親衛隊長 2017-10-14 12:46:07 |
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随分嬉しそうだな、そんなに食器洗いをしたかったのか?
(あくまでもこれからするのは食器洗いという一種の労働であることを忘れさせてしまうほどの満面の笑顔を見せる彼女に対して、そんなにいいものでもないぞとでも言いたげに苦笑いを浮かべつつも、生き生きとした彼女の楽しげな表情を見ればどうでもいいかと思わされて)
だって、今まであなたのお手伝いなんてしたことなかったでしょ?
(生まれてこの方、手伝いというものはした事がなく全てメイド任せだったためどんなものか分からなく。それがどんなに大変なのかわからずなかばどういうふうに大変なのか興味本位な所もあり、さっそく決まれば手に持っていたお皿を取り上げるような形で手に持ち水場のある方へ歩き)
それはそうだろう、本来なら王族に仕事を手伝わせるなんて家臣としてあるまじきことだ
(このような特殊な状況で尚且つ彼女自身が自発的にやりたいという意志を見せなければそもそもこうして一緒に食器洗いをしたりなんてことも一生なかっただろう。彼女自身が望んだこととはいえ、従者としてこうすることが果たして本当に正しいのか、王の遺志に背いていないかという思いも少なからずあって、そんなことをぼんやり考えているといつの間にか水場に着いて)
前まではね、でも今は身分なんて関係ない。
(真面目な彼が言いそうなセリフにクスリと笑い、国の外に出れば自分たちが主従関係にあるなんて誰も分かるはずがなくお互い平等な立場に立っていると思えばいいのではないかと思うのは自分だけだろうか。水場に到着すれば早速皿洗いの開始、服の袖をまくり以前メイドが洗っていたのを思い出し見様見真似でお皿を洗い始め)
そうは言うがな、俺にとってアリッサが護るべき主君であることは変わらん、それが亡き王への恩に報いることであり、俺の意志でもある
(帰る国もなければ今や付き従う民も兵もいない、そんな彼女は厳密にはもう王族と呼べる存在ではないのだろう、それでも王の遺志を継ぐと決めたのは自分の意志であり、自らが主君と定めた彼女と対等という訳にはいかないと頑なに。自分の頑なな意志を告げた後は黙々と食器洗いを続けていたが、ふと隣の彼女の手元を見れば初めてにしてはなかなか手際のいい様子に感心して「上手いな、本当に今日が初めてなのか?」そう穏やかな表情で語りかけ)
たしかにあなたのおっしゃる通り
(何いとうと彼の意思は一筋に変わらないだろうなと肩を竦め笑い、自分からすれば今は同じ目線で地にたっているのだから同じように扱ってほしいのが本音。慣れている様子の手つきを褒められれば「メイドの真似してるの、これで合ってる?」少し違っているんじゃないかと首を傾げ)
なるほど…いや、筋がいいと思うぞ。そういえば以前よくメイドから日がな1日アリッサが自分たちの仕事を見て過ごしていたなんて話しを聞いたことがあったな
(参考にしたのが城に仕えていたメイドのものということならば聞いていた話しとも矛盾はなく、手慣れた様子にも合点がいき。多少は粗があるだろうかと見ていたが特に大きな問題は見受けられず細かいところまでよく観察していたんだなと感心していて、時折手伝わせてくれと言われたりもして困ったなんて愚痴もメイドの口から聞かされたりもしたが彼女にとってはいい勉強になっていたのだろうなと、そんなことを考えながら最後の一枚のお皿を洗い終えて)
そ…そんな話を?なんか、恥ずかしいです
(自分の知らないところで彼にそんな話をしていたと知ると、恥ずかしさのあまり顔が赤くなりお皿を洗い終わるのが分かると「さ、先に帰らせてもらいます」赤く染まった顔を見られまいと元居た場所に先に戻り)
何もそんなに恥ずかしく思わなくても…あっ、おい、アリッサ!?
(別にメイドの仕事に関心をもって観察していたというだけなのに恥じる必要なんてないのではないかと思ったのだが、突然逃げるようにこの場から立ち去ろうとする彼女の後を洗い終えた食器を抱えて慌てて追いかけていき)
(まさか愚痴をこぼしていた相手が彼だと知るとますます恥ずかしく思い、小さい頃の自分は好奇心旺盛で見るもの全てに興味があり誰それ構わず手を出したりしてよく怒られていた記憶が思い浮かび。彼はそんな子供だった自分をどう見ていたかは知らないが、元の居場所に戻ればまだ暑い顔をどうにか戻そうと心を落ち着かせ)
アリッサ、そんなに逃げなくてもいいだろう、俺は食器を持っているのだから急に走られても追いつけん…
(食器を落とさないように慎重に、それでも早足で少しばかり遅れて戻ってきて。こんな短い時間目を離したところで彼女に何かがある可能性は限りなく低いがそれでも無事な姿を見れば安堵して、近くまで歩み寄っていけば決して責めたりはしないがそれでも苦笑混じりにそう言って)
ご、ごめんなさい…
(深呼吸を何回が繰り返しようやく気持ちを落ち着かせることが出来たところのタイミングで彼が追いつき。声が聞こえればそちらに顔をむけ、そういえばと手元を見て洗い終わったお皿を持ってこなかったのも含め相手に謝罪し)
別に構わんが…それより気持ちは落ち着いたか?
(ひとまず運んできた食器を端に置き、突然であったため多少驚きはしたが自分自身はそれほど気にしておらず、謝るほどのことでもないと冷静な口調でそう告げ。むしろ先ほどのやり取りにあそこまで取り乱した彼女のことを心配する気持ちが大きく)
はい、すみません…ご心配お掛けして
(彼の態度からさっき取り乱した自分を見た事の方が恥ずかしく思えてきてはまた少し顔が赤くなり、手で隠すように覆い。どうしてあそこまで取り乱したのかは自分でもわからず、まさか関わるはずのなかった彼だからメイドも安心して喋ってしまったのか真相は分からないまま)
なに、気にするな、それでこれからのことについてだが…一旦この王国領から離れ、隣国へ向かおうと思う、今のような生活ではいずれ食料も底をつくからな、活動の拠点に出来る土地がどうしても必要だ
(元より彼女を責めるつもりなど毛頭無かったため、その件についての話しはあっさりと切って、落ち着いたところでこちらが本題だとばかりに切り出した話しの内容は彼女にとっての故郷であるこの地を離れ、隣国へ向かうというもので、それは敵の目があるこの周辺で隠れて過ごし続けるのは無理があるという現実と向き合っての決断で)
…そうですね、国を離れたくないのですが…仕方ないですね
(いつかは故郷を離れなきゃ行けない時が来ると分かっていたが、まさかこんなに早く来るとは思わなく名残惜しそうに城下町の方を眺め。次に向かう隣国は1度、即位式に招待され行ったことはあるがそれは昔の話で今はどんな風になっているか)
それでも俺たちは必ず国を取り返し、あるべき場所へと帰る…そうだろう?
(彼女にとっては生まれてからずっとこれまでを過ごし、家族との思い出も染み付いた土地でもあるこの国を離れることの辛さ、悲しみの深さは到底自分には理解が及ばず。しかしこの別れは一時的なものであり、必ずまた帰ってくるのだろうと、そう彼女を元気づけようと口にして、自分の力で必ずそれを実現してみせると誓って)
えぇ、そうね。
(一時的な事とはいえどやはり国を離れるのは辛く、こらえていた涙がじわりと瞳に浮かび。彼の言葉に励まされては、滲む涙をふいて力ずよく頷き「それで、いつ向かうの?」まだ明るいうちにここを経つのかもしくは明日の未明に出発するのか)
そうと決まれば早い方がいいだろう、先延ばしにしたところで何も変わらんからな
(彼女がようやくことの地を離れる決心を固めてくれたのを確認すれば、行動をするなら少しでも早い方がいいという考えを告げた上で、これからすぐにでも隣国へ向かう心づもりであることを述べ、何よりそうした方が彼女も感傷に浸る間もないためいいだろうという判断で)
わかった、それじゃ出発する準備するわね
(腹をくくったからには行くしかないと決め、未だ燃えている火を消しカバンに調理道具やらをしまい。後片付けが終わり忘れ物がないか確認をすまし「準備は整ったわ、いつでも出発できる」笑みを浮かべ、彼の用意が終わるのを待ち)
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