Nobody 2017-11-19 03:10:28 |
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>>48 津原 映奈
……、そんなんじゃねぇよ。
(カウンセラーみたい──彼女は何気なく零したであろうその感想に、カップを口に近づけたままぎくりとし、伏し目がちにぶっきらぼうな小声を返して。興味を抱いた人間の心理に過干渉してしまうのは昔からの悪癖だった。彼女が覚えるその感覚は大抵、次第に「不気味」や「怖い」に変化していき、ある時不意に此方の本性を悟るのだ。そうして警察に知らせようと電話に伸ばしかけた手をすぐさま断ち切ったことが、これまで幾度となくあった。聡いと名高い彼女なら、今までの彼ら彼女らよりずっと早くに気取ってしまうかもしれない。そう危ぶみながらもう一度、滲む涙を拭っている彼女に灰色の目を向けて。話題が変わればほっとした顔色に変わり、ソファー席に深く座り直してからゆったりと頬杖をつくと、聞けば人間性を疑われるような自身の話を、あくまで軽く、あっさりと話しはじめ。)
俺のこと? 別に面白い話は何もねえよ?
……まあ、もう知ってるかもしれねえし、いずれにせよ遅かれ早かれ小耳に挟むんだろうから、変な噂を刷り込まれる前に俺の口から言っておこうか。
今はタメにふたり、後輩にひとり、学外にひとり、彼女がいるよ。──昨日、タメで付き合ってたもうひとりと別れる時に、どうしてひとりに絞れないのって言われたから、お前は何週間も食パンしか食えない生活に耐えられるか、って真面目に言ってやったんだ。そしたら横っ面引っぱたかれてさ。
あいつに言わせりゃ、俺は女を不幸にする最低の屑男なんだと。……だから津原、おまえもあんまり俺を信用しない方が良いのかもしれないぜ?
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