財前 光 2017-06-04 15:37:11 |
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あ、ああ…せやな。(本当に何も無かったように振る舞う相手を見ていたら、本当に何も無くて暑さのせいで幻覚を見たのではないかなんて一瞬思えて来て。相手は自分をからかっているのだろうか。それとも、と考えれば「…好きでもないやつに手出さんと、好きな本人にやりや。」相手に聞こえるか否かくらいの小さな声でぽつりと呟けば、アイスをスプーンに乗せぱくり。)
…なんか言いました?(ポツリと呟かれた言葉が聞き取れず、アイスを掬いながら尋ね返して。普段通りに振舞っているものの頭の中は混沌としており、忙しなく身体中を巡る血液が顔を中心として集まるのを感じれば「…あっつ」と片手で顔を扇いで)
いんや、何でも。…
(今の言葉が聞こえていた方が良かったのか、聞こえてないこの現状の方が良かったのか、正解が分からず頭を悩ませて。ちらりと相手の方を見れば顔が真っ赤であり、やはりさっきのは自分の幻覚でも勘違いでも無く、事実である事を再確認すれば、涼しい顔した相手も心中は動揺やら何かしらしている事が伺えて、くくっと笑い声漏らし。「お前そんな暑がりやったっけ?__…別に怒っとらんから焦っとんのなら落ち着きや、光。」いつもより穏やかな声色を意識してそう言えば相手の顔覗いてみて。)
……見んとって下さい。(ふいっと顔を逸らし普段通りのツンとした声で述べては、穏やかな声と共に覗き込む視線に耐え切れず逃げるように立ち上がり、食べ終わったアイスのカップをゴミ箱へ捨てて。相手の方をちらりと振り返っては「―…ほな、俺帰るんで。」ご馳走様でした、と小さく呟き公園の出口へ向かって。)
ほーら、待て。逃げんな光。(相手の服の首根っこの部分を掴んでぐい、と引き寄せ、くるりと相手を回し自分の方を向かせれば「俺は本当に怒っとらんし、気持ち悪いとかも全く思ってへん。…ただ、お前が苦しいやろ。代わりなんか作って。」そう真面目な声色で。その間、相手の片方の手首をきゅ、と相手が痛くない様に、でも逃げられないように掴んで。)
……(伏し目がちに握られた手を黙って見つめては、矢張り相手は勘違いしているのだと確信して。しかし「先輩が好きです」なんて少女漫画のようなセリフを言えるはずも無く、唯々黙って俯いたままで。―暫しの沈黙の後、ふぅっと小さく息を吐いては「…離して下さい。」とだけ無愛想に告げて。)
離したってもええけど、離したらどっか行くやろお前。(今このまま相手を帰したら、明日からまた顔を合わせる時相手が目も合わせてくれないような気がして。「…そんな顔してたら家族に心配されんで。」彼は可愛くない後輩、そう思う事もあるが決して関係を悪い物にしたい訳じゃない。お節介なのは良くないと分かっているが自然と手と口が動いてしまっていて。)
……何なんすか、さっきから。(気が付けば顔を上げ相手と目線を合わせていて。これ以上優しくしないで欲しい、と言えず唇を噛み締め、自分は今酷く辛そうな顔なのだろうと再び顔を下げて。「…あんな、先輩……このままでおるには、言わんでええこと、知らんでええことがあるんすわ。―…分かってください。」泣き出しそうな小さく震えた声と共に、掴まれた片手を乱暴に解いて。)
…分かった。
(相手の泣き出してしまいそうな声と乱暴に振り払う手に、しまったと我に返り。しつこくし過ぎたかもしれないが本当に相手が心配で仕方ない、そう思いつつもこれ以上しつこくしたら本当に相手から嫌われてしまいそうで。少し悲しそうな表情浮かべつつ上記述べれば、相手の頭をポンと優しく叩き「もうこれ以上は聞かんわ、すまんな。でも、お前の気が向いたら掃き溜め口くらいにはなったる。んじゃ明日な、光。」そう言えば近場のゴミ箱にアイスのゴミを投げ入れ。)
……はい、…ほんなら。(やってしまった、と反省した時には既に遅くて。小さく別れの言葉を告げれば足早に公園を後にし、どのように歩いたかすらはっきりとしないまま帰宅しては抜け殻のような状態で朝を迎えて。全く冴えない頭を擡げ「…行きたないわ…。」と独り言を呟きながらも身体は着々朝支度を始め、何時ものようにイヤホンで曲を聴きながら登校して。)
(相手と顔を合わせる時に変な顔をしてしまわないか、また気を使わせたら、なんて事を一日中考えていたら親愛なる相方に「今日アタシの事全然見ないわね。」だの「ユウくん好きな子でも出来たの?」なんて言われてしまう始末である。自分が好きなのは相方だけであるはずが、口だけでは断言出来るものの心から出来てないモヤモヤさにまた戸惑い。授業が終わり、部活も少しの気まずさはあったものの難なく終了すれば、今日は自分が日誌を書く当番であるため部室残る事にして。昨日からずっと相手の事を考えていた為あまり寝る事が出来なかった己は日誌を書き終えた所で居眠りをしてしまって。)
(昨日の事が気に掛かり1日抜け殻のような状態で過ごしていたものの、普段の性格が幸いしてか特に怪しまれる事も無く。ただ、今日はいつものように先輩を待つ気にもならず「はよ上がれよー」と声を掛けられるまで自主トレに励んでおり、気が付けばコートには誰一人居なくなっていて。片付けが終わり部室へと入れば、今最も顔を合わせ辛い人物がすやすやと寝息を立てており「……なんで居るんや…」露骨に嫌そうな顔をしては、そろりそろりと自分のロッカーへ向かい起こさないよう静かに着替え始めて。)
くぁ…__っ!?
(暫くして目が覚めれば、相手に気付かず呑気にふあ、と欠伸をして。もう既に日誌を書き終えた後だったので直ぐに着替えに移ろうすれば、その所でやっと相手の存在に気付き、驚きで机の脚に足を打って。「な、何やまだ居ったんか珍しい…。お疲れ。」なるべく平然を装いながらそう声掛ければこちらも着替え始め。)
……ああ、はい…先輩もお疲れさんです。(不自然なまでに抑揚のない口調で平然さを保ちつつ、内心動揺したままでいて。ぎこちない手付きでベルトを締めながら、チラリと相手の背中を見やって。こんな時でも色々考えてしまうもので、あの頸に噛み付きたい、背筋に指を這わせたらどんな反応するんやろ、などとぼんやり考えては急いで目線を逸らして。)
(ん、と相槌を打ち、その間どうしたら相手と仲直り出来るだろうか、それがずっと頭を巡っていて。日頃は相方の事で頭がいっぱいだと言うのに今日はその相方の事が殆ど頭に無く、ずっと相手の事ばかり考えてしまっていて。シャツのボタンを一つ一つ止めながらちらりと相手に目をやれば「なぁ、またアイス食べへんか。嫌やったらええけど…。」と気まずさを無くすきっかけが欲しくてそんな誘いを。)
はぁ……先輩の奢りなんやったら、別にええっすけど。(まさか相手の方から誘ってくるとは思わず、しばらくの間思考が停止するも再び高速で動き始めては奢りならば、と頷いて。制服に着替え終われば鞄を肩に掛け、扉の横で相手を待つも気不味さからか声は掛けられず。)
…!ほんまか!
(言った瞬間に自分は何言っているのか、断られるに決まっていると自分を責め続け、顔を青ざめさせていたが相手が奢りならと承諾すれば、ぱぁ、といった効果音が聞こえそうな程に表情を明るく一転させて上記。2人で話せる時間を設けられた、となれば絶対にこの気まずさを解消したくて急いで着替えを終わらせ「待たせたな、行こか。」と。普通であれば後輩を怒らせたとしても軽く謝り後は放っておくのだが、彼に対してこんなに必死になっているのだろうと少しモヤモヤとした気持ちのまま部室の扉を開けて。)
(明るい表情の相手を見れば思わず此方も微笑みそうになり、慌てて少し俯いては黙ったまま相手に着いて校門を出て。―暫く沈黙が続き、何か話さなくては…と思案しては「……せや、今日はそこのコンビニでええっすよね。」悩んだ挙句大した会話ではないものの、何とか言葉を掛け学校を出て直ぐのコンビニへと足を運んで。)
っ!ん、ああ、ええよ。今日はお使いはないからな。
(幾つかどういう会話をしたらいいかを考えてきたつもりではあるものの、いざとなったら全部真っ白になってしまい一人ぐるぐると頭を悩ませていて。そんな中声を掛けられれば少し焦った様に上記。コンビニに入りアイスコーナーに向かえば「お前これやろ?」と前回相手が好んで食べていたアイスを手に取れば首傾げながら相手を見て。)
ん…ああ、はい。…せやけどええんすか?(前回食べていたものを相手が手に取ればぎこちなく頷き、珍しく遠慮がちに少々値の張るそれを指差し首を傾げて。「…先輩、今月小遣い足りひん…ってボヤいてましたよね?」多少の気不味さを残しつつも、意外とスムーズに進むやり取りに段々と調子を取り戻して来たのか、いつものように小馬鹿にしたような笑いと共に相手を見て。)
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