悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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(相手の頬を滑った涙に気付いていながら、気付かない振りをする自分は何て情けがないのだろう。相手を部屋に送り届けそっと髪を撫でてはそのまま自室へと。一人で耐えているだけでは抗えない事はわかった、それなら自分自身の動きを封じて仕舞えば良い。棚の奥からとりだした鎖、随分と昔どうしても自分を制御できない時、鬼の力が暴走してしまう時に使ったその鎖を部屋の柱に留めて自分の足首へと繋ぎ。これで今日は大丈夫だと思えば何故か安心出来て、鎖を外す鍵を自分の手の届かないところへと放り投げるとそのまま浅い眠りにつき)
……私、また一人になるのかな。
(彼が部屋からいなくなってから暫く。床に寝転んで襖越しに月を眺めながら思わずそんなことをポツリと呟けばまた自身の胸がぎゅう、と締め付けられるような感覚を覚えて。まだここに来て日は浅いが、彼との生活はとても楽しい。たしかに夜は少し怖いけど、それを塗り替えてしまうほど昼間は幸せなのだ。鈴は彼に撫でられた髪をなぞるように自分の髪を触っては、寂しさを紛らわすように体を丸めて静かに目を閉じて。)
──…ッ、
(束の間の微睡み、またいつものように鋭い痛みに目を覚ますと浅く息を吐いて。何度繰り返しても慣れない、自分の中に嫌なものが無理矢理流れ込もうとするような感覚。彼女に幸せになって欲しい、苦しめたくない、その思いばかりが先行しているが自分はどうだろうか。彼女が側に居てくれればそれだけで今の自分は幸せだと、その言葉はあまりに無責任で外に出してはいけない感情な気がしてしまい。夜が更けるに連れて痛みは酷くなるばかりでその白い肌を冷や汗が滑り落ちて)
、……もう夜。
(辺りがすっかり暗くなったのを瞼の裏で感じ取ればふと瞳を開けて。部屋の灯りといえば相変わらず差し込んでくる月明かりのみで、ふと自分の手首についている鈴が鳴らないようにとぎゅっ、と握りしめて。そのまま上体を起こせば彼は今苦しんでいるのだろうか、と姿の見えない彼に思いを馳せてはまるで自分のことのように眉を顰めて。声には出さずに静かに彼の名前を畳に落としては鈴を握る手に力を込め。)
(やはり本人の意志だけで耐え切れるものではなく昨晩と同じ時刻頃鬼に意識を奪われて。しかし自由に動くことを許されず苛立たしげに鎖を引っ張ってみるものの鈍い金属の音が響くだけ。悲しみを得られず辛いのは昼間の身体も同じだと悪態吐きつつも、飢えの渇きに耐えられず意識は早々に昼間へと戻り。まだ月も高い時間、自分の意識がはっきりとし鎖もきちんと繋がれたままの状況に酷く安心するも飢えた身体を持て余し辛そうに目を閉じて)
……!
(どこか遠くから聞こえた鈍い金属音にビクリと肩を弾ませては思わずそちらの音のした方向に目を向けて。そろそろと音を立てないように起き上がり、そっと月明かりに照らされた襖を開ければ目線のみを覗かせて辺りを見回し鬼が居ないことを確認すれば外に出て。何の音、と声には出さずに考えるものの答えが出てくることはなく、またそろりそろりと部屋に戻って。)
(身体は辛いものの相手を傷付けなかったことが何よりも心を安らげ、そのまま床に横になって目を閉じて。朝になったら相手に鍵を取って貰えば良い、今は只眠ってしまおうとそのまま眠りに落ちて)
……鬼が、来ない?
(今夜はさっきの音以外嫌に静かで、ただ聞こえるのはたまに襖を揺らす風の音のみで。いつもはこの時間になれば鬼がこちらへと来るのに、今日は全く来ないためか鈴は眉をひそめて。来ないのならばまそのまま眠ってしまおうか、と壁に寄りかかりながら静かに目を閉じればそのまますとん、と眠りに落ちてしまい。)
(目を覚ましたのは明け方、空が白み始めた頃。もう鬼が出てくることは無いだろうと安心しつつもあまり体調は良くなく再び身体を丸めるようにして微睡んで。もうすぐ朝になると思えば安心して眠ることができて再び深い眠りに落ちて行き)
……ん、
(ぱちり、と目が覚めるともう空は白みがかり鈴はゆったりと身を起こして。心に何の変化もなく夜を明かしたせいか何処と無く体が軽く、ゆっくりと体を起こせば彼を探そうと襖を開けて。空の白さに思わず目を細めつつも、彼の羽織りをきゅっと握りしめて昨夜鎖の音がした方向へと歩き出して。もう朝だから大丈夫だろうと鈴の音も彼女が動くにつれてリン、リン、と美しく鳴り。)
(深い眠りの中、何処か遠くで鈴の音が響く音を聞いていて。とても安心する音、そして誰かの笑顔を思い出しそうな安らかな音。しかしその音で目を覚ますことはなく、畳の上で猫のように丸くなったまま眠り込んでいて)
……あお──、
(彼のいる部屋の襖をそっと開けてはひょっこりと襖の隙間から顔を出して寝てる相手にこそこそと声をかけようとしたが、寝ているのならそのまま寝かせてあげようと。寝ている彼の傍らにそっと正座をしてはサラサラとした髪をそっと撫でてはふと彼の足首に鎖が付いていることに気がつけば目を丸くした後に「ありがとう、」と小さくつぶやき。恐らく自分を襲わないためにこうしたのであろうと考えれば彼の優しさに思わず笑が零れて。)
(相手が部屋にやって来て少しして目を覚ますとふわりと目を開いて。何だかとても心地の良い夢を見ていた気がする、始めにその青い瞳が映したのは相手の姿。一瞬どきりとするもその表情はとても穏やかなもの、相手を傷付けてはいないと再度確認すると安心したように息を吐き。おはよう、と穏やかな微笑みを浮かべつつも起き上がろうとして足を引っ張られれば自分で繋いだのだと思い出して身体を起こしながらそう言って)
…鈴、そこの鍵を取って貰って良いかな。
鍵?──あ、これだね。
(彼の言葉に一瞬きょとん、としたもののキョロキョロ当たりを見回せば鈍色に光る鍵を少し遠くに見つけそれを急いで手に取ればにこりと笑ってそのまま彼の美しい足首にかけてある鎖の錠前にそっと差し込めばカチャリと鍵を回して。カタン、と鈍い音を立てて彼の足首から鎖が外れれば「外れた!」とぱぁっと表情を明るくさせて。)
…良かった、これで暫くは安心できる。
(相手が自分の足首から鎖を外してくれるとつられて微笑んで。ぐぐっと伸びをしながら明るい外の光に目を細めて。相手の表情に恐怖の影がないことに安心しつつ「よく眠れた?」と尋ねて)
とっても!
(こくこくと何度も頷きながら嬉しそうな笑顔を見せては碧のおかげ、と付け足して。彼がこうなっていなかったら、自分はまた心を操られ恐怖に呑み込まれていただろうと考えればじんわりと心があつくなり、彼の手にそっと自分の手を重ねると「ありがとう、碧。」とふわりと微笑んで。)
こうでもしないと、私では上手く鬼を操れないから。
…鈴を傷付けなくて良かった、
(そう苦笑しつつも重ねられた手を見つめてふわりと微笑んで。いつ迄この方法が持つかはわからないが、少しでも長く相手が平穏に暮らせる時間が長くなれば良いと)
( / 背後から失礼します!日常が続いたのでこの後何か事件的なものを起こせたら良いなと思うのですが何か希望はありますか?2人以外のキャラも1人くらいなら動かせるので!)
……でも、碧は苦しくないの?
(鬼は人間の悲しみを生きる源とする、というのは本で知った情報だ。昨夜自分の悲しみを何も取り出していないということは、彼の体に何らかの支障が出ているのではないかと不安そうな表情を浮かべて。自分を守ろうとしてくれる彼の心遣いはとても嬉しいが、それで彼が苦しむのならばそれは心が痛いと鈴は思い。ただ共にいたいだけなのに、どちらかを傷付けなければならないというのは、こんなにも辛いものなのだろうかと。)
(/事件!……事件、何でしょう、ううん。
鈴を心配した人間、もしくは碧くんを探しに来た鬼の仲間などか来るー、とか在り来りな展開しか思い浮かばないですね…!!)
…嫌な話だけど、鈴が来てから身体はだいぶ楽になったんだ。だから、暫くは大丈夫。
(少し困った表情をすると言いにくそうにしつつもそう告げて。相手から得た悲しみの感情は渇ききった自分の身体をとても楽にしてくれていて、以前に比べると体調もだいぶ良くなった。嫌な現実ではあるがそのお陰でしばらくはこの方法で相手を守れるだろうと微笑んで。「鈴は何も心配しなくていい、」と言い聞かせるように言うと髪を撫でてやり)
( / そうですね、どちらかの仲間が来るのは展開が広げられそうです!一度は離れ離れになるものの少しして鈴が戻って来たり、碧が迎えに行ったりっていうのもありですね。)
なら私っ……碧のそばに居ても良いの?
(彼に髪を撫でられれば何かに乞うように必死に彼の瞳を見つめて。もしかしたらもう彼のそばに居られないかもしれない、そう考えながら昨夜はなんだかすごく不安で、彼の言葉に今はしがみつくしかなくて。「また一人ぼっちにならなくて良い?」と彼の静かな湖畔のように美しい瞳を見つめて、)
(/わぁあ、ありがとうございます!!
やっぱり1回離れ離れになっちゃうって展開はアツいですよね…!!)
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