名無しさん 2017-04-18 15:09:57 |
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幻想郷‥
我々の居る世界に於いて存在を否定され忘れ去られた者達が集いし理想郷。
そんな理想郷の管理者たるスキマ妖怪『八雲 紫』は自宅の寝所にて深い眠りについていた
紫「Ζzzz‥」
(紫さん‥、八雲 紫さん‥)
夢の中で何者かが紫に声をかける
(‥誰?私を呼ぶのは?)
ピンポイントで紫の夢に干渉し話し掛けてくる相手に対し、本来なら警戒し対応するのだが‥
何故か紫は無警戒のまま応える
(幻想郷の管理者である貴女に、お願いがありお声掛けさせて頂きました)
『お願い』と言う単語に疑問すら抱かず
(お願い?一体どんなお願いなのかしら?)
相手に『お願い』に関する内容の説明を促すと、正体不明の相手はゆっくりと語りだす‥
【紫の夢の中】
(実は貴女の管理する幻想郷へ移住させて欲しい者達が居るのです)
『移住』と言う言葉に対し
(移住?ひょっとしてあなたは外の世界の方なのかしら?)
まさかと思い確認してみると
(はい、私は貴女方の言う外の世界に居る者です)
問いにハッキリとした口調で応える
(正直、驚いたわまさか外の世界から私の夢に直接干渉する事が出来る者が居たなんて)
驚きの表情を浮かべ感嘆の声をもらす
いま紫が対話してる相手は、外の世界に居ながら『幻と実体の境界』『博霊大結界』を素通りし自身の意識のみを幻想郷に居る紫の夢へと飛ばす事が出来る相手と言う事なのだ
(お願いをする立場である以上、本来ならば私が直接幻想郷へ赴き紫さんと話し合うのが筋なのでしょうが‥今現在は姉より取り戻した聖域サンクチュアリの再建とオリンポス十二神との和解への最終会合の為に聖域サンクチュアリを離れる事が出来ません)
本当に申し訳なさそうに言う
(そうなの貴女も色々と大変なのね、そこまで気にしないでそんな事で目くじら立てるほど器は小さくないから)
などと軽く相手をフォローした後に気付く
【紫の夢の中】
(‥‥‥ん?オリンポス十二神‥?)
相手の話の中に出てきた『オリンポス十二神』が引っ掛かり思わず口にすると
(はい、主神ゼウスをはじめとした12柱の神々の総称ですね)
サラッと簡単に説明してくれたが‥
紫の心中では
なにサラッと言ってくれてンのよッ!?
外の世界に存在する神々の中でも超VIPクラスじゃないッ!
しかも、その連中相手に一悶着やらかしてるっぽいわコイツ‥マズイわ下手したらオリンポス十二神に目をつけられて幻想郷が消されてしまう(汗)
落ち着きなさい ゆかりん
私だって幻想郷の管理者よ、相手にナメられない様な堂々とした対応をして、理不尽に訪れた窮地を脱するのよッ!
ファイトよ ゆかりん
心の中で自身を励まし
(ほぉ‥色々と確認したい事はありますが、その前に貴女の御名前をお聞かせ願えますか?)
現状を打破するための情報収集の手始めに名を問うと
(あっ!そうでした名も名乗らずに話を進めて重ね重ね無作法で申し訳ありません。改めて私の名は『城戸 沙織』と申します)
沙織の名を聞いた紫は心の中で
誰よッ!
と思わずツッコミを入れていた
【紫の夢の中】
(えっと‥)
外の世界での個人名を出され紫が戸惑ってる事に気付き
(外の世界での名前を出されてもわかりませんよね、そうですね‥オリンポス十二神や周囲の者達からは『アテナ』と呼ばれています)
改めて名乗り終わるが、紫の心中では
ゼウスの娘で、オリンポス十二神の1柱じゃないですかヤダー(泣)
半ば心折れかけたがどうにか持ち直し
(よもや十二神の1柱であるアテナ様だったとはますます驚きですわ)
一応、『様』付けし冷静を装い対応する
(そんな『様』付けなんて止めて下さいよ紫さん、私なんて仲間から護ってもらわねば何も為すことが出来ない無力な存在なのですから‥)
少しトーンを落とし応えるアテナを気遣い
(わかりましたわ、ではアテナ本題に戻らせて頂きますね)
『様』付けを止めそう言うと、お願いの確認と人数・種族・生活面のサポート・身辺の護衛の4つを質問した
人数は12人、全員が人間の男性、居住場所や生活費用は用意する必要がなく、野良妖怪等に襲われても放置で構わない
以上の事がわかった
(何か他に聞きたい事はありますか?)
(いえ‥しかしよろしいんですか?人間が野良妖怪等に襲われたらひとたまりもありませんよ?)
紫は最後の質問『身辺の護衛』に対する回答が引っ掛かり再度確認する
(その点なんですが‥紫さんの方から野良妖怪を抑える事は可能でしょうか?)
アテナの言ってた12人がどういう連中かわからないけど、やはり心配なのね
などと思いつつ少しアテナを困らせてみようと思い
(えぇ可能ですよ♪でも何故考えを変えたんですか?)
わざとらしく質問してみると
(襲ってきた野良妖怪達への反撃も加減を間違えば幻想郷の地形や周囲に多大な被害が出かねませんから)
幻想郷の事を心配しにこやかに答えるも
アテナの回答に紫は‥
は?地形が変わって周囲に多大な被害って?
人間なのよね?その方々は人間なんですよねアテナ(汗)
心中で激しく混乱しかなり焦りながらも平静を装いながら
【紫の夢の中】
(えっと‥アテナ再度確認したいんですが、その12人の方々は人間なんですよね?)
アテナの返答に不安を感じ、改めて確認すると
(はい間違いなく人間ですよ)
答えるアテナだが心中では
荒事に自ら首をつっこむなと厳命すれば大丈夫だと思うけどと考え、12人の顔を思い浮かべシミュレートしてみるが‥
黄泉比良坂へと送り込まれる幻想郷の者達の魂や薔薇の花弁が舞い散る中で絶命してる幻想郷の者達の姿が容易に想像出来てしまい
‥‥ホントに大丈夫かな(汗)
約二名ほど性格面と技の性質上かなり不安な者達が居る事に多少の不安を感じていた
(そうですか‥)
一方の紫はアテナの不安など露知らず
あれだけ、ハッキリ断言してるんだから人間である事は間違いないわね、だとしたら‥‥神ジョークってヤツかしら?
そうよねオリンポス十二神とは言えユーモアを介さない連中だって訳じゃないだろうし、それにたかだか人間にそんな事を出来る訳ないじゃない‥
あッ!そういや外の世界の人間って時々変な能力やら魔法やら超能力が使える連中がいた気がしたわ、一応その点に関しても確認しましょう
(あのアテナ度々すみませんが、その12人の方々って魔法やら特殊な能力やらを持ってるって特殊な方々なんですか?)
改めて確認するが
(1人だけ超能力が使えますが、それ以外は特に変わった能力はありませんよ)
と答えた後で
あれ?黄泉比良坂に自由に行き来出来るのって特殊な能力に入るのかしら?それに数名が小宇宙を応用した念話も可能だった気が‥
まっいいでしょう♪幻想郷の方々にとっては許容範囲内だと思うしと考え発言の訂正はしなかった
(わかりました、それほどお強い方々でしたら野良妖怪を抑えるなどしなくても大丈夫ではないのですか?もし何か起こしてしまったら私や幻想郷の力ある者達で対処しますので、受け入れる側としても移住される方々に窮屈な思いをせずに幻想郷を自由に生きて頂きたいですし)
紫は神ジョークだと楽観的に考え、相手は所詮人間であると言う認識で進言する
【紫の夢の中】
(ふむ‥それでお願いします。彼等は1ヶ月後に幻想郷へ送りますね)
(1ヶ月後ですねわかりました。他に何かありますか?)
と言う訳で今回の移住に関して幻想郷側は12人を受け入れるだけで、後は何もしなくてよいと言う事で話はまとまった
(そうですね‥あ!私からではなく姉から紫さんへ伝言がありまして)
(お姉様から伝言‥ですか?どのような伝言ですか?)
アテナの姉に関しては記憶にないが、とりあえず伝言とやらを訊ねると
(はい伝言なんですが『幻想郷による月への侵攻‥‥再び私の元へ報告があがれば‥‥わかっているな三度目はない』とのことです)
にこやかに姉からの伝言を紫に伝える
(‥‥‥‥‥‥‥‥‥)
伝言を聞いた紫は‥
あれ?脅し?ってか最後通告?
確かに月への侵攻は二回ほどやったけど(汗)
アテナのお姉さんが何で?
突然言い渡された最後通告に滝のような冷や汗を流しながらアテナに確認する
(あの‥アテナ、お姉様と言うのはどのような方なんでしょうか?)
(姉はオリンポス十二神が1柱の月の女神アルテミスです)
紫の問いに答えると
あかーんッ!?ガチの最後通告だッ!
ってか月の女神アルテミスのところまで報告があがってるなんて想定外にも程があるわよ!
内心では超焦りながらも
(アルテミス様からの伝言、しかと承りましたわ)
平静を装い答える
(さて、移住に関する話し合いも終わって伝言も伝えましたし、そろそろおいとまさせて頂きますね)
(えぇ‥夢の中なので何のおもてなしも出来ず申し訳ありませんでした。気が向いたら幻想郷へ遊びに来て下さいな)
消え行くアテナの意識に声をかける
(機会があれば‥さようなら幻想郷の管理者さん)
この言葉を残しアテナの意識は完全に消える
【紫の夢の中】
アテナの意識が消えたのを感じ
(はぁ~、まさかオリンポス十二神が1柱からお声掛けされるなんて予想外すぎるわ)
軽くため息を吐き安堵するも
(しかし月への侵攻に関しては反省しなきゃだわ。今後は月には出来るだけ関わらない様にしましょう)
珍しく反省すると自身の意識が薄れていくのを感じ
(あぁ‥そろそろ目が覚めるのね‥長くて濃い夢だったわ‥)
そこで紫の意識は完全に途絶えた
明朝‥
【八雲邸】
藍「‥‥様、‥かり様!紫様!」
式の1人である『八雲 藍』の声に
紫「‥‥う~ん、ふあぁぁ~」
布団からゆっくりと起き上がり欠伸をした後に
紫「おはよう藍、今日もいい天気ね♪」
起こしてくれた藍に挨拶をする
藍「おはようございます紫様、随分と汗をかいておられますがどうかされましたか?」
藍に言われ自身が寝汗でべったりな事に気付く
紫「‥‥ふふっ、何でもないわ♪さぁご飯よご飯♪準備は出来てるの?」
襖を勢いよく開け放つ
藍「はい、油揚げのフルコースが出来上がってます」
紫「朝っぱらから油揚げまみれね(汗)」
アテナから移住の件を朝食の話題にしながら八雲家の朝が始まる
そして、1ヶ月後にやって来るのが黄金の12人『黄金聖闘士』と誰1人知らぬまま幻想郷の日常が過ぎ去っていった
1ヶ月後の夜、幻想郷の夜空に黄道12星座が輝き各星座から流れ星が幻想郷へ降り注いだ‥
そして、翌朝‥
【魔法の森】
禍々しい妖気が溢れる森の中を1人の男が歩いていた
??「さて‥幻想郷へ着いてはみましたが、随分と妖気が濃い森ですね」
男が呟きながら周囲を見回しながら歩く、幻想郷に住まう人間では耐えきれないほどの妖気漂う森の中を平然と歩く男は、その背に大きな黄金の箱を背負っていた羊の顔が描かれた黄金の箱を‥
そんな男の様子を木々の隙間から見つめる二つの人影‥
上海「シャンハーイ」
蓬莱「ホーラーイ」
もとい、人形影があった‥
同刻‥
【地底(旧 地獄)】
地上を追われた者達によって生まれた繁華街、数多の妖怪や鬼達が行き交う中を歩く大柄な男‥
??「幻想郷は妖怪などが多いとは聞いていたが‥よもや人間が1人も居ない場所があるとはな」
等と言いながら周囲を見回す
繁華街の妖怪や鬼達は『生身の人間』『並の妖怪や鬼達を上回る大柄な体格』『背後に背負った大きな黄金の箱』以上の理由から男に対し好奇の視線を向けていた
??「いくら目立つとは言え‥血気盛んな連中が多すぎではないか?」
ため息を吐きながら繁華街を歩く
実は繁華街を散策してる最中、男の背負ってる牛の顔が描かれた黄金の箱を奪おうと妖怪や鬼達の襲撃を5回受けていた
全ての襲撃者を返り討ちにしたものの、これでは落ち着いて散策すら出来ない
それ故のため息だった
鬼「とんでもねぇなあの人間‥こりゃ勇儀の姉御に一報の価値有りだぜ」
男の様子を見ていた1人の鬼は繁華街の雑踏へと消えて行った
【博麗神社】
境内へと続く階段を1人の男が上っていた
??「無駄に長い階段だな‥まるで十二宮の各宮を繋ぐ階段だな‥」
階段の長さに呆れながら歩いている男の背には、双子が描かれた黄金の大きな箱が背負われていた
??「ん?何だ?」
不意に接近してくる気配を空から感じ見上げてみると、竹箒に跨がった黒一色の魔女の様な格好の少女が頭上を通過して行く姿が見えた
??「‥‥‥随分と簡単に空を飛ぶものだな、幻想郷の連中は空を飛べるのが当たり前なのか?」
1人呟くと再び階段を上り始める
魔理沙「何だアイツ?変な箱背負って‥参拝客か?まぁ関係ないか」
一瞬、階段を歩く男の姿が視界に入ったが気にも止めず
博麗神社の境内へと降りていった
【地獄】
罪をおかした数多の幽霊達が鬼達により罰せられ悲鳴をあげる中‥
蟹が描かれた黄金の大きな箱を背負った男がため息混じりに歩いていた
??「しっかし‥アテナの温情で今度こそ生を満喫出来る思って期待したが‥」
見渡す限りの地獄絵図に
??「何でよりによって、幻想郷の地獄が人生の再スタート地点なんだよッ!」
理不尽な現状に激昂し怒りに任せ吼えるが
??「まぁ、確かに色々とやらかしてきた事は自覚してるが、はぁ‥やってらんねぇわ」
深々とため息を吐き歩いていると
小町「そこのアンタ、ちょいといいかい?」
??「あぁ?女‥いや死神か何の用だよ?」
声をかけて来た死神『小野塚 小町』に問うと
小町「上司からアンタを連れて来いって言われてね」
??「‥‥わかった案内してくれ」
男を連れ小町は地獄の奥へと進んで行った
【妖怪の山】
山の中腹にあたる山道を哨戒中の『犬走 椛』は前方を歩く人間を見つける
椛「何だ?あの人間は?黄金の大きな箱なんか背負って‥何処に向かっているんだ?」
妖怪の山が人間が立ち入れない場所だと知らないのか?と不思議に思い声をかける
??「ん?何かな?」
振り返った男に対し椛は妖怪の山がどういう場所であるかを説明すると
??「なるほど‥‥わかったよ君達に迷惑をかけても仕方ないしな」
椛「すいませんね、けど物分かりの言い方で助かりました。中には説明しても『天狗達の勝手な都合だろ』とかワガママ言い方もいるんですよね」
理解を示してくれた男に感謝の言葉を言うと山を降り始めた男の背を見送った
椛「獅子?簡単に引き返してくれたし‥何だか似つかわしくないな‥」
男の背負った箱に描かれた獅子を見てポツリと呟いた
【命蓮寺】
聖「では行って来ますね」
寺の門に集まった命蓮寺の面々に見送られ命蓮寺を出発する
今日は月に一度行う人里での出張説法の日なのだ
聖「ぬえにお説教してたので出発が遅れてしまいました‥‥近道を使いましょ」
言うや歩いていた道の横にある雑木林に入っていくと
??「‥‥‥‥‥」
切株の上で座禅をし瞑想してる男の姿が見えた
聖「まぁ、こんな場所で瞑想とは‥あら?何かしらアレは?」
微動だにせず瞑想を続ける男の後ろに乙女が描かれた黄金の大きな箱があるのに気付く
聖「この方の私物みたいね、瞑想の邪魔をしちゃ悪いわ行きましょう」
言うと男に軽く会釈し人里へと出発した
【霧の湖】
小悪魔(コア)「♪~♪♪~♪~」
人間の里でのお使いを済ませ鼻唄を歌いながら湖の畔を歩いていると
??「ほぉ~随分と霧の濃い湖じゃな」
霧の湖を眺めながら独り言を言う男に気付く、男の背負った天秤が描かれた黄金の大きな箱を見て
大きな荷物だなぁ行商人かな?等と思考を巡らせながら男の横を通り抜けると
??「そこの娘、少しいいか?」
後ろから湖を眺めてた男に声をかけられた
コア「はい?何ですか?」
返事をし振り返ると
??「ふむ先程出会った妖精に、この近辺に真っ赤な洋館があると聞いて一目見ようと思ってるんだが場所がわからなくてな、もし知ってるなら場所を教えてほしいんだが」
コア「あぁ紅魔館の見物ですね、実は私そこで働いてるんですよ 丁度帰るところだったんでご案内しますよ♪」
男に対し笑顔で答えると、感謝する男と雑談をしながら紅魔館へと戻っていった
【迷いの竹林】
1人の男がため息混じりに歩いていた、その背には蠍が描かれた黄金の大きな箱を背負われ、そして手元には‥
てゐ「あの~、そろそろ降ろして頂けるとありがたいかな~なんて(汗)」
首根っこを掴まれ宙ぶらりん状態の兎がいた
迷いの竹林で道に迷い様々な悪戯に困惑してる男を小バカにし笑っていたら、あっさり捕まり現状に至っている
??「降ろしたらどうする?」
てゐ「当然ダッシュで逃げて、迷子になってるアンタを影から覗き見て笑ってやるね♪」
素直に言う兎に
??「そうかそうか‥次に落とし穴を見付けたらお前を全力で投げ込む事にしよう」
てゐ「すいません、道案内を続けさせて下さい」
男の軽い脅しに大人しくなる
??「はぁ‥診療所がなんでこんな場所にあるんだ、急患が居たら手遅れになるだろ」
ポツリと呟き道案内を頼りに再び歩き始める
【人間の里】
幻想郷に住まう人間達が住まうこの里に、見たこともない男が周囲を見回しながら歩いていた
??「幻想郷には妖怪達が多いと聞いたが‥見た感じだと此処は人間達しか住んで居ないようだな」
里の人々は半人半馬が描かれた黄金の大きな箱を背負った男に注目していた
??「‥‥注目されてるな、まぁ仕方ないか」
言いながら里を見物してる男へ近づく女性がいた、寺子屋を営んでいる『上白沢 慧音』だ
里の者達から外来人らしい男が居ると聞きやって来たのだ
慧音「あの‥少しよろしいですか?」
??「はい?何で‥‥!!!」
声をかけられ後ろを振り向き相手の顔と容姿を見た瞬間、男に電流が走った‥様な衝撃を感じ思わず声がつまり頬を染め動きが硬直する
【天界】
幾多の花が咲きポカポカとした陽気のなか、ふらふらと歩く天人と竜宮の使いがいた
天子「ねぇ衣玖~凄く暇なの何か面白い事ない?」
衣玖「面白い事と言われましても(汗)」
唐突な無茶ぶりにやや呆れながら答える
天子「ホンっとに暇だわ~キャッ!」
余所見をしてたら正面から歩いて来た男とぶつかり倒れてしまう
??「大丈夫か?」
天子「大丈夫よ全く気をつけなさいよねッ!行くわよ衣玖ッ!」
プリプリ怒りながら男の横を抜け歩き出す二人だったが‥暫し歩いてピタリと止まり、すれ違った男の方を見る
天子「ねぇ衣玖‥何で人間が天界に居るの?」
衣玖「何故でしょう?」
山羊の顔が描かれた黄金の大きな箱を背負った目付きの悪い男は木になってる桃をかじっていた
【守谷神社】
境内へと続く階段を1人の少女が歩いていく守谷神社の巫女にして現人神の『東風谷 早苗』だ
早苗「もうすぐ着きますから、あとちょい頑張って下さいね」
案内してきた男に声をかける
??「わかった」
早苗に連れられた男は答える
その背には水瓶が描かれた黄金の大きな箱を背負われていた
しかし‥神奈子様と諏訪子様に言われ迎えに来たと言われ半ば強引に連れられてきたが、鬼が出るか蛇が出るか‥警戒はしておくか
等と考えながら歩みを進めていくと
早苗「到着で~す♪お疲れ様でした」
境内へ着き労いの言葉と同時に正面で仁王立ちしてる二人の女性が視界に入る
??「この感じ‥神か?」
二人から感じた人ならざる気配に呟く
神奈子「ご苦労だったね早苗」
諏訪子「あとは私達が対応するから、茶菓子でも準備しといてよ」
二人は早苗に指示を出すと
神奈子「さて‥とりあえず客間で話そうじゃないか」
諏訪子「アテナの聖闘士さん♪」
男を客間へと案内した
【太陽の丘】
数多の向日葵が咲き誇り太陽の如く輝く丘を見て
??「素晴らしい‥」
まるで女性なのでは?と誤認してしまう様な美しい容姿を兼ね備えた男は、見事に咲き誇る向日葵に見とれ感嘆の息を漏らす
その時、一陣の突風が吹き向日葵が大きく揺れ‥
男の正面に日傘をさした緑髪の女性が笑みを浮かべ立っていた
幽香「私の名は『風見 幽香』この『太陽の丘』に住むしがない妖怪よ。貴方‥お名前は?」
自己紹介しながらも男の右側に置かれた、魚が描かれた黄金の箱が気にかかる
輝きと色合いは黄金だけど‥何かが違う、それにこの男微塵の隙もない
等と思考を巡らせていると、男は胸元の赤バラを手に取り
??「ご丁寧な自己紹介をありがとう僕は‥」
何故か一旦間を置き赤バラを口元に寄せると
??「天と地の挾間で輝きを誇る美の戦士‥アフロディーテ」
アフロディーテの堂々とした名乗りを聞き
幽香「‥‥‥‥‥‥‥」
言葉を失いながら
アレ?関わっちゃダメ系な相手だったかしら(汗)
等と太陽の丘に珍しくやって来た男に声をかけた事を心中で少し後悔していた
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