人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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んー……今はそんなに要らないわ。だってヨルが居るもの(あの時は一人から、多いとき十数人を相手に森に迷わせ、分断し、狼をけしかけ必死に鬼ごっこする様を笑ったりもしたが。相手の傍らで過ごす時間は、それ以上に自分の心を踊らせてくれる。特別な友人が一人居れば満たされている現状に、ニコニコ笑いながら相手を見つめながら答え。「まぁ、そう言う事かもしれないわね。後は、あのムカつくエルフを利用して、アイツの知恵をうまく引き出せればヒントが見えてくるかもしれないわね。魔女よりはまだ危険じゃ無いでしょ」一日や二日頑張れば成果が得られるような問題では無い点について、コクンと一度頷き返し。二人が悩んでしまうなら、第三者の手を借りるのも一つの手段だろう。プライドが高く、そして無知である事を嫌うエルフならば何か知っているかもしれないと例に出し。「ふぅん……面白いわね、ヨルにはそんなイメージなのね。良いんじゃない?」治癒魔法の一連の流れから、相手が得た印象。自分とは異なる想像力。だが、明確に描けたビジョンは魔法を行使する上では重要な要素の一つ。「最初ならそれくらいが丁度良いかもしれないわね。えぇ、ちゃんと見ててあげるから頑張ってねヨル」自信ありげに何かを掴んだ様子の相手が早速実践に乗り出せば、触れていた枝はポチャンと川に放ってから向き直り。相手が手にしている木の葉へと注目しようか)
(/いえいえ、ありがとうございます!台風また来るようで困ってしまいますね。背後様もお気をつけ下さい!かしこまりました、その時は宜しくお願い致しますね!では失礼致しました!)
( 自分が居ればいいだなんて、なんて嬉しくて心温まる言葉だろうか。思わずぎゅうと勢いに任せてハグしそうになる衝動をぎりぎりの所で抑え込めば代わりに「ジュリー大好きっ」と言う言葉に全てのそれを乗せて。魔法使いを利用だなんて言葉以上に難しいではないか。褒めた所で“当たり前だ”とか“何を企んでいる”だとかで全てバッサリと切り捨てられそうだ。挑発もまた然り。「──それってユニコーンから涙とか貰う事よりも難しそうなんだけど…」うげぇ、と最早やる前から諦めモード全開の表情でちらりと相手を見やる。それが終われば治癒魔法に専念しようではないか。落ち葉が風で飛んでいかないようにまずは端っこに小石を重り替わりに置く。続いて落ち葉を目の前にしゃがみこみ重ね合わせた両手を落ち葉の上に翳し瞳を閉じて──一つ大きく深呼吸を。少しずつ少しずつ魔素が集まる感覚に満足そうに頷けば次いで蓋をするように魔力を…と、やはりそう簡単に上手くはいかないらしい。魔素の集まりもまだまだ足りず、また、魔力も弱いせいか落ち葉の切れ目に光は灯るものの完璧に再生する事はなく。「…んぅ、やっぱり一発でって訳にはいかないよねぇ。あったかーくなる感じはあったんだけどなぁ」やがて魔素を集める力も尽きたのか密集していた魔素はふわふわと散らばり何処かへ飛んで行ってしまい、やや残念そうに肩を落として )
んふふ、私もヨルの事だーい好きよ(胸の奥が擽ったくなるような愛らしい発言。相手と同じく、否それ以上に心を込め自分もだと、その大きさを現すように両手を目一杯広げながら言葉を返し。「そうかしら?例えば……好物の一つも知らないの?とか、人間の本にユニコーンの本当の実態が書かれてる物が無いかもしれないのに、それで探せなんてフェアじゃないんじゃない?とか、後は……高値で取引されてる物をヨルが成功すれば、安く手に入ってエルフにとっても得なんだから手伝ってくれてもいいんじゃない?って、交渉してみる……とかさ」勝算の低さに歪んだ顔を見るも、日頃エルフとは敵対している自分だからこそか、予想の範囲ではあるが可能性はゼロでは無いと思っており。プライドを煽る、不公平さを訴える、メリットを引き合いに出しての交渉。案を述べる事に指を一本ずつ立て、相手の様子を見遣り。「──あら、驚いた。見ただけなのに案外飲み込み早いのね。基本はそんな感じ。後は……ヨルは魔力がまだ少ないから、私よりもっともっと周りから力を借りる必要があるわね。魔素の一つ一つの違いを感じ取って、どれに助けを呼び掛けるかの明確化も課題かしらね。ほら、力仕事に協力して欲しいのに、大人じゃなく小さな子供ばっかり集まっても、困っちゃうじゃない?」やがて相手が集中し、治癒魔法への挑戦が始まれば静かに見守り。魔素と魔力への意識の向ける先については上々。しかし失敗の原因の一つでもある、少量の魔力でも成功出来るよう工夫は必要だろうか。端から見た印象と助言を伝えれば、霧散していく魔素を横目にパタパタ羽を動かし相手へと近づき。頭上付近まで到着すれば「でもすごいわヨル。初めてにしては上出来よ?」と労いの言葉を掛け、飛んだ状態のまま右手を伸ばし。そのまま避けられなければ、頑張りを褒めるようにヨシヨシと相手の頭を撫でようか)
なるほど…──じゃあ取り敢えずフェアじゃない!ってトコから攻めてみようかな。どうせ『すぐ人に頼る事ばかりでなんちゃらかんちゃら』って言ってくるだろうけどー。
( 一つ一つ上がっていく魔法使いとの交渉術にふむふむと真剣に頷き聞けば最初の交渉には一番難しくなさそうかのを選ぶも、結局の所丸め込まれるのがオチだとも思っていれば、眉間に皺を寄せあまり似ていない魔法使いの声真似を一つ。続いて失敗には終わったものの本当に少しだけコツのような何かを掴めた今日の修行は、初日にしては上出来と言ってもいいのか。その証拠に相手から褒め言葉と共に頭を撫でられれば僅かでも切れ目が治らなかったショックがゆるゆると静かに薄れていくのを感じる。「治ってー!って思って、赤ちゃんがお母さんの腕の中で安心してるみたいな温かいのを想像したんだ」出来なくても褒められればやっぱり嬉しいもの。へへ、と笑った後に的確なアドバイスに耳を傾け「私自身の魔素の力を高める訓練も必要だけど、どうしたってそれだけじゃ補えないだろうから、たくさんの魔素の区別とか状況にあったのを選ぶ力──勉強になりますジュリー先生っ!」一つ一つを噛み締めるように、また受け止めるように言葉にしては最後、ビシッと敬礼を一つで締め括り。「あ、そう言えばジュリーは何処か行く予定だったの?」と今更ながらの質問をして )
ふふ、確かにそうね。それをどう言いくるめられるかは、ヨル次第よ
(不遜なエルフと相手の物真似は、やはり似ているとは言い難い可愛らしさを目にしつつ、ピンと伸ばした人指し指で相手を示し。自分は可能性を提示こそしたが、そこから何か得られるかは、相手の選択に掛かっている事だろう。「優しく包むイメージを、母親に例えたのね。でもヨルがお母さんって、今はまだまだ想像付かないわね」柔らかく温かな。親が子を思う慈愛の心。聞いていて此方の心まで温かくなりそうだが、まだ自分からすれば元気一杯な子供のような相手とそのイメージは合致しずらいと意地悪な冗談を溢し。「勉強熱心な生徒を持てて私も嬉しいわ。まぁ、この調子なら先は明るそうだけどね。私はただ、暑いから涼しい水辺で過ごしてただけよ。そこで誰かさんを発見して、驚かそうと思ったらヨルだったってわけ」素直に自分の言葉を、まるでスポンジのように吸収してゆこうと、努力の見える様には笑みを深め頷き返し。ひとしきり相手の頭を撫で、黒髪の滑らかな指通りを楽しみ満足した所で触れていた手を離せば、問われるがまま自分が此処に居る経緯について答え)
あー、それはねぇ私も実は思ってるんだ。私そもそも私が結婚っていうのもあんまりしっくり来ないしさぁ。──ね、ジュリー達妖精も結婚とかするの?
( 紡がれた意地悪な冗談はあながち間違ってはいないだろう、自身もまた結婚、子供、それらを含ませる家庭に身を置く事に変な違和感を感じていればポリポリと人差し指で頬を掻きつつ、人間と妖精の違いがまたここにも生まれてくるのではないかと、ふと浮かんだ疑問を口にして。「私だって優しくて美人の先生に教えて貰えて光栄でーす!」頭を撫でる柔らかな感触が離れていった所で再びニカッと朗らかな笑みを浮かべてはおちやらけたようにも聞こえる喜びを一つ。続けて根っからの妖精らしさにくふくふと喉の奥で楽しそうに笑えば「じゃあいいタイミングだった訳だ。ジュリーの脅かしも気にはなるけど、こうしてちゃんと涼めたし話もできたもんねっ」相手の一つの目的は叶ったし、なんとも素敵な時間を過ごせたとうんうん頷いて )
(/ 背後登場まあまあ早かったかな?と思うのですが、なんとなく話的にキリが良さそうなので出て来ました!お次、主様がやりたいお話等ありましたら是非お聞かせ下さいー!個人的には魔法使いさんと絡みたいかなと思っております! )
いい人が見つかれば、ちょっとは大人っぽく変わるのかしらね。私たちでも結婚はあるわよ?自分だけを見て欲しい、って思うもの。でもヨル達みたいに子供は生まれないわね。卵とも違うんだけど、母なる大樹って呼ばれてる一本の木が、大地や空気から吸収した魔素で生まれた花や実から、私達妖精は誕生するのよ(相手が恋をした時。子供から大人への境界線を越えるのだろうか。それとも、変わらないまま成長していくのか。まだ先の分からない未来を、相手の行く末を楽しみに思いながら瞳を細め。自分達の文化にも、誰かと添い遂げる事を望む者は居ると頷きはするが、それは心の繋がりを求めるが故。種の保存との意味では無いと解説を加え。「んふふ、ヨルは正直者ね。──そうね、思いの外充実した時間が過ごせたわ。……っと、少し暗くなってきたわね。ヨルが帰るなら見送るわよ?」優しくて美人、と褒められれば嬉しくないはずがなく。口角をみるみる引き上げ、声を弾ませ答え。──やがて空が茜色に染まっていけば、楽しい一時もお開きの時間だろうか。相手がまだ気になる事があればそれに付き添ってから、無ければこのまま森の入り口へと案内してから、自分も帰路へと羽ばたく事だろう)
(/キリが良さそう、との事で回収させて頂きました!魔法使いとの絡みですね、かしこまりました!ではまた、森に来た所から先レスをお願いしても宜しいでしょうか…!
私は、次回かいつか、前に話に出ていた妖精との洞窟探検や魔物と遭遇してのプチハプニング等が出来たら楽しそうだなと思っております!)
( 水辺で涼むだけのはずがまさかの友に出会う事が出来て気分は絶好調だった先日、今日も誰かに出会えるか、または何か新たな発見が出来るかもしれないと高まる期待を胸に引っ提げ、少しばかり涼しくなってきた気温に合わせるように上に薄い羽織りを着用しつつ森へと訪れて。今日は川の近くでなく少し奥へと進んでみようか )
(/ ありがとうございます!森に探索に来ました!
あ、それは私もやりたいですっ!!次回是非そのプチハプニングお願いしたいです!! )
──『開け』(短く、有無を言わせず命令するかのように。呪文を唱えれば、一本の木が縦に分かれ、扉の如く左右に開かれる。光が溢れる樹木の中から現れたのは、使い古されたローブに身をすっぽりと包み、右手には杖を携えフードを目深に被った魔法使いの姿があり。森の中に幾つか点在し、自分しか侵入出来ない畑の様子を見終わった後のようで。猫背気味な丸まった背を揺らし、次の畑の様子を見に行こうと歩き出そうとすれば、遠くに見知った魔力の気配に気が付き。「チッ……今日はアレが来る日だったか」すっかり頭から抜け落ちていた、二週間に一度の忌々しい約束の日。しかしもう少し日が傾いてから子守を適当にやり過ごそうと、相手が来る方角とは真逆の、さらに奥へと遭遇を避けるように進行方向を変え歩き出し)
(/先レスありがとうございます!また提案を受け入れて下さりありがとうございます!
そして早々にプラン変更の申し出であり申し訳ないのですが、森の奥に来ているとの事で、シチュエーション的に挟めそうな魔物イベント、魔法使いで今発生させても宜しいでしょうか…?妖精とは洞窟やスライム等の別の生き物との出会いでまた違った感じで楽しめるかと思いますので…!
もし可能でしたら、次レスにて夜ちゃんが魔物と遭遇して悲鳴や追われる描写、または魔法使いと遭遇せず奥に向かわれる場面を回して頂ければ此方で魔物を出現させて頂こうかと考えているのですが、如何でしょうか…?)
( 軽快な足取りで森の奥へ奥へと進む。入口付近に比べて空気の冷たさも静けさも格段に強いがそれでこそ何か産まれる前兆だと勝手な想像・妄想がたんまりと湧き上がり、むふふ、とまるで探偵かなにかの如く目を凝らし辺りを見回して。ふいにガサリと大きく動く茂み。ハッとして振り返れば果たしてそこにいたのは“動物”とはとても言い表す事の出来ない見た事もないモンスターで。「──へ?」これは一体何なのだろうと瞬きを一つ。ギラギラと歪に光る赤い目と視線が交わった瞬間、明らかに自身を獲物として認識したのだろうモンスターの口が大きく開きそこから鋭い牙が何本も顔を覗かせれば身の危険はすぐ様感じる。弾かれたようにその場から逃げ出すも強すぎる威圧感とドタドタと追い掛けてくる足音で確実に餌になっている事を理解すれば「ギャーーーッ!!!」と情けない色気も素っ気もない悲鳴を高々とあげながら、小石やら細かい木々やらで走りにくい地面を懸命に蹴って見境なくひたすらに逃げ回って )
(/ いやいや、此方こそありがとうございます!!今この場でやりたいイベントの一つが出来る事を大変嬉しく思います!そしてジュリーともまた出来るとの事で、今から楽しみが膨れております!ひとまず魔法使いさんとハラハラした時間を過ごせたらと思いますのでよろしくお願いします! )
(大地の肥料となる、湿った落ち葉の残骸を踏みしめ、歩みを進める途中。後方から女性の甲高い叫び声が響き渡る。微かな音にさえ敏感な耳は、それが誰の物か瞬時に判断し、必要無いと断る隙も無く脳内に送り届け。苛立ちから眉間に深い皺を刻み、立ち止まって振り返る。徐々に輪郭が大きくなり、自分の側へと迫ってくる一人の少女の姿を瞳に捉え。「ハッ、滑稽な様だな。しかしどうせ食われるなら、俺の居ない場で食われてしまえばいいものを……間の悪い奴等め」必死の形相で腕を振り足を上げ、命を賭けた追走劇。その場面を淡々とした表情で眺めては、相手には聞こえないであろう、勝手極まりない感想をぼやき。日頃から邪険に扱っている存在が消えるのは喜ばしい部類に入るのだが、見知った人物が生きたまま食事にされる断末魔は聞きたくない。夢見が悪くなるから、との他者を思いやる優しさからは掛け離れた、自分本位な判断基準のもと介入する事にし。「──『捕らえろ』」魔物が裂けた口を広げ、勝利を確信したかのように鋭利な牙を剥き出し獰猛な笑みを浮かべ。加速しても木々に邪魔されない拓けた場まで相手を追いやれば、駆ける勢いはそのままに、大地を力強く蹴り上げ跳躍。魔物が右肩を狙い、空中で口を開き相手に肉薄する前にトン、と杖で地面を叩き、命令を下す。すると周囲の地面からシュルシュルと音を立て太い木の根が飛び出し、魔物の体にみるみる巻き付いては、その動きを封じる事だろう)
(/此方こそありがとうございます!また、ハラハラした時間にもし出来なかったら申し訳ありません…!宜しくお願い致します。では背後は失礼致しますね…!)
( 以前のように狼に追いかけ回されるならまだわかる。森なのだから。しかしながら絵本の世界か映画の世界でしか見た事のないようなモンスターに襲われるだなんて──妖精や魔法使いや魔法を目の当たりにしておいてそんな事を考えられる冷静さが仇になったのか、気が付けば背後には距離を詰めたモンスターの姿があり。それが厭らしく笑みを浮かべ、大口を開けて飛びかかってくるものだからどうなるかなんて誰でもわかってしまう。ろくな魔法も使えない、逃げる事も出来ない、反射的にギュッと固く目を瞑り思わず蹲るもいつまで経っても痛みが襲って来なければ恐る恐る片目を開け。「あ、あれ…?」果たしてそこにいたのは太い木の根を体に巻き付け動けなくなっているモンスターの姿。と、感じる大きな魔法の力。「っ、魔法使いさん!!」ガバッと立ち上がりその魔力が誰のものか、無意識に頭に浮かんだ相手の名前を叫んではこの辺にいるのだろうと辺りをキョロキョロ見回して )
(/ いやいや!その辺は全く気にしないで下さい!現段階でハラハラしておりましたから!では、私も一度失礼します! )
(相手の呼び掛けにはすぐに答えず、魔物の体に鎖のように食い込む木の根に魔力を注ぐ。緩やかに巻き付く力は強まり、魔物は苦しげな呻き声を牙の隙間から漏らし、骨が軋むような音も聞こえてくるだろうか。十分痛め付けたと判断すれば「失せろ」そう短く告げたならば、拘束から解放された魔物は相手に再度襲いかかる事はなく。落ち葉を踏みしめ、奥から近付いてくる魔法使いに怯え逃げるようにして木々の奥へと逃げて行き。「……死にかけた今の気分はどうだ?愚かな小娘よ」場が落ち着いてからゆっくりと相手の前に姿を現せば、小馬鹿にしたような口調で声を掛け。魔物が去っていった方角に一度顔を向け「羽虫も供に付けず、一人でのこのこと深く踏み込む奴が悪いのだ。奴等からすればどうぞ食ってくれと言ってるのも同然だぞ。森の危険性については忠告していたはずだが、まさか貴様には破滅願望でもあったのか?馬鹿者が」フードの奥の瞳を細め、再び相手に視線を戻せば淡々と見下ろし。森に来る一部の人間には、死を望む者も過去にはいた。相手に限ってその可能性は低いとは考えつつも、当然の報いだとばかりに、水が上から下に流れるようにすらすらと淀み無く暴言を吐き)
──とっても怖かったです…。
( 牙と牙の隙間からくぐもって漏れる苦しげな声と、ミシミシと骨の鳴る音が収まった時、魔法使い相手には勝てぬと力の差をちゃんと理解しているのだろうモンスターは逃げていき。それと同時に姿を現したのはやはりその人。相変わらずの嫌味たっぷりな問い掛けに珍しくしょんぼりと言葉返してはその後もスラスラと何の留まりもなく続けられていく暴言の数々を遮るようにサク、と落ち葉を踏み締める音で一歩前に。「…ハグしてもよろしいでしょうか」薄く開いた唇の隙間からまずはほぅ、と安堵の溜め息を。続けてちらりと様子を伺い見るような控え目な視線を向けつつ、何とも突拍子のない要望を、敬語ならば有りだとでも思っているのか紡いでみせて )
だろうな。これに懲りたら……おい小娘、今なんと言った?(いつもの明るさは姿を潜め、しおらしい反応を瞳に写し。素直に恐怖を言葉に表す様を満足そうに頷きかけ、ぴたりと動きを止め。ハグ、またの名を抱擁。反省では無く唐突な要求を受けたならば、それ以上は近付くなと示すように樫の木の杖を相手に真っ直ぐ突きつけ「何故俺が貴様を慰めてやらねばならんのだ。理由を述べてみよ」相手の心細さに寄り添えるような良心はこの男の持ち合わせに無く。行動の原理を求めては見せるが、どのような理由でも了承する可能性が低い事を態度でもありありと滲ませながら、相手を射抜くような眼差しを注ぎ)
ハグ…怖かったから、ハグしてもらえたらちょっとは治まるかなぁって。ほら、爆発しちゃいそうな位ドキドキしてるし。
( 突き付けられた杖の先の先にまで威圧感が見えるような気がすれば近付けるはずもなく、それに加えて結局何をしても何を話しても望みは叶えてくれそうにない。それを薄々感じていながらも理由を述べるのはそれだけの恐怖を覚えた証拠でもあり。片手を心臓の位置に宛てがい掌から伝わる大きく脈打つ鼓動を言葉にする。それでも相手には伝わらない事を知っているのだが。今一度「駄目かなぁ?」と緩く首を傾け、もう一歩だけ、距離を縮めてみようか )
ハッ、勝手にそのまま破裂してしまえ。そのドキドキとやらは元を辿ればお前の自業自得だろうが(自衛の術を持たぬ身。加えて昔とは違い戦いや争いとは無縁の、平和な時代であればなお、心が震えても可笑しくは無い。しかし杖を持つ姿勢はそのままに、胸に手を宛がう様を一瞥するが、口から出るのは相も変わらずな言葉達で。「答えなんぞ聞かなくても分かるだろう?断るに決まっている。甘えるな人間。ハグが欲しければ、羽虫か家族にでもしてもらえ」可愛らしいおねだりへの返答は、当然の如くNOで。一歩距離を詰められれば、杖を持つ腕を振り上げ。相手が避ければ空を切るのみだが、もし失敗すればポコン!と軽い衝撃を相手の頭部へと与える事だろう)
そうだけどさぁ。──魔法使いさんじゃなきゃ意味がない、痛ッ!
( 森への注意もちゃんと受けていた身からすれば自業自得だと言われれば返す言葉も無く、けれども妖精や家族とはまた違う、上手く言葉には出来ない何かがあるのも確かであれば取り敢えず細やかな抗議の言葉を口にしようとするもそれよりも先に振り上げられた腕により頭部に衝撃が来れば大人しく受ける形となり、結果、少しの痛みが残るそこを右手の指先だけでなでなでと擦り。ハグはしてもらえなかった。されど目の前に相手が居て、話も出来ている、それだけで先程の恐怖と大きく脈打っていた鼓動が静かになってきているのを認識しては、大丈夫、と胸の中で一つ。「助けてくれてありがとう魔法使いさん。今日はいーっぱいお手伝いするね!」まだ言葉にしていなかったお礼を先に、いつもの調子に戻ったようでニカッと笑みを浮かべつつ意気込んで )
何故俺で無くてはならんのだ。意味が分からん(自分で無ければ。その言葉に反応し、訝しげに声を低くする。何度も何度も相手には拒絶や否定する言葉ばかり紡いでいるはずなのに。今までなら人であれ同族であれ、気に食わない奴はそれで自分に関わるのを止め、傍から離れていったはずなのに。それが通用せず、倒しても起き上がって笑みを浮かべてくる相手。何なのだコイツはと、もやもやと形容し難い苛立ちを覚え。「フン、随分と中身の軽い音がしたな。……お目出度い奴め。貴様の死に際の声なんぞ聞いたら、夢にまで勝手に出しゃばってきそうだから割って入ったまでだ。どうせ終わるなら俺の聞こえん所で終われ」軽い仕置きが成功すれば、苛々も少しは軽くなったようで。杖を持つ手をゆっくりと戻し。相手を嘲笑いつつ、礼には勘違いするなと。訂正と余計なひと言を忘れず。「雑用、か。今は特には……いや、一つあったな。着いてこい」手伝いの申し出しは、相手の姿を見るまですっかり忘れていれば自分はノープラン故に考える素振りをみせたが。地面に視線を落とし、丁度いい事を思い出したならば一声掛け、東の方角へと歩き出し)
ふふー。内緒。
( 理由としては大した事ではない。けれども悩む理由が自分の言葉だったという事に少しばかりの喜びを感じていれば、意地悪にもにんまり口角持ち上げ先を止め。されどそんなうかれ気分も一変、どんなに頑張った所で自分は相手よりも妖精よりも先にこの世を去る、そうしてそれは知られない事の方が多いのだとその言葉で改めて思えばチクリと傷んだ胸に気が付かないふりをして。お手伝いに没頭しようではないか。サクサクと葉を踏み締め相手の少し後ろを着いて歩きつつそう言えば、と「あのね魔法使いさん、前に言ってたテストの話覚えてる?あれ、今回凄いいい点数だったんだよ!苦手な数学もちゃーんと出来たし」前に妖精にも話したテストの話を持ち出して )
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