縁 2017-11-03 15:19:45 |
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産まれたときに渡されるのが、自分という概念。そしてそれが一番背負う物の中で重たくて、大きい。それは簡単には捨てられない。だからこそ、そのあとに渡される愛や優しさ、大切なものを背負うときに、邪魔になってしまう。捨てたくないのに捨てるはめになってしまう。
夢を見たんだ。綺麗な黒い烏が鳥籠の中から此方を静かに見ていて、苦しくなった。その烏は人の言葉を良く喋る。「外の世界に出たらいいのに、どうして出ないんだ」何て分かりきったことを何度も何度も聞いてきた。最終的に彼は賢い頭を使って、鳥籠から、開けっぱなしの窓の外へ出ていってしまったけど、自分はやっぱり追い掛けられなかった。窓にすら触れられない夢だった。
要らないなら貰っても良いじゃんよ、何て思ってしまって御免ね。でも嫌いなんだ、持ってるんだから、捨てられるほどの物を持っているのに、どうして捨てるんだ、欲しいよ、全部欲しい。優しさも愛も才能もセンスも夢も希望も、全部くれよ。
自分だけを好きになってよ、って何時も思う。でも人間は人間を縛れない、そんなこと分かりきってる。それでも望んでしまうのは、まだ幼いから。
無責任な大丈夫、も、中身のない永遠も、近付けない光も、全部全部毒だった。笑顔の眩しい人間から渡された箱から出てきたのは、優しさという名の凶器でしかなくて、それでさっさと首を切れ、と言われているような気がして、辛いんだ。
真っ白なキャンバス、渡されても、色なんて塗れない。汚してしまうのが怖い。きっと自分の塗る色は混ざって混ざって、汚くなってしまうのだ。
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