始まりは遥か昔。寒空の冬に遡る。母とはぐれ一人になった小狐はまだエサの取り方も分からずとある村にやってくる。生きるために蔵に忍び込み人間の食糧を拝借していた。
しかしある日鉢合わせした蔵の主人に棒で殴られ瀕死の状態に…。ふらふらになりながら雪を凌げる人間の家の玄関に小狐は倒れ混んでしまいます。
「…コン…コン」自分はここで死んでしまうんだ…お母さんとも会えずに…そんな悲しみから小狐は二度鳴きそのまま気を失ってしまいます。
するとガラガラと玄関の扉が開き中から出てきた青年が小狐を見て驚き優しくその体に抱えて家の中へと戻っていきました。
小狐が目を覚ましたのは暖かい毛布の中、視界に入った男に驚き威嚇します。
「…怖がらなくていい俺はお前に危害を加えはしないさ。傷はまだ痛むだろうが直に良くなる。それまではゆっくりしているといい」
自分を棒で殴った人間もいるのに目の前の男は何もしてきません。エサをくれ時々優しく頭を撫でてくれました。
小狐は安心しこの青年にだけ懐くようになります。
傷も治り小狐は玄関へ向かいます。
「もう行くのか?止めはしないがこんな雪じゃ満足に食うものもないだろ?他の村人は自分の生活でいっぱいいっぱいだ。また蔵を漁ったりしていたら本当に今度は殺されてしまう。ここに来ればいい。多くは与えてやれないが飯にはありつけるぞ。またあの日のように二度鳴いておくれ」
その日から小狐と青年との逢瀬は続きました。
しかしある夜、小狐が家を訪ねると青年は沢山のエサを用意していました。そして小狐を自らに引き寄せ優しく抱き締めてこう言ったのです。
「すまない…もうここにはお前は来てはいけないよ…。明日からは玄関先に食糧を置いておく。それを少しずつ食べてくれ。そうして食糧がなくなる頃、春になる。お前はここに来なくても鱈腹食えるようになるから…」
青年は泣いていました。小狐は青年がなぜ泣いているのかは分かりませんが寂しさを押し殺しペロペロと青年の涙を止めようと顔を舐めたのでした。
次の日小狐は青年の家にいつものように向かいます。玄関先に用意してあるエサを必要最低限の少しだけ食べてちらりと扉を見つめて
「コン…コン」昨日の約束を忘れてはいませんでしたがまた青年がひょっこり顔を出すんじゃないかと小狐は二度鳴いてみました。
しかしいくら待っても扉が開くことはありませんでした。
小狐は寂しくなって寝床へ帰りました。その次の日、村に行くと何やら村人が話している声が聞こえました。
「まだ若いのに…病気だったんですって?」
「お気の毒よね…身内もいないって話だしあの家も…ねぇ?どうするのかしら…それにあの玄関先の食べ物は何なのかしら…?」
小狐は不安になり駆け出します。きっと彼の事じゃない。別の人の事を話しているんだと。
青年の家に行くと少しだけ玄関の扉が開いていました。無理矢理体を突っ込み玄関を開けて小狐は中へと入りました。
中では青年が寝床で横になっていました。小狐は青年の元に駆け寄り体の上にピョンと飛び乗り
「コン…コン」二度呼びかけるように鳴きます。
でも青年は目を覚ましません。
小狐は青年の体から飛び降り自分の頭を撫でてくれていた大きくて優しい手に擦り寄ります。
しかし青年が撫でてくれることはありません。
小狐は悟りました。青年はもう自分を呼んでくれないし撫でてくれることもないのだと…
小狐は青年が死んでしまったのだと理解しました。
ポロポロと目から涙を流して小狐は泣きました。小狐は暫くその家で寝ました。青年の体の上で。
そうしてその日から食事を一切せずにただ青年の側にいました。来る日も来る日も…。
数日後、村人が青年の家を訪れた際、青年の体の上で小狐が亡くなっているのを見たそうです。
月日は流れ現代の日本。とある公園にて。
「わぁすごいお姉ちゃん、狐の鳴き声にそっくりだね!」
「ふふ…そうでしょ?でも皆そろそろごめんね。行かなくちゃ」
「どこに行くの?」
「とても大切な命の恩人で…私の大好きな人の所だよ」
とある家の前へ少女は向かう。あの人の匂いが気配がする。玄関先に立ち
「コン…コン」あの日のようにそう二度鳴いたのでした。
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生まれ変わったあの日の青年(前世の記憶がある。現在26歳。あの日の青年と同じ年。現世では健康そのもの)
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生まれ変わったあの日の小狐(現世は半獣の娘として生まれた。耳や尻尾は収納可能)
ロル60~確定ロル不可です。遅レス平気でまったりペースでお相手下さる方(返せる時には沢山でOK、二週間無言で絡み打ちきり)PF詳しく。期限は2日(遅れる場合は一言)裏なし、Dキス、押し倒しまで。相性重視でPFで選ばせて頂きます
PFテンプレート
名前(スレ主に決めて貰いたいとかでも可能です)
年齢 見た目年齢
性別
性格
容姿
備考
ロルテ/(青年が玄関先へ出てきた時のシチュエーションでお願いします)
主のPFは後程。レス解禁させて頂きます。