を思い出してみるに、このトラックは最大積載量8t程の、大型に分類される頑丈な造りのそれだから、内部から運転手にコンタクトを図ることはまず叶わないだろう。いや待て、そもそもロンドン警察がここら一帯を封鎖していた筈だ──警察の無線を傍受しているのでもない限り、殺人鬼を囲い込んだ場所から出ていく大きなトラックを見逃すことなどあるだろうか?
いずれにせよ快くない、不安を煽る展開だ。ふと、先ほど同じく閉じ込められた彼女もこの荒い運転に翻弄されていたのを思い出し、彼女がいるであろう暗闇に向かって警告の声を発しながら、己も警官から奪った銃のレバーを引き上げ。しかしこの一面の漆黒では彼女がどんな状態かもわからない、もしも倒れているのなら助け起こそうか、等と考え一歩踏み出した、その時だった。足元にぐにゃりと、殺人鬼の己にはあまりにも覚えのある感触を伝えるものが転がっており、思考も動作も一瞬はたと凍りつく。足をどけ、屈みこんで“それ”に触れてみたところ、どうやらその柔らかいものは防水性の薄い布地に包まれているらしかった。嗚呼、そういえば荷台に転がり込んだ時、ベージュ色の細長い大きな袋がまばらに積み上げられていた……。外側を探るうちにジッパーが手に触れ、もはや半ば確信しながらそれを引き下げてみたところ、微かな腐臭と共に……指先に、人の顔や髪の毛のようなものが触れ。想定以上に異常な事態に巻き込まれつつあることを漸く肌で理解しながら、掠れた声で彼女を呼び。)
……なあ、女刑事さんよ。俺たちは運悪く閉じ込められちまったわけだが……どうやら他にも、お喋り嫌いの相乗りがいたらしいぜ。──明かりを、こっちに寄越してくれるか。
>>97 イリーナ・ベレズスキー
……。ああ、いいぜ。いいぜ、イリーナ。最後と言わず、これからずぅっと、触っていいんだ……
(まるでそれは、薄汚い街の小脇に打ち捨てられた子猫のような惨めさだった。ろくに手入れされず荒れ放題になっている髪は埃っぽくもつれており、凍死も免れないような薄衣1枚から伸びる病的に白い四肢は、骨かと見まがう程に細い。指先の爪は彼女の境遇を象徴するかの如く痛々しいほどぼろぼろだ。だが何よりぞっとさせたのは、子どもらしい無垢な表情の抜け落ちた、ひたすらに虚ろな顔、そこに浮かぶ翡翠の瞳の底知れない暗さ、そして……己はもう死ぬものと、全てを諦めきった反応。嗚呼、嗚呼、妹はどれだけのものをあの男に奪われてきたのか──彼女の今にも目の前で事切れそうなその問いかけを耳にするととうとう耐えられなくなって、男は喉を震わせながら、その小柄な体を恐る恐る抱き寄せる。ずっとずっと探していた、今やたった一人の己の家族。もう絶対に離すものか。冷たい頬に己の頬を寄せてから漸く顔を引き離し、大の男が赤く潤んだ目を隠すことなしに少女の顔を覗き込みつつ、全てはもう終わったのだと言い聞かせるように囁いて。)
イリーナ、俺は……おまえを迎えに来たんだよ。俺と一緒に行こう。あの男はもうどこにもいない、もうおまえを絶対に傷つけられない。……おまえのことは、これから俺が、絶対に守るから。
(/ロルについて、舞台設定、ふたりの出会いや両親の過去、血縁関係……等など、諸々把握いたしました!
其方様のご提示してくださった案にいずれとも大賛成でございます、兄の方の名も名前欄にあるとおりに設定させていただきました。また年齢は、仮に21歳とさせていただきますね。今後の展開についても、様々な波乱を含んでいて今からとても楽しみです。此方こそ、これから改めて宜しくお願いいたします。
分かりにくい箇所や質問などは今のところございません。その代わり、直近の展開について一つご相談なのですが、
◆現在のイリーナの状態が酷いため、近所の目を忍ぶべく村からは出るものの、まずはロシア極東の小さな町に部屋を借りて彼女の健康状態・精神状態の回復に暫く専念する。この間、恐らく殆ど学校に行かせてもらえなかった彼女に簡単な読み書きも教える。
◆この回復後の目標は、イリーナが心身ともに長旅に耐えられるようになったと判断してから、ふたりでシベリア鉄道に乗って首都モスクワを目指す、ロシア横断の旅をすること。
環境が変わることが、イリーナの大きな変化の一因にもなるかと思い提案させていただきました。如何でしょうか……? 此方の案を見て更に思い浮かんだ別の案などあれば、是非教えてくださいませ。)
>>98 津原 映奈
おう、ありがとな。
(こちらも彼女の方を振り向いて、微笑みながら返事をし。己は料理に、彼女は勉強に取り組んでいる。一旦はそれぞれの作業に没頭しているはずが、しかし不思議と、一体感ある穏やかな時間が流れていた。……だが、仄暗い欲望が浮かばなかったと言えば嘘になる。背中に感じる、彼女の安心しきった雰囲気が、己の衝動を先ほどからたまらなく誘発してやまないのだ。厳しい両親への反抗心から小さな火遊びに挑んでみせた、しかしまだ初々しい、余りに純真無垢な少女。彼女は一切穢れがないからこそ、それを台無しにしてしまいたいという邪欲をたまらなく駆り立てた。今日ようやく出会ったばかりだというのにこうして家に上がったのだから、彼女は余程己を信頼してくれているのだろう。その信頼を裏切って欲望を曝け出したら、彼女はどんな顔をするだろうか。鮮やかな絶望の顔を、それとも怒りや……悲しみの顔を? 研ぎ石で鋭利に磨いた包丁を持つ手が、一瞬止まって震える。いや、まだだめだ──目を閉じて呟く。店の監視カメラに彼女といたところが映っている、今日やるのは得策ではない。今は別のことを考えよう。己の本性を隠し通せているなどと傲慢な前提のもとにそう気を持ち直しながら、出来上がった貝入りのパスタをふたつの皿に盛りつけると、一転してごく爽やかに見える笑みを浮かべ、リビングのテーブルに置いて。)
悪い、待たせた……飯にしようぜ。ノートの方、順調に進んだか?
>>参加者様方
(/本日はお返事が遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでした。
普段はなかなかタイミングを失してしまうので、今のうちに……このような特殊なキャラクター・ストーリーにお付き合いくださり、本当にありがとうございます。すぐにはお返しできない時も、実は密かにおひとりおひとりとのログを読み直し、日々の励みにさせていただいております。去る者追わず、等と謳ってはおりますが、これからもお付き合いいただければ幸いです……!)
>100 ディエゴ・ガストルディ
……ずぅっと?ふふ、可笑しな人…。
(祈りに似た願いは呆気ない程に容易く受け入れられ。今まで拒絶されてきた己にとって受容される事は甘美故に恐ろしく。欲に眩み触れた途端、幻の如く消えてしまうのではないか。初対面であるはずの男が永遠を意味する言葉を投げかけてくるのが不思議で夢物語のような展開が滑稽であるはずなのに何処か心は温かく、力の抜けた唇から小さく溢れた笑みが空気を震わせて。願いを呟いておきながら臆したように身体は動かず、重たい四肢はピクリとも動かない。だが其れは目の前の彼が解決してくれた。力強く広い胸へ抱き込まれた身体は、肌を通してじんわりと熱を伝播させる。頬に触れる他人の皮膚は濡れていないはずなのに、大の男が出すにしては細く震え、湿った声音が彼が自分の為に泣いているかのような錯覚を呼び起こす。間近で惹かれ合った視線、窺えた瞳の色は__。瞳に映る灰色が先程感じた既視感の正体を明かす。あぁ、漸く出会えた。安堵からか喜びからか、今迄に感じたことの無い多幸感に包まれ、無意識に薄っすらと口許は弧を描いて。余分な水分など、この干涸びた体にはない、そう思っていたのに目にジワジワと雫が溢れ視界が歪み出す。もっと良く彼の顔を見ていたいのに、見ようとすればするほど溢れ出すこの雫は一体何なのか。小刻みに揺れ動く手を伸ばし、冷えた指先を男の頬に伸ばしては、見えぬ泪を拭う様に数度摩り。この幸せな時間をもっと味わっていたいのに、疲れ切った身体と精神は限界を訴え、次第に思考は闇へと引き摺り込まれる。落ちる間際、何とか掠れた声音で伝えたかった言葉だけを残し、彼の腕の中で夢へと旅立って。)
…兄、さん?ずっと、会いたかった。迎えに来てくれて…あり、がと__。
(/ご提案有難うございます。是非その案で進めさせて頂ければと思います。つきましては村から運び出す際に意識があっては大変かな、と思い勝手に眠らせてしまいましたが、次に目覚めた描写を書くときは別の村に借りた宿に場面展開しようかなと思っております。身体も精神も極限状況にあった為、何度か薄っすら意識は取り戻すが直ぐに眠ってしまい、の状態が数日続き、漸く目覚めたのは連れ出されてから3日後とかにしようかと考えておりますが如何でしょうか?
回復後の案も有難うございます!恐らく回復までは兄が付きっ切りで世話をしてくれ、買い物とかには出掛けるが殆ど2人の世界で暮らせていたことから精神は安定。時折出掛ける兄に不安そうな顔はするも、まだ歪んだ愛には踏み込んでおらず、純粋に兄を慕い、徐々に恋心を募らせていく感じかな、と。
回復後都会に出るようになり、自分達以外の大勢の人の存在に気付き、兄に向けられる女性の視線に敏感になっていく。この頃から、少しずつ異常性を孕み出し、軈て兄を自分から奪おうとする女達に手をかける様になる、みたいな流れを思い付きましたが如何でしょうか?その他、希望される展開や案が有ればその都度お伝えして頂ければと思います!
また参加者様各位に向けてのお言葉拝見致しました。参加して間もないですが、素敵なトピに参加させて頂いてとても嬉しく思います。此れからもゆっくり物語を紡いでいけたらと思っています、今後とも宜しくお願いします/なお此方は蹴り可)
>99 ♦ ジャック・マクガヴァン
( 規則性のある一定のリズムで微動する車内でヒールは幾度か蹈鞴を踏みながらも下半身に重心を置き適当にバランスを取り。薄い深呼吸のみで水面に波紋が拡がるように揺らめいていた碧い瞳を張り詰めた薄氷へと変化させた様は、完全に平静を取り戻した事を示し。殺人鬼の警告にも素直に従い機敏な手付きで拳銃のセーフティをロックすると直ぐ様入り乱れた思考を整理するように展開し始め。然し回転させどもさせども行き着く先は彼と同じ所までと煮え切らない結果、打開策を導こうにも情報が少量過ぎた──一つ、気掛かりなのはトラックの目的地だ。もし仮にイングランドやウェールズ方面に進んでいるのならば都合が良い──同業者地方警察が署を構えている故に助けを求め易いだろう。更に脳を行使しようとする、が、先程から思考を妨げる鼻腔を微かに刺激する慣れた臭い。身体全体が警鐘を打ち鳴らしている、それが何なのか知ってはいけないと。巡る血液がどくりと波打ち激しく躍動しているのが分かり、重い曇天の如く心臓を圧され筋肉も次第に強ばる…匂いの発生源を辿れない。然し追い討ちをかけるように男から声が掛かると声色だけで全てを察してしまい、言葉を発すること無く携帯していた小さなマグライトを手に持つと大凡目星を付けた場所に向け無機質な青白い光をぼんやりと灯らせ。朧気な光の中姿を表したのは未だ腐敗に侵蝕されていない真新しい人間の屍。一体だけではないと稲妻と化した直感が駆けると荷台の奥深くに明かりを差し向け──高々と積まれた夥しい数の屍体が横たわっており、暫し唖然と呆け。嗚呼、何ということだろう。焦点を彼に集中させ過ぎた故にロンドン警視庁は同時期に秘密裏に企てられていたもう一つの大量殺人事件を把握するに至らなかったのだ。思えば此処数日間、その片鱗が垣間見得る不可解な事態が幾つか発生していた──流石に異常事態だ、マグライトを半ば投げ棄てる様に床に置き通信機器に小さく呼び掛けるが、一向に繋がらない。個人的に所持している端末機を起動させるが、液晶の光に照らされた彼女の顔色は絶句と表現するに相応しいものを浮かべ、その碧眼が映し出すのは圏外の二文字。苦渋に歪む面差しで軈て一つの結論を導き出し。 )
通信機器も、端末も、両方繋がらない。電波を妨害する機器でも所持しているのか設置しているのか──…いずれにせよ外部と接触するのは不可能みたいね。
( /長くなってしまい申し訳ない、との趣旨を伝えると同時に、此方もこのやりとりを日々の楽しみとさせて頂いておりますと感謝の思いを伝えたい次第です…!まだ短い期間ではありますが、素敵なトピックに参加出来一つのストーリーを共に紡いで頂けてること、とても嬉しく思っております。これからもどうぞ宜しくお願い致します!/蹴り可 )
>>101 加我 佑哉
うん、まあ誤魔化せる程度には出来てきたかな。
(学校から持ち帰ってきた数学の教科書と勉強用のノートを机上に置き適当に問題を解いていれば、テーブルに置かれたパスタの匂いに惹かれて手を止め其方見遣り。すると食欲を唆られる芳しいボンゴレビアンコが視界に入り、同時に感嘆の声漏らし。ノートの進捗を聞かれると、少しだけ苦い顔をしながら開いているページ一瞥して。勉強会をする、というレベルの問題数をこなさなければならない為、かなりの枚数のノート作りを強いられ。─しかしこれも、両親を上手く騙す武器。もし今回の事が疑われる事なくスムーズに済めば、またこうして勉強会という口実で彼の部屋に訪れる機会も増やせるかもしれない。そんな思いに押されて勉強をしていて。だが、美味しそうなパスタを目の前にしては一旦作業も中断せざるを得ない。筆記用具を片付けて整理すれば、丁寧に掌合わせて「いただきます」と小さく礼をし、一口食べて。数回咀嚼しては自然と笑顔になり)
─これ、すっごく美味しいよ。今まで食べた中で一番!
(/主様のお言葉を拝見し、背後から失礼致します。
毎回、主様から返ってくる内容にドキドキしながら、映奈をどう動かしたらどんな反応をするのだろうと考えるのがとても楽しいです…!此方としても、この先どのように話が展開していくのかとても興味深く思っていますので、これからも宜しくお願い致します!/蹴可)
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