囮、 2017-11-14 00:00:18 |
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都合のいい出来事だけを見て、無責任に死んでいったら良いさ、そして其処からも、目を逸らして、業から逃げたらいいよ。馬鹿馬鹿しいことだ。
ピュグマリオンの伝説は、嫌いなんだ。そんなことが有って、堪るか、と吐き気がする。都合が良すぎるだけの話なんて、娯楽にならない。
そこそこに良い夜だが、退屈だね。部屋に散らばった本を読み返す気にもなれない。死んだように生きると決めたが、中々に周りは騒がしいよ。
「さぁ、御立ち会い、御立ち会い。寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。老若男女揃いも揃って、さぁさ此度もずずい、と前へ。兼ねての舞台で、席を逃したお嬢さん。見過ごした其処の御婦人も。今こそ此処に、綴られますは、語るも涙、見れば喜劇、残酷無比で悲しき大作。一世一代、最後の舞台。…はてさて、どうも。いやしかし。最後、仕舞いの舞台とはいえ。これは一体、誰の話なのやら」という有り様だから、良くないんだろうね。
神に区別をしてくれるよう、願ったのは人間なのに。隣人より、自分は優れている、その証明をする手段を欲したのは、人間なのに。何を今更、ねぇ。
そう、人魚姫は、一見すると壮絶な純愛にも見えるが、視点を変えるなら、只の契約の物語になる。薬の効果を永続的なものにするために、王子の愛を求める。契約条件を満たせなかった場合は、飲んだ薬は毒に変わる訳だ。例えば、人魚姫の愛が偽りであっても、人間界への憧れという動機があれば、物語は成立する。王子の愛は手段に過ぎないよ。彼女が永遠に消えない足が欲しかっただけでも、粗筋は変わらない。
勝手な思い込みに浸って、自分の傷を舐めて、よくもまぁ、とうとうと命の大切さを述べるね、俺はね、そういうのが、大嫌いなんだよ。刷り込みによって、生じた誰かを救いたいという感情。何も救えなかった人間が、めでたくたった一人を救えたとする、それは今まで役に立てなかった人間からすると、さぞかし甘美な体験だっただろう。そしてその人間は、また無意味に誰かを救おうと藻掻くんだ、一度人を救えた事に、味をしめただけなのにね。…まぁ、どうでもいいか、こんな話は。
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