Nobody 2017-11-19 03:10:28 |
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>42 ♦ ジャック・マクガヴァン
なッ…、馬鹿な事を云わないで。
( 信念と真実、有りの侭の思いを飾らない言葉でぶつけたものの、果たして此の解答は正答だったのかと深い思案に耽るのも束の間、どうやらお気に召したらしく幼い子供さながらに嬉々と笑顔を見せる彼から賞賛を受け取り一先ずの安堵。──次に告げられるのは一体何か。彼の見解や矜持、一言も取り零さず聴き届けようと真摯な面持ちで耳を傾かせた矢先、飛び込んできた物は愛の告白も同然の科白。思わず拍子抜けし、激しい脱力感に全身を見舞われ拳銃を握る掌からも緩やかに力が抜け、動揺を全面に出し。然し甘美な囁きに頬を染める程無知でも初心でもなく、動揺に微かに揺れ動く双眸を訝しげに送ると端的に一蹴。人気のない裏路地、薄らと霧の漂う宵闇を惜しみ無く照らす美しい月夜明かりの下、凶悪な殺人鬼に告白をされるという奇妙なシチュエーションに何とも言えぬ感情を燻らせつつも単なる冗句だと潔く割り切ると態勢を立て直し、月の鎮座する天に向け徐に紫煙を薫らす彼の恍惚に満ちた顔を真向から毅然と見つめ。 )
そう、貴方のような男に好かれる何て光栄ね。──殺人鬼に恋慕を寄せて追い掛ける、そんな刑事は前代未聞よ。私が貴方を何処までも追い縋るのは仇討ちの意志を込めた復讐心から、それ以上でも以下でもない。でも、貴方の事を知る必要が有ると考えているのも事実、馴れ合うつもりはないけれど貴方の言葉通りこれから知っていくわ。
随分と手の込まれたカクテルね?聞いただけでのインパクトですらこんなにも強いんだから、きっと味も凄いものなのかもしれないわね。…けどお生憎様、余りお酒は嗜まないわ。そうね、辛うじてピムスを飲むくらい。だからその素敵なプレゼントも遠慮しておくわ。──今私が一番欲しいのは貴方の身柄よ。
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