トマト。/待ち人有り

楽しみにしておけ。(吐息を感じられるまでに近く、緩慢とした所作にて顔を寄せては触れる程度の口付けを交わし、顔を離すと自室へと。)──…おやすみ。

…おやすみなさい、紅茶さん。

…ただいま。

…おかえりなさい。ナポリタン作りました。食べますか？

…っと、先に帰って来ていたのか。(驚いた様子で目を見張るも直ぐに瞳を細めれば椅子に腰を下ろして。)嗚呼、食べる。…腹減った。

…早く帰宅できたので、夕飯作って待っていました。(ナポリタンとポテトサラダを運んで。)…どうぞ。紅茶さんの好みに合えばいいのですが。

後一時間は会えないだろうと思っていたから驚いた…し、嬉しい。(言いながら持ったフォークでナポリタンを巻き口許へと運んで一口、口内に広がるトマトの味や香りに仏頂面も薄れ。)…美味い、

…早く上がらせてもらえたので、会いたくて急いで帰りました。(紅茶さんの食べてる様子を嬉しそうに見て。)…よかった。嬉しいです。

…またお前は急いだのか。(ふ、と笑みを零しつつ視線を重ねると、フォークに巻き付けたナポリタンを相手の口許へと。)……ん、口開けろ。

…一分でも一秒でも早い方がいいです。(フォークを見て恥ずかしくなり。目を閉じて口を開けて)…ん。

(目を伏せ遠慮がちに開いた口にナポリタンを押し込んでやり感想を求め。)──…で、自分で作ったもんの出来はどうだ？

(食べさせてもらったことに恥ずかしさが消えず。まっすぐ見られないまま。)…悪くはないです。

そりゃ厳しいな。良くもないってか。(少しだけ反応を愉しんで見ていたが、見続けるのも悪いと思ったのかフォークを置いてポテトサラダに手を伸ばし。)

(様子を見て嬉しい表情のまま。)…紅茶さんには美味しい料理を食べてもらいたいんです。

(食べている所を見られるのは思いのほか気恥ずかしく視線を落とし。)俺は…お前の作る飯と、お前の淹れる紅茶が一番好きだ。

(照れが顔に出そうになり慌てて顔を隠し。)_紅茶、淹れてきましょうか？

(逃げようとしているのを察しゆっくりと視線上げ。)…今日はいらないから此処に居ろ。

(顔をあげて頷き。)…わかりました。此処にいます。

…お前には照れると逃げようとする癖があるな。(完食すると、からかいながら皿を重ねて。)

(お皿を流しへ運び。)…照れた顔を見られたくないだけです。