もーもーかんとりー < 非募 >

( 冷蔵庫の中の物の少なさを見るに嫌でも今日は買い物に出掛けなければいけないだろうと渋々ながらも歯を磨き髭を剃ったりと最低限の身支度を整え終えると不意に携帯のバイブ音が静かな部屋へと鳴り響き、どうせ実況者のグループがどうでも良い会話の為に起動したのだろうと考えながらも直ぐに携帯を手にしては直ぐに相手の名前が目に飛び込んできて、吃驚した様にトーク画面を開いては内容を確認すると自然と表情が緩んでしまい、「了解、楽しみにしてる。」と簡素な返事だけを送り返しては相手と祭に行けるのだと柄にもなくはしゃぎたくなる様な気持ちを抑えつつ、以前何処かに放ったであろう浴衣をいそいそと探し始めて、 )

…キヨ、それ腕痛くならないの？さっきもやってくれてたけど。( 直ぐに隣へと潜り込んできた相手に自然と表情を緩めながらも頭の下に腕を差し込まれ所謂腕枕状態になっては、思えば今まで自分はあまりやってきていないと思考を巡らせては直ぐに眠りにつく気も毛頭ないのか、素朴な疑問を投げ掛けてみて。頭を撫でては普段ならば余り良い反応を示さない相手が猫が甘える様な仕草をしてきては余りの可愛さにきつく抱き締めたい衝動に駆られるものの、実行に移す前に口を相手の掌で覆われてしまえば双眸を瞬かせながら相手を見つめていたものの、次いだ言葉で相手の行動の意味を何となく理解しては相手の細い手首を掴み口元から手を離させては意地の悪い笑みを浮かべ、態とらしく相手の耳元へと顔を寄せては、キャラでは無いのだが普段より低い声で囁いてみて ) キヨがなんまら可愛いから悪いんだよ。

（　相手から返事をもらい数日後、祭会場のそばの木の下を待ち合わせ場所に指定すると、日も暮れて賑やかな祭囃子やはしゃぐ人の喧騒も聞こえる中待ち合わせ時間より少し早くついてしまい、木にもたれかかりながらスマホ片手に相手を待って。不慣れな深緑色の浴衣に身を包み肩には鞄を掛けた状態で、時折顔を上げては少々そわそわとした様子で相手を探してはまたスマホの画面へ視線を戻し相手からの連絡がないかと気にし。祭に来る機会があまりないという事もあり周りの空気感に慣れず相手が早く来ないものかと居辛さ半分、期待半分の心境で約束の時間まで暇を潰し、　）

んー？いやー、こうしてると距離近く感じれていいなーって思って。…腕は痺れるけどな。（　先ほど睡眠を取ったからか然程眠くはなく、相手からの疑問が耳に入ると抱き締めたまましみじみと近くにある距離を感じ、相手の温もりや息遣いを感じる距離を居心地よく感じると正直に話すと後半はしれっと答え。自分と同じく眠る気の無い相手に少しでも眠気を与えようと背に回している手でポンポンとあやす様に撫で。相手が静かなおかげで少しは落ち着いたが徐に手首掴まれると相手の意地の悪い表情に嫌な予感が走り、身を離そうとする前に此方に近づかれると耳元に囁かれた低音の、しかし優しく甘い声にぞくりと体震わせ、相手の肩を押しては少しだけでも距離を置き、紅潮した顔を悟られない様出来る限り顔逸らし下を向くが、髪の隙間から見える耳も赤みを帯びて、　）可愛いいうな…っ！つか近い、フジ！

( 約束していた祭当日になれば藍色の浴衣を身に纏い、ほぼ約束の時間ぴったりに集合場所へと着いて、たくさんの人混みの中に木へと凭れ掛かっている相手の姿を見付けては、ちゃんと来てくれたという安心感と以前の事もあり平静を装えるかという緊張感を抱きつつ相手の前へと姿を現しては控えめに声を掛けて )…悪い、待たせたか？レトルト、

キヨも意外とそういう事はっきり言うよね…、でも腕疲れたり痺れたりしたら抜いてくれたら良いからね。( 相手の腕の中にて心地良さそうに表情を緩めたまま大人しくしていたものの、不意に聞こえてきた言葉には照れ臭そうに視線を伏せつつポツリと小さく呟きながらも、自分は心地よくても相手が寝苦しかったら本末転倒だろうと気遣う様な声を掛けつつも、子供をあやす様にして背を叩かれては次第に眠気も襲ってきた様子でうとうとと目を瞑って。珍しく狼狽える相手の様子を見る事が出来ては満足そうに手首を離すも、紅潮した頬や耳に気が付いては其の表情を見たいと半ば無理矢理ではあるが両頬を掌で挟んでは此方へと顔を向けさせつつ普段の緩い笑みを浮かべつつ揶揄う様に告げて。 )ごめんごめん、でも耳真っ赤だし、そんなに悪くはなかったでしょ？

…んーん、待っとらんよ。（　聞き覚えのある落ち着いた声にぱっ、とすぐに視線を上げると視界に入ったいつもの相手の顔と、普段らしからぬ後ろの浴衣を着たすらりとした姿に素直に見惚れ、名前呼びかけられると少ししてから我に帰り軽く頭を横に振ってから実際あまり待っていない為になんでもないことの様に答え、緩く頬を緩ませながら携帯を鞄へとしまい。思わず恋人の様な返しをしてしまったと後からになって気恥ずかしくなるが相手の顔をちらりと見てから怪しまれていないだろうと考えると人で賑わう屋台の方を指差し、下駄をからん、と鳴らして歩き出し、　）そんじゃあ行こうか。まずなんだっけ、たこ焼き？りんご飴？

あ、確かに。おー、そん時はフジを抱き枕にしてるわ。…好きな時に寝ていいからな、明日もいてやるから。（　指摘され自分の発言を鑑みると意外と相手への言葉ならすらりと出ていることに納得した様に頷いて見せ。気遣う言葉に茶化す様に答え、試しに抱きしめる片手の腕を少し強めて抱き寄せるも既に眠たげに瞼を閉じ掛けている相手に遊ぶのはやめ、寝苦しくない程度にと抱きしめる力を緩ませると閉じつつある相手の瞼に唇を寄せては静か目に声をかけて。大人しく手を離してくれたことに一安心するも両頬に相手の手を感じると顔を上げさせられ、視界に相手の顔が入り自分の普段よりも熱い顔が見られてるのを把握すると情けないが眉尻を下げ眉間を顰め、そろりと手を挙げると自分も相手の両頬に手を添えて控えめに苦笑いを零し、　）…お前の声とか好きだから、いきなりだと緊張すんだよ。少しは俺の気持ち考えろ、ばーか。

…それなら良いけど。( 相手の言葉を聞いては大して待たせても居なかったのかと安心した様で胸を撫で下ろすも、改めて浴衣姿へとちらりと視線を遣っては普段とは違う雰囲気や色気に鼓動が早まるも、相手を困らせない為にもこの気持ちは封印すると此の数日の間で気持ちを入れ替えた様で、直ぐに視線を逸らしては問い掛けに首を傾け暫し悩んでから相手とはぐれない様にと時折気にしながらたこ焼きの屋台の列に並んで、思っていた以上の人混みに流されそうになりながらも、何とか自分まで順番が回ってきては相手に払わせるとは言っていたものの相手と一緒に来られるだけで満足だと結局は自分が2つ購入しては片方を相手へと手渡してやり ) やっぱ、たこ焼きだな。レトルトは他何食いてえの？

だべ？…えっ、明日も居てくれるの？じゃあ一緒にどっか出掛けたい、ショッピングでもカフェでも何処でも良いし…あ、焼き肉とかなら付き合ってくれる？( 自分の発言には自覚はなかったのかと可笑しそうに笑いながらも、次いだ言葉を聞いては眠気も吹き飛んだのかもぞもぞと相手の肩辺りへと埋めていた顔を上げては、眠る所か目を輝かせ子供の様にはしゃぎつつ自分の要望を告げていって。不意に同じ様に両頬へと手を添えられては目を瞬かせるも、照れ臭そうに苦笑を溢しつつ告げられた言葉には愛しさに悶えてしまいそうになるのを抑え込んでは相手をきつく抱き寄せてから小さく謝罪の言葉を溢して ) …うん、御免ね。これから気を付ける様にする。

（　人で賑わう道を相手と共に歩くと、いい香りが漂うたこ焼き屋の屋台の前に並び。自然と人との距離が近く、相手との距離も近いことに少々緊張しながらも他愛のない話をすると案外時間の早いもので、財布を出そうとする前に相手が自分の分まで購入してしまったことに約束が違うと目を瞬かせて。しれっと目の前に差し出されたたこ焼きを取り敢えず手に取るも自分の事を気にする相手にむっとしたように眉根を寄せればあつあつのそれをぽい、と口に放り込み、なんとか一個それを食べてしまうとじと、と相手の方に視線を向け。他にも相手が食べたいと言っていたりんご飴や焼き鳥を思い出し、そちらの屋台の方も指差して、　）美味いけどさ！俺がうっしーに奢る約束だよね？じゃあ奢らせてくれたっていいじゃん。

いや寝ろよ、ここは。おーおー、フジの女みてーなデートコースでも焼肉でも付き合ってやるから。あ、ついでに朝起こして。（　先程までの眠気はどこへ言ったのかやたら嬉しそうにこちらを見てくる相手に悪い気はせず、それでも喜んで口数が多くなる相手に思わず突っ込みを入れてから、自分も相手と久しぶりに出かける事を考え少し期待をしつつも、男らしいように返事したかと思えば朝起きれないと他人任せに起こす事を要求し、態とらしく欠伸をこぼして。見つめ合う体勢から急にきつく抱きしめられ、視界に相手の髪と肩が映る状態になれば温かさと聞こえる静かな声に小さく笑い、相手の方に自分も頭傾けて腕を相手の背中に回し。数秒ほど大人しくその体勢を堪能してから、自分にとってもだいぶ癒され、顔の赤みが引いただろうと判断するとぺしぺしと軽く相手の背中を叩いて離すよう要求し、　）おう、わかりゃいい。───…うっし、そろそろ片付けよーぜ。作ってもらったし流石に俺が皿洗ってくるから。

( あつあつのたこ焼きを頬張る相手に子供っぽい等と微笑ましく視線を向けていたものの、何やら不機嫌そうに膨れている相手と視線が合えば無意識のうちに何かしていただろうかと首を傾げていれば、奢らせてくれなかったと文句を垂れる様子には吃驚した様子で目を瞬かせるも、直ぐに可笑しそうに吹き出しては相手が指差す先の屋台を見遣りつつ子供を宥める様にして落ち着かせながら相手の浴衣を軽く掴んでははぐれない様にと次はりんご飴の列に並んで ) そんな事で拗ねてんの？分かった分かった、次は奢らせてやっから機嫌直せよ。

ごめん、つい…、別に起こすのは良いけど一回で起きてよ。( 欠伸を漏らす相手に気が付いてはハッと自分の口元を掌で覆っては言葉を噤むも、次いで要求された言葉には明らかに嫌そうな表情を浮かべつつも一緒に出掛ける為なら仕方ないと意味は無さそうではあるものの、一応念の為に釘を刺しては相手の体に腕を回すなり漸く落ち着いた様子で双眸を閉じて。自分の気持ちに応えてくれる様に背に回された腕には安心した様に表情を緩めながらも其の時間も長くはなく、背を叩かれれば渋々といった様子で身を離すも次いだ言葉には新婚みたいだと何処か嬉しそうにしつつ頷いて、空いた皿を手にキッチンへと行ってしまった相手の背を見送りはしたものの落ち着かないのか直ぐに立ち上がっては相手の傍へと駆けて行き、何を手伝う訳でもなく洗い物をしている相手の手元を眺めており ) なんか、こういうの良いね。料理作る当番とか掃除の当番とか…新婚さんみたいだし、

拗ねてない！こら、笑うなって！（　きょとん、とするも直ぐに自分を見ながら笑ってくる相手にムキになり声を荒げるもはたから見れば子供のようで、浴衣を掴まれるとたこ焼きを落とさぬよう、あるいは下駄に躓かないよう注意しつつ相手についていき、灯りに照らされ赤く綺麗なりんご飴の屋台の列に並んでは少しは機嫌を直し。何を言っても揶揄われるばかりだろうと口を噤んで手元のたこ焼きを冷ましつつ食べていると直ぐに順番は来て、相手の分のりんご飴を一つ購入すると今度は自分から相手の目の前に差し出し、楽しげに口角上げて笑って見せて、　）うっしーにも食べたい物食べてもらって、楽しんでほしいと思うのは当たり前やろ。ほい、どーぞ。

え、無理無理、保証できない。…おやすみ、いい夢みろよ
。（　しまったと言わんばかりの表情と素で口に手を当て口を塞いでいる姿に可愛らしさを覚え口に出そうとするも直ぐに嫌と言わんばかりの表情で自分にとっては無理難題を突きつけてくる相手に当たり前のように首を横に振って拒否し。再び双眸を閉じ大人しくしている相手に一息つくと騒いでいた声とは違い、直ぐそばにいる相手へ穏やかに囁くと閉じている瞼へと唇を寄せてから、自分も相手を抱き締め直し瞼閉じて。自分が片付けをするだけなのになぜかウキウキしている相手に訝しみ首を傾げるもスタスタとキッチンの方に皿を持って移動すると自分が食べた分の皿ということもあり直ぐに洗い始め。洗剤の泡を流す時にはいつの間にか隣に相手が立ってお予想外の言葉に目瞬かせれば思わず軽く吹き出し、けらけらと笑いつつも流し終わった食器を水切りに置くと手を拭いてから相手の頭をくしゃりと手の平で撫で回し、　）犬みたいに駆け寄って来たと思えばそれかよ。さっきの様子だと嫁か旦那かってよりは愛犬みてーだったけどな。

そうやってムキになるから余計子供っぽく見えんだよなぁ。( 笑いを噛み殺す様にしながら相手が実年齢より幼く見える要因を呟いてみながらも、目前へと突き出されたりんご飴を見遣っては僅かに口角を緩めつつ受け取って、飴に噛み付いたりするのは好きでは無いのかちまちまと飴の部分を舐めていき、不意に神社にでも続いているのか人気のない階段を見付けては指差すなり相手の浴衣を掴んだまま其方へと歩みを進めて行って ) まぁ食べ物が美味いのは当たり前だけど、それよりはこの祭の雰囲気とか楽しみたかっただけだし、奢ってもらえなくても十分楽しんでる。…ほら、ああいう階段とか祭の時だからこそ良い雰囲気出る感じしねえ？

…キヨもね、おやすみ。(自分の頼みをあっけなく断られてしまえば困った様に視線を下げつつも、普段とは違い穏やかで優しい声音で声を掛けられては文句を言う気にもなれず、安心した様に表情を緩めては次第に眠りに落ちては朝まで起きる事なく眠り続けて。此方は至って真面目に告げた言葉を笑い飛ばされ、挙句の果てには犬だと言われてしまえば不服そうに頬を膨らませはしたものの、直ぐに宥める様に頭を撫でられては嬉しそうに掌へと額を擦り寄せ、あながち相手の言う事も間違ってはいないのかと苦笑を浮かべつつも相手の僅かに冷えた手を緩く掴んでは暖める様に握り締めて ) キヨの傍に居られるなら嫁でも旦那でも犬でも何でも良い。

（　未だに自分を揶揄う様にして言葉投げかけてくる相手に、反抗する程言葉が返ってくることは学習済みで無言で相手の方を睨みつけるばかりで。然し相手が大人しくりんご飴をちびちびと舐めている姿は素直に可愛らしいと思ってしまうと横顔をまじまじと見つめ、そのせいで相手が進んでいる方向を察することができず相手が立ち止まったところをふと見上げると祭の光も少しばかり少なく、ましてや神社に続く方面に人があまり行くこともないようで行き交わない場所に少しばかり薄ら寒く感じると空笑いをしつつ掴まれている袖を引っ張ってなんとか相手の気分を祭の方に戻そうとして、　）あーうん、俺も祭の雰囲気すごく好き。いやぁ、だから賑やかな方が雰囲気を味わえると思うんですよ牛沢くん。

（　相手を抱き締めたまま珍しく自分の腕の中に温もりがある状態でベットで寝ると深い眠りに落ち、翌朝まで目覚めることなくぐっすりと眠り続けて。カーテンの隙間から朝日が溢れ、朝の時間となっても自分は目覚める気配がなく、腕の中で同じく寝息を立てている相手へ自然と擦り寄ると腕を背に回したまま相手の目の前に自分の顔がある状態となり。不機嫌そうだったり嬉しそうだったりとコロコロと表情を変える相手は見ていて飽きず、相手の手に包まれると皿洗いで冷えた手も次第に温かくなり、それでも自分から手を離す事はしないまま笑いを収め、相手の言葉に自然と頬緩ませると相手に顔を寄せ、唇の端にちゅ、と態と音立てて口付けると悪戯っぽく口角上げて顔を離し、　）言質は取ったからな！俺も傍にいるからお前も傍にいろ。…そのうち一緒に住みてーな。

( 此方を恨めしく睨み付ける視線にも気が付かないまま久方振りに食すりんご飴に夢中になっていたものの、神社へと続くであろう階段を登ろうという所で脚を止めた相手に気が付いては不思議そうな視線を向け、何やら自分が想像していなかったリアクションをする相手に直ぐにこの雰囲気が怖いのかと察しては吹き出しそうになりながらも堪えて、自分も幽霊や妖怪の類いは得意ではないものの祭の方へは戻るまいと首を横に振って ) 別にホラー的な意味で言った訳じゃねえよ、ただ幻想的じゃね？こういう場所って、ちょっと涼むのにも丁度良いだろ。

……っ、…キヨ、朝だよ、起きて。( 一人ならば中々起きる事の出来ない朝も相手がいる為かカーテンから覗く陽に自然と目を覚まして、目を開くと目前に相手の顔がある事に驚きはしながらも暫く其のすやすやと心地良さそうに眠る表情を見詰めており、数分後満足したのか漸く相手の肩を掴み軽く揺すっては小さく声を掛けてみて。握り締めている相手の手が自分と同体温になった所でそろそろ良いかと手を離そうとするも、不意に口端へと口付けられては吃驚した様で数度瞬きを繰り返していたものの、ポツリと次いで告げられた言葉には更に大きく目を見開くも直ぐに幸せそうに表情を緩めては相手に緩く抱き着いて )…一緒に住む！？お、俺はいつでも一緒に住めるけど…って、ヒラとこーすけも一緒にとかじゃないよね？

えー…絶対ホラゲとかで神隠しにあうパターンでしょ、これ。（　自分の勘違いだったとわかると気恥ずかしそうに眉間に皺寄せるも納得行かず表情が固いまま、然しついていかないという選択肢は頭になく先に階段を上がり始めている相手に駆け寄り。階段を登るたびに祭の喧騒が遠くなっては上に登りきる頃には少しばかり疲れたように吐息をこぼし、辺りを見渡すと本当に人はおらず静かな境内とベンチがある程度で、相手が涼もうと言っていたのを思い出し相手の浴衣を掴んでベンチの方へと引っ張って行くと木のそれの表面を軽く払ってから腰掛けて、一息つきながら雲のほとんどない、綺麗な夜空を見上げ、　）うっしーはロマンチストやね。確かに現実っぽくないなー、少し階段降りればあんだけ賑やかなのに。

…ん、んんぅ……（　ゆらゆらと揺れている感覚は伝わるが普段よりも早い時間ということもありまだ眠いと言わんばかりに眉根寄せ、寝惚けているのか、相手の首元に頭を寄せるとぐりぐりと押し付け。片腕は相手の頭の下にあるがもう片方の腕で抱きしめる力を強めると起こそうとしてくれている相手を抱き締めて。自分の言動一つ一つで一喜一憂する様子を楽しげに見つめると抱きついてくる相手を抱きとめ、心配げに尋ねてくる言葉に思わず吹き出し、けらけらと笑い続けるとそれを否定するように軽く相手の額指で弾いてはニヤリと笑って見せて、　）最俺ハウスじゃねーんだからあいつらは呼ばねーよ！同棲してれば新婚みたいなもんだろ？

ホラゲーやり過ぎなんだよ、ゲーム脳。(相手の言葉に悪態を吐きつつも辺りを見渡しては確かに雰囲気はあると小さく身体を震わせはしたものの、特に気にもしていないといった風に同じ様に軽く汚れを払ってからベンチへと腰掛けては空を見上げ、次いで聞こえてきた言葉に相手へと視線を向けるも僅かな月明かりに照らされた相手の表情は浴衣を着ている事もあってか普段より儚げでいて色っぽく、ﾄﾞｷﾘと鼓動が跳ねるのを感じるも手は出すまいと拳を握り締めては視線を戻し目をきつく瞑り頬を撫でる涼し気な風を感じながら気持ちを落ち着かせている様で ) っ、まぁ…ロマンチストかは知らねえけど、こういう処は普通に好き…。

キーヨー、出掛ける準備しないと駄目だから起きて。( 案の定直ぐには目を覚まさず愚図りながらも抱き寄せられてしまえば困った様な表情を浮かべ、わしゃわしゃと首元に埋まっている頭を乱雑に撫でながら優しく声を掛けて。正直相手の発言を信用していなかったのか次いだ確信的な言葉には嬉しそうに表情を緩めてはじわじわと痛む額を押さえながらもきつく抱き着いては甘える様に相手の首元へと頬を擦り寄せて )…良かった、また揶揄れたと思った。

（　確かに流石に飛躍した考えだったか、とゲームのやり過ぎにはぐうの音も出ず、無言であからさまに拗ねた表情浮かべつつぷいっ、と顔を逸らし。温くなった手元のたこ焼きに爪楊枝を刺し、自分の口に放り込んでは隣にいる相手に視線を向け、何故だか目をきっちり閉じている姿を閉じているのをいいことにじっと見つめ。まじまじと相手の顔を見る機会などそうそうなく、贔屓目なのかもしれないがカッコ良く見える顔、そして普段と違う浴衣からすらりと出る腕に目を奪われ、相手がこちらに気付く前に再び空の方に視線を向けると、夜空に浮かぶ月が不意に視界に入ったことでふと前にネットで調べて意外に思った一言を、少々緊張しつつもどうせ相手は気づかないだろうと高をくくり、小さく頬を緩ませつつ呟いて、　）静かだから俺も好き。…後、月が綺麗やね。

…んー……、おはよ…。（　くすぐったく感じながら相手の柔らかい声が耳に入るとゆっくりと双眸開き、眠たげに何度か瞬きしてから腕の力を緩め、顔を相手の首元から離し相手の顔を視界に入れると朝一番から相手の顔が見れることを幸せに思い、顔を寄せて鼻先にキスを落とすと寝惚けたような声を掛けつつも、緩く微笑んで見せ。首に相手の髪が当たると擽ったさにくすくすと笑いながら抱き寄せ、相手の表情が見えなくとも容易にその表情が想像がつくと相手の抱き心地を暫くは堪能する事にし。表情見えないのも少しは残念なのか少し考えると、名案思いついた様に見えないのをいい事に口角上げると相手の耳元に唇寄せてから今度は揶揄う様に吐息交じりに囁き掛け、　）…んだよフジ。好きなんだから揶揄うわけないだろ？

( 目を閉じていれば多少は落ち着いた様子で、一度深い息を吐いてから相手へと視線を戻した所で、以前インターネットか何処かでちらっと見た言葉に初めは訝し気に眉根を寄せていたものの、直ぐに言葉の意味を思い出しては顔を真っ赤に染め上げるも相手は純粋にそう思っているのかもしれないと試す様にネットに載っていた返しを織り混ぜつつ言葉を返しはしたものの、不安からかりんご飴やたこ焼きを持つ手が無意識に震えてしまい ) っ…は、つ、月…？…確かに、…俺、今なら、＊＊るわ、

…おはよう、もう起きれる？眠いなら出るの昼からにしても良いけど。( 鼻先へと口付けを受けては幸せそうに表情を緩めては、やはり何だかんだ相手に大しては甘いのか時計を確認するなりまだ大丈夫だと相手へと声を掛けつつ僅かに寝癖のついた髪の毛を整える様に撫で付けてやり。心地良さそうに素直に抱き受けてはいたものの、不意に耳元へと生温い吐息と共に告げられた声には大袈裟に身体を震わせては耳元を掌で覆い隠しながら、散々揶揄った癖にと不服そうな視線を向けており ) それ本気で言ってんの？揶揄う事しかしないでしょ、キヨは。

( / まさかの伏せ字になってる事に今気付きました…！ し、ね、る、わって書いたつもりでした…(´･ω･`)。

（　月を眺めていたが暫く相手からの返答がない事に違和感を覚え、チラッと横目に視線を送ると顔真っ赤にしている相手が目に入り最初は不思議そうにそれを見つめるもふと「　もしかして　」、とその表情の意味に思い至った瞬間途切れ途切れに紡がれた言葉に自分もその返しの意図する事を思い出し、双眸を見開いて。その言葉が頭を巡り、次第に自分も顔を赤く染めては口許を手で覆い、自分の言った事に対する恥ずかしさと相手からの返事に悶えたくなる気持ちを堪えすぐにでも相手から反対側の方へ顔を背けると僅かに肩を震わせ、信じられないとばかりに言葉をポツリポツリと悪態交じりの独り言を零し、　）…っ！嘘でしょ…、うっしーそんな、文学とか興味、無さそうなくせに…。このロマンチスト…。

起こしたのはお前だろ、…ちゃんと付き合ってやるよ。あ、でも一旦着替えたいから帰ったほうがいいか…。（　まだ眠い頭を動かしつつ大丈夫だと告げる相手に苦笑いを溢し、寝癖を直してくれている相手に甘んじながらも相手と出かけたいと素直に思い。相手と微睡む時間も心地いいが昨日相手の家に来たままの服装である事に気づき、それに視線を落としてから相手と少し離れる事に関して溜息をつき。案の定敏感な反応が返ってくると満足げににやにやと分かりやすい表情を浮かべ、不服げな表情もなんともない様に戯けて肩竦ませてから体勢的に見上げる形になっている相手の額へ口付けを落とし、　）しかってわけでもねーだろ？８割とかそこらへん。表情豊かだからさ、見てて楽しいんだよな。

（　／　大丈夫ですのでお気になさらず…！！　）

っ…え、何で俺悪口言われてんの、…つか、そんなベタな台詞吐いてる方がロマンチストつうか恥ずかしい奴だろ。( 照れ臭そうに顔を背ける相手に冗談ではなく本気なのだと密かに胸を撫で下ろすと同時に悪態を吐かれてしまえば何処か不服そうな表情を浮かべながら此方も負けじと言葉を返して、不意にこれは付き合う事になったのか否かと首を傾げては背けられている顔を此方へと向かせようと浴衣を軽く引っ張ってみて ) …一応聞くけど、冗談とか悪ふざけとかじゃねえの？…お、俺男だし…キヨとかガッチさんにやれって言われたとか…そういうのなら別にキレねえから先に言って。

服くらいなら全然貸すけど…キヨひょろっこいから俺の服でも全然入るしょ？( 素直に起きてくれそうな相手を見遣っては嬉しそうに表情を緩めてはいたものの、一度帰るという言葉には直ぐに残念そうに視線を下げはしたが何やら思い付いたのか、突然身体を起こしてはいそいそと箪笥を開け中を漁っては相手に合いそうな服を探している様子で。相手の思い通りの反応をしてしまった様でにやにやとした表情を浮かべる様子を見遣っては叱る様に手を伸ばしては相手の頬をぐいっと軽く引っ張り、やられたら此方もやり返したいと好奇心からか思ってもない言葉を吐いてみては頬を脹れさせつつ顔を背けて ) …もう、知らない。ふん…同棲の話もキヨがこんな感じじゃ無理かもね。

うっさい！知らないと思ってたんだって！…どうせ気づかれないと思ってた…。（　くいくい、と引っ張られ仕方なく、顔から赤みの引かない表情のまま少しばかり相手の方を向いて、自分が恥ずかしいことを言った自覚があるばかりに相手からの正論に半ばヤケになって言い返すと、気づかれずそのまま、と諦めていた反動か嬉しさと恥ずかしさがごちゃ混ぜになり、少しばかり目許に涙浮かべ。それを浴衣の袖で乱暴に拭うとどこか疑いの声の上がる相手と目を合わせようと体の向きを変え、相手と向かい合う様にすると情けないが眉尻下げて笑い、一つ小さく頷いてから以前話した内容を思い出しつつ相手の瞳を見つめ、　）…俺も男だけど、他の誰かに関係なく、好きだよ。…祭だけじゃなくずっと一緒におりたいって思ってる。…うっしーこそ、冗談とかならやめてよ。今なら俺、頑張って忘れるから。

ひょろっこい言うな。どうも着る服のジャンルちげー気がするけど、まあいいか。…へー、こんな感じになってんのか、箪笥の中。（　ガバッと隣で起き上がる相手に流石に驚くが起きた直後の動きとは思えない様子をのろのろとベットから起き上がりながら観察し、度々指摘される体格については突っ込みを入れながらも呆れながら笑って上に着ていた服を脱ぎ、そのままベットから降りて相手の方へと近寄っていき。当然上半身は裸なのだが特段気にせず箪笥の方に寄っていくと、相手の肩越しに背後から相手の服を覗き。痛くない程度に引っ張られた頬よりもその後の発言の方が気になるところで、また怒らせたかとハラハラしながら頬を引っ張ってくる手を軽く叩いて、口を引っ張られ喋りにくいながらも相手の機嫌を損ねないよう両手を軽く振って弁明しようとし、　）同棲の話は本気だから！俺が一緒に住みたい！