ⓝ 2017-07-01 22:21:18 |
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---/はじめに/---
閲覧ありがとうございます。
こちらのトピックは、1対1専用になっており
以前にお相手を募集致しました方のみの
参加が認められておりますゆえ
それ以外の方の参加はご遠慮くださいますよう
ご理解とご協力のほどお願いいたします。
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□参加者様
-(!)お相手様募集版
-No.21558
-ю様
>暫しお待ちを<
---/お話/---
雪の降る夜、静寂な江戸の町を歩く女がひとり。
百合の華を施した着物がなんともその白い肌と、脆く弱そうな印象を受ける細い体に、似合っていた。
艶めく濡れ羽色を思わせる髪は長く、寒さに赤く染まった頬は、なんとも言えないほどに美しく、息を呑む程であった。
赤い番傘をくるくると回して、「寒い」と言いながらもその様子はどこかこの寒さと雪を楽しんでいるようであったが、凛とした印象を受けるなかで、見せたその無邪気な行動と傘の下でちらりと見えた笑顔が愛おしく思えた。
いつしか雪は止み、冬の月が青白く灯りをつけるなか静かに声をかけたことは、今でも後悔はしていない。
「名を聞きたい」
凄く無愛想で、女は驚いた顔で見ていた。
でもその後少し笑ってから、照れくさそうに小さな声で「小百合です」と名乗ってくれた。
それからというものは、町で出会えば少し会話をする程度でそこから何かに発展するという事など無かったが心の中では、どちらも互いに惹かれているのを知っていた。
江戸の町から少し離れた小さな家で二人で暮らすようになり幾度となく年月が過ぎた頃、男は自分の正体が[鬼]であることを明らかにした。
不死ではないが不老であること、力を使えば角は生え、目の色も変わり、力何てものは人間よりはるかに強いこと。
何十年も前から生きていること、[化け物]である事をひとつひとつ不器用ながらに語った。
驚いた顔の中に確かに見た恐怖の色がどこか安心できたものだが小百合はその後目元を細め
「そんな貴方も大好きです」と---。
溢れそうになる涙を見せたくなくて必死に堪え、永遠に一緒に居ようと誓いあったのは生きてきた中で一番の至福の時であった。
それから暫くして、また冬の季節がやってきた。
布団の中で一緒に寝ていたはずが小百合は朝日が昇り始めた頃そこを抜け出し、障子を明け外に出ていた。
朝日に照らされてとても綺麗だと草履を履いて庭先に積もる雪を見てはしゃぐ姿を布団の中で見つめていた。
のんびりと起きて行き、縁側に腰掛け雪兎を作るその姿を眺めながら「風邪を引く」と過保護に言った言葉も笑って誤魔化して、それでも軽く手招きをすれば隣に大人しく座る姿がとても愛おしかった。
「またこの景色を一緒に眺めたい」
「何度だって一緒に見てやるさ」
「私が先に死んでしまっても、また見つけてね」
「何度でも探して、何度でも愛し続けるよ」
「-------------」
冷えて赤くなった頬にいつものように手を伸ばすはずだったがそれは叶わなかった。
赤い、紅い、赤い雪が小百合の体を染め上げていた。どちらのものか考えてる間もなく、小百合の体が揺らめいた。手を伸ばそうとしたが[誰か]によってそれは拒まれ、気づけば少し離れたところに小百合の体を抱える[鬼]の姿があった。
角を生やし、怪しく妖艶な麗しい姿の鬼は角と目の色を除けば人間と同じ。その腕の中に愛しい妻を傷つけ笑っているそれが逆鱗に触れた。
江戸の町の外れに小高い丘がある。
酷く吹雪く中、およそ人間のものとは思えない速さで戦う男らの姿があった。
怒号が飛び交い、男は酷く美しい鬼の姿で相手の鬼の心臓を貫いた。静寂に包まれいつしか吹雪は止み、青白い月が静かに生々しいその場所を照らしていた。
「やめて」
と叫ぶ小百合の声が聞こえていた気がした。
本当の自分を、優しい自分を忘れないでとそう叫んでいるようにも聞こえた。
泣きそうな顔で必死に雪を赤く染めながらも近寄ってくる体を抱き抱えた。
「泣かないで。また、探してくれるんでしょう」
「何度だって---お前が生まれ変わっても」
「愛してください」
冷たくなった体をいつまでもいつまでも抱き締め
男は静かに泣いていた。
時は現代----。
変わる時代の中に身を潜め、小高い丘だったそこは今は広い公園になっていたがあの大木は御神木として今も立っている。
毎年毎年、冬のあの日になると百合の花を買い手向けることにしているのは少しでもの罪滅ぼし。
本当の小百合はもう居ないがそれでも探して春---
その公園のベンチに腰掛け、賑わう人々を眺めていたその先に、見つけたのは似た面影----。
長い長い鬼の、酷く切ない恋物語。
人間を愛したのは許されるのか…。
>暫しお待ちを<
---/お願い/---
*nl限定
*誹謗中傷お断り
*絵文字顔文字、♪等の特殊記号使用お断り
*上級者
*長文推奨
*ストーリー、恋愛重視
*たまに戦闘表現あり
*キャラリセ無言1週間
*キャラ作成に少し指定あり
◼その他につきましては互いに相談しあい楽しめるようなものにできるようにしていきます。ゆったりのんびりやりましょう。
>暫しお待ちを<
---/主pf/---
名前/城谷銀二
読み/しろたに ぎんじ
年齢/外見26歳(実年齢280歳程)
性別/男
身長/186cm
職業/バーテンダー
容姿/襟足が肩につくかつかない程度、横髪は顎のラインより少し上、前髪は目にかかる程度で右から適当に左右に分けている。色は一度も染めた事のない黒で長すぎず短すぎないストレート。切れ長だが二重の目は普段は深い群青色で睫毛は目尻にいくほど長いが全体的に見ると長さは短い。笑うと少し目尻に皺が寄る。鼻筋は通っており薄い唇が特徴的。色は白い方で着痩せする方だが脱げば無駄のない細マッチョ体型。普段着はシンプルなものが多く基本的に長袖。Vネックにスキニーデニム、革靴と至ってシンプルが多く色合いも落ち着いた暗めの色を好む。仕事着はYシャツにネクタイ、ベスト、スラックスといったものでシャツ以外全て黒。
鬼へと変化すると右側の額、ちょうど髪の分け目の所から黒い短めの角が一本生え、目は金色になり瞳孔は細くなる。
性格/口数が人より少ない方で喜怒哀楽の感情はきちんとあるがそれが表情としてあまり出てこないのでよく誤解を生むことがある。大人数で騒いだりしているのをあまり好まない物静かで、物事を冷静に対応したりするところがあるが他人とコミュニケーションは普通にとれる。本当は優しくて、人を世話したり面倒を見たりするのが好きだが上手くそれを言動に表すことが苦手で空回りする事の多い不器用君。長年生きてきた所為かその言動がたまに爺くさいこともあったりするが本人は気づいていない。とても一途で好きな人への愛は一生物。意外と頑固なところがあったりと思いきや素直だったりと少し子供っぽい一面もある。
備考/一人称「俺」二人称「名前、お前」
人間の姿をしたその正体は鬼。何百年と生きているが老いることを知らないその外見は変わらない。普段から鬼の力は腕力や脚力、視力、聴力、嗅覚などあらゆる面で人間をはるかに越えているが、本気になると変化してしまい鬼の姿に戻ってしまう。完全に我を忘れて心が支配されてしまえばもう人間の姿に戻ることはできない。
名前は元々「銀二」というものだけであったが時代が流れるにつれて苗字が必要になりその都度苗字を替えて生きてきて、今は城谷で落ち着いている。
都内の高級マンションで一人暮らしをしているが部屋は必要なもの以外何も無い至ってシンプル。あまり長い睡眠を必要しないのでベットはあるもののほとんど使わない。また食事も一度食べれば暫く持つので冷蔵庫の中は水だけで、家具の殆どは黒で統一されている。
昔愛した人と交わした約束をずっと守り続けている。
---/pf/---
名前/(できれば下の名前は小百合が良いですが違うものでも大丈夫です。)
読み/
年齢/
性別/
身長/
職業/
容姿/(詳しく。少し弱いイメージで作って頂けると嬉しいですが凛とした所もいれてもらえると有難いです。がお好きなように作ってください)
性格/(詳しく。大人しそうに見えて実は意外と行動派だったり大和撫子みたいだったりしてると嬉しいですがお好きなように作ってください。)
備考/(もし良ければ自分が生まれ変わりだとは気づいていなくて、それでも夢で昔のことを見たりしていて悩んでいる…みたいな何か間接的で良いので接点を入れてくれると嬉しいです。)
ロルテ/
(場面は好きなところでいいので書いてくださると嬉しいです。上記のお話から続けてしまっても構いません。)
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長らくお待たせ致しました。
レス解禁でございます。
気長にお待ちしておりますので、お時間が許す時にいらっしゃって下さい。
---/pf/---
名前/神崎 小百合
読み/かんざき さゆり
年齢/24
性別/女
身長/約163cm
職業/古書屋
容姿/腰のあたりまである黒髪は癖なくストレート。前髪も目の上で少し横に流すように切られている。目は深い青色のグラデーション。目元は柔らかい印象と凛とした凛々しさがある。まつ毛が少し長い。薄いピンク色の唇で口は小さい。体はどちらかというと華奢で色も白い。服は普段は真っ白なロングワンピースなどを着ている。仕事の時は、もっと落ち着いた色合いの長袖タイプのワンピースを着ることが覆い。アクセサリーなどはあまりしないが丸く削り取られたガラス玉の中で小さな石がキラキラと七色に輝くペンダントを身につけている。
性格/周りからは、大人しいやあまり人と関わらないと言われるが当たっているところもあり、あまり人前に出てはしゃいだりすることはない。繊細で人の悲しみや痛みに強く共感する。が、その反面大切な人が危機に晒されている時は自分の身を呈してでも守る行動力と決断力も兼ね揃えている。また、女性らしい抱擁力もあり小さな体でも大切な人を守っていきたいという気持ちもある。少し天然なところもありあれこれ気づいた時に恥ずかしくなったりするなど照れ屋な一面もある。可愛いものが好き。
備考/都内のマンションで一人暮らしをしている。本が好きで小さいながらも常連客は全国にいる有名な古書屋で働いている。届けられた本の整理やどのような歴史をもつのか、など調べたりもする。優しい店長夫婦と毎日気長にのんびりと仕事をするので自分にあっていると思いそれなりに気にっている。
最近では不思議な夢を見ては、それが本当に夢なのか、と割り切れないところがある。まるで、遠い昔に自分がそれを体験しているかのように。そして、顔をはっきりとは覚えていないが夢に出てくる男に何だか懐かしさを感じ同じく夢に出てくる丘にも懐かしさを感じており昔は何も無い丘だったと言われている公園に時間がある時は足を運んでいる。だが、夢はいつも途中で全てが断片的に流れていくせいか、モヤモヤとした何かが心の奥に潜んでいて何か関係があるのではと悩んでいる。一人称「私」二人称「〇〇さん」必死になったり、親しくなるとたまに「〇〇」
ロルテ/
…同じ夢……貴方は誰──。
(春の風は暖かいけれどまだ冬の濁りを残していて少し肌寒くも感じる。今日は淡い白をベースにスカートの裾が淡い蒼色のグラデーションになっている長袖タイプのワンピースを着て休日に出かけた先はあの夢に出てくる大木と似たようなものがある公園。昔はここは小高い丘だったと聞いて、いつもみるあの夢に出てくるのはここなのではないのか、と思い最近では仕事の帰りでも足を運んでいる。別に意識している訳では無いが、なぜか吸い寄せられるように何かを求めるかのようそこに向かっているのだ。
正午を少し過ぎた頃、親子連れで賑わう公園の中にある大木。それは、御神木。立ち入り禁止ではないが、囲いはされている。昼下がりの太陽の光を浴びる御神木はどこか別の世界のような、今とは違う時を生きているような雰囲気で、そっとその御神木に触れる。あの夢に出てくるのは自分ともう1人。どこまでも悲しそうな表情をした、男。顔ははっきりとは分からないがなぜか、悲しそうというのは分かった。白と紅、色はそれだけ。深い闇の中で声が聞こえる。誰か呼ぶ、悲しい声。懇願するような、願うような声になぜか愛おしさと悲しみを覚え目が覚めるといつも涙を流している。それまで見ていた夢は断片的ですぐには思い出せないが、あぁ、またあの夢かと涙の理由を分かる自分がいた。御神木に触れた指先に少し力を入れて上記をポツリと、呟く。その声は春風に乗って御神木の葉の揺れる音ともにゆっくりと運ばれていく。その風に瞳を閉じてコツンと、御神木に額を当ててはゆっくりと深呼吸をしては、いつの間にか頬を生暖かい涙が伝い)
(/遅くなってしまってすみませんでした。トピたてありがとうございます。pfですが、一応上記のように書いてみました何か不備や訂正などありましたらよろしくお願いします。また、ロルテは上記内容、銀二が公園にいるところで小百合視点というような感じで書いてみました。)
( / お返事遅くなり申し訳ありません。
素敵なpfとロルテの方ありがとうございました。不備等などは見当たりません。
後ほど提出して頂いたロルテの方に絡み文を投下致しますので今しばらくお待ちください。
また、質問や展開についての相談はいつでもお受け致しますので遠慮なく仰ってください。 )
(暖かな春の風は少しの涼しさを含んでいて肌に心地いい。冬の凍てつく寒さなど忘れさせるかのように既に初夏の香りを連れてくる。長い時を生きて既に云百年と過ぎ、その中で触れ合う人々の一生を見送り、瞬きの一時に過ぎない日々を送ってきた。遠い、遥かに遠い昔に人間へ募らせた恋慕の情があんな悲劇を生むなんて思いもしていなかったが、交わした約束を忘れはしない。幾千の時が流れようと、何度生まれ変わり、その記憶の中に己自身を忘れていたとしても何度でも見つけて、何度でも愛すとそれは使命でもない、ただ恋慕の感情だけが動かしている。長く生きていくなかでは、見た目の変化がないことを悟られないように地を離れたり、数十年姿を消したりとしてきて、今の地で落ち着いている所で、昼はカフェ、夜はバーに変わるカフェバーで夜のバーテンダーとして働いて数年。事実、鬼のコミュニティは今でも途絶えている訳でなく、そのカフェバーのオーナーも鬼、従業員も昼夜共に半数以上が鬼となっているが、もちろん人間も居るが打ち明けることなど出来ないし何より信じさえしない。オーナー曰く、少しでも共存できればと人間と共に働いているという。今日も今日とて、夕方から勤務な訳だがいつもこうしてあの公園に来てはベンチに腰掛けて時の流れを肌に感じてから仕事に行くようになっていて。ぼんやりと目の前を走り去る子供や、井戸端会議で忙しい婦人達や、カップルや観光客などで賑わう様子を眺めていると、ふとあの御神木に近付く女が一人。若いのに、何か惹かれるものでもあるのか、珍しい人間もいるものだと内心思いつつその行動を見送っていれば風に髪がなびく、履いたスカートの裾が色のせいかあの雪を思い出させる、散った桜の花弁を追うようにして木々の葉がひらひらと舞落ちてその姿を一瞬霞ませたがあの姿、名など分からない、それでも発している気配と昔から変わらないあの香りは『小百合』そのもの。しかし、これまでだって、何度も生まれ変わりを見つけても拒絶されてきた。記憶にないのだから当たり前なのだが、あの恐怖は計り知れない。声を掛けようか迷うが、まだ事実だと完全に確定した訳ではない。こんな何万といる人間の中で似たような気配を持つ者はたくさん居てこれまでだって日本中を飛んできた訳で。僅かに溜息を零すと静かに立ち上がり、その後ろ姿を少し見詰めた後に踵を返しては公園の出口へと向かっていき。)
……あの大木がこの御神木なら──
(御神木に触れたまま頬を伝う涙は、瞬きの間に大地へと落ちる。ふと風がふけば脳裏に木霊する、男の声。初めて聞く声のはずなのにその冷たくも優しい声色はどこか懐かしさを感じては、何かに喚起されたかのように、振り向く。視線の先には幾重もの人。子ども、母親、カップル…だが、視線はその人波をかき分け公園へと背を向けて出口へと向かう1人の男の姿を捉えて。春の生暖かな風がビュウッと吹く。その瞬間、目の前に広がる光景は、しん、と静まり返った一面銀世界の景色。しんしんと降り積もった冷たくも柔らかい雪に、紅い華が散る。青白い月光が暗黒の空を染め上げていく。その景色は息を飲むほど美しくそして、恐ろしかった。男の激号の叫びが耳を劈く如く降り注ぐ。そして、その音の中にたしかに聞いた、愛しい人を呼ぶ声──。名前の知らない紅と白の華が竜巻のように宙を舞う。それらが視界を遮り、紅く染まった悲しい顔の男の口元だけが微かに見えた『……──』何かを言ったがその声は音は聞こえなかった。ただ、その動きを見た瞬間、景色は戻りあの男の背中を見てた自分の頬を涙が零れ落ちている。見たこともない相手。何かの勘違いかもしれない。ただ、心の奥で相手を呼び止める自分がいる。恐怖なのか、それともまた別の何かに震える手足は、いつの間にか相手を求めて動き出していた。そして、相手の背後まで走ると普段運動しないせいか、息が上がりなんとか呼吸を整えながら相手を呼び止めると下記を伝え相手のポケットから落ちたのだろうか黒いハンカチを手にしていて)
あのっ…──これ、落としました
……、すまない。
(頬を撫でる風がやけに冷たさを感じるのは物思いに耽っていた所為か、春だというのにとても冷たく感じてしまう。気の所為であり、ただの思い込みなのにそれでもあの光景を思い出してしまうのは愛した女に似た人物を見た所為かもしれない。初めて声を掛けたこと、永遠に一緒に居ようと誓ったこと。結婚とも言えぬようなただの約束かもしれないが、確かに互いに誓い夫婦となったのが今でも懐かしい。美しく雪のように、百合のように凛とした印象と子供のようなあどけなさと掌の熱で溶けてしまうような、風邪に揺れて舞い落ちる様な儚さを持ち合わせたその姿と言動を今でも覚え続けている。何百年の年月で丘だったこの場所も公園に変わり、沢山の笑顔が溢れる場所になっており、こんなにも長く生きていなければただただ退屈な日々だったかもしれない。愛した女に死なれて幸い等と死んでも思いもしないが、焦がれ、存在している意味と理由を与えてくれているようで少しだけ生きがいを感じている己が居るのを理解している。再び風が靡くと、鼻腔に纏う香りと掛けられた声に僅かに驚いて足を止めてはゆっくりと振り返り。そこには息を荒あげた女の姿。それは先程、昔に愛した『小百合』に似ていると思っていた女で、落とした視線の先にあるのは黒いハンカチ。落とした、と言われてゆっくりとジーンズのポケットを不気味な程に白い手で確認してみると確かに入っていなくて。視線を、相手の方へ戻してはそっと腕を伸ばし上記告げながら静かに受け取り)
いいえ、いいんです。
(ようやく息も整い、相手が─その肌はまるで太陽の光を浴びていないかのように色白く。その白さは人間離れしており。まるで、この世のものでは無いかのように思える─ハンカチを受け取ると重たく鼓膜に響くその声を聞くとその声色にどこか、遠い昔遥か遠い昔に聞いたことのあるような不思議な感覚に襲われると、少し遅れてから上記を言えば。相手の顔をじっと見ると酷く美しく人間離れした顔立ちに一瞬時が止まったかのように息を呑む。そして、その深い瞳と視線があった時、あの夢が脳裏に残像のように流れる。何度もみたあの夢、そして夢に出てくるあの男。表情は靄がかかったかのようにはっきりとは見えないがどこか悲しそうな顔をしていたような気がする。どごまでも深く、そして奥に揺らぐその感情が何なのか分からないが、相手の深く吸い込まれそうなその瞳をじっと見つめては、はっといきなり声をかけられた上にじっと何も言わずに、顔を見られては失礼なことだと今気づくと慌てて頭を下げて「すみませんっ……じっと見つめたりして…」と声を震わせて言って)
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