人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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貴様のどの辺りに、俺に認められる程秀でた要素があると言うのだ。今此処で述べてみろ
(己の言葉にへこたれず、対抗するような我の強さを発揮する彼女へ魔法使いは見下ろしたまま。扱いが不満なら認めさせてみろとばかりにふてぶてしい物言いにて「聞いてやるぞ?ほら早く言ってみろ」顎を軽く上げ、挑発するかの如く彼女を示し。呼び名については「次師匠なんぞと呼んだならば、返事はしないと思え」と、淡々と短く告げ。「他は来ずとも奴はその匂いと味に惹かれたのだろう?なら問題無い」挽回しようと焦る彼女に対して、魔法使いは冷静な口調で首を左右に振る。言葉で正直に語らずとも、誘い出すのに香水を持ちいらず、直接餌として菓子をばら撒いておびき寄せても良い。複数集まれば儲けもの、例え一匹しか罠に掛からずとも構わず、余裕を保ち。「ハッ、人間の技術力ではまぁそうだろうな。コレを使って貴様は何かを呼び寄せたいのか?」辺りに漂う甘やかな匂いは地に染み付き、まだ効力の衰えの兆しは無い。持続時間の計測の為にもう暫しこの場で観察する気が起きれば、近くの木に歩み寄り背を預け。自身の生み出した薬への評価に高い自尊心が僅かばかり擽られたのか、当然だと態度で示しつつも、声に帯びる冷えた温度が僅かに上がったことに彼女は気付けるだろうか。与える気は無いくせに、香水が欲しいのかと問いつつ「何かしている所であれば、ただ立っているだけでもその"何か"の部類に入るだろうが」抽象的な表現の揚げ足を取るかのように捻くれた反応を、魔法使いは彼女を嘲笑うかの如く低い声音で返してみせ)
そ、れは!───まだ…ないけど…。これからもっともーっと魔法とか練習していつか魔法使いさんに認めてもらうようになるもんねぇ。
( あっかんべー。そんな効果音付きそうな勢いで前半の消え入りそうな声を打ち消しては、続けられた淡々とした冷たい言葉は華麗にスルー。森での生活の長いであろう、そうして人と交流をしていないだろう相手が果たして人の店で本当に目当てのお菓子を変えるのだろうか。些か半信半疑ではあるが、もし本当に買えてしまった時、大好きな友は引っ掛かってしまうのか。「あ、あのさ!もし万が一ジュリーが来たらどうするの?もしかして捕まえて脅したりしないよね?」“協力者”の言葉は相変わらず信じてはいないのだ。恐る恐ると言った風に友に何をするのか問い掛けて。辺りを包む甘く爽やかな香りは風に乗っても何処か経行く事なく、未だ新たな虫や生き物を呼んでいるだろう。鼻腔の奥を擽るその香りを一度思い切り吸い込み深い息をついてから「…魔法使いさんは?魔法使いさんは匂いに釣られて来る?」“何か”にまるで戯言か、相手を示しつつ、紡がれた揚げ足を取る言葉には「違いますー。動いてる…魔法使ったり薬草育てたり、そういうなんか…作業してる所が見たいの!」ムスッと表情不貞腐れたものに変えてから、あくまでも動いている事が前提なのだと言い直して )
一つも無いのか。ならば俺が貴様を認めんのは、理不尽な行いでは無く自然な道理だろうが
(言葉に詰まる様に畳み掛けるように、理にかなわぬ非難をされる覚えは無いと、体の前で腕を組み堂々と言ってのけ。「寿命が尽きぬうちに、そのような日が来るとは思えんがな」努力に関しても、その伸びしろに微かに興味を抱いたことが無いわけでは無いが、やはり期待は薄い反応を返し。「さてな。貴様に仔細を明かす理由は無い。しかしあの羽虫がのこのこと騙され、大人しく黙ってやられる虫だとでも貴様は思っているのか?」妖精の鱗粉や血は良い材料になる。その思惑は秘めたまま、話題の焦点を妖精へと向ける。口喧しい憎き羽虫。罠に陥れても、反撃はしてくるだろう。向こうからも手を出せば、無論黙ってやられるつもりは無く。しかし紡ぐ言葉は内心とは少しズラしたニュアンスに近い問を投げ掛け。「は?釣られるわけが無かろう。何だその馬鹿げた質問は。犬並みの嗅覚を、俺が持っているとでも勘違いしているのか」誘われる側に己の名が出されては、ふざけているのかと、低い声に微量の怒りを含ませ。使い魔の梟は魔法使いの寄りかかる木の枝に留まり、主人の命があれば直ぐにでも襲いかからんばかりの体勢で二人の様子を伺っていて。「そんな姿で良いなら普段見せているだろう。子守の時でも無いのに、貴様の願いに付き合ってやる気は毛頭無い」言い直された内容は、特別香水作りに固執する必要は無いように感じ。ただで求めに応じる気にもならなければ、抑揚の乏しい無愛想な声で彼女から視線を逸し。周囲に飛び交う蝶は数を増し、ひらり、ひらりと空中で優雅な舞を披露し。野兎も、くんくんと鼻を引くつかせてはその内の一羽が彼女の足元へと近寄ってきていて)
──ねぇ魔法使いさん。もしだよ、もし私が魔女になれたらさ、寿命って延びるのかな?
( 欠片も興味が無いと突き付けてくる物言いは最早慣れっこで、それよりもぷくり、と湧き出た疑問が一つ。そもそもどうすれば魔女・魔法使いになれるのかはわからないが、もし生まれ付きではない場合果たして自分は相手や妖精の友と同じ時を生きれるようになるのだろうか。そんなあくまでも好奇心に満ちた質問をしつつ、妖精と相手のバトルの図を思い浮かべ「──種族の隔たりとは実に難しいものですな」なんて、何処ぞの博士よろしくな口調での納得を。己の一言が招いた小さな怒りは相手にもその相棒にも飛び火したようで、これはまずいと苦笑いを一つ。「んーん、匂いじゃなくてさ。魔法使いさんなら香水を作る時とか、匂いを撒いた時とかに発生する微量の魔素とか魔力とか、そういうの感じ取って気付けるんだろうなーみたいなね」取って付けたような称賛の言葉を連ねつつ、足元へと来た野兎との視線を近付ける為、その場にしゃがみこみながら「魔法使いさんの手際のいい、素敵な香水が出来るの見たいなぁー。ねー?」わざとらしい褒め言葉はそのままに、しまいにはその兎にまで同意を求める始末で )
……魔女とは禁忌に手を出し、悪魔と契約した、とち狂った奴等が大半だ。人の理から外れた外道に墜ちてまで望むなら延命も可能だろうが……貴様はそこまでして時の呪縛から逃れたいか?
(魔女、との単語に反応を示せば、魔法使いとの違いを語る。極一部は生粋の女魔法使いが自らをそう自称するが、己が接してきた者達は総じて頭の螺が何処かイカれた者ばかり。正規の手段で魔道を歩むのでは無く、裏道を辿り、定められた命の概念を捻じ曲げ、若さや美しさ、深淵の探究心の為に自分や他を対価に売り払い、力を得た者共。その印象が強ければ、猫をも殺し掛けない好奇心へ釘を刺すように、冷ややかさを増した声音にて問い。妖精との関係性に納得した風に呟かれた言葉には「何を当たり前の事を言っているのだ。同種とて理解に苦しむのに、さらに別の種族と分かり合える等、そう簡単に成せるものでは無かろうに」と、呆れたような言葉を魔法使いは重ね。「この魔素の溢れる森の中でいちいちその程度の変化まで過敏に察知していては精神が疲弊する」言い訳じみた称賛の声は、どうやら胸に響かなかった様子。冷淡な言い回しにてそこまで潔癖症では無いと、首を左右に振れば使い魔は落ち着いたようで、態勢を待機モードに戻し。彼女に話しかけられた一羽はきょとんと不思議そうに首を傾げた。次にニコ、と笑みを浮かべるように表情を変化させては、開いた口からは肉を軽く貫けそうな凶暴な牙がぐわっと現れて)
私は──人間よりも長生きとか、美しさとか、そう言うのはいらないけど……魔法使いさんやジュリーとね、あっという間にバイバイになっちゃうのはやっぱり寂しいって思うんだよ。…魔法使いさんは思ってないだろうけどねー。
( 問い掛けには一度確りとした否定の為首を横に振る。老いるのは生きていれば普通の事で、生を受けたモノは遅かれ早かれその命を終えるのが当たり前。ねじ曲げるつもりは毛頭ない。けれど…胸の奥の奥に巣食う寂しさは消えなく、これが大きく膨らんだ時、相手が危惧するような事が起きるだろうか。しょんぼり、といった言葉ピッタリ、耳があれば垂れ下がった姿がアリアリとわかる口調と表情を見せるも、すぐにらしくないとも思えば最後はおどけたように相手の気持ちを代弁してみせ。「私ね、悪魔って呼び出せるって本で読んだ事あるよ。…あ!勿論しないからね!絶対しないからね!」“知り合いの魔女”については伏せようか。ひっそりと胸に隠したまま悪魔の話をちらりとしつつ、相手の性格上、特別難しいであろう分かり合いに「そうだねぇ」との同意を一つ。さて、褒め言葉も響かなければ次の手は何か。このままでは早く帰れと言われるか、場所を移動されてしまう。無い頭で懸命に次なる呼び止めを考えつつ野兎に手を伸ばしたその時、あんなにもふもふで可愛らしい顔をしていたはずの兎がグワッと大口を。反射的に手はピタリと止まる。続いて認識したのはその口の中にビッシリと生える凶暴な牙。「ッ!!?魔法使いさん!!モンスターだよ!!」一瞬フリーズした思考が元に戻るまで凡そ一秒。手を引っこめると同時に跳ねるようにして立ち上がれば素早い動きで以て相手の後ろにサッと隠れ隙間からビシッと兎を指差して )
終わりは何れ、遅かれ早かれ等しく訪れる。貴様らは脆く短命なくせに未来ばかりを見据えがちだが、足元を疎かにすれば明日にでも瓦解し、余計に死期が早まるぞ
(彼女の気持ちを耳にしても他人への共感力に欠けた偏屈な思考からは、慰めると言う発想が無く。平然と紡ぐのは、取り越し苦労をして何の意味があるのかと言う冷淡なもので。自分への所感には「よく分かっているでは無いか。」と寂しさの有無にはそのとおりだと認める始末。悪魔についても「此方側に被害が出ないのならば、悪魔でも天使でも、召喚出来ると言うなら好きに呼べばいい。それは貴様の自由だ」理論と実証可能かは別物。親や友とも距離感の違う魔法使いは、自分の預かり知らぬ所での行動は、例え身を滅ぼしかねないことでも我関せずといった態度だ。そうして彼女から視線を外し、集まってきた動物や昆虫、蝶の種類を脳内に記録するように観察していれば、響く甲高い声。フード奥の顔を顰め、喧しいと鋭く舌を打ち「側に寄るな、鬱陶しい。スライムと同じ魔物相手に何を今更驚いているのだ」低級との括りでは、洞窟内も自然のフィールドに生息する存在も己からすれば居るのが当たり前で。彼女から離れるべく前進する。様子を伺っていた梟は、彼女の頭を嘴で小突こうと枝から飛び立って迫り。牙の生えた兎は、ピョンピョンと四足歩行で地を跳ねては逃げた獲物、もとい相手の後を、遊んであそん!でとばかりに後を追い掛け)
そ、それは勘弁だねぇ。これ以上短くなっちゃったら、妖精の里行くのお預けになっちゃうかもしれない。
( 鋭利な刃物の様にバッサリと切り捨てられた言葉だが、大切なものも確かに含まれていた。アドバイスをしてくれたと浮き立つつもりはないが、死期を早めるのは得策ではないに決まっている。それに加えて否定されなかった言葉には、最早苦笑いを浮かべるしかない。悪魔についてもまた然り。「ただの人間が召喚なんて出来るはずないじゃんかー」ヒラヒラと片手を揺らめかせておどけたように話を終わらせては、兎──のモンスターとの対峙をしよう。魔法使いに動かれた事で自らを守る壁が無くなってしまえば、まず初めに忠誠心高い梟からの頭への攻撃を。「奇襲!奇襲は駄目だから!」予期せぬ出来事に片手を頭へと持ってくる。くわっ!と文句を口にするも、続いて可愛らしい笑顔を見せながらも追いかけて来る兎。“ギャー!”なんて可愛らしさも何も無い悲鳴を上げ、やや太い幹を持つ木を守り壁にグルグルと追いかけっこを開始しつつ、ふ、と鼓膜を揺らした魔法使いの声に自然と足は止まり。「……もちゃと一緒?」と、言う事は危なくないモンスターなのか。仁王立ちのままじぃ、と兎を見やるも、口の中に生え揃った牙の印象は消えない。「…君、噛む?」視線真っ直ぐに向けたまま少しの間をあけた後、兎が答えるはずもないと言うのにそんな戯けた問い掛けを真剣に送り )
妖精の里?貴様行くつもりなのか
(妖精の住処。鱗粉や血、その他にも余所には出回らない品物の存在が思考に入り込めば、苦い顔の彼女にお構いなしに興味を示した魔法使いは聞き返し。「その認識は間違っている。悪魔とは他者を誑かし誘惑する者だ。召喚に必要な物と呪文さえあれば、手を伸ばす者を出迎える準備を奴らは狙っていると知れ」寿命や美、欲望。人だからこそより強く欲する願望を食らう存在へと、終わり際に告げこの話題は終了としようか。奇襲も何も先程から幾度か狙う素振りのあった梟への抗議を、魔法使いは鼻で笑う。兎に追われ叫びながらその場から離れて行く彼女を確認しては、主人の肩の上に使い魔は留まり。魔法使いはよくやったと労うように、その頭を人差し指で撫でてやってから、彼女の方へと視線を流し。──足を止めた彼女に声を掛けられた兎は、先程と同様に意味が通じていないのか不思議そうな眼差しで見つめ返し、ぴょん、と距離を縮め彼女の片足に頭を擦り付け甘えるような仕草の後。あーん!と牙を見せつけんばかりに大口を開き、今にもその足に噛り付こうとする姿を目にすることだろう)
うん、今すぐには無理だけどいつか──私が自分の体を浮かせられるようになった時に。体を小さくする薬は、ジュリー見付けて来てくれるっていうからさ、後は私の頑張り次第なのだよ、本当に。
( “妖精の里”に興味を示した相手の確認にこくんと頷けば、その為に必要な魔法の熟練度とアイテムを伝えつつ、肩下げしている鞄を一度ポン、と叩き「魔石の欠片にちょーっと力借りちゃうかもだけどねぇ」と悪戯に笑い。それ相応の力がなくたって条件さえ揃えば悪魔は簡単に呼び出せる。魔法使いの言葉をごくんと飲み込み胸にしまい込めば、続いて吸い込まれそうな程に黒々とした兎の瞳と見つめ合う。数秒。素早い動きで以て距離を縮めてきた兎が片足に頬擦りすれば、その愛らしい仕草に害はないと判断しその頭を撫でようと片手を伸ばして。しかしあと少し、という所で再び大きな口が開き鋭利な牙が見えれば、危機回避能力はどうやら十分に備わっていたようだ、後ろへと飛び退くと同時にバッと両手を前に出し「ま、待って待って!落ち着いて!話し合おう!!」再び兎相手に声を掛け、後、「魔法使いさん!兎の言葉がわかる魔法とかない!?」なんて無茶振りを )
ほぅ。飛行を会得するまでまた道程は遠そうだが……羽虫が人間を招くとは珍しい。
(幾つもの指輪を通した右手の指先を持ち上げ、疎らに無精髭の生えた自身の顎を一撫で。意外そうな声を発し、目線を彼女の鞄へと落とし。「道具は有効に使ってこそ価値ある」石の力を借りるのは狡では無く、当たり前の事。彼女を肯定すると言うよりは、ただ自分の考えを述べただけの淡々としたニュアンスで口を動かし。──彼女に狙いを定め見詰め、今にも食らおうとしていた兎は、後もう一歩の所で避けられてしまえば。ガチン、と上顎と下顎がぶつかる嫌な音を響かせ。空振ったことにむぅ、と頬が膨らんでいる。何で逃げるの?と言わんばかりに不満気な上目遣いで彼女を見上げれば、静止を促された両手の意図を完全無視。諦めないぞー!と諦め悪く再挑戦。ピョンピョンと地を跳ね正面から接近する姿からは、追い掛けっこを続行してゆく意欲に満ちており、そう簡単には止まりそうに無い事実を彼女に叩きつけるだろうか。sosに似た言葉を受け取った魔法使いは「言語変換の魔法か。あるにはあるが……、貴様の為に使ってやるとでも?それに知能の低い相手に言葉が通じた所で、空腹を訴え、食べる事しか脳の無い連中に意味があるとは思えんがな。そいつから逃れたければ木登りか、風で吹き飛ばすか……それこそ宙でも飛んでみたらどうだ?」冷静に一人と一羽の追走劇を眺めながら、マイペースに。魔法使いなら魔法か、梟を差し向け兎を退けさせるのも容易だろう。しかし手を貸すつもりは無さそうで。無茶振りに無茶振りで返し、彼女にとって助言になりそうでならなそうな言葉を紡ぎ。静観する態度は変わらない様子で)
え、そうなの?…妖精の里ってやっぱりそう簡単に人が招かれていい場所じゃあないんだ。
( 物珍しそうな様子の相手の言葉。あの日ジュリーとの約束は会話の中の流れで出たもので、ごく自然と何て事のないような雰囲気で誘われたが、よくよく考えれば妖精を珍しいものの対象として捕まえる人間も少なくは無いはず。ましてやたくさん集まる場所を教えるなんて以ての外。それだけ信じてくれ、好いてくれてるのだと胸の奥がほんわかと熱を持ち。それは魔石の欠片を否定されなかった事で更なる持続を持つ。「あのね魔法使いさん。実は前にも一回これの力、借りた事があるんだ。たーっくさんの桜吹雪を散らせたくて、あっという間に力使い果たしちゃったんだけど一応は成功したんだよっ」まるで子供が今日あった宝物のような素敵な出来事を親に話して聞かせるかの如く、キラキラと光る瞳を向けつつ以前妖精としたお花見の話を掻い摘んで語り。案の定兎に人間の言葉は通じていないようだ。やる気に満ち溢れているその姿は噛みつかれるのも時間の問題だと言う事を物語っている。それに加えて頼みの綱である魔法使いは助けてくれる気など毛頭無い様子。だが、助言は得た。木登りはもし登られた時に捕まる。自分を浮かせるのは力量的にまだ無理。となれば──。兎を真正面に鞄から杖を取り出しては「ウサちゃん、これ以上来ちゃいけませんっ!…全ての力の源よ 風よ 我が元に集いて舞い上がれ 『ウィンド』」呪文と共に風の魔法を。杖の先から生み出された風は最初の頃よりも遥かに安定感を保ったまま自身と野兎との間に壁のように割って入り、触れるものを吹き飛ばすだけの力も今は得ているだろう )
奴は貴様の何処を気にいったのだろうな。俺には微塵も理解出来ん
(妖精の里については首を縦に振る。人間を敵や悪戯を仕掛ける遊びの対象としかしない者達。そんな彼等が住まうへ招く意味を理解しているような彼女の様子を、物珍し物を観察するようか眼つきをフードの奥から飛ばす。が、花吹雪と聞けば、宝石の如く輝く瞳見下ろし「花吹雪の為に使ったのか?……綺麗な景色見たさに咲いている花を二度も散らしたか。実に人らしい発想だな」と、冷淡な声が口を衝く。そこに至るまでの経緯や気持ちを考慮しない魔法使いは、一瞬の為に使われた桜の木の側から物申し、短く鼻を鳴らし。兎との戯れは自分の言葉が切っ掛けとなったのか、対峙する道を選んだ彼女。紡がれる詠唱により周囲の魔素が集まり、一つの流れを生む。そんな彼女に一直線に飛び掛からんと跳躍した兎が、穏やかながら芯のある風によって後ろへと吹き飛ばされ。そして木に背を軽く打ち付け、小さく呻くような鳴き声を上げた後、ぐるぐると黒目を回しパタリとその場に倒れ込み。それを見た魔法使いは「ほぅ……前より精度が上がっているでは無いか」兎を見詰めながら、淡々と述べていて)
それは私にもわからないけどさぁ。──ねぇ魔法使いさん。魔法使いさんは相棒のどこが気に入って、相棒にしようと思ったの?
( 心底不思議そうな相手の呟きだが、それを言われてしまえば当事者である自身だってわからない。もしジュリーとあの日あの森で出会っていたのが自分ではなく別の誰かだったら、ジュリーはその人と素敵な約束をたくさん交わし、美味しいお菓子を食べながら笑っていたのだろうか。少しだけ巣食った寂しさをしまい込みつつ、相手と梟とを交互に見やり浮かんだ疑問を一つ。美しさと楽しさを共有しようとした話は見事に玉砕。無理矢理散らされた桜の立場から意見されれば不満たらたらに頬を膨らませ。「魔法使いさん、きっと血はまーっさおだね」嫌味ったらしい文句をやたら大きな声で叫びつつ、目を回し倒れた兎へと近付きその横で腰を下ろして。「──ね、治癒魔法にも風を操る時みたいな…呪文?あるのかな」己の治癒魔法はまだ酷く不安定なもの、少しでも精度を上げる為、感情の起伏のないあくまでも淡々とした言葉を落とす相手に助言を求めて )
何処を気に入ったか?……さてな。陣からの呼び掛けにコイツが応え、梟は手足として使い勝手の悪くない分類だったから拒まなかっただけだ。……だが、従順で賢い頭は、悪くないと今は思っている。
(梟と自分を見遣るダークブラウンの瞳。首を横向かせては、肩の上から彼女を一心に見詰める使い魔に視線を向け。遠い昔、年少期に召喚の義を行い、己を主人として選び現れた一羽の従者。不都合があれば破棄を視野に入れ、それなりの当たりを引けば関心薄く契約を結び、一度も解消せず今に至るその理由は。普段は働かせない思考を巡らせ、昔を思い出し。あっさりとした声色で答えるも、最後の一文はフードの奥に隠れた蒼い双眸を細め、僅かながらの愛着が言葉に滲み。梟はそんな魔法使いを一度振り返ってから、また彼女に注目し。「冷血と言いたいのか?だが、貴様がその木の開花を短くしたのは事実だろう。それに俺なら採取する為なら吝かでは無いが、必要以上に無闇には奪わん。鑑賞するだけの貴様と俺は、さて、どちらが酷い奴なのだろうな?」自分こそが正しいと凝り固まった頭は、彼女から放たれた言の葉に痛み刺さる腹も心も無ければ動じず。目的を叶えるべく手段に出はすれど、有効活用はする。花弁とて材料の一つ。そこに悪戯に弄ぶ気は無く。嫌味にさらに嫌味を上塗りしては、相手に底意地の悪い問を投げ掛け。「あるにはあるが、対価も無しに俺が教えるとでも?貴様は何の為にユニコーンを探しているつもりか、思い出してみろ」助言への求めには、無償で手を貸すつもりは無く。だからこそ、ユニコーンの血と引き換えに一つの呪文か願いを叶える取引をしている訳で。兎の容態も、いつぞやの妖精と同じく、放っておけば意識を取り戻す程度の軽症と判断しており、冷たい響きとなって聞こえるだろうか。二人が会話している間に香水の効果は薄れてきているようで、宙を舞っていた青や金の蝶達が徐に軌道を変え、一匹、また一匹と飛び去っていく。もう少しすれば、他の兎達も匂いに魅了された状態から目を覚ましてくる頃かもしれない)
──そっか。じゃあ使い魔君って選んで決めるものじゃないんだね。…こういうのも縁なんだ。
( 人間がペットショップで並ぶ動物たちを決める時のように吟味する訳ではなく、使い魔の方が主人である魔法使いを選ぶ。つまりそれは“従える”と決めた強い絆があるのか。ふむ、と考える素振りを一つで使い魔と主人の欠片に触れた気になれば、言葉の後半。勘違いか、心做しか燻る愛情が見え隠れしたような気がしてひっそりと口角持ち上げ。されど続いた息を吐くような刺々しい言葉にはどうか。浮かんだ笑みは跡形もなく消え去り代わりに先程捕食に失敗した兎宛ら、不満そうに頬を膨らませ。「魔法使いさんはそーやって毎回毎回意地悪な事ばーっかり言えばいいんだ。いつか凄い物見付けたって、魔法使いさんには少しも譲ってなんてあげないんだから。べー!」態とらしく顔を背け、胸の前で腕を組み、挙句売り言葉に買い言葉。幼稚さが前面に押し出されているであろうやり取りも気が付かぬままに悪態をつき。治癒魔法を会得する為には今の実力ならば詠唱が絶対条件。目の前で倒れる兎の後ろ足をつんつんと突つきつつ、「──ユニコーンの血を魔法使いさんにわたせば、新しい魔法か願いを一つ叶えてくれる。ちゃーんと覚えてるけどさぁ。…あ、蝶々は現実世界にお帰りだって」今一度口に出し約束を共有した後は、ひら、ひら、飛び去っていく蝶に片手閃かせ形ばかりの挨拶を )
早とちりするな馬鹿者め。あくまで俺の方法は、だ。使い魔との邂逅は様々であり、自分の目で見定め、高位の存在と契約を交わす者も居る。
(契約の儀の方法がそればかりだと勘違いされては堪らない。間違いを指摘するように、言葉で補足する。自分の実力に見合った安全な手段と、心を通わし結ぶ術もあり。見下ろし続ける先に頬をリスのように膨らませた少女の顔を、蒼眼に映し。はん、と鼻で嘲笑う。「元より期待もしていないが……貴様は先日後悔したのでは無かったか?また繰り返すつもりか」痛くもない子供の批判は右から左に流し。自分を嫌って森を避けるならば、むしろ好都合。そして洞窟内での出来事を引っ張り出す。自分にとっては良き収穫を得た情報。しかし彼女からすればどうだっただろうか。いい終われば倒れている兎に、次に蝶達に眼を向け「覚えているが……何だ?どさくさに紛れて、あわよくば口から滑らすと思ったか」疑って掛かるような捻くれた見方ばかりの男は、濁された先に続く言葉をそう解釈しては、ローブを翻し背を向け。「貴様も、貴様の在るべき現実へと帰れ。また兎に追いかけ回されたく無くばな」実験結果もある程度観測が終われば、此処に留まる理由は消え。右手を持ち上げ何を掴む動作をすれば、虚空より一本の樫の木の杖が引き抜かれ、顕現し。石突部分で地面を叩くと、周囲の魔素が呼び掛けに応じ瞬く間に掻き集められ、転移の魔法陣が構成されて行き)
っ、じゃあさ!もし私が魔女になれて、いつか使い魔君を相棒に出来るようになった時は猫がいいな!真っ黒い猫。…魔法使いさんに一緒に選んで貰おうかなぁ。
( 魔女と言えば黒猫。の考えは未だ消えていなければ、猫アレルギーの件は最早無いものとしての願望を口にしつつ、いつ来るかもわからぬその時を妄想しにへらぁ。とだらしなく笑みを滲ませ。洞窟内での出来事を掘り返されればピタリと動きは止まる。ダメダメ、と言うように頭を左右に振ってから「したよ!すんごーいした!」身を乗り出す勢いで再びを繰り返さない事を示して。残り数匹となっていた色鮮やかな蝶々や野兎達は一足お先に現実世界へとお帰りのようだ。相変わらずな弄れた物言いに「魔法使いさんがそんなミスをするなんて思うはずないじゃんか。──治癒魔法の呪文か、その魔法陣の出現方法教えてねー!」まずは全てを飲み込んだ持ち上げを。続いて当人にしては珍しく聞き分けのいい態度で以て消えてしまうだろう相手を見送る為ゆらゆらと片手を閃かせて )
(/ お盆も終わりですがまだまだ暑い日が続きますね…!主様どうぞご自愛下さいませ!
さて、この辺りが次の場面に移るポイントなのかな?と思いまして取り敢えず背後が出て来てみました! )
俺は貴様の親では無い。自分の従者くらい自分の力で見つけて選べ。
(彼女が求める使い魔は誰でも良いわけで無ければ、後者の道を選ぶのだろうか。悪魔や不吉な象徴ともされる猫は、闇夜に生きる日陰者達にとって偵察や夜目の効く便利な存在として広く重宝されている。森に住んでいるかは不明だが、何処で調達するにしろ、同伴するつもりは今の所無いと主張し。「であれば俺にわざわざ告げる意味は無かろう。先の件であっても、頼んだわけでも無いのに貴様がドジを踏み招いた結果だ。肝に命じておけ」他者と共有し分かちう楽しさに欠如した男は、淡々とした口調で指摘した後、背後から飛んできた声に再び口を開き。「貴様が調達出来れば考えておいてやる。しかし教えるだけだ、習得まで付き合う義理は無い」魔法陣を望む願いには、複雑に編んだ陣を簡略化したこれは、必要なプロセスが多すぎて相手には使いこなせないであろう。与えた機会を不意にするも、手の届く範囲を望むも彼女次第。自分はどちらに転んでも構わないと、あっさりした返答を返し一歩踏み出す。『行け』と短く告げれば、溢れかえる光の奔流に呑み込まれ。彼女と、意識を失ったままの兎の姿を残したまま、一足先にその場から魔法使いの姿は消え去り、館へと戻って行くのであった──/〆)
(/此方も背後から失礼致しますね。ほんと最近暑くて、急に雨降りな時もあって困ってしまう陽気に入りましたね…!今回も相変わらずな魔法使いに付き合って下さりありがとうございました。兎に追い掛けられる娘様のナイスなリアクションに、可愛いなぁと思いながら背後はとても笑わせて頂きました!
報酬の魔法は何になるのか。使い魔は召喚かペットショップからの現地調達か、意思疎通を経って交渉しての流れになるのか。夜さんの今後選択する未来はどうなっていくのかなぁとやり取り中に知れた部分から、先の楽しみがまた増えてしまいました!私もこの辺りが区切りが良いと思い、魔法使いの方は〆のロールを回させて頂きますね!
次の展開はどう致しましょうか?魔法使いでの連続交流を聞いて頂けたので、背後様の希望する流れを教えて頂けたら嬉しく思います!)
(/ 本当に!ただでさえ暑い中、雨のせいで湿度もプラスされてぐったりです…。夜の足を噛むのに失敗したウサギが不貞腐れてる姿を想像して、可愛いいいい!!ってなっておりました+
使い魔はきっとまだ先になってしまうかもしれませんが、そこの部分も私も今からとても楽しみです!その為にも夜が早くいい感じに魔法使えるようにならなきゃですね…!まずはユニコーンの血液採取を頑張らねば!そして、〆のロルありがとうございます!
魔法使いさんとも絡ませてもらえたので、次は久々にラナさんと交流出来たらなと思います!ジュリーと一緒に見付けた洞窟に魔法使いさんを入らせない為の結界を張る方法を、ラナさんにお願いしたく…!ついでに、もしラナさんがテントの外に出ても大丈夫ならば一緒に洞窟の下見とか、街をブラブラとか、その他諸々も楽しめたらなぁと!如何でしょうか? )
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