赤の女王 2017-10-15 11:00:59 |
通報 |
>蜥蜴のビル
(そりゃあ親切なところもあるけれど、それを除いたとして無愛想で皮肉屋でつっけんどん。そんな彼だが意外とスキンシップが多いんだなぁと、現在進行形で頭を撫でられている中トリップした頭がぼんやり考える。人に頭を撫でられるという体験はこれで2度目、それでもどうにも背中の辺りがソワソワと落ちつかない。何故って気付いてしまったのは彼に頭を撫でられるのが好きかもしれないという妙に小っ恥ずかしい事実からで。勿論、"彼に撫でられているから"という訳ではなく、"頭を撫でられる"という行為自体が好きなのかもしれないけれど。そういえば彼のこれまでの言葉を省みるに他にも人はいるようだから今度試してみようか、そう思案しつつお褒めの言葉には素直に笑みを綻ばせ。元々、癖の強い髪をどうこうされようと今更拘るところではなく毛先をちょいちょいと弄りながら「そうでしょう」と満足げに肯定の意を。楽しい談笑はそこまでで、不意に告げられた言葉にピシリ、笑顔にひびが入るのを確かに感じ。ちゃんとしている、だなんて似合わないにも程がある。自嘲の笑みか、それとも全てを振り切った乾いた笑みか。親しんでいる人を騙すのがこんなに心苦しいだなんて予想もしなかったと無意識に下唇をガリと噛み締め。ああ、と吐息を小さく漏らし俯けば網膜からは光が遮断され、欲しいなあ欲しいなあとつい浮かぶのは阿片の残像。嫌な事を忘れてしまえるあのくすり。それでも扉が開かれた瞬間、顔を上げてしまえば19になる女だもの、笑顔くらい作ってみせよう。簡素さは病院と似た雰囲気があると、こぼれ落ちるように響いた相手の言葉を受けて「前いたところみたいで悪くないわ」と肩を竦め中に入って。くるりと一回転見渡しながら、それでも想像していたゲストルームよりも全然居心地良さそうだと何気なくベッドに腰掛けて。瞬間、腰から伝わる柔らかな布と羽毛に思わず目を丸くしながら今度は確かな意識を持って「素敵だわ」と口にして。)
トピック検索 |