匿名 2017-04-17 22:31:01 |
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「おいしいね~緑川くん」
「そうだね~」
「そうにしても、大活躍だったらしいじゃん。すごいねぇ、戦闘が動画化されてないのが残念だよ」
「べつに動画なんかなくても、事細かに教えてあげるけど??」
「いや、いいよ。私理解力乏しいから、多分口頭の説明じゃ理解できない」
「……頭いいくせに」
「親が喜んでくれるような点数だせない人は頭いいとはいわないよ」
「……その自虐癖どうにかなんないの?」
「うーん、自虐してるつもりはないんだけど」
「ほんと迷惑……」
「ごめんね、自覚なくて……。うん、やっぱり私は緑川くんには相応しく、」
「だーからそういうとこなんだけど!!あんたがおれの師匠に相応しい器かどうかは弟子であるおれが決めるの!勝手に暗くならないで!」
「……うん」
「もー、ほんと面倒くさいんだから」
「……」
「なに、どうしたの、……」
「ありがとね~」
「……ど、どういうつもり」
「いやー、緑川くんが優しいから。撫でたくなっちゃって」
「ほんと……ガキ扱いが過ぎるんだけど……」
「あ、ごめんね、不快だったよね」
「ま、って!!そんなこと言ってないでしょ!離さないで!あと1時間は撫でてていいから!」
「え、うん……?」
「……まって、1時間は言い過ぎた、30ぷ……、いや30秒だけ、でいいから……」
「うん、あと30分ね」
「……長いんだけど」
「緑川くんの握力が思ったより強いから」
「……」
「……(緩めないんだ)」
『ゆん~!オレがどこいるかわかる?』
「んー、……見えた。看板のあるビルの……3階か」
『そうそう!どう?オレの行く先に誰かいそー?』
「んー……んふふ、あはは!!うん。ろん、気をつけて、5階に水上さんと荒船さんいるわ」
『うっそでしょマジかー!!死に確じゃん!』
「あはは!がんばれ!」
『ちょーきっつ……』
「うん、こっちも頑張るから」
『そっちも近くに誰かいんの?』
「隠岐くんみっけた」
『みっかってはない?』
「んー、どうだろ。隠岐くん私見つけるの上手だからなー。まぁでも、今アイビス撃っちゃえば壁ごと貫通していけると思うんだよね」
『撃っちゃえ撃っちゃえ』
「よーし撃っちゃお」
『わー、っとっと!今のゆん?』
「そうそう」
『それってつまりさ、!』
「うん、そのビルに隠岐くんもいるから気をつけてね」
『も~!!今ので撃ちおとせなかったの!?』
「よけられちゃった~!あはは、やっぱ気付いてたみたい」
『も~、ほんとゆんはダメだなぁ、っ!?』
「あ、気付かれちゃったじゃん!あはは!!がんばー!」
「笑っとる場合やないで」
「げっ」
「ターゲットから目離して味方の心配なんかしとる暇ないやろ、B級下位」
「もう上位までのぼってきたんだけどなぁ。っていうか、私がキミから目を離したのがそんなに気にくわなかった?それならごめんね、次からは目離さないからちょっと見逃してほしいな」
「しゃあないなぁ、っていいたいとこやねんけどな、ここで逃したら流石に怒られてまうからなぁ」
「私もここで撃たれちゃったらいろんな人から文句いわれちゃうからさぁ」
「例えば?」
「弟と、オペちゃんと、奈良さ、……ちょっと、喋ってるときに撃つのは酷くない?軽蔑しちゃうな~」
「はいはい」
「って!もう話聞く気無しか!そんな君に用はないからね!」
「あっ」
「ほーらバーカバーカ!だてに三輪隊と仲良くねーんだよ!じゃあな!」
「……イコさん、ゆん逃がしました」
『おん、任せとき。大丈夫か?』
「あー……左足に鉛はいりました、すんません。目しか狙ってこんと思うてました」
『うわ、ゆんちゃんやることエグいなぁ』
『すんません、水上やられました』
『え』
『荒船とろんが手ぇ組みやがったっすわ』
『さすが姉弟、どっちも人につけいるんが上手やんな』
「イコさん」
『誰も隠岐のこととは言うとらんやろ。自意識過剰か』
「イコさんに言われる日が来るとは思ってなかったですわ」
「あー!ゆん!負けたー!」
「ろん!負けたねー!」
「「あはは!」」
「ほんまお前ら怖いわ」
「オレらより強い輩がなんか言ってるよ、ゆん」
「ちょー嫌みだよね、ほんとありえないわ~」
「どっちも可愛いないわ~」
「ってかコジさんめっちゃ付きまとってくるの止めてくんない?すっげー行動制限うざいんだけどアレ」
「関西人はみんなウザいからしゃあない」
「あと私に対して銃弾の数が半端ないんですけど!絶対殺す感半端なく伝わってきて怖いんですけど!」
「それは自業自得やな」
「えっ」
おきくんと出会ってすぐ
「なーらさーかくーん!」
「……」
「ねぇねぇ聞いて!昨日新人くんが入ったんだけどね、」
「……」
「……あれ、今日機嫌わるくない?」
「……」
「ねー、奈良坂くーん、私、人の心まで見ることできないんだけど~」
「……」
「なーらーさーかー」
「うるさい」
「しゃべった!」
「で、なんだ」
「なんだはこっちのセリフだよー、なんで機嫌わるいのー?大丈夫ー?」
「大丈夫だからさっさと用件を済ませろ、訓練の邪魔だ」
「やっぱ機嫌わるいじゃん」
「うるさい」
「もー。……で、ーっとね、そうそう、新人くんが入ったんだよ!」
「今の時期にか」
「関西からのスカウトなんだって」
「ああ、聞いたことあるな」
「でね、すっごいモテそう!」
「……」
「そんな顔しないでー!一般論で言ってるだけだよー!」
「そうか」
「で、昨日東さんに頼まれて、本部ツアーガイドさんしたの」
「……ああ、そういうことか」
「?」
「いや、ずっと俺をみてるって言ったくせに訓練終わったころに振り返ってみたらお前がいないから、約束破るようなやつだったのかと幻滅していたんだ」
「……いや、え」
「?」
「だ、だから機嫌わるかったの?」
「……ちがう、断じてちがう」
「ちょっとキミ可愛すぎない!?もー大好き!安心して、今日はずっとキミのことみてるしずっと話しかけてるからね!」
「あーうるさいうるさい」
「あはは!」
「あっ」
「どうしたー、買いたいものでも思いだしたか~」
「いや、ゆん、あれ」
「んー? ……おお、イケメンだね」
「いやいやいや、イケメンとかじゃなくてさ、知ってる顔じゃない?あれ」
「え?……?」
「うそでしょ、コジさんだってあれ」
「え、だってサンバイザーしてないよ」
「判断基準そこ!?ほら、泣きボクロあるでしょ」
「あ、ほんとだ。……隠岐くんって泣きボクロあったっけ」
「あるよ!顔みなすぎじゃない!?」
「いやー、ボーダーの人たちみんな背高いからさぁ。顔見て話そうと思うの風間さんくらいだわ」
「あ、わかるかも」
「「あはは!」」
「っていうか、コジさん確定したけど、話しかけないの?」
「いや、もしかしたらプライベートは邪魔されたくない人間かもしれないよ」
「あ、そっかぁ」
「それに彼はモテるってきいてるからね、もしかしたら彼の周りに彼のストーカーがいるかもしれないよ」
「殺される!」
「やばいでしょ。だから話しかけないのが得策、」
「聞こえとるで~」
「「うわぁっ」」
「どーも」
「あはは、どーも」
「え、大丈夫?いない?ストーカーとかいない?」
「そんなんおらんて。コイツが俺に話しかけたなかったからテキトーにでっち上げただけやろ」
「まーさかそんなこと。友達とはいつでもどこでだってお喋りしたいですよ」
「どうだかな。で、2人は仲良く買い物か?」
「今週の食料調達にきましたー!」
「2人で?」
「うち両親県外なんだよね~」
「ゆんのSEが活用される場を見つけるためだけに夜逃げしてきましたからね~」
「え、そうなん?」
「半分嘘だから安心して」
「半分本気やんか。2人で家計回せるん?」
「2人ともそれなりに稼げてるしね~」
「いざとなったら透くん家が助けてくれます!」
「A級従兄弟おるんつっよいなぁ」
「で、キミはなに買ってんの?」
「似たようなもんやで、こっちも両親県外やからな」
「あーそっか、キミ関西出身か」
「え、そうなの!?」
「いや、どうかんがえても関西の喋り方やろ」
「そうじゃなくて、ひとりぐらしってこと?」
「まぁそんなもんやな」
「じゃあさ、ゆんと喧嘩したときにコジさんの家に行っ、」
「はいろんくん調子にのらなーい」
「べつにええよ」
「隠岐くんも甘やかさないでよ~」
「やったー!透くん家だと、透くん以外の人にも迷惑かけちゃうから、すっごい罪悪感のこってヤだったんだよ~」
「奈良坂くんに掛かるのは構わないわけね……」
「透くん生意気だし」
「ろんのほうが100倍生意気だからね~」
「まぁでも、俺ん家知らんから無理やろうけどな」
「あ、そっか」
「はい、諦めようね」
「いやいや、今から知ればいい話でしょ?コジさんこの後ヒマ?」
「ちょっとろんー??ごめんね隠岐くん」
「いや構へんけど。……ちょっと遠いで」
「ちょっと隠岐くん!?」
「やったー!じゃあさっさと会計済ませてコジさん家いかんきゃ!」
「その代わり松岡ん家も教えてな」
「いーよいーよ!ね、ゆん!」
「うそじゃん……」
「はは、諦めるんやな」
「家なんか奈良坂くんにしか教えてないのに~」
「え、賢ちゃんとかも知ってるよ?」
「も~、ろんはプライバシーってのを知らないのか~!!」
「……あれ。のんちゃん、なんかろんの近くに生駒さんいるんだけど」
『えっ!?』
『今日生駒隊と合同任務っぽいっすね~』
「あれ、三輪隊とじゃなかったっけ?」
『……あ、連絡来ました。あっちに急用できたらしいっす』
「マージ?逆に都合ついた生駒隊半端ないな」
『ヒマなんすかね~』
「こーら、手伝ってくれてるんだから文句いっちゃダメだよ~」
『さーせん』
「あっ」
『ちょっとー!イコさんオレごと斬ろうとしたでしょー!?』
「あはは、大変そう」
カチャ、
「手を上げろ、さもなければ撃つで」
「ひー、ゆん、ターゲットに捕まりました~」
『バカなこと言ってないで任務遂行してくださーい』
「だってよ隠岐くん」
「いや何も聞こえんし。てか素直にあげんなや、狙撃手が銃手放すって何事やねん」
「キミがいうか!」
「で、戦況どんなもんなん?さっき放られたばっかでよう分かってへんねん」
「んー、とりあえずうちの隊だけでも大丈夫って感じ」
「ほー。ろんくん強なったなぁ」
「誰目線だよ」
「兄目線やな」
「ろんをあげた覚えはないんだけど!あげないし!」
「うーん、そういう意味ちゃうんよなぁ。ちなみに俺に仕事はありそうなん?」
「んー、私の仕事が今んとこSEだけかな!」
「ないんやな、了解」
「いやー、ちょーヒマだからね。……あ、ろん、右の家ごしにモルモットくんいる」
『承知!イコさーん、なんちゃーん!あっちにモールモッドいるってー!』
「そっちは左だバカ」
『ごめん逆ー!』
「モルモットくんってなんなん」
「モールモッド」
「あー」
「ちなみにバムスターはハムスターくんって言ってるから」
「随分可愛らしいな」
「でっしょー、うちの隊っぽくて可愛いよね」
「?」
「とぼけんなバカ」
「それにしてもイコさん強いわぁ。蹴散らしとるな」
「家が吹き飛ぼうがお構いなしですよ」
「まぁ障害物は少ないほうがええしな」
「そういうもんなのかな。私としてはあったほうがいいんだけど。確実に私のほうが有利になるし」
「あってもなくても同じやもんな」
「マジSE便利~」
「戦闘で便利な分、他でつらいって聞くけどな」
「いやー、コレは案外そうでもないっていうか。壁が透けるくらいだし」
「ほー」
「あ、でも、アレはショックだなぁ。私の透視さ、人体を透視しないかわりにね、機械を透視できちゃうんだけど、お陰でゲーム画面が見れないわけ。全部機械の基盤とかしか見えないの」
「うわ、ゲームできないやん」
「そう。だから、昔からゲームするときは、コントローラーの形を手触りで確かめて、ゲーム画面を一切みないセルフ目隠しでプレイしてたんだからね。いやーあれはきつかった」
「もしかして、それスマホにも適応されるんちゃうん」
「よくわかったじゃん」
「そーいうことか。お前アプリ全然入れてないから意外やったんやけど、それなら意味ないもんな」
「そうそう。一応LINEだけいれてるけどね、わりと桐絵ちゃんとか連絡くれてるみたいだけど、あれ返信してるの全部弟だから」
「うわぁ」
「けっこー申し訳ないじゃん?だから、なるべく通話にしてね~って言ってるんだけどね、なーかなか」
「通話だったら出れるん?」
「弟が手順を説明してくれたからね。通話がきたら大体この辺押せば繋がるって」
「出来た子やな~」
「自慢の弟だね」
『ゆん~!他にはー?』
「その辺にはいないねー。どう、のんちゃん?」
『一掃したっぽいっすね』
「了解。ベイルアウトしていいよ」
『承知~!』
「終わったん?」
「ぽいね。そっちにもそのうち連絡いくんじゃない?」
「あ、来たわ。……はーい、了解です~」
「あはは、マジで雑談だけで終わったな、スナイパー部隊」
「アタッカーさん方が優秀なお陰でな~」
「なんか奢らんきゃ……」
「あ、俺アレ食いたいんやけど」
「お前も奢る側だよバカ」
「え~」
「……おお、これはまた、けったいな寝方やな」
「…その声は隠岐くんか」
「どないしたん?いつもはもっと姿勢よく寝とんのに」
「……ちょっと、午前の任務で疲れちゃって」
「へぇ。どないなん」
「いや、いつも通りの監視ってだけなんだけどね、とくにトリオン兵もでてはこなかったんだけどね」
「おん」
「……王子隊と、一緒だったんだよ」
「あ~」
「で、王子さんと喋る機会があって」
「へぇ」
「めっっっっちゃ疲れた」
「え、そうなん?偏見やけど、あの人は仮にも女子を疲れさせるような人やなかったと思ったけどなぁ」
「うん。初めはね、すっごい気ぃ使ってくれてたよ。王子ってだけあってすごい話しやすかったし、素敵な人だなーって思ってたんだよ」
「……」
「いつの間にか恋バナになってね」
「ううん??」
「いや、私が仕掛けたも同然なんだけどさ。「王子って苗字に恥じないくらいモテるんじゃないですか~?」って私が訊いたのが始まりだったんだよ。そう、始めは私が彼より上にたってたんだよ。彼をからかう側にたってたんだよ。いつの間にか逆転されてたよ!!人にあんなに色恋沙汰でからかわれたの初めてだよ!!」
「ふーん、詳しく」
「機嫌が悪いから教えてあげよう」
「はは、よっしゃ」
「王子って苗字に恥じないくらいモテてるんじゃないですか~?」
「そんなことないよ。本当にモテてたら、今ぼくはここには居ないよね」
「あー、女の子におわれちゃって、ネイバーなんか追っかけてるヒマないですもんね~」
「はは、そうだね」
「でも、ラブレターの1つや2つ、もらってそうですけどね」
「なかなか諦めないね~?」
「私知ってるんです、どんな少女漫画を読むより何より、誰かが書いたラブレターを読むのが一番キュンキュンするって」
「そういうものかな?案外質素なものかもしれないけど」
「いやいや、私、従兄弟にすっごいモテる人がいるんですけど、ソイツがもらったラブレターを読ませていただいたことが何度もあるんです」
「わぁ悪趣味」
「もうすっごい心あったまりますもん、あれ」
「……ところで、もしかして、その従兄弟さんって狙撃手No.2の」
「奈良坂透くんですよ!」
「あ、そうなんだ。へぇ」
「なんですか?」
「いや、きみと彼の噂はよく聞いていたから、付き合ってるものだと思っていたんだけど、最近その噂をめっきり聞かなくなったもんだから、何かあったんだろうなぁって思っていてね」
「ああ、少しまえに従兄弟ってことが発覚しまして。それを周りの人に報告してたら消えましたね、その噂も」
「今では別の噂がたってるよね!」
「やめてください知ってますからソレ」
「生駒隊の」
「隠岐くんですねハイハイ付き合ってないです」
「えー、よく一緒にいるじゃない。キミたち任務のときも訓練のときもずーっと喋ってるって有名だよ」
「単に仲がいいだけデス」
「お互いの家にも訪問する仲で、」
「え、なんで知ってるんですか」
「弟クン公認らしいじゃないか!」
「ろんが隠岐くんのこと気にいってるだけですよ!」
「きみだって彼のこと気にいってるだろう?」
「まぁ、友達ですし」
「でも?友達より少し上の感情も、」
「ないですから!なんですかもう、急にズカズカと!」
「いや、あんまりにも過剰に反応するから楽しくて」
「もおホント勘弁してくださいよ……」
「……っていうな」
「……ほお」
「いや、もう隠岐くんについてどうこう言われんのは慣れてんだよ。そっちじゃねぇよ、王子さんのマシンガントークを丁寧に打ち返してたらこの様だよ」
「しゃあないな、お前いじるん楽しいのはわかるわ」
「もおおおお」
「なぁ松岡」
「ん?」
「俺もお前のその話聞いててめっちゃ疲れてもうたんやけどどないしよ」
「知るかよ」
「ついでにいうとちょっとイライラしてきてるんやけど」
「なんでだよ!」
「だから俺の機嫌とってや」
「意味わかんないんだけど!なにか?あ?キミも寝るか?少しはストレス減るぞ」
「……賛成。仮眠室いこ」
「えー、移動だっる」
「ここで2人で寝とったらまたイジられんで」
「あー!!マジだっる!!」
「……もしもし」
『ほんまに通話はできるんやな』
「……だれ?とおるくん?」
『隠岐くんやで。夜遅くにごめんな』
「……おき、……。こうじくんか」
『……なんで名前で呼ぶん、』
「……なに?ちょっと眠いんだけど……、急用?」
『まぁそんなもんかな』
「そっか。聞きますが、あんまりいい受け答えは期待しないでくださいね……」
『はは、了解』
「で、どういったご用件で?」
『……あー、っとなぁ。……寝られへんのやけど』
「切っていいですかーぁ??」
『あかんあかん』
「こっちは眠いんすよ~も~」
『えー、全然眠くならんのやもん、相手したってください~』
「……じゃああれだ、羊数えよ」
『ああ、なるほどな』
「はい、羊がいっぴーき」
『羊が2匹』
「ひつじがさんびーき」
『……羊がよんひーき』
「……、ひつじが」
『……』
「……すぅ、」
『ふはは、はやすぎやろ。……おやすみなさ~い』
少し声がききたくなっただけ
「……」
「……」
「……」
「っん~!! おいし~!」
「はは、そらよかったわ」
「っちょーおいしいんだけど!いままで食べた中で一番おいしいかも……」
「人の金で食うタルトやもんなぁ」
「あ、なるほどそれもあるな。いや、すっごいおいしいこれ……。一口食べる?」
「ええの?」
「キミ飲み物しか頼んでないじゃん。口の中が寂しいでしょ」
「んー、ならちょっとだけ貰おかな」
「はいっ」
「……え」
「ほら、どーぞ」
「……」
「なに?この量じゃ不満か?」
「……いや」
「じゃさっさと食べなされ」
「……ん、」
「……どやどや」
「……うまいな」
「でっしょー!!」
「なぁ、もう一口だけ」
「えー、結構な大きさあげたつもりなんだけど」
「もう一回」
「仕方ないなぁ」
「よっしゃ」
「……、はい」
「……ん、……うまいわ~」
「ね~」
「あーほんまうまい……」
「……キミおいしそうにたべるね」
「ん?お前も負けてへんで」
「いや、そんな幸せそうなキミの顔みたの初めてだったから」
「お前もタルト食ってるときが一番幸せそうよな」
「うん、おいしいもの」
「せやな~」
あーん、
「あ、隠岐くん」
「……」
「おーい、」
「……?」
「こっちこっち~」
「……あ、おい、」
「?」
「っ、止ーまーれーや」
「うぐっ」
「アホ」
「な、なんで、首しめなくてもいいじゃん……」
「お前、そのまま走っとったらぶつかってたで」
「え?」
「壁。ここ曲がり角になっとんねん」
「えっ……、あ、マジだ!ひー、あぶなかった~、ありがと隠岐くん」
「どういたしまして。……お前、1人で移動すんの止めたほうがええで」
「いやー、いつもはちゃんと傍に人を置いてるんだけどねー、奈良坂くんもキミも見つからなかったから~」
「なら連絡せぇよ、駆けつけんのに」
「いや、連絡手段も使いこなせないから」
「……お前よく生きてこれたな」
「それ三輪くんだかにも言われた」
「なんでいわれるまでSEに気づけんかったのか謎なくらいお前壁にぶつかるしな」
「……わりと、壁にぶつかっちゃうのって、キミと奈良坂くんのせいなんだけどね」
「ん?」
「なんでもないよ。それよりさ、今からヒマ?同級生でわちゃわちゃしてみよって話になってるんだけど」
「んー、もっとわかりやすく説明できん?」
隠岐くんや奈良坂くんを見つけると、壁があるとかないとか考えずに直行してしまうから
ゆんに拾われた話。
私が松岡さんについて知ってる情報は3つある。1つは、脳天や適当なところではなく、ひたすら相手の目を狙うスナイパーであること(鉛弾を手足にいれることもあるけど、トドメの一撃は必ず目だという)。1つは、同じくスナイパーのNo.2の称号をもつ奈良坂さんの従兄弟であること(那須さんとの血縁関係はないらしい)。最後の1つは、どこでも構わずに寝るような人だということ(とくに訓練所ではぐっすりと寝ているらしい)。
ほんとにその3つだけ。性格もわからないし、外見だって知らない。だって、あの人はそんなに目立つ人ではない。特別成績がいいわけでもないし、特別美人なわけでもないし、特別な能力をもっているなんて話も聞いたことがない。要するに、モブ属性の人なのだ。だけど、モブ属性なのは私も同じで、だから出逢えたのかもしれない(……なんて言ってみてみるけど、まぁ結局、特別な能力だけはあったらしい)。
私はおちこぼれオペレーターだ。いや、ギリギリおちこぼれそこなった普通のオペレーター、というのが正しいのだろうか。下の中の上、みたいな(例えからしておちこぼれている)。正直、自分のオペレーターとしての結果がでたとき、入ったばかりだけど、ボーダーやめようかと思った。こんなのいてもあしでまといだろうし。でも、優柔不断な私は、その日も結局ボーダーにきていた。仕事があるわけでもないし、やりたいことがあるわけでもないけど、なんとなく、あそこは熱心な人ばかりいて飽きないから。
そうしていたら、松岡さんに会った。会ったというか、見つけたというか、視界に入ったのだ。戦闘ボーダー隊員にしては珍しい、あの長い髪を揺らして、歩いていた彼女の姿が。特になにか特別なことがあったわけでもないけど、私は彼女のことを凝視してしまった。多分、ほんとに長い髪が珍しいと思ってただけだったんだと思う。ただボーッと、彼女の行動に身を任せてなびく髪をみていた。
そして、違和感に気づいた。彼女は、壁に向かって歩いていた。比喩ではなく、空間を隔てるごく普通の壁だ。迷う様子も、止まりそうな様子も、曲がる様子もなく、ただ壁に向かって直進していた。このままではぶつかってしまう。私は咄嗟に、彼女に手を伸ばした。
「あ、ま、松岡さん!」
「ん?」
彼女はくるりと私のほうを向くと、?マークを浮かべて微笑んだ。なにか用かな、なんて口が動いている。私は壁にむかって指をさした。
「あの、ぶつかりそうだった……ですよ」
「え?」
彼女は素直に私の指さした方に顔を向けた。そして、恐る恐るといったように手を伸ばし、壁にふれると、わぁと声をだして、挙げ句の果てに笑いだした。おかしい人だ。今度は私が?マークを浮かべると、松岡さんは私の肩をぱたぱたと叩いた。
「ありがとー、見ず知らずのかわいい子!」
「はあ、」
「にしてもこんなところに壁あったっけ?やばい、老化進んでるわー」
「あ、最近新しく設けられた部屋っすけど」
「あ、そうなの?」
通りで知らないわけだ、と今度はぺたぺたと壁を触りだし、壁に手を触れたまま、少し移動をし始めた。壁のはじっこまで手をもっていき、頷いている。その姿はまるで、目が見えていない人のようだった。私は無礼だとは思いながらも、問わずにはいられなかった。
「……もしかして、見えないんすか?」
松岡さんは壁のところを見つめていた目を私にむけると、にっこりと笑った。
「そうだよ」
ケロリと答えたそれは、あまり重くはなさそうにしていた。
「ていっても、ちゃんとキミの姿はみえてるから安心して。私、壁とかが透けてみえちゃう、所謂透視ってやつがSEなんだけど」
「……えええ、」
「あ、これ誰にもいっちゃだめだよ?弟にしか言ってないんだから」
「そんな秘密にしてること、わ、私にいっていいんすか」
「うん。キミは私をたすけてくれた優しい人だもの。で、キミのポジションはなに?みたところ、アタッカーではなさそうだけど」
「……オペレーターっす」
「……そっか。……キープっ!」
「えっ」
「キミ、これから私が許可するまで、隊に入ることも隊を作ることも許されないからね」
「え」
「はい、ゆびきーりげんまん、」
あれから数ヶ月。結局、隊に入ることはすぐに許可された。
そして、彼女に対する印象はガラリと変わった。彼女はなかなか影のこいモブで、特別な能力はもってるし、たくさん嘘をつくし、自分と自分の周りが大好きな人なんだって、最近知った。どれもこれも、本人から教えてもらったことだ。
『のんちゃん、もういないっぽい?』
「そうっすね、ベイルアウトおっけーっす」
あとちょっとだけ続く
『やったー!やっと終わったー!』
『こらー、ろん。帰るまでが遠足だぞ~』
「いや、まずこれ遠足じゃないっすから」
『こまかいことは気にしないの~』
『そうだぜのん~、みみっちぃな~』
「くたばれろん」
『なんでオレだけ!?』
『あはは!』
「あ、ゆんさん、ストップ!」
『ぐふえっ』
『ゆん?どしたの??』
『壁に……壁に熱烈なキッスをしてしまった……』
『またぶつかったのか~』
「フツーに今の石の塀っすよ。大丈夫っすか」
『痛覚offって素晴らしい!!』
「ハイハイさっさとベイルアウトしてくださーい」
少ししたら、自分しかいなかった部屋の奥から、聞きなれた笑い声がした。ニヤニヤしてしまう口はそのままに彼女らのほうにいけば、なにがそんなに面白いのか、バカ笑いしている姉弟。
「さっきゆん、ベイルアウトで噛んだでしょ!ベイリュアウトっていったでしょ!」
「それでもトリガーくんは反応してくるたからいいんですー!大事なのは噛まないことじゃなくて、きちんと性格に内容を伝えることなんですー!」
「噛んでたら元も子もないこともありますー!」
「……いや、どーでもいいっすわ」
「「なんだと貴様!!」」
任務後で疲れているのだろうというのに、私のほっぺを両方から引っ張るこの姉弟。この2人は忙しいしうるさいし、私は未だ使えないおちこぼれオペレーターだけど、まだここを手放したくはないと珍しく自分から思いはじめちゃったわけだから、頑張ってここで笑おうと思う。
やっとオペレーターの詳細を決めることができたので。
三浦のん
年:16 誕生日:4月25日
身長:156cm 血液型:O型
星座:ねこ座 職業:高校生
好きなもの:隊、ボランティア、アクセサリー
家族:両親、兄
トリオン:3 電気操作:6
情報分析:14 並列処理:5
戦術:2 指揮:4
TOTAL……34
せっかくだし外見と備考
松岡ゆん
出水みたいな前髪の分け方してる。黒髪でくびれの位置くらいまでの長髪。ブスじゃないけど美人でもないし可愛いともいれないけどまぁ悪くない顔。目はおおきいけど光がともってないから不気味。
透視のSE。大体会話文で説明されてる通り。5さいくらいから壁がみえない。だからトイレだろうが風呂だろうが解放感ばっちり。下ネタにはだれよりも耐性あると思う。いろんな人に「SEあるってのは内緒にしてね」って言ってる。「SEあるとまわりから気つかわれたりするのが嫌だもん~」といっているが、実際は「ぶっちゃけSEあって死ぬほど苦しんだことないんだよね。ほかのSEもちの人みたいにツライ思いしてないのに言いふらすのはちょっと……」っていう感じ。中学は奈良坂と一緒だけど高校は多分違う。小学生のときに弟と2人で三門デビュー。
ちなみに目しか狙わないっていわれてるけど、菊地原を撃つときは耳を狙います。イーグレット、アイビス、バックワーム、鉛弾あたりを使うイメージ
松岡ろん
センターわけで肩に着かない黒髪。目に光はともってます。とにかく明るい。最近好きな言葉は「マジヤッベー!」
レイガスト、スコーピオン。見本は風間さん
三浦のん
肩までの明るい髪にゆるくパーマをかけている。前髪は真ん中でわけてピンでとめてる。はやい話がミディアムのギャルみたいな見た目。
とにかく情報の流通に長けてる。多分時枝くんのこと好きだと思う。
とりあえず今確定してるのはこんなもんかな
「……もしもし?」
『おはよう隠岐くん今日も元気かい!?とりあえず外を見たまえ外を!』
「朝から元気やなぁ」
『いいから外見ろ外!』
「はいはい、……。……うわぁ、」
『え、なんでそんな嫌そうなの。キレイじゃない?』
「キレイなんはキレイなんやけどな、雪かきのこと考えるとな」
『キミっ、この銀世界を見てはじめに考えることが雪かきって、それでも高校生か!』
「高校生までなるとあんまテンションあがらんて」
『ろんくんもゆんちゃんも大騒ぎだが!?』
「ろんくんとゆんちゃんくらいちゃう。……さむ」
『いやいや、そんなことなっ、……え、なに?……なんだって!?』
「こたつあったか~……」
『大変だ隠岐くん!!』
「お前らの頭がか?安心せぇ、お前らはもともとそんなもんや」
『違う!のんちゃんが!「雪積もってますよだっrrrrrrrrる」って!』
「せやろ~?」
『みんなちょっと精神老けすぎじゃなーい? 私とろんを見習ってほしいわ』
「あ、ワンチャン米屋くんとかどうなん?やっててもやってなくてもなんとなく納得できる人」
『米屋くんはやってるでしょー!!ちょっと待ってて』
「はぁい」
『もしもーし!』
「どやった?」
『さっそく!出水くんと!米屋くんと!おある方で雪合戦をしているらしいですよ!』
「元気やなぁ」
『さて問題です、とある方とは誰でしょう』
「緑川くん」
『いやいや同級生』
「え。……み、三輪くん?」
『正解』
「うそやん……」
『でね、今そこに、奈良坂くんと辻くんと玲ちゃんその他大勢が向かっててね』
「みんな朝から暇なんか」
『つまりね、同級生が集合しかけてるわけ』
「ほーか」
『ところで隠岐くん』
「ん?」
『キミは何歳だい?』
「17やで」
『いったな?じゃあこいよ』
「えー、ほんまにみんなが行っとるん?しょうみ寒すぎて外でたないんやけど」
『……仕方ないなぁ、そんなキミのために、』
ピンポーン
「……」
「ゆんが迎えに来てあげたよ」
「お前ほんま何がしたいん?」
「キミを驚かせたい」
「喜びや、大成功やで」
「やったー!よし、外いきましょ」
「待って待って、よう見て、俺まだ着替えてへんから」
「うわマジじゃんさっむ」
「だから出たないって言ったやん~」
「じゃあちょっとあがらせて」
「はいはい」
「よし、3分間だけ待ってやる。それまでに支度しな」
「も~、ほんまにみんな来るんやろな~……?」
「来なかったとしても、私がいれば充分でしょ?」
「まぁな~?」
「あはは、照れるわー」
「あ、」
「ん? おー、松岡じゃん。隠岐と奈良坂は……いねぇみてぇだな。珍しいじゃん、1人でこんなところに」
「……いや、この際もうキミでいいや」
「あ?」
「出水くん、キミ、誰か宛てのラブレターはもらったことある?」
「なんだそれ。ねぇよ」
「いやあるでしょ、米屋くん宛てのラブレターとか貰って渡してそうじゃん」
「お前俺に対してそんなこと思ってたの。ねぇよ」
「うそ、ええ、じゃあもうキミに用ないよ、立ち去れ」
「まーまー、ゆんさん、話くらい聞きますよ」
「ヒマかよ~」
「お前ほんと可愛くねぇな、さっさと吐け」
「仕方ないなぁ。……ほら」
「ん?……あ、お前まだ奈良坂のラブレター処分係やってんの?」
「違う違う、宛先見て」
「……、……おお、隠岐のじゃん。あいつもついにお前に処理を任せるようになったか」
「違う。よく見て。もっと詳しくみて」
「は?……」
「……」
「……」
「米屋くんだったらもう気づいてた」
「うっせ槍バカと一緒にすんな」
「一緒にしたんじゃなくて下に見たんだよ」
「……」
「……」
「……あ、これまだ封開けてなくね?」
「正解」
「え、……隠岐、内容も読まずに処分、」
「だから違うって。会話の流れをよみとって」
「……」
「……」
「……もしかして、誰かに隠岐に渡すように、頼まれた?」
「大正解」
「……で?」
「うん?」
「なにをそんなに深刻そうにしてんの?」
「私ね、他人のラブレターを読んだり処分したりっていうのは結構やってきたんだけどね、この役は初めてなんだ」
「フツーに渡せばいいじゃん」
「問題はそこじゃないんだ」
「?」
「実はね、隠岐くん宛てのラブレターって見たことなくてね、でもこれを素直に渡したら、せっかく私の手のもとにあるのに一生私はこのラブレターを読めなくなってしまうわけだよ」
「……つまり、これが読みてぇってことか」
「うん。読んだのがバレないように読みたい」
「こういうのにSEきかねぇの」
「残念ながら」
「ゴミだな」
「ほんとそれ」
「つってもなー、封開けるしかなくね?」
「んー、」
「もしくは、隠岐と一緒に読むとか」
「……隠岐くんが読んでるときに?さも当然のように一緒になって読めと?」
「うん」
「いや無理でしょ」
「いけるいける」
「……何を賭ける?」
「なんで賭け事になんだよ。……エビフライ」
「私べつにエビフライ好きじゃないし。タルトがいい」
「じゃあエビフライタルトな」
「キミはそれを美味しいと思えるわけ?」
「お前が作ったタルトなら多分どんなんでも美味くなるはず」
「私が作る前提かよ。……のった」
「おし、頑張れよ。転送開始」
「松岡了解ー。……、」
「あ、バカ走んな!壁あるからっ、」
「ぐふぅ」
「ほんとバカだなお前~」
「べ、べいるあうと……」
「俺が近くにいるので無理でーす。頑張って目的を達成してきてくださーい」
「くっそ~……」
「あ、出水さーん!」
「ん?……おー、ろんか。なんだ、やるか?」
「いやー、魅力的なお誘いではあるんだけど、それどころじゃなくってさ」
「?」
「うちの隊室来てくんない?」
「なんで?」
「ゆんが呼んでる」
「松岡がぁ?」
「うん。正直空気おもすぎてツライから1人で行ってほしい」
「え、なにがあったのアイツ。てかそういう状況なら俺じゃなくて奈良坂呼べよ」
「だってゆんが出水さんを呼べっていうんだもん。透くんはどうだか聞いてないけど、間違ってもコジさん呼んできたら殺すっていわれたから透くんもダメなんじゃね?」
「……隠岐を呼んだらだめで、俺をご指名、と」
「うん」
「了解、察した。すげぇいきたくねぇ」
「はいがんばってー!」
「お前そういうとこすげぇ姉ちゃんに似てるぞ」
「そっか!行ってらっしゃーい!」
「あーもうめんどくせ~」
コンコン、
「おーっす松岡、」
「入るな」
「は?」
「貴様がほんとに出水公平かどうか確認しなければならない」
「あ、じゃあ俺 出水公平じゃなくていいから帰っていい?」
「まぁまて。貴様が出水だということは実は知っている。あくまでも確認だ」
「さっさと入れろよ」
「あいことばを言え。……賭け事の賞品は?」
「あ、エビフライタルト食いてぇ。作ったか?」
「作るわけないでしょバーカ!!なに**ッとしてんださっさと隊室(中)入れボ ケ!!」
「お前ほんとそういうとこ直したほうがいいと思うぜ」
「うっせ!さっさと座れ!コタツあんぞオラ!!」
「はいはい。で、どうした?珍しく俺なんかを呼びだして。相談事なら仲良しの隠岐にすればいーじゃん」
「あーお前ほんとあとでぐちゃぐちゃにしてやるからな」
「言ってろB級」
「……」
「……」
「……」
「……で?」
「……ラブレターの件、覚えてる?」
「ああ、昨日のことだしな。さすがに覚えてる」
「そしたらね、」
「成功したか?」
「なんか無視されるようになった」
「あー、さすがに引かれたのか」
「やっぱり!?やっぱり引かれたのかな!?」
「ぶっちゃけ悪趣味だしな」
「ううっ、」
「奈良坂が優しかっただけなんだろうな。やっぱりお前の相手は隠岐じゃなくて奈良坂がピッタリだと思うぜ。ほらさっさとタルトつくって泣きつきにいけ」
「いやまずどっちもそういうんじゃないし……、奈良坂くんに関してはただの従兄弟だし……」
「従兄弟って発覚するまえは両思いだったのにな~」
「で、無視されてるわけなんだけど、どうしたら隠岐くんの機嫌とれるかな」
「謝ればよくね?隠岐は寛容なほうだし、謝ればすぐ許してくれるだろ」
「な、なにを謝ればいいんですか」
「なにをって……、あいつがどのタイミングでイラついたかによるよな。詳しく教えろ、アドバイスしてやっから」
「あーマジメシア。例のものを渡したのは、昨日の帰り道だったんだけど……」
「あ、あのー、隠岐くん」
「んー?」
「えーっとね」
「んー」
「……えっと」
「なんや急にモジモジして。らしくないな」
「いや、えっと~、……これ、なんだけど」
「? ……えっ、」
「いや、あの、なんというか、とりあえず受け取ってくれますか……?変に緊張が収まらないというか……」
「……え、いや、せやかてお前、は?」
「……」
「……お、あ、ありがとう」
「……」
「……」
「……えっ」
「……ん?」
「よ、読まないの?」
「えっ、いや、目の前で読まれたら恥ずかしいやろ」
「いやむしろ読みたいんだけど」
「自分これ読み返さんかったんか!?普通、誤字あらへんよなーとか、ちゃんと伝わるかなーって何度も読み返して恥ずかしなるもんちゃうん?」
「え、……?」
「なんでわからんの!?……なん、こ、ここで読めばええんか」
「あ、はい」
「……」
「……」
「なんで一緒になって読もうとすんねん!お前の羞恥の基準わからんのやけど!」
「え?え?」
「……は~、もうええわ」
「うん?」
「……」
「……」
「……は?」
「……いやー、すごい熱烈なラブレターだね」
「……」
「これはもう付き合うしかないのでは?安心して、これ渡してきた女の子チョー可愛かったから。隠岐の好みは知らないけど、おとなしそうな子だったよ。いいんじゃない、付き合えば?」
「……」
「……隠岐くん?」
「……なるほどな」
「?」
「うん、よーわかったわ」
「なにが?」
「お前がめっちゃ嫌なヤツってことがよーわかったわ」
「えっ」
「……」
「え、ちょ、待って隠岐くん、ちょっ!なんで逃げ、ぐふぅっ」
「……」
続く
「……っていう感じ?」
「……あー」
「なにがショックだったってさ、私が壁に顔打ち付けるようにワザと曲がらなくていい道曲がっていっちゃったことだよね」
「あー」
「……で、どこで彼がイラついたかわかった?」
「……んー、」
「……」
「……お前の態度?言い回し?が足りなかったところと、察しが悪いところ」
「えっ」
「正直に言わせてもらうとな、あの言い回しは勘違いするぞ」
「え?」
「なにが受け取ってくれだよ、なにが緊張しちゃうだよ、そんなん誰でも「松岡からのラブレター」だと思うだろ」
「……えええええ、」
「そしたら納得できねぇ?お前からのラブレターかと思ってたら、急に一緒になって読もうとかいうし、困惑してたら挙げ句の果てに全部自分の勘違いで、これは松岡からのではなく見知らぬ誰かからのラブレターだったわけだよ」
「……」
「そりゃあ、なんかイラつくだろ。知らないうちに振り回されて、期待させといて」
「……」
「……」
「……ど、どうすればいいのか本気でわかんないんだけど」
「……」
「……」
「……とりあえず、」
「うん」
「……タルトを作るか」
「詫び品ですか」
「そうだな」
「エビフライタルトですか」
「それは俺への詫び品な」
「えー、でも隠岐くんが何好きかとか知らない…私知らない……。なんで隠岐くんなんだ、奈良坂くんだったら好きなものわかるのに……」
「お前な、そう何かにつけて奈良坂奈良坂いうのもやめたほうがいいと思うぞ」
「ううううううううそんなんもう癖だもーん!無理だよー!」
「そこは頑張れよゆんさん」
「んー……、とりあえず、まぁ、チョコタルトでも作りますよ。作ったとしてだよ、私はどうやって謝ればいいわけ」
「……」
「……」
「……こくれば?」
「**」
「だって他にねぇだろ!「昨日は勘違いさせちゃってごめんね。ところで私は手紙なんかじゃなくて口頭で伝える派なわけ。さぁ隠岐くん、私と付き合ってください」どうだ、これで」
「どうだじゃないよ、どこも良くないよ。妙に私の言い回しわかっててキモいし」
「キモイはやめて、傷つくから」
「っていうか、こくるってのは無し。それ以外で」
「……」
「……」
「……えー、わかんねぇ。男心難しくね?」
「キミ男でしょーがぁ~!!」
「でもなんて言えばいいんだ?「私の言葉がたりなかったせいで勘違いをさせてしまってすいません」……とか?」
「……それしかないな」
「それ+タルトだから」
「了解。今から作る、付き合え」
「……仕方ねぇな、のりかかった船だ。エビフライなら任せろ」
「手伝う気サラサラないじゃんか。もー、チョコ溶かすだけでいいからやっといて」
「出水了解~っ!どうせなら槍バカとかにも手伝わせるか」
「米屋くんよりは三輪くん……、いや、やっぱやめて、この件をあまりいいふらしたくない」
「なんで?」
「……この話だと、まるで隠岐くんがマジで私に気があるみたいじゃん」
「……は?」
「私の曖昧な態度で勘違いしただけなのに、噂となってとんでたったら本当にそういうことになりそうで怖いよね……」
「俺はお前が怖ぇーよ」
「え?」
「ま、いいや。さっさと作ろーぜ」
「ん、松岡了解」
「……おお、どないしたん、隠岐。死んどるやないか」
「……どーも」
「せっかくのイケメンが台無しやで、せめて外見だけはしっかり見せな」
「それイコさんに言われると説得力半端ないっすわ」
「ん?」
「なんでもありまへん」
「で、自分がこないに落ち込んどるなんて珍しいやん。どないしたん?話聞くくらいならするで」
「……えらい機嫌ええですね、ナスカレーでも食いました?」
「いや、さっきゆんちゃんと会うてな、」
「……」
「なになに、めっちゃ睨んでくるやんこわ、ゆんちゃん関連なん?せやからそんなに情緒不安定なん?」
「話続けてええですよ」
「いや、」
「ええですよ」
「お、おん……。なんや、太刀川のとこの射手おるやん」
「……出水くんですね」
「それ。それと一緒になって騒いでてな、どないしたんーって入っていったら、2人でタルト作るんやって」
「へぇ」
「そのタルトの中身がおもろいんや。なにタルトやと思う?」
「たけのこタルトちゃいます?」
「それもおもろいけどな、エビフライタルトやって。そんなん絶対マズいやんか。せやのにあの2人めっちゃ楽しそうに材料調達に向かってるんや。そんなんおもろいから、まぁ俺の機嫌もようなるわな」
「……へぇ」
「で、自分はどないしたん、隠岐」
「……」
「いつもやったらイズミクンの位置は自分やん、なんや、ゆんちゃんと喧嘩でもしたんかいな」
「……」
「……マジか、自分ら喧嘩とかするん」
「喧嘩……では、ないですけど、」
「?」
「……イコさん」
「おん」
「出水くんとおるとき、松岡楽しそうでした?」
「めっちゃ笑ったり怒った忙しそうやったで」
「……はああああ」
「お、」
「……あいつ、ほんまずっこいと思いません?」
「?」
「あいつ、ずーーっといーっつも俺にくっついとるんです。俺見つけるとすぐ寄ってきて、周りよう見てへんから壁ぶつかりそうになって、俺が気付いてやらんとどんどん顔にぶつかった跡できてくんですわ。その跡みんのもしょうみ嫌いやないんです。せやけど、みてて痛々しいから、毎回壁にぶつかる前に俺が止めてあげたりしとるわけなんすわ。っつーか、アイツ俺を見かけようがなんだろうが、1人で歩いてると必ずどっかしらにぶつかるんです。誰かがついとらんとまともに歩くこともままならんのですよ。だけどアイツのこと常に相手できるヤツなんておらんくて。奈良坂くんはA級で忙しいし、ろんくんはポジション違うし。そうすると俺がアイツの世話焼かなあかんことになって、せやから俺めっちゃアイツをエスコートしとるんです。その癖してアイツ、俺に恩を返さんどころか、奈良坂くんさえ忙しくなきゃすーぐそっちいってまうし、こないに俺と喧嘩して距離開いても、そんなん気にしないみたいに他の男とじゃれあっとるんですよ。いつんなったら俺の世話焼きは報われるんすか、いつになったらアイツは俺に懐くんすか。ほんまずっこいですよ、アイツばっかり悠々に過ごしとって」
「……つまり、俺はめっちゃゆんちゃんに構ってんだから、ゆんちゃんも俺に尽くせってことやんな?」
「……大分俺に悪意ある纏め方ですけど、まぁ、間違っとらんですね」
「……それは無理ちゃう?ゆんちゃんやし」
「だからずっこいって話なんすわ。俺はあいつと距離とって寂しい気持ちでいっぱいや言うのに、アイツときたら他の男に絡める余裕があるんすよ。ほんまありえん」
「それゆんちゃんに言ったらどうなん?」
「イヤですよ、こんなん告白みたいなもんやないですか」
「違うん?好きなんやろ?」
「俺は負け戦はしたないです」
「これだからイケメンは……」
「イコさんやって顔ええでしょう」
「おまえにいわれてもイヤミでしかないわ。ほら、追いかけんでええのか」
「……え、松岡を?」
「そうや」
「いやいやいやないない、ないですって。無視してんのはこっちなんに急に何事もあらへんかったように話しかけんのはさすがにハードル高いっすわ」
「いや、隠岐はイケメンやからいける。もう素直に言うてこいよ、そうすれば思う存分束縛できる立場にたてるで」
「いや、束縛したいとかそういうんはべつに」
「あれだけ言っといてマジかお前」
「とにがく嫌ですってー、俺こっから動く気あらへんし」
「とんだ17歳児やな。まぁそこまで嫌がるならええけど、はよ仲直りせぇよ。長ひびいて長びいて、つぎの松岡隊との任務に影響でたら面倒やからな」
「了解です~」
「……どうしようもないやっちゃな」
「気のせいですって」
「で、どこで作るんだよ」
「え、キミんとこの隊室」
「いや無理無理。揚げ物できねーし、第一太刀川さんいるからめんどくせーぞ」
「あ、マジ? どうしよ」
「お前ん家は?」
「いや、今ちょっと汚くって……」
「あー……」
「……」
「……」
「「……食堂、」」
「だよな、食堂しかねーよな」
「うん。キミA級隊員だし、無理いえば使用許可おりそうだよね」
「マジA級一位様々」
「ごめんねぇ、さすがにダメかなぁ」
「うそでしょお姉さん!」
「俺A級一位ですよお姉さん!」
「いやぁ、私もわかんないけど、今まで隊員がここを料理目的で使ったことないからねぇ」
「じゃあ私たちが第一人者ということで」
「うーん、無理なものは無、」
「どうかしたのか?」
「えっ」
「あ、」
「嵐山さん!あ、丁度いいや!嵐山さん、ちょっと来て」
「出水くん任せたよ!」
「おっけー」
「え、え?」
「嵐山さん、俺たちどうしても食堂で料理したいんです、あのお姉さん口説いてきてください」
「え、え?」
「えっと、嵐山さんて松岡と面識ありましたっけ?」
「いや、ないな。賢と充が松岡隊のやつらに世話になってるだけで」
「あー、じゃあ松岡のことそんな知らない感じですか」
「透視のスナイパーだろ?」
「それだけですか?」
「ああ」
「そっか~……。えっとですね、松岡、今ちょっと面倒なことになってて」
「?」
「あいつの……友達?を、怒らせちゃったらしくて」
「けんかか?」
「まぁそんなもんです。で、確実に松岡が悪いので、なにか詫び品を作って謝罪して、仲直りをしたいんですよ」
「そういうことか!そうだな、仲直りするのは大切だぞ。よし、協力しよう。力になれるかどうかわからないが、彼女にはいつもウチのが世話になってることもあるしな」
「ありがとうございまーす!」
「あの、すいません」
「はーい?……あら、嵐山くんじゃないの!」
「こんにちは。ところで、出水と松岡さんの件なのですが、使用許可出していただけないでしょうか。万が一なにか問題があるようでしたら、俺が責任とりますので」
「え、そう?ならいいわよ!」
「「嵐山さんハンパねぇ」」
「はは、よかったな、出水、松岡さん」
「はい、ありがとうございます!」
「さて、やりますよ出水くん」
「ああ、最高のエビフライをつくってやる」
「目的を見失ってない?チョコがさきだからね」
「うぃーっす」
「……」
「……」
「……」
「……あ、いた」
「……」
「おーい!隠岐くーん!!」
「……」
「無視すんなバカー!!」
「ぐふっ、」
「……」
「……」
「……」
「……」
「尚無視かよ!タックルまともにうけといて無視かよ!」
「……」
「ねー隠岐くーん、こっち向いてよ~、っていうか喋ってよ~」
「……」
「おーきーくーん」
「……」
「こーじくーん??」
「うっさいわぁ」
「しゃべった!」
「なんやねんお前」
「隠岐くん、はいこれ」
「……」
「えーと、先日は私の言葉がたりなかったせいでいろいろ勘違いさせてしまったみたいですいません。これで機嫌直してください……」
「……ほんまアホちゃう?」
「えっ」
「タルトで機嫌とれるんお前だけやろ。これお前が食いたいだけとちゃうんか」
「そうだよ。食いたいの我慢してキミに捧げてるんだよ。受け取ってよ。食べてよ。機嫌直してよ。無視しないでよ」
「……」
「……」
「なんやねん、他のヤツんとこ逃げたんはお前やろ……」
「ん?」
「あーもう、ほんまお前ずっこい。一周まわってうざい」
「えーっ」
「あと3回くらい謝ってくれん?形だけでええから」
「……ごめん、ごめん、ごめん」
「……しゃあないなぁ、ほら、食うで」
「え、いやこれキミのだし」
「こんな甘ったるそうなの俺1人で食えへんわアホ」
「い、いいの?」
「いいもなにも食えって言うとるやろ」
「わ、やったー!ありがと隠岐くん大好き!」
「……ほんまアホやわぁ」
「ところでエビフライタルトはどないなったん」
「え、なんでしってるの」
「で?」
「ふつうに成功したけど」
「うまいんかそれ」
「おいしいよ」
「ほんま?」
「エビフライとタルトの味がまざりあうことないから普通においしかったよ」
「それタルト生地作る必要絶対あらへんよな」
「だって私エビフライ特別好きってわけじゃないし、てか出水くんがそれがいいっていうから」
「彼も大概アホやなぁ……」
「一応天才のはずなんだけどね……」
「ねぇ、絶対明日は家にいて。外にでないで」
「やだよ。任務あるし」
「それにいくなっていってんの」
「任務にいかなかったら、私はなんのためにボーダーやってるわけ」
「明日の任務いったらお前消えちゃうんだよ」
「そんな危険な任務なら尚のこと行かなきゃな」
「お前がいかないってなったら、太刀川さんが代わりにいってくれんの」
「太刀川さんを守らなきゃ」
「太刀川さんなら大丈夫なんだよ」
「わー強いねぇ」
「ねぇ、だからいかないで。ずっとここにいて」
「でも私ボーダーだしなぁ」
(奈良坂とゆんで寝ている人にやりたいことをしないと出られない部屋)
「……」
「……」
「……ほんとに寝てるな」
ぐにー、と頬を引っ張ってみても、長いまつ毛を数本抜いてみても、目前に眠るたけのこ王子サマが起きる気配はない。はて、と腕を組んで考える。私はわりと素直な人間だと思う。だから、やりたいと思ったことは、そのときそのばでいつも実行している。即ち、今更改まって彼にやりたいこともなにもないはずだ。だが、それも困る。なにも思いつかないからといってこのまま過ごしていても、穏やかに眠る彼は起きないし、ここの部屋の頑丈な壁も開かないだろう。
そうとなれば、やるべきことは1つ。とにかくなんでも試してみるのだ。幸いこの部屋には、ある程度のものが揃っている。私は、数々思い浮かんだ「彼にしかける行為」のなかで、最もやってみたいと思えるものを選び、水性ペンを取り出した。
「っく、くふふ、あはは!!」
あの王子サマの顔に、落書きをしてやった。どうせお互いトリオン体だ、本体には影響はないわけだし、と、迷わず、目を丸で囲ったり、髭をつけてやったり、普段奈良坂くんが私にやってくるような落書きをしてやった。いわば、仕返しみたいなものだった。
だが、扉があく気配は一切しない。ひとしきり笑ったあと、また冷静になって考えてみる。正直、最有力候補だったので、すこし意外だ。なんだ、私はこいつになにがしたいんだ。手を顎にあて、彼の顔をじっと眺める。落書きされても尚眠りつづける姿は、少し此方を不安にさせる。もしかして、時間制限とかあって、このままじゃ死んじゃう……。なんてこと、ないよね。
一度後ろ向きな思考がでてくると、案外それは簡単には消え去ってくれなくて、うーん厄介なことをしてしまった。とりあえずおちつかせるために彼の頬をぐにぐにと触ってみるが、一向に反応を示さない。
「……」
「……奈良坂くん」
「……」
「……透くん、」
「……」
「……開かないし」
いよいよお手上げである。私は最終手段にでることにした。傍らにはイーグレット。これで壁をぶちぬいてやろう。どうせ外はボーダー機関のどっかなんだ。だって、私の透視能力が効かない壁なんて、普通無い。それがここに存在しているということは、これはなにか特別な壁で、そんなことができるのはボーダーくらいだろう。とくに確証はないけど、あの機関は少し何でもアリなところがある。
私はイーグレットを構え、扉の鍵穴に焦点を合わせた。動かない的を狙うのは苦手だが、どっちみちこの部屋を半壊させることは決定事項だ。私は、少しの罪悪感も何ももたずにトリガーをひこうとしたところで、すんでのところで止めた。ふと、彼のほうを振り返る。穏やかに眠る、ふざけた顔。私は星を飛ばせると、もしやと、若干自分にひきつつ、彼に近寄った。そして、彼の右目に、銃口を突きつけた。
「……ど、どうせ死なないしね。一応、一応試してみて、ダメだったらだめで部屋を壊すのをまた再開すればいいわけだから……」
「……」
「……ご、ごめんね、」
ズドン。そんな音がした。銃口からは彼のトリオンが溢れてきていて、私は恐る恐るといったように、そこからイーグレットを離した。すると、
「ひぃっ」
奈良坂くんの左目が、開いていた。私はさすがに笑うこともできず、驚いてしりもちをついてしまった。ガチャリと開錠された音が聞こえたけど、それどころではない。奈良坂くんはふざけた顔のままベッドからおり、私の前にたち、しゃがんだ。片目がない状態の奈良坂くんが、目の前に。ああ、なんて言い訳をしよう。私だって、私の本音に、若干ついていけてないというのに。
奈良坂を一回も撃てたことがなかったゆんさん
「……嘘を見抜くSE、」
「そうだよ」
「うーん、じゃあキミとはあんまり話したくないなぁ」
「なんで?」
「私、嘘ばっかりついて生きてるから」
「なんで嘘吐くんだ?」
「自分を守るためだよ」
「例えば?」
「えっ。……うーん、私、自分のSEのことは弟にしか話してないの。周りの人みんなに言って、それが広まっちゃったら、みんなから軽蔑の目で見られちゃうでしょ。それが怖いの。……こんな感じ」
「ふーん」
「なんだい、その顔は」
「お姉さん、名前なんだっけ」
「松岡ゆんだよ」
「ゆんさんか。ゆんさんは優しいんだね」
「……、嘘を見抜かれて、優しいって称されたのは、初めてだな」
「あ、嘘ついたね」
「あはは、うん、3人目だよ。弟と従兄弟くんは見抜いても優しいって言ってくれたね。私はそんなキミたちの気が知れないけど」
「ゆんさんは優しいよ。少なくとも、おれがネイバーであることを知ってるにも関わらず、こうやってジュースまで奢ってくれたんだしね」
「ありゃ、知ってることもバレてたのか」
「うん」
「SEハンパないね」
「それは自分が一番わかってるんじゃない?」
「いや、私のSEなんか大したことないもの。壁が透けるだけって」
「それでも、ボーダーの役に立ててるじゃん」
「私がいなくても変わんないよ、ここの組織の戦闘面の充実っぷりは」
「そうじゃなくて、ゆんさんがいるお陰で、救えてる命があるでしょ。少なくとも30こくらい」
「随分現実的な数字を使うね。……とても前向きな意見だね、私もそう考えられたら楽なんだけど」
「むずかしいことではないぞ。ゆんさんが卑下するのをやめればいい話だ」
「それが難しいんだよ」
「めんどくさいな」
「よくいわれる」
「ところでゆんさん、スナイパーだっけ」
「うん?そうだよ」
「なら、チカが世話になる機会があるかもな」
「ああ、トリオンモンスターね!」
「知ってるのか!」
「あの場にいたもんーっ。あれ凄かったなぁ。なに、キミの彼女?」
「違う。同じチームなんだ」
「あー、そうなの。あはは、じゃあ、近々対戦する機会もあるかなぁ」
「え、でもまだB級だぞ」
「私もB級だよ」
「え!」
「そんな驚く?」
「いや、ゆんさん、よくだれかと話してるの見るけど、ほとんどがA級じゃん」
「同級生みーんなA級だもの。でも、普通にB級でしょっちゅう話すヤツもいるよ。どっちみち私より強いけど」
「へー。じゃあ、対戦するときはよろしくな」
「キミは強いらしいからあんまり戦いたくないんだけどね……。あ、そうだ、キミはアタッカーなんでしょ?じゃあ、今度私の弟紹介するよ」
「ほう」
「松岡ろんっていうんだけど、基本的に……。……誰といるんだろ。多分いろんなところウロウロしてるようなヤツだからすぐ知り合えるよ。私に似てるから見ればわかるだろうし」
「へー。つよい?」
「ん~……。それなり」
「それなり」
「まぁ、適当に相手してやってね」
「了解」
「あ、お迎えきたんじゃない?」
「む?」
「よ、お二人さん」
「どうも迅さん」
「2人は知り合いなのか」
「私SEもってる人にすっごいグイグイいく人だから」
「ああ、こられた」
「でしょ?」
「はは、もう仲良くなったのか。そりゃ良かった」
「良いことですか」
「ああ。ゆんちゃんは秀次と仲良いから、もしかして仲良くなれないかなーって思ってたんだけどな」
「ゆまくん」
「嘘だね」
「げっ」
「うん、今のは私でも嘘ってわかるよ。だって、私が、ネイバーといえどSEもちを嫌いになるはずがないもの」
「あー、そうだったな。ごめんな」
「む~、偏見に過ぎないが、SE持ちって嘘をつきたがるな」
「うん、偏見だねー。他の人は嘘つかない人ばっかだねー」
「オレらがイレギュラーだな」
「シロくんは恐ろしいほど素直だし、村上さんは嘘つくような人じゃないし、影浦さんの嘘はただのツンデレだし」
「陽太郎だって、嘘つくような年齢じゃないしな」
眠いから続きはいつか
多分流れ的には
(0.従兄弟だと発覚)
1.隠岐くんと出会う
2.奈良坂くんと仲良しなんだよアピールしつつ隠岐くんの世話をやかなければならなくなるゆんさん
3.隠岐くんとよく行動するようになる
4.ろん入隊
5.隊結成、隠岐くんの好意があからさまになってくる
6.B級6~8位をうろつきはじめる
7.ゆんが隠岐の気持ちに感づきつつもスルー
8.原作開始
っていう感じ。
イメージ的にはゆんさん三輪くんと同じクラス。なにかいい案が思いついたらそのつど改変
こんこん、
「三輪くんいますかー?」
「……松岡か」
「あれー、マジでいるじゃーん。珍しいね、隊室にいるの」
「それほど珍しいわけではないぞ」
「え、私が来るとき大体ここの隊室誰もいないのが普通なんだけど。奈良坂くんと古寺くんは訓練いってるし、米屋くんは模擬戦にいってるし、蓮さんは見たことないし、キミも基本いないし」
「松岡の間が悪いだけだな」
「ええ、そうかな……?」
「というか、話を少し戻すが、お前は俺が居るのが見えていただろう。何故わざわざ驚くような態度をとるんだ。そういうことをやめないからまた嘘をつくのが癖になるんだ」
「ご、ごめん……。いや、キミがいるのはわかったんだけど、もしかしてキミに会いたすぎての幻覚なんじゃないかと……」
「……はぁ。で、何の用だ?」
「えーっとね、これなんですけど……」
「……」
「そ、そんな目しないで」
「提出は明日だぞ。どこまで終わっていない」
「……137ページまでじゃん?」
「ああ」
「93ページまでは終わらせました!」
「前回の出題範囲から1ページも進んでいないが」
「だ、だって、いろいろ忙しくって」
「ほう。A級の俺より忙しかったか、B級隊員」
「仕方ないの…今月の報告書に手間取っちゃってて……それで……」
「……ああ、ろんが暴れたらしいな」
「あいつダメだよ、同級生が同じ任務についてるだけでチョーはしゃいじゃってさぁ」
「お前だって同級生が同じ任務についてるとお喋りが止まらなくなるだろう」
「……否定しない」
「否定できない、な」
「まぁとにかくそういうことなんですよ!お願いします!課題写させてください!」
「……」
「……」
「……なら、」
「はい!」
「俺と模擬戦をして、」
「負けたほうが勝ち!?なら余裕だね!」
「バカか」
「無理だって、三輪くんに勝つのはキツいって」
「何も勝てとはいってない。10先で、お前が一点でもとれたら写させてやる」
「お!」
「ただし、イーグレットとアイビスの使用は禁止だ」
「……げ」
「お前、俺が教えてやった鉛弾、使いこなせているらしいと聞くぞ」
「それだれに聞いたんですか」
「奈良坂」
「奈良坂ぁ……!!」
「だから、師匠として、弟子の実力を見てみたいと思ってたんだ」
「マジ?いや、ほんと無理だって、鉛弾くんはあくまでもサブで、不意打ちを狙って使ってるだけで」
「メインで使えることに越したことはない」
「そうなんだけど!それはガンナーさんのお仕事というか!私はあくまでもスナイパーというか!」
「俺の弟子な時点で立派なガンナーだ」
「第一キミを師匠にもった覚えもないしね!」
「……、じゃあいくぞ」
「なんで今笑ったの!?なんか面白いことあったかな!?あ、まって三輪くん!、ぐふ、」
「どんくさいな」
「いま、いま絶対わざと閉めたでしょ」
「さあ」
「も~!!」
「お前弱くなったか?」
「だから!本職!スナイパーだから!」
「俺が教えていたときのほうがまだマシだぞ」
「だ、だって、あのときみたいに毎日世話ないてもらってないし、腕は落ちるばかりにきまってんじゃん」
「だったら訓練しろ」
「鉛弾の訓練とか、キミがいないときにやっても意味ないよ」
「そんなことはない。お前はやればある程度できるんだから、もっと積極的に行動していけ
「はーい……」
「……」
「にしても、課題はもう諦めるか……」
「大丈夫なのか、成績」
「だって、今からやっても無理だもん、あんなの……」
「……教えてやるか?」
「……え、でも私負けたし」
「俺が条件を出した上で交渉したのは課題を写させることだ。べつに課題を手伝う手伝わないの話しはした覚えがない」
「……ほ、ほんとにいってる?」
「本当のことだろう」
「~!三輪くん!!好き!!」
「約2名面倒な気持ちを抱くやつがいるから、唐突な告白はやめろ」
「はーい!ありがとね、三輪くん!」
「ああ。さっさと終わらせて訓練するぞ」
「……え、それは聞いてないよ」
「……はぁ」
「また悪かったのか。見せてみろ」
「えー、やだ」
「課題を手伝ってやったヤツに言う言葉か?」
「仕方ないなぁ……」
「……」
「……」
「……国語だけとれる。勉強をしないヤツの典型的なパターンだな」
「うっ」
「松岡、なにも知恵熱で倒れるほど勉強をしろとはいってないんだ。人並みに努力をしろ」
「……そ、その努力に費やす時間が、なくて」
「なぜだ。A級の俺ですらあるぞ」
「いや……」
「お前は出水たちのようにゲームをするわけでもないし、太刀川のように課題ほっぽりだして訓練に勤しむってタマでもないだろう。お前はヒマ人なはずだ」
「けっこうグサグサいってくるね!?」
「で?」
「……」
「……」
「……いや、フツーに過ごしてるだけなんだけどね?」
「ふつうに」
「フツーに」
「よし。なら、お前の生活をグラフ化するぞ」
「ん!?」
「とりあえず座れ」
「え、いや日直の人に迷惑なんじゃ」
「今日の日直は俺だ」
「あ、ハーイ」
「まず、朝は何時に起きる?」
「そこから? えーと、5時」
「で?」
「で、って。そのあと、ろんを起こして朝食食べて、身支度して、7時には学校着くようにしてるよ」
「……、学校が終わるのが、まぁ大体17時ということにして、それからは?」
「ボーダー行く。早くても20時まではいるね」
「そこだな」
「え?」
「そこの時間を勉強に当てろ」
「ええええやだやだやだ」
「やだじゃない。訓練室行っても寝てるだけってよく聞くぞ」
「誰から?」
「奈良坂」
「奈良坂ぁ……!!」
「どうせ寝るならその時間を勉強にあてろ」
「ええ……。ボーダーで勉強……?気分のらないよね……」
「俺がいつでも教えてやるが?」
「えっ」
「それに、ボーダーには進学校のヤツらだっているんだ。家で1人で勉強するよりはるかに捗るだろう」
「でも、進学校ったって、綾辻さんは基本いないし、亜季ちゃんは顔見知り程度だし、歌歩ちゃんは歌歩ちゃんどころじゃなくなるし、辻くんは辻くんだし、奈良坂くんはなんか癪だし」
「……俺しかいないか」
「でも、三輪くんも忙しいでしょ?」
「お前に構うくらいの時間はある。お前と違って、効率のいい生活を送っているからな」
「なかなかイヤミな……」
「で、どうするんだ?」
「……おねがいしまます」
「わかった。お前今日任務あるか?」
「ないよ」
「そうか。じゃあ今日からやるぞ」
「ええええええ」
「でないとお前はいつまでもずるずる引き延ばしにするだろう」
「否定はしないけど、え、マジかぁ……」
「ほら、さっさと支度しろ。時間がおしい」
「うぇ~……。……三輪くんさぁ、すっごい私に世話焼いてくれるけどさぁ、なに、好きなの?」
「まぁ、好意がなければここまでは尽くさないだろうな」
「……私キミに好かれるような行動をした覚えないんだよね」
「なんだ、俺に好かれるのは不満か?」
「いや、納得がいかないだけ」
「……なら、」
「?」
「お前の姿をみてると自分の姉を思いだすから、という理由にしておいてくれ」
「……え、三輪くんのお姉ちゃんこんなだらしなかったの?」
「そういうことではない姉さんを侮辱するな」
「いやいやいやそうとしか」
「それに、あくまでも建て前だ。あまりつけあがるなよ」
「ええええ、どこか理不尽に感じるんだけど私だけなのかなぁ、これ」
「そうだ」
「ええ……?」
「お、松岡」
「ん?あ、隠岐くんね」
「珍しいやん、こないなとこおるなんて」
「珍しいって。私スナイパーなんですけど。ここがホームなんですけど」
「最近めっちゃ拳銃推してるらしいやん」
「それはいろいろ訳があってね……」
「スナイパーん中でお前完璧万能手目指してる説出始めてたしな」
「え、それは盛りすぎでしょ」
「……」
「マジ?」
「わりと」
「無理だって!こんなしょっちゅう寝てるやつが!完璧万能手って!」
「それに万能手はろんくんの仕事やもんな」
「えっ?」
「ん?」
「え?」
「え、ろんくん、万能手になるって言っとるやん」
「そうなの?」
「最近話してないんか」
「うん、ちょっと課題におわれててそれどころじゃなかったというか」
「その間にろんくんは万能手への道へ踏み出しはじめたで」
「アイツどこ目指してんだ……」
「てか隊長に報告しないあたりがろんくんやな」
「ね。せめてのんちゃんには報告しておいてほしいところだけど……、まぁろんだしないな」
「まぁ、精々指導頑張ってな」
「……いや、だから私はスナイパーだから。万能手になる気はサラサラないから」
「えー、ほんまに~?イーグレットより点数高なったって噂でとんで」
「んなわけないだろうが!」
「……ここにいたのか、捜したぞ」
「ねぇしゅうくん」
「その気持ち悪い呼び名をやめろ」
「もしかしたら私、出水くんのこと好きかもしれない」
「……またか」
「またじゃない!出水くんははじめて!」
「勘違いだ、出水はやめろ」
「だ、だって、なんか最近出水くんと話してるときすっごい楽しいんだよ。今日だって出水くんが模擬戦やってるっていうからここまで来たいって思ったんだもん」
「お前はそればっかりだな。前も全く同じ理由で太刀川にひっついていたことを忘れたのか」
「ああ、あれは勘違いだったね」
「今回も勘違いだ」
「ちがう!ちがうもん!」
「違くない。……というか、そんなくだらない理由で訓練をサボるな。俺がどれだけお前が来るのを待ったと思ってる」
「痛い痛い痛い、……10分くらい?」
「5分だ」
「せっかちかよ!」
「1分1秒もおしいというのに、お前ときたら……」
「だって、乙女の本能が出水から目を離せない……」
「乙女なんてここにはいないが??」
「そんなんだからしゅうくん彼女できないんだよ!」
「余計なお世話だ。ほら、立て。立つ気がないなら引きずるぞ」
「まって、引きずるのはなし、うへえっ!」
「あ、あの」
「……」
「えーっと……」
「……」
「ん、どないしたん?」
「あ、隠岐先輩、」
「このアホに用でもあるん?起こそか?」
「起こしても大丈夫なんですか…?」
「かまへんかまへん~。……おい、松岡」
「……んん、」
「お客さんやで。お前がはなしがってた子やぞ」
「……ん~?んー……、……ん!?」
「お、」
「わ、」
「ト、トリオンモン、千佳ちゃんじゃん!」
「は、はいっ」
「わー、わー!いやー、毎日入り浸ってるもんだね、やっと会えたー!」
「え、え?」
「わー!、ぐふっ」
「困っとるやろ」
「く、くび、首しまってるから」
「だ、大丈夫ですか……?」
「大丈夫、大丈夫だよ……。やっぱり玉狛の子は優しいね……、本部のヤツらとは大違いだね……」
「お前も本部の一員やからな」
「ほらね、こういうかわいげのないヤツらばっかり、いいい痛い痛い痛い」
「用件言えずに困っとるやろー?ごめんな~?」
「い、いえ」
「あ、そっか、私に用があってきたのか。なになに?」
「あの、松岡さ、」
「ゆんでいいよ!」
「っはい!ゆ、ゆんさんは、鉛弾を使うって聞いて」
「うん?」
「だから、どうやって使ってるのか、みせてもらいたくて」
「……松岡は鉛弾使うけど、狙撃やなくて拳銃やで」
「えっ」
「うん。私の戦術がね、基本はこの目でターゲットを見つけて、アイビスで打ち抜くって感じなの。で、万が一接近戦になったときに、まぁどうやっても勝てないから、相手の動きを封じて逃げるように鉛弾をもってるだけなの。だから、遠くの人を狙う分には、鉛弾は使ったことないかな」
「……そうなんですか」
「……」
「……」
「……あ、や、やっぱり、狙撃で使ったこともなくはない、かな……?」
「は?」
「!、 そうなんですか、」
「うん!ろんの補助とかで、たまに……?」
「……! で、でしたら、忙しくないときにでも、見せてもらえませんか!」
「おー、おっけーおっけー!ただ、今日はちょっと用事があるから、……あ、明後日とかでもいい?」
「はい!よろしくおねがいします!」
「はーい」
「……お前狙撃で使ったことないやろ」
「……」
「なぁ」
「……あの困った顔みて耐えられるヤツいないよ」
「せやかてお前、どないすんねん。教えられるんか」
「……今日、三輪隊っているかな」
「……奈良坂くんはそこおるで」
「よし、助けて三輪くん!!」
「たぶん無理やと思うで~……」
「……俺は万能手だ」
「知ってる!」
「完璧万能手ではない」
「知ってる!」
「なら話は終わりだ」
「そこをなんとか!」
「自分でまいた種だろう」
「お願いします!あとでなんでも付き合うので!よっ!鉛弾の使い手!」
「……はぁ。上手くいかないからといって、俺のせいにするなよ」
「~!!三輪くん!」
「ほら、座れ。使い方を考えるぞ」
「はい!」
「あ、完璧万能手擬」
「よっ松岡」
「……キミたちほんとに仲良しなんだね」
「自分と隠岐の仲良しパラメータ見てからいえよな~、そういうの」
「ちょ、隣座るの許可してないよ」
「まぁまぁ」
「まぁまぁじゃなくて」
「っていうかこんなとこ来てどうした。マジでアタッカーやってみる気なの?」
「えー、松岡には向いてねぇって」
「だから!違うし!人の話聞く気無しか!」
「じゃあなんだよ」
「ろんのお迎えだろ?」
「いやー米屋サン、そんなつまらない理由で行動するヤツじゃないですよ、コイツは」
「あら」
「あらら」
「つまらない理由で悪かったな」
「あれ、マジ?」
「てっきり秀次目当てなのかと」
「しばらくボーダーで三輪くんの顔見たくないね」
「お師匠様な~」
「秀次スパルタだろ?」
「うん。もう意味わかんないくらいボロクソいってくる。お前スナイパーのくせになんで的に正確に撃てないんだって。すごい傷付いた」
「あー、お前は動く的専門だもんな」
「ちょっとのズレをアイビスでカバーする系ガバガバスナイパーだもんな」
「お前の強みSEだけだもんな」
「キミたちやっぱり彼の友達だね。そんなボロボロ言ってくるとゆんさん泣いちゃうぞ」
「ゆんさんは泣かないでしょ~」
「その真っ黒な目から涙は想像できねぇな」
「米屋くんにいわれたくないわ~~~」
「まぁ、なんだ、頑張れよ」
「は?」
「お前ならそこそこまでいけるって。完璧万能手」
「だから!違うし!!ほんっと話聞かないなぁ!」
「いやオレは正直松岡には無理だと思うぜ」
「わかってるから!なる気もないから!もうほっといてよ!」
「あ、ところでパーフェクト」
「その呼び名止めてくれない?」
「ろん今とある人に稽古つけてもらってるから遅くなると思うぜ」
「はやく言ってほしかったなソレ。できれば出会い頭に言ってほしかった」
「後の祭りだな」
「米屋くん頭良さぶんなくていいよ」
「お前初対面時にこめやくんって読まれたの忘れてねぇからな」
「っていうか、稽古って誰につけてもらってるの?風間隊って確か任務入ってたよね?」
「ああ。誰だと思う?」
「お前もよくお世話になってる人だぜ」
「えっ。……」
「……」
「……」
「……み、三輪くんじゃないよね」
「お前のその常に最悪の未来を想定して構える姿勢、おれ結構好きだぜ」
「オレも」
「ねぇ否定も肯定もしないってどういうことなのねぇ」
「こういうことだバカ」
「わぁっ!?」
「あ、ずりー松岡。ココアじゃん」
「え、え、なに?ん?くれるの?」
「コーヒーと間違えたんだ。お前らの分もあるぞ」
「秀次ボタン間違えすぎじゃね?」
「バカ、てれかくしだろ」
「いや、ゆんのために買ったココアで当たりがでただけだよ」
「おい」
「マジか秀次!」
「おまえその松岡へのサービス精神なんなの!?」
「な、なにを企んでるの三輪くん……」
「違う。ほんとに押し間違えただけだ」
「まだしらを切るつもりだコイツ」
「ねーゆん~、もう帰ろ~?マジヤッベー疲れたんだけど~」
「ろんの言葉遣いほんと気になるわ直させろよ松岡」
「米屋くんも似たような感じじゃん」
「ほんとお前オレに容赦ないよな?」
「三輪隊のなかで唯一の輩だもの」
「お前マジ、」
「っていうかわりと米屋くんと出水くんへの対応はかわんないんだけど」
「おれのことも輩認定なわけ!?」
「出水さんは輩だろ」
「なんでそういうとこだけノるんだお前は…!もう射手教えてやんねーからな!破門だ破門!」
「えまって、ろん出水くんに教わってたの?」
「あ、そうだゆん、今日の夕飯ホットケー」
「話をそらすな!隊長命令だ!!」
「そういやお前隊長か」
「ボーダー内で一番モブ顔のくせにな」
「なんだとデコだし!」
「……お前らもう少し互いを尊重しろ」
会話文で誰がなに喋ってんのかわかんないくらいごちゃごちゃさせるの好き
と奈良坂の昔話
「あれ、奈良坂くん?」
「……?」
「こっちこっち」
「……、あ、?」
「あれ、わかんない?私、同じクラスの松岡なんだけど」
「いや、さすがに前の席の人くらい覚えてる」
「あ、奈良坂くん後ろの席だっけ?」
「そこは覚えてないのか…」
「まぁいいや、奇遇だね、こんなところで」
「ああ。松岡さんもボーダー入るんだな。そういうイメージなかった」
「あはは、なんならボーダー入るためだけに引っ越してきたってところあるんだけどね」
「へぇ」
「ねぇ、奈良坂くんのポジションどこ?」
「狙撃手だ」
「え、一緒だ!」
「そうなのか。よろしくな」
「うん!よかったー、知らない人ばっかりのところでやってくの不安だからさ~」
「松岡さんはそういうの得意そうだけどな」
「ないないない、人付き合いちょー苦手だよ」
「少なくとも、挨拶する程度のクラスメイトにこんなにぐいぐいこれるんだから心配ないと思うぞ」
「あ、嫌だった?」
「いいや、変に距離をとられるよりはマシだ」
「よかった~」
ちょっとたってから
「あ、奈良坂くん!」
「……」
「おーい!」
「……」
ドンッ
「!?」
「いあっ!!」
「……」
「いった~……」
「……やっぱりお前か」
「どうも……」
「お前これで壁にぶつかる……いや、突っ込んでいくの何回目だ」
「わかんない……頭痛がいたい……」
「俺も頭が痛いよ」
「これからはちゃんとトリオン体になってから行こう……」
「そういう問題じゃないと思うがな。……松岡」
「んん?」
「なんか俺に隠し事してないか?」
「……」
「図星をつかれた人間は怒るか黙るかの二択らしいぞ」
「べ、べつに人間だれしも隠し事の1つや2つあるよ」
「……」
「キミだって私になにか隠し事してるでしょ?」
「いや、してないぞ」
「えっ」
「俺は隠すようなことはないから、お前にけっこうなんでも話してる」
「……」
「フェアじゃないよな」
「そ、そっちが勝手にやってるくせに……」
「いいから、吐け。なんでこんなに壁にぶつかるんだ。おかしいだろ、急に人が壁に向かって突進するんだ。周りからみたら恐怖そのものだぞ」
「……だ、」
「?」
「だれにもいわない?」
「ああ」
「……じつは私、さ、SEもってて」
「……」
「……」
「……え、」
「……」
「どういうのだ?」
「……とう、透視。壁が見えないの。だから、壁の先にみえるキミを見つけては、実はそこにある壁にぶつかって、毎回頭抱えてるの」
「……」
「……」
「……で?」
「え?……い、以上です」
「……なんだ、大したことないじゃないか」
「!」
「あの松岡が言いづらそうにしてるから、どんな面倒なものかと思えば……」
「……」
「SEって全部が全部迅さんみたいなものじゃないんだな」
「……」
「……松岡?」
「……ふへへ」
「? どうした」
「なんでもない!そっか、大したことないか」
「……悪い、軽率だったか」
「うん!ちょー軽率!ほんっと軽率!」
「……?」
「大したことないだって!そんなことないよ、キミ何回私にアイビスでやられてんの!」
「……!あれ、透視で場所がわかってたのか」
「そうだよ。アイビスくんなら壁だって関係ないしね」
「なるほどな……」
「……ねぇねぇ、奈良坂くんってチョコ好きだったよね?」
「タケノコな」
「あはは!ねぇ、チョコタルト好き?昨日作ったのがあるんだけど貰ってくれない?」
「いいのか?」
「うん!もちろん!」
「SE持ちって大変そうだよね」って同情されるのがめちゃくちゃ嫌いなゆんさん
たぶん三輪くんも同情はしてこないと思います。三輪くんは「透視か。運がいいな、狙撃手にはピッタリじゃないか?」くらいの反応だといいな。
反対に隠岐くんと米屋くんは全力で同情してきそう。人間ができてる彼らはすごくやんわり同情してくれるのでゆんちゃんは多分彼らに対してなかなか素直な態度がでてこないです
こんこんこん、
「どーも、風間さーん!」
「……」
「あ、ちょ、どけよシロくん。おまえに用はないんだけど」
「風間さんだって松岡に用ないよ、でてって。っていうかその呼び方やめて」
「ちょっと~、最近ゆんに構ってもらえてないからってオレに当たるのは違うんじゃないの~?」
「は?頭沸きすぎ。ゆんさんのことなんか何も言ってないじゃん」
「またまた~。ごめんね、来たのがゆんじゃなくてろんで。ゆんなら三輪隊にいったよ、会いにいってくれば?」
「べつにゆんさんに用ないし。っていうかなんでわざわざあんな人のとこにいかなきゃなんないの」
「ゆんのこと好きなくせに~照れちゃって~」
「だからべつに好きじゃないから」
「あ、ゆんだ」
「、」
「嘘だよ~!!さっき三輪隊に行ったって言ったばっかじゃーん!なに焦ってんのー!」
「あーもうほんと出てって!!」
「いい加減にしろ」
「うっ」
「……」
「ろん、俺に用があって来たんじゃないのか」
「はい!えっとですね、実はオレ、万能手になりたいと思ってまして!」
「あ、ちょ、」
「……ほう」
「だから、シューターとガンナーどっちが向いてるかな~って悩んでて。風間さんはどう思います?」
「自分で決めるものだろう。俺はおまえの師匠でもなんでもない。口出す権利もない」
「でも、俺の先輩であることには変わりないです!その先輩の意見が聞きたいんです、オレは!」
「……シューターだろうな。おまえは器用だからどっちでもいけるだろうが、隊の構成を考えるとなるとそっちのほうがバランスがとれる」
「あー、ゆんが銃使えますもんね」
「あいつは鉛弾しか使わないが、それでもガンナーとしての役割がきちんと果たせている。あいつの隊での一番の役割は援助、そしておまえの役割は攻撃だ。だったらおまえは、正確に相手にダメージを与え続けなければならない。そこでおまえがガンナーを選んだとして、おまえはすこし引け気味になってしまうだろう。おまえは自由に動きまわるのが得意なんだから、おとなしくその場に応じて戦い方を広げられるシューターにしたほうがいいと思うぞ」
「……なるほど」
「……すまない、一気にいろいろ言い過ぎたか。区切ってもう一度説明するか?」
「大丈夫ですよ!オレゆんと違ってバカじゃないんで!」
「そうか。なら大人しく出水のところにでも行ったらどうだ」
「え、二宮さんじゃダメっすかね」
「……出水が嫌なのか」
「いや、なんか癪で」
「……」
「……」
「……」
「わ、わかりました……」
「ん。さっさと言ってこい」
「うえ~……」
「……風間さん、意外と松岡隊のこと知ってたんですね」
「後輩のいる隊のことくらい気にする」
「……」
「……おまえは三輪隊にいかなくていいのか」
「だから違いますって」
知り合って数週間くらい
「……あれ、」
「? あ、隠岐くんじゃん。やっほ」
「どーも。……なんや、今日おかしない?」
「え?なにが?」
「いや、なにがって……、なんやろな」
「なんやろな~」
「真似せんといてください、」
「あだっ」
「痛ないやろ、トリオン体なんやから、……。……あ、それや」
「え?」
「トリオン体やん。めずらしく」
「え、あ、あ~……。やっぱ、私がトリオン体だと違和感ある?」
「おん。めっちゃある。あとあれ、よくよく考えるとな、ここにいるのも違和感ある」
「?」
「いつも居るんここやないやん。あそこやん」
「あ~……」
「やっぱ今日おかしいよな?どないしたん?なんかあったん?」
「……えーっとね、」
「すいません東さん、松岡知りませんか」
「ひいいいいっ」
「……あれ、三輪くんやっけ。三輪くんが原因なん?」
「うーん、半分正解……」
「久しぶりだな。松岡ならさっき見たから、この辺に居るはずだぞ」
「ありがとうございます」
「なんで…なんでだ東さん…なんで味方をしてくれないんだ……」
「うーん、日頃の行いっちゅーやつなんちゃうかなぁ」
「私キミにそんな言われるようなことした覚えないんだけどなぁ……」
「あ、近付いてくるやん」
「ああああん無理無理こわいよ~??」
「鬼の形相やが」
「あ、それは元々」
「それはもともと、」
「……おい、松岡」
「お、」
「ひぃっ」
「なにこんなところ来てるんだ。さっさと帰れ」
「……」
「今日おまえはなんのために学校を休んだんだ、言ってみろ」
「……」
「ろんが心配してたぞ、ゆんが帰ってこないって」
「(待って ろんって誰や)」
「……だって、ずっと家にひとりって、寂しくて」
「なにが寂しいだ。おまえは辺りを見渡せば見知らぬ人が腐るほど溢れてる世界にいきてるくせして」
「(……?)」
「だからこそ寂しいよ。だから嫌だよ、帰りたくない。どうせろんは9時まで帰ってこないし」
「(同棲中の彼氏さん説あるな、ろんさん)」
「だとしても、帰れ。第一、おまえ立てないほどに調子が悪いと聞いたんだが?その証拠に、普段生身のくせに、今はトリオン体だな。どうせ生身にもどったらぶっ倒れるんだろ」
「そ、そんなこと」
ちょっと眠いから明日つづきかく
おそい。あいついつも、なんだかんだ、仕事には遅れないくせに。どうしたんだろう、また弟が風邪で倒れたりしたのかな。あーあ、ほんとめんどくさい子。
「お、おまたせしましたっ」
やーっときた。
「おそいんだけどぉ、……。なにそのかっこう」
「え?」
ほっぺにチョコが沢山ついてる。それを教えてあげたら、あわててそれをぬぐって、照れてわらった。……わらいかた、ほんとへたくそ。
「い、いずみんくん」
「なに」
「今日さ、バレンタインだよね」
「ん」
「はい、これ」
チョコマフィンだ。なかなかシャレたもんを作る。あの不器用なやつにこんなことができたのか。がさがさと袋をあけて、子どもにあげるにしては大きなそれを食べる。
「…どう?」
「……」
「おいしい?」
「……」
「……」
「……」
「……あれ?」
「……」
「おーい、いずみんくーん??」
やばい、ちょっと意識がとんだ。なにこれ、ちょーまずい。なに入ってんの?この……これ、なに?え?なにこれ?
「まず、」
「え、」
「……くは、ないんじゃない」
「よ、よかったぁ。いつもありがとね、いずみんくん」
へら。うん、その安っぽいえがおにめんじて、このくそまずいマフィンは完食してやろう。ぶっ倒れたらそのままお仕事サボって料理教室でも開いてやろうかな
いとこだと発覚した日
「やっほー、奈良坂くん!」
「……」
「……? どうしたの?機嫌悪い?」
「……いや」
「そう?ならいいけど」
「まつ、………ゆん」
「……っえ、な、なに」
「……お前、親父さんが捜しているらしいぞ」
「……え?」
「妻がいなくなったと思ったら、娘まできえやがった。全部全部あのガキのせいだ、ぶっ殺してやる。……だそうだ」
「……な、なん、……ちょっとまって」
「昨日、お前の親父さんがウチにきたんだ」
「……まってって言ってるじゃん」
「まさか松岡叔父さんが、ま……ゆんのお父さんだとは思わなかったな」
「……名前で呼ばないで」
「さっきは嬉しそうな顔をしたくせにな」
「怒るよ」
「それはこっちのセリフだ」
「……」
「……」
「……で、なに」
「?」
「お父さんが私を捜してるから、なに。キミが私の従兄弟だったとして、それはもうキミには関係がないよね。私とろんの問題だもん。……キミはなにがいいたいわけ」
「……べつに」
「うそ。イライラしてるの見ればわかるけど」
「それはお前だろ」
「そうだね。でも、私はキミに対してイライラしてるわけじゃないよ。キミは私に対してイライラしてるみたいだけど。なに?はっきりいってくれる?」
「……たくさんあって、バカなお前じゃ受けとめられないだろうから、いわない」
「なにそれ」
「強いてなにかいうなら、お前に失望しただけだ」
「……」
「……」
「……、」
「……おまえ、泣くのか」
「ないてないし」
「……」
「ないてないってば」
「……なぁ」
「ないてない」
「……なんで相談してくれないんだ」
「……はぁ?」
「今までつらかったんだろ。あの人視点からではあるが、お前の話は全部聞いた」
「……」
「前にいったよな。俺はお前に話してないことは殆どないって。フェアじゃないよなって話」
「……」
「俺は、そんなに頼りないのか」
「……」
「同級生の中で一番仲がいいし、お前は特別俺にひっついてくると思ってたのは、全部俺の思い違いなのか」
「……だって」
「……」
「だって、全部話して、どうしろっていうの。相談して、なに。どうにかなることじゃないでしょ」
「……」
「それに、私は、……キミにだけは、この話はしたくなかったの」
「……」
「……」
「……そうか」
「……」
「わるかったな、」
「……」
翌日から、奈良坂くんの目が冷たくなりましたとさ。好きだったのになぁ。
(ととりまるで背中に書いた字をあてないと出られない部屋)
「なんでオレらなの」
「無差別で選んでるらしいな、これ」
「えー、賢ちゃんがよかったな~」
「お前よく俺の前でいえるよな……」
「だってさ、もさまると一緒とか、女子に恨まれそうでコエーもん。ただでさえ、オレ女子人気高くないのに~」
「遠まわしに佐鳥のことバカにしなかったか?」
「賢ちゃんと一緒にいて女子に恨まれても怖くねーし。そんぞそこらの女子にオレと賢ちゃんの仲は裂けないからね!」
「佐鳥は女の子のほうが好きらしいけどな」
「そこも賢ちゃんのいいところだからね。はい、もさまるさっさと背中向けて」
「ろんが書くのか?……俺の背中届くか?」
「バカにすんなよ!ちょっとでかいからって!」
「いや、お前がちっさいんだぞ」
「わかってるよバカ!もさもさ!ってか届くし!ほら、ほら!」
「わかったからさっさと終わらせろ」
「……」
「……」
「……」
「……べつに何でもいいんだぞ」
「いや、せっかくだから難しい漢字書いてやろうと思って」
「お前はそういうヤツだよな……。おい、背中向けろ。俺はさっさと帰りたいんだ」
「もさまるほんと玉狛好きな~、なに、好きな子でもいんの?」
「違う、今日はバイトが入ってないから、家にはやく帰る予定なんだ」
「あー、そうなの。うん、家族好きな気持ちはわかる。オレもゆん好きー!」
「松岡先輩は面白いよな」
「なにそれ、オレが面白くないみたいじゃん」
「そうやって変なふうに捉えるところ、ほんと姉弟そっくりだと思うぞ」
「マジで!?ちょー嬉しいわ~」
「……」
「……もさまる」
「ん?」
「殴っていい?」
「俺を殴ったらそれこそ女子に恨まれるぞ」
「うるせぇ!問答無用だくそ!」
「どうでもいいけど答え言ってもらってからでいいか?」
「『チビ』!だろ!!自覚あるから!!ほんと一番気にしてるところ言ってくんのマジないと思うわ!!」
「身長まで姉弟でそろえる必要はないと思うってこな…玉狛の先輩がいってたから」
「はぁん!?こっちだってゆんを見下ろしたくて仕方ねーんだって伝えとけイケメン!」
「最後暴言になってないぞ」
「小南先輩」
「なによ」
「松岡弟が、「こっちだってゆんを見下ろしたくて仕方ねーんだよイケメン!」って伝えてくれって」
「……あたしに?」
「はい」
「意味わかんなさが完全にゆんの弟ね。とりあえずあたしが女であることを伝えておいてほしいわ」
「あ、それは知ってますよ」
「その上でイケメン呼ばわり!?」
「あいつ、前に小南先輩が戦ってる姿を見てましたからね」
「ああ、なるほどね! まぁ、それなら仕方ないわね」
「すみません、嘘です」
「嘘なの!?じゃあなんでよ!更にモヤっとするじゃない!」
「まぁそこは松岡弟なんで」
「……それもそうね」
「ずっと気になってたことがあるんだけどな」
「ん?」
「松岡ってさ、なんで眠いときに、おれのこと「さん」づけで呼ぶの?」
「……え?」
「え、自覚ねーの?おまえ、眠いときおれのこと出水さんって呼んでくるじゃん」
「……知らない。記憶にない」
「あーそうなの?」
「よーっす弾バカぁ。と、パーフェクトじゃねーか」
「そのあだ名ほんと過去最低」
「あ、槍バカ。こいつさ、眠いとき、おれらのこと普段と違う呼び方するよな?「さん」づけしてくるよな?」
「あ?あー、まぁお前は「さん」づけになるだろうな」
「はぁ?どっちかっていうと「様」だろ」
「それこそ「はぁ?」案件だけど」
「いやだって、ろんがそう呼んでるだろ」
「「……ろん?」」
「あ、本人自覚ねーんだ。お前、眠いとき、ろんがつけたあだ名で人のことよんでんだぜ」
「……えっ、そうなの?」
「確かに、おれ出水さんだし」
「オレはしゅけさんって呼ばれるしな」
「っえ~!!え、それやばくない?やばいよ」
「なにが?」
「ろん、二宮さんのこと、匡貴くんって呼んでるじゃん」
「マジ??」
「あいつやべーな」
「あと、鬼怒田さんのことはたぬきちって呼ぶし、犬飼さんのことなんか、ノットドックって呼んでるし」
「たぬきちはわかるけどノットドッグってなに」
「ホットドッグと犬飼ってないの掛けてるんだって」
「バカだろあいつ」
「えー、ちょ、ま、まずくない?やばくない?」
「いや、さすがのお前もそのメンツを前にうとうとしたことはないだろ」
「……」
「……」
「……」
「……いやぁ、どうだろ」
「マジかおまえ」
「ほんと、自分でも気付かないうちに寝てるから。どこでもすーぐ寝ちゃうから」
「のびたくんかお前は」
「助けてバカえもん~」
「どっちだよ」
「お前だろ」
「はあ?」
「どっちもだよバカ」
「お前に言われたくねーんだよ!」
あれ、ろんくんは隠岐くんのことコジさんって呼んでるはずなんだけどな、あれ
ろんがC級のころ
「あ、」
「……」
「……」
「……」
「……あれ、こんなところに根暗が」
「いだだだっ!?なん、なに!だれ、……なんだシロくんか~」
「どーも」
「どうも。っていうか、根暗じゃないからね。けっこう明るい性格してるからね、私」
「どうだか」
「で、私になにか用事?」
「用がなきゃ話しかけちゃいけないんだ、へぇ、そう」
「キミはいちいち可愛いな~。頭撫でてやるから頭を下げよ」
「うるさいちび」
「いだだだだっ!しずむ!シロくん縮むから!縮んじゃうから!」
「……あのさ」
「、なに?」
「……いつまでB級ソロやってんの」
「えっ。……せめて22歳くらいまではやりたいよねぇ」
「そうじゃないよ。チーム組む気ないのって訊いてるの。読解力能力ひくすぎ」
「ああ、あるよ」
「……そう。どこの隊?」
「自分で作るの。松岡隊!」
「……ふぅん。弱そう」
「それみんな言うね??大丈夫、うちの隊員は強いから」
「もう目星はつけてあるってこと?」
「うん!」
「誰?」
「松岡ろん!」
「……誰」
「私の弟!ほら、入隊のときにネイバーたおすやつあるじゃん、あれ12秒でおわらせたの!スコーピオンで!」
「……ああ、あのチャラチャラしてるうるさいの」
「うん、私の弟で、キミと同い年だから、仲良くしてやってね」
「さぁ。っていうか、弟はそれなりにできるやつなのに、隊長がこんなのでいいわけ?ゆんさんは隊長向いてないと思うけど」
「あー、それは思うんだけど、弟と仮オペちゃんが、私が隊長じゃないと嫌っていうから」
「……っそ。せいぜいB級下位であがいてれば?」
「うーん、一応A級目指すつもりなんだけどね」
「え、なんで」
「ろんが遠征いきたがってるから」
「……遊びじゃないんだからね。ゆんさんみたいなザコがいっても殺されるだけだよ」
「ろんが守ってくれるだろうから大丈夫だよ」
「……あっそ」
発覚前のバレンタイン
「やっほー奈良坂くん今日も絶好調だね、……あれ、今日機嫌良くない?」
「まぁな」
「……? あ、あー!もしかして、チョコ貰ったか~キミー!」
「まぁなっ」
「えーいいないいな、ねっ、ラブレターとかは貰ったの?」
「お前はそればっかりだよな……。あるぞ、後でやる」
「やったー! にしても、チョコだけもらっておいて、手紙は読もうともしないないて、意外とキミ性格悪いよね」
「いや、ちゃんと読んでるぞ」
「本当かなぁ~?でも、どうせ断るんでしょ?」
「ああ」
「……ボーダーに専念したいから、」
「それは建て前だけどな」
「うん。……うん?え?建て前だったの?」
「まぁ、無くはないが、一番の理由はそれじゃない」
「え?なになに?」
「……俺が誰かのものになったら、松岡が泣くだろう」
「……」
「……」
「……な、なーにいってるんですかねぇ?」
「あ、お前は俺にないのか。チョコ」
「な、ないよ!どうせいろんな子からもらうんだろうなって思ったし!バババ、バカ!」
「バカはお前だろう。……にしても、そうか。無しか。なら、ラブレターも渡せないな」
「え~!?」
「素直じゃない態度とるやつに、勇気を振り絞って書いた文を読む資格はないからな」
「うぇ~……」
あるひ、目が覚めたら、すぐそこに空が見えた。飛び起きて辺りを見渡すと、近所の家(の断面図)だとか、すぐ隣の弟の部屋がみえ、それぞれのさきには等しく真っ青な空が続いていた。なにがどうなっているのかと目をなんどもこすった。なにも変わらなかった。私はおぼつかない足取りでベッドからおり、そのまま、まだ寝ているろんに駆け寄ろうとした。見えないナニカに頭をぶつけた。確かに、そこには弟との部屋を隔てる壁があったはず。私は怖くなって、思わず声をあげた。
「ろん!もう朝だよ、起きて!」
声は震えた。こんなに近くにいるにも関わらず、ろんはすぐにおきなかった。「……ろ、ろん!!」すこしだけ、身をよじった。やがて起き上がると、ぐぐぐと伸びをした。すると、口を開けた。声を発したようだった。「はいはーい……」こんなに近くにいるのに、真ん前にいるはずなのに、その声は小さく、前からではなく左から聞こえてきた。そして、ろんはヒョイとベッドからおりると、わざわざ遠回りをして、私のところにきた。まだ半目にもならない目で、大きくあくびをしている。
「おはよ、ゆん」
「……」
「……ゆん?」
思わず、腰が抜けてしまった。ろんはようやく目をさまし、慌てて私の体をキャッチすると、「どうしたどうした」と私の顔を覗きこんだ。そうして、息をのんだ。
「どうしたの」
「……え?」
「汗やばいよ、こわい夢でもみた?」
「……」
夢なら、どんなによかったかな。
◇
「ゆん、家出しよう」
「……どうしたの、急に」
「急じゃない。ずっとそうしようと思ってた」
「は?」
「ちょうどいいじゃん、ゆんが中学にあがるところで、環境もがらっと変えちゃおうよ」
「ろんはまだ小6でしょ」
「いいよ、あんな学校、思い入れないし。ね、卒業式のあと、そのまま三門市ってところいこう」
「ミカド?どこよソレ」
「ゆんが育つのに最適な場所!」
「も~。なにがあったのか知らないけど、そう無計画になんでもかんでも口ばしるのは、ろんの悪いところだと思うよ」
「無計画なわけないじゃん。めっちゃプラン考えてるよ」
「じゃあ住み家はどうするの?」
「アテがある」
「へぇ?お金は?」
「ある」
「どこに」
「通帳にそれぞれ何千万は入ってるっしょ、あのひとのことなら」
「その通帳はお父さんがもってるじゃん」
「いや、オレの部屋にある」
「は?」
「オレの部屋にある。で、衣類は多分普及されるとして……、食はまぁ節約していけばなんとかなるし」
「いやいやいや」
「で?ほかには?」
「……ええっと」
「ねっ?大丈夫でしょ?」
「だ、だめでしょ!」
「なにがダメなの」
「それはちょっと、私バカだから、住むための条件とか衣食住しかわからないよ?だけどさ、ふつう無理でしょ」
「そうやって決めつけんの、マジよくねーって」
「それに、お父さんに怒られるよ!」
「あの人にあわなければいい話だろ?」
「捜索願いとかだして、いろんな人に迷惑かけちゃうし」
「この辺の地域のやつら、人がいなくなっても、ぜーんぶ神隠しで済ませるやつらだから、まぁ迷惑かかることもないんじゃない?」
「それは、……」
「……あのね、ゆん。オレはゆんのためを思っていってんの」
「なにがよ」
「三門にはね、ゆんみたいな人がいるんだって」
「私みたいな人?」
「そう。壁が見えないでしょ、ゆん」
「……、え、私のほかにもいるの」
「うん、いるんだって」
「なんでそんなこと、ろんが知ってるの」
「ネットで訊いたことがあんの。ウチのねーちゃんが超能力に目覚めたかもしれないんすけど、事例ってありますかって。そしたらオレあてに直接メールがとどいてね、「あります。現在確認できているものは、嘘を見抜くものと未来視程度です。ぜひ、お姉さんの能力を教えてください」って」
「教えたの?」
「うん。そしたら、ぜひ三門にきてくれって。ゆんの力が必要だっていうの」
「……そうなの」
「そしてね、もし三門まできてくれたらね、お母さんについての情報もやるって」
「えっ」
「まだ詳しくはいえないんだけど、あの人たちはお母さんがなんでいないなったのかわかるんだって」
「……」
「ね、ゆん。オレね、お母さんに、まだお礼いってないの。いいたいの。お願い、いっしょに行こう」
「……私バカだから、いくさきざきで壁ぶつかるし、あしでまといだよ」
「慣れてるからヘーキ」
「……もう、仕方ないなぁ」
「あ、」
「ん?どうしました、宙くん」
「さすがに荷物多かっタ?」
「いや、荷物はまだまだヨユーです!じゃなくて、あそこ!」
「?……ああ、前に波月ちゃんがいきたがってたカフェですね」
「そうなノ?ま、この時期イチゴイチゴうるさいもんネ」
「むしろ年中うるさいですけどね……」
「違います、よく見るな~、あそこ!ほら!」
「え?」
「……あ、あれ、ハヅキ?」
「え、どこですか」
「角のテーブル」
「……あ、波月ちゃんですね」
「もしかしてお一人様じゃなイ?」
「おぼっち様じゃない?」
「宙くんがそういうこというと波月ちゃん真面目に傷付くからやめてあげてね」
「にしてモ、どうすル?凸っちゃウ?」
「凸りましょ~!」
「いや、まってください。波月ちゃんの座ってるとこ、1人席じゃなくないですか」
「あ、ほんとな~!」
「誰とデートだロ」
「羽風くんが妥当かな」
「えー、なんか腹立つな~……」
「ソラの彼に対する対抗心なんなノ」
「ししょ~だって、ここ、皺よってるな~」
「ム」
「あ」
「ん?」
「、」
「え、」
「…気付いたネ」
「普通に手振ってきてます」
「いや、実況してないで振り返してあげてくださいね。俺にしか振り返してもらってないの気にしてますよアレ」
「わ~とどちゃん~!羽風センパイは捨ててこっち来てください~!」
「なんてこというんですか」
「あ、……あれ?ネ、見てアレ」
「はい?……あれ!?あれ、え!?」
「ふふふふ福会長さん!?なんで!?」
「え、彼と波月ちゃんって、仲良いんですっけ……?」
「……一応、一応でいったら、幼馴染みという立場にはなるけド、あんまり、それこそ休日に出掛けるような仲じゃないはズ……」
「なんで、なんで、とどちゃん……」
「……え、平然と2人でイチゴパフェ食べ始めましたけど」
「ええええ、ちょっと意味わかんなイ」
「と、とどちゃ……」
「とどちゃん!」
「あ、おはよ宙くん。朝から元気だね」
「昨日のあれ!なに!!」
「え?」
「副会長とデート!」
「えっはづっち俺というものがありながら蓮巳くんに浮」
「かおる面倒くさい」
「冗談だって~。どうせ仕事でしょ?」
「仕事!?デートが仕事!?援助交際かなにかですか!」
「うーん、キミには正しい日本語を教えてあげなきゃね……」
「はづっちが中途半端に教えるから~」
「てへへ」
「可愛くないよ」
「うっそだ~」
「まぁ嘘だけど」
「えへへ~」
「いやいちゃついてないで!どういうことなのか説明ほしいな~!」
「だから、仕事の相談だよ。蓮巳くんに、今度の学祭の計画立てるのに協力してくれ~って口説かれてたの」
「ああ、学祭かぁ。っていうか、生徒会の仕事じゃないんだ」
「私いると楽なんだってさ。ほら、私頭いいから」
「あ~」
「ってことで宙くん納得した?」
「……」
「すねんなよ~」
「すねてないな~……」
「この~可愛いな~!」
「ちょっと~、俺の前でいちゃつかないでよ~」
「も~」
「ほんといつもごめんね、ウチのろんが……」
「いえ、迷惑かけられたぶん、きちんと返してるんで大丈夫です」
「あはは、しっかりしてるなぁ烏間くんは。さすが玉狛の子だね、第二の指導も頑張りたまえよ」
「ゆんさんこそ、完璧万能手を目指してるってききましたよ、頑張ってください」
「うーんキミにまで誤解が伝わっていたとは……出水くんにはなにか罰をあたえねばな……」
「……いいなぁ」
「なにが?……あれ、お前もさまるのこと好きなんだっけ?あれ?みっちゅじゃないっけ」
「時枝くんであってるから黙れバカ」
「おまえ、人が興味をしめしてやったっていうのに!」
「……ろんはいいよね、」
「なにがだよ」
「……ウチのろん、とか、玉狛の子、とか」
「??」
「なんか、家族って感じでいいじゃん」
「なにいってんだ、お前の松岡隊の子だろ」
「そうだけど、いざそれを口にだして貰える機会ってないじゃん。ろんみたいに人に迷惑かけないから、ゆんさんに「すいませんウチののんが……」みたいにつかわれることがねーの」
「……なに、素直にそれ伝えて言ってもらえばいい話じゃね?」
「いや、そうことじゃねーじゃん。言ってほしいんじゃなくて、その台詞を、使ってほしいっていうのかな……」
「……頭いいやつの考えることってわかんね~」
「素敵な皮肉ね学年3位……」
「でも、ふつうに、のんに対しても使ってた気がするけどな、ゆん」
「はぁ?適当なこと抜かしてんな。聞いたことねーけど」
「オレはある。いつだっけな……、忘れたけど」
「……ところでゆんさん」
「ん?」
「三浦って松岡隊なんすか」
「あ、そうだよ。もしかして同じクラス?」
「いや、違いますけど」
「そうなの」
「あいいつ、ポジションなんなんすか」
「オペレーターだよ」
「ああ……」
「なんで?」
「いや、あいつ頭いいんで、どんな戦い方するんだろうなーと」
「ああ、のんちゃんは戦術からっきしだよ」
「え」
「とにかく情報分析がはやいだけだよ。あとは機械に強いから、改造してみたいとか言ってたけど」
「……意外ですね」
「そう? でもまぁ、自慢のオペレーターだよ。いつでも欲しい情報を的確にくれるし、ろんとの相性はバッチリだし」
「……っていうか、ゆんさんと絡みがあるっていうのが一番意外なんすけどね」
「え、そう?」
「ゆんさん、ああいう感じ苦手そうじゃないですか。派手っぽいというか」
「派手?のんちゃんが?派手なのは服だけだよあのこ」
「それが苦手そうですよね。ほら、ゆんさんって地味な服好きじゃないですか」
「うーん、まぁ、そうだけど、それとこれは全く関係ないかなぁ」
「そうっすか」
「ま、とにかくのんちゃんは可愛い子だからね、存分に妹のように可愛がってるよ」
「お世話される側にはなってないですか?」
「……それはまぁ、仕方ないとしてね?」
「、」
「うちの自慢のオペレーターだからね、全然苦手じゃないし、大好きだし、ろんも気にいってるみたいだし、暫くの人生は共にしようと思ってるよ」
「あ、やっぱり、ろんって三浦のことけっこう気にいってますよね」
「相当好きだと思うよ」
「休み時間のたびに他クラスいくんで」
「あ、それは純粋に佐鳥くん目当て」
「佐鳥……」
「けーんーちゃーん!いっしょにボーダーいーこーお!」
「わっ、ごめんろん!今日補習!」
「……補習?え、補習?」
「あ、ろんみたいな頭のいい子はわからない?この世の中にはね、補習っていうバカの救済処置的時間をとってくれるやさしーい先生がいてね」
「いや、補習はゆんのホームだから知ってる」
「ゆんさん……」
「じゃなくて、賢ちゃんそんなバカじゃなくね?どしたの」
「いやー、任務とかと重なってて、最近ボロボロでさ~」
「ふーん……。教えよっか。オレ古典以外ならどこもヨユーだけど、ぐえっ」
「あ、」
「なにいってんの、今日は隊室カスタマイズの日っしょ」
「げ、三浦……」
「なんだ、ろん。いくらこの佐鳥が魅力的な人物だからって、女の子との約束をほっぽりだすのはよくないぜ?」
「え~!?」
「えー、じゃねーよ。ゆんさんにサプライズするっていったのお前だろ?さっさとしないと私1人できめちゃうけど」
「たーんまたんま!じゃあ、えっと……」
「いや、何も考えることないから。さっさとボーダーいきなさーい」
「なんかごめんね佐鳥くん」
「ぜんぜん!」
「え、あ、ちょっと!引きずんなって!」
「じゃあなーろんー、のんちゃーん」
「ん~」
「えー、ちょっと賢ちゃーん!」
「もー!賢ちゃんともっとイチャイチャしたかったのに~!」
「……前から気になってたんだけど、あんたホモなの?」
「違わいっ!すーぐそうやってなんでもかんでも恋愛にこじつけてくの、女子の悪いとこだと思うね」
「勝手に思っててくれて結構だけど……。だって、休み時間毎にくるじゃんお前。なに、友だちいないの?」
「おまえよりはいますー!!ただ賢ちゃんが群を抜いてトップなだけだし」
「……ふぅん、いるんだ、友だち」
「ろんもちろんっ」
「……あんた、佐鳥くんと仲良くて、クラスに友だちがいるんでしょ」
「うん?」
「そのクラスの友だちって、ボーダーの人?」
「……なに、おまえもしかして狙ってるヤツでもいんの」
「ぎくっ」
「うわー、まじかよ!ひくわ~、どうせもさまるだろ?もさまるモテすぎててキモイわ~……」
「……え?だれ?」
「烏間だよ。あいつのファンなんだろ?」
「ちげーよバカ」
「エッ」
「お前のクラスで魅力的なの時枝くんしかいないと思うんだけど」
「……」
「……」
「……」
「……」
「うっそ、みっちゅ!!?うっそ!!」
「はぁ!?み、みみみみみっちゅ!?そ、そんな仲良いわけ!?」
「えー!おまえその外見でみっちゅ狙いなわけ!?うそだろ!?攻略相手間違ってるよ!」
「うっせーな、それよりそんなに仲良いなら佐鳥くんにあいにくるときに時枝くんも引き連れてきなさいよ!」
「引き連れてきてもしょうがねーだろ!しゃべんなきゃ話ははじまらないけど?おまえそんな積極的なタイプじゃないし??」
「話すしー!!なんならけっこう仲良いほうだしー!クラスわかれたから話す機会がないだけで仲良しだしー!」
「クラスわかれた程度で話さなくなるヤツのことを友だちとも仲良いやつともいいませーん!ただの知り合いでーす!!オレと賢ちゃんみてからいおうねー!?」
「あっ、や、やめろっ!えぐれる、傷口がえぐれるっ…!」
「へっ、ファッションかや出直してきなよ、ギャル子さん!のんギャルになれる日がくるといいな!」
「うっせーバカ弟……ゆんさんの弟だと思えないような性格のわるさがとてもあなたに似合ってると思うわ……」
「だまれギャル」
「そっちがな」
「いやーそれはいいすぎだよ太郎くん。あ、マサトくん、そのプリントやっといて!あーついでにコウヘイくんはミサキちゃんの手伝いをしにいくと得すると思うよー」
「……」
「ナールくん」
「……」
「おいおいナルくん」
「……」
「……どうしましたか成宮様、なにか私、アナタ様の気分を斜めにしてしまうことをしてしまいましたかね」
「うるさい」
「えーそりゃないよ~、話きいておくれよナルくん、あとはあなたの意見を聞けば私の仕事は終わるんだよ~」
「……」
「あの頑固な太郎くんでさえ協力してくれたんだからさ~、ほら、ナルくんも」
「……あのさあ」
「ん?なんだい?」
「お前俺の名前知らないの?」
「え?」
「他のやつらにはさ、太郎とか次郎とか名前で呼んでるくせしてさ、なんでアイツらより位が高い俺のことは名前で呼ばないの?遠慮しすぎじゃない?名前で呼ぶくらいじゃ俺おこんないんだけど?」
「いやうちのクラスに次郎くんはいないけど……、え、あなたのことも名前で呼んでるじゃん」
「は?」
「え?」
「……は?」
「え、だから、ナルくんって」
「……」
「……」
「……」
「……」
「めーい!!」
「うわぁ、なに」
「俺の名前!!メイだから!!ナルじゃないから!!」
「えっ、あ、あれメイって読むの!?」
「そうだよ!だいたいなに、名前がナルだと、ナルミヤナルになっちゃうでしょ!?リズムよすぎか!!」
「あ、うん、リズム感あっていい名前だなって思ってた」
「違うから!も~、なんで気付かないわけ~?みんなメイーとかメイちゃんって呼んでくるやつばっかなのにさ~」
「そうなの?いやー、ナルくん大スターすぎて、あんまり姿を見ないからさ~」
「……だから、メイね」
「あ、そっか、メイくん!」
「……ん、で、なに?用があるんでしょ」
「あ、そうそう。あのね、文化祭のクラスの出し物についてなんだけど……、」
「こんにちは~風間さん!」
「……ろんか。どうだ、調子は」
「バッチシグーです!風間さんもよろしいようで!」
「まぁそこそこだがな」
「ねぇねぇ風間さん、そろそろオレとも模擬戦してくれてもいいんじゃないですかね~?」
「今は射手期間だろ」
「あんまり射手ばっかりだと、スコーピオンもなまっちゃうし!」
「……おまえ任務のときはスコーピオンじゃないか」
「げ、なんで知ってるんすか」
「今のところ、松岡隊で建築物を破壊したのは隊長だけだと聞くからな」
「いや、風間さんオレのコントロール力なめてるでしょ!コントロールだけは出水さんにも匡貴くんにも誉められてるんですからね!」
「……他はどうした。コントロールだけか」
「うっ」
「……おまえは、姉とちがって、やればできるタイプじゃなくて、やらなくてできるタイプの人間だとよく豪語しているが、ゆんの努力する姿勢は見習うべきだと思うぞ」
「ん~~……」
「頭がよくて才能もあるんだ、あとは努力だぞ、ろん。おまえならそれくらい出来るだろ」
「……はぁい。……ね、風間さん」
「なんだ?」
「万能手になれたら、また稽古つけてくれる?」
「さぁな」
「え~!?もうまじモチベだださがりなんだけど~!!」
「……おまえはやっぱり言葉づかいからなおしたほうがいいよな」
三輪くんの幼馴染みとして転生トリップした女の子。前世ではwtがっつり読んでた系、推しはとりこな。
転生トリップを自覚したのは三輪くんのシスコンぶりをみたことから。
「(このシスコンぶりで三輪秀次って確実にあの三輪秀次だよな~これ噂にきく転生トリップってやつだよな~やっぱな~)」
「名前、おいてくぞ」
「はーい……(でも私の知ってる三輪秀次こんな優しくなくない……?もっと殺伐としていた感じあったけど……、それはネイバーに対してだけか……)」
で、三輪くんに惹かれてく
「(どうする?もうそろそろ侵攻きちゃうよ??お姉さんしんじゃうんだよね??どうするべきなの??)」
「……三輪くん」
「なんだ、名前」
「(んんんでも、教えてどうになる問題じゃないでしょコレ。もし教えて未来が変わったとしても、そしたらあの通りに話が進まなくなっちゃうわけだし、ええと……)」
「……名前?」
「……みわくぅん、」
「え、なんで泣くんだ?バカ……姉さんに見られたらどうするんだ、俺が泣かしたみたいになるだろ」
「バカはお前だよぉ……なんでシスコンなんだよぉ~~~~」
「お前も姉さんのこと好きだろう?(ふふん、)」
「好きだけどぉ~~~~」
のち、侵攻。せめて最後まで姉弟のそばにいようと思ったけど、主は主で被害にあってしまって病院送り
「(いやーなんのための原作知識ありだよ、なんでがんばろーとしたかなぁわたし)」
「名前!!」
「あ、三輪く、」
ぎゅうう
「……えーー、あ、(お姉さん死んだんだ)」
「……よかった」
「え??」
「お前は……、無事で、よかった……」
罪悪感ぞわわ
「俺はボーダーに入ることにした」
「……そっか」
「そして、ネイバーを倒す。姉さんを殺したネイバーも、他のネイバーも、ネイバーは全て敵だ」
「……じゃあ、私も入ろーかなぁ、ボーダー!」
「ダメだ」
「いーや入る」
「バカがなに言ってるんだ、勉強に専念しろ」
「入る入るぜーったい入る」
「……名前」
「入るったら入るんだからね。三輪くんだけ危険な目に合わすわけにいかないでしょ」
「そうだ、俺は危険な場所にいくんだ。そこにお前も連れてって、お前にしなれたら元も子もないだろ」
「死なないくらいに私が強くなればいいじゃん?」
「ダメだ」
「むしろね?考えて三輪くん。自分の身は自分で守れたほうがよくない?」
「お前にその必要はない。俺以外のヤツがお前を守れるわけがないだろ」
「自分で自分も守れないの??」
「ああ。で、そんなヤツが他のヤツも守れるわけがないだろ。あしでまといだ。おとなしく勉強してろ」
「……」
「……」
「……、」
「今回ばかりは泣き落としも通用しないからな」
「……わたしだって、みわくんが、心配で、」
「お前が俺を心配に思う気持ちの数十倍は、俺はお前の心配をしている」
「……」
「俺は、俺の復讐にお前も付き合う必要はないといってるんだ」
「……」
「そりゃあ、お前が姉さんのことを好きで、ネイバーを憎んでることも知ってる。だが、その役を請け負うのは俺だけで充分だ」
「……」
「わかってくれ」
「……わかってないのは、みわくんじゃんんん、」
まぁケロッとボーダーはいっちゃうんですけどね
三輪くんと同時期でもいいし、もうちょっと後でもいいし。
めっちゃ三輪くんのことが好きな女の子がかきたい
いままで適当に会話文置いてってたからちょっと纏めようね。
ゆんとろんがボーダー設立時にちょうどよく滑りこんだってことになってる(本部に居候状態:隊員としては働らいていない:モルモット)。多分風間さんたちのちょっと前くらいにそろ~っと。だから小南さん迅さんレイジさん陽太郎とは仲良し(ゆん)。ろんはあのなかじゃ多分レイジさんとしか話そうとしないな。迅さんと陽太郎はSEもちだからとりあえずは交流もとうとするだろうけど。で、風間さんとか三輪くんとか入ってくるけど、できるだけ彼らに見つからないように過ごす。まだ人が少ない時期だから、働らいてもいないヤツが本部をうろうろするのに抵抗あると思うんだよね。
で、ゆんは東さんに、ろんは風間さんに見つかる。もう東さんにはそのときSEの説明しちゃっていいです。ここは変える。で、東さんに狙撃をちょっとだけ教えてもらったり、三輪くんを紹介してもらったり。ろんは風間さんに初期段階からなつくはず。その関係上でひっついてたら、いつの間にか太刀川とか冬島さんにバレはじめ……。
で、みかみかとかが入隊したあたりで、隠れなくなる。もうすぐしたらアパート買うし、そろそろ堂々と生活しちゃうか~みたいな。つまりそれ以前は隠れてたわけだから……、
ゆん_東、三輪、風間、太刀川、冬島、加古さん、佐鳥、出水、綾辻、天羽、影浦
ろん_風間、太刀川、冬島、東、三輪、二宮、諏訪、佐鳥、時枝、出水、綾辻、天羽、影浦
かな。栞、みかみか、辻は、ゆんは全員面識あり、ろんは辻ちゃんのみ面識ありって感じかな
で、ゆんが奈良坂くんと同時期に入隊し、居候卒業。ろんの入隊は太一と同時期かな
「……」
「……あれ、今日の当番、あおちゃんたちだっけ?」
「ん?ああ、波月ちゃん。いや、俺は違うよ。普通にかりにきただけ」
「俺も違う。お前が来ないのを見越してかわりに当番していただけだ」
「ひどいな蓮巳くん!なんだかんだわ委員会はさぼんないよ!」
「ラジオがどうのこうので遅れることがあるだろう」
「まぁそれはあるけど」
「はい、お礼言おうね波月ちゃん」
「んん…ありがとう」
「どういたしまして」
「偉いねー波月ちゃん」
「あおちゃん誰目線なの?頭撫でないで?」
「親目線だよね。ゲー研の子たちはみんな親目線でみちゃう」
「もう少し厳しくしてくれると助かるんだがな、保護者さん」
「のびのびと成長してくれたらいいなって思ってます」
「まじの親目線じゃん、くすぐったいわ~」
「というか思い出したぞ燈堂さん。さっさと部の活動報告提出してくれ」
「活動報告ぅ? それ部長の仕事でしょ」
「部長が捕まらないんだ」
「えー……、ちょっとまって」
「……プリント無くしたって」
「いくらでもやるから生徒会室にくるよう伝えておけ」
「えーなっくん可哀想」
「可哀想と思うなら、きっちり躾をしろ」
「うちの部は放任主義なんです」
「おい保護者」
「いいんじゃないですか?楽しそうですし」
「保護者がほわほわしてるからこんなのになるんだと思うぞ……。まぁ、大体の原因は燈堂さんにあると思うが」
「えっ私なの」
「でもあれですよね、あの2人、波月ちゃんになついてるんだから、波月ちゃんのいうことには従いそうだよね」
「えー?そうかなー?」
「まぁ、お前がやりたいことに全面協力してるよな、基本的に」
「それは各々の利害が一致してるってだけで、べつにトドちゃん至上主義ってわけじゃないと思うよ」
「だがまぁ、ものは試しだ。提案くらいはしてみろ」
「なんの?」
「そうだな……。じゃあ、薬を作るのをやめさせろ」
「難易度たかくない??無理でしょ」
「レッスンにきちんと参加、でおねがいします」
「うん、そっちのが現実味あるね」
「じゃあ、よろしくたのむぞ燈堂さん」
「ダメもとだけどね~……」
「ねぇねぇお二人さん」
「ん?とどちゃんもいっしょに乱闘しますか?」
「珍しいネ、ハヅキがしたがるなんテ」
「いや、そうじゃなくてさ、今日レッスンじゃないの?」
「「……」」
「気分じゃなイ」
「っていうか、とどちゃんがそんなこと言ってくるなんて珍しいな~」
「ネ。べつにハヅキがプロデュースしてくれるわけじゃないんでもないのニ」
「いやー、私も先輩ですからね、一応そういう声かけくらいしたほうがいいのかなーって」
「いらなイ」
「ええーっ」
「あっでも、とどちゃんがプロデュースしてくれるなら、ソラはいつでもどこでもやるなー!ねっ、ししょ~!」
「……まぁ」
「えー、そうくる?」
「とどちゃん、今日予定ないなー?プロデュースしてくれますか!」
「んんん、まぁ、んん……いっかぁ、予定ないし」
「ほんとにいいノ?」
「うん、今日だけね」
「わあ~!やったー!さっそくせんぱいのとこいくな~!」
「そうだネ」
「ンン~……」
「っていう感じで……」
「ギリギリ失敗って感じだね」
「ほらね?やっぱ私のいうことなんでも聞くって感じじゃないんだよ」
「ちょっと落ち込んでる?」
「そそそんなわけ」
「ちょっとハヅキ!今のみてター?」
「見てた見てたー!」
「今のであってますー?」
「あってるあってるー!」
「なついてるのは本当なんだけどね……」
「もうちょっとこっちに利益あるなつきかたしてほしかったな~」
「あはは、まぁ可愛いしいいでしょう」
「んー、そうね~」
「っていうか!なんでせんぱいとどちゃんと喋ってばっかですか!ズルいなー、ちゃんとレッスンしてください!」
「そうだヨ。そこのターンできるようになるまでハヅキと喋るの禁止だからネ」
「えええっ、そこですか!?」
「うはは、がんばれあおちゃん」
「うー、はぁい……」
「とどちゃん!宙も!宙も応援してください!」
「がんばれー!!」
「はいっ!」
「なっくんもねー!」
「わかってるかラ」
「うはは、みんながんばれ!終わったらクッキーあるからね!」
「「「……」」」
「……手作り?」
「うん!」
「わー楽しみなー」
「あと10セットがんばるヨー」
「やる気でてきますねー」
「え、なんでみんな覇気なくなってってるのねぇみんな??」
「ハヅキはモテるよネ」
「え?モテないよ、全然。告白されたのだって……4回くらいだし」
「えー、同級生にモテるくせニ」
「同級生??……天祥院くんだけだよ?」
「巴日和、羽風薫、兄さんたちに瀬名泉!」
「全員ただの友達だよ~。みーんな友達!みーんなアイドル!ってね」
「……」
「なにが不満なのキミは」
「HuHu~、ししょ~は、とどちゃんのことが好きっていいたいな~♪」
「チガウ」
「違うってよ春くん」
「だーから宙は宙です!いい加減覚えてください!」
「いやー覚えしてるケドねー?」
「も~!!」
「……はぁ」
「ん、どうしたサッキー、憂鬱か!」
「ンー、そうそう、そんな感じだヨ……」
「うはは、そんなときは一緒に乱闘だ!」
「とどちゃんが乱闘なんて珍しいなー!宙も混ざります!」
「まっ、ボクやるなんていってないけド」
「いーからいーから~」
「いーからいーから~♪」
「……はぁ」
雨の日ゲー研 ぼつ!!
燈堂「いいなぁ、ふわふわ」
春川「わ、びっくりしたな~!なんですか、とどちゃん」
燈堂「いや、髪ふわっふわだね」
春川「あー、今日湿気すごいからな~……」
燈堂「その感覚よくわかんないんだけどね」
春川「とどちゃんはまっすぐストレートだもんな~、羨ましいです」
燈堂「そう?ふわふわしてたほうが可愛いよ。あと撫でたくなるね」
春川「そう思ってもらえるなら越したことはないな~。でも、ほんとに今日みたいな日は、クシではどうにもなりません……」
燈堂「んー…、アイロンかけてみる?」
春川「アイロン!?」
燈堂「あれだよ、なっくん女装させるときにさ、よく髪巻いてるでしょ。あれで」
春川「あー、あれですか!」
燈堂「さすがに服にかけるやつは常備してないかな笑」
春川「え、じゃあ、髪のほうのは常備してるんですか」
燈堂「いや、部室に常に置いてあるよ。あのエリアに」
春川「……とどちゃん、そろそろこの部室、掃除したほうがいいと思うな~?」
燈堂「よし、じゃあまっすぐにするかー!」
春川「話逸らさないでとどちゃん!」
燈堂「……こんなもんかな」
春川「……なんか、すごいですけど」
燈堂「違和感の塊だね」
春川「うわー、もうぜったいまっすぐにしないです!なんか髪色だけ派手で気持ち悪いです!!」
燈堂「……髪型も派手にしてみる?」
春川「えええ、もう戻したいです」
燈堂「じゃあ外でなきゃ!2人で雨に濡れよう!」
春川「! 楽しそうな~!いきます!」
逆先「いや、風邪ひくかラ。ダメに決まってるでショ」
「ねぇ三輪くん聞いて聞いて!」
「なんだ」
「課題がおわった!!」
「……今日はエイプリルフールだったな」
「嘘じゃ!!ないから!!信じて!!」
「ほう、見せてみろ」
「はい!」
「……」
「……」
「……で?」
「え?」
「数学の課題はどうした」
「えっ、英語だけじゃなかったっけ」
「……」
「……」
「お前、可哀想だな」
「うわ!!一生三輪くんに言われることないだろうと思ってたセリフを言われてしまった!!」
「だいたい俺でも終わってないんだぞ、おかしいと思った」
「くそ〜……」
「なぁ名前……」
「ん、なぁに、太刀川」
「どうしよう、俺……」
「またレポート?手伝わないよ」
「違う…。さっき、緑川に負けちまったんだ……」
「……学力でだよね?」
「違う、ランク戦で」
「う、うそでしょ!?どうしたの太刀川!」
「もう俺やだ、ボーダーやめる……」
「はぁっ」
「だから名前、最後に一戦、やってくれないか……。お前とやりあうの、けっこう好きだったんだ」
「う、うう……。まぁ、最後だし、弱くなってるなら、いいか……」
「ありがとな、名前」
「ばか!!!ばかばかばか!!うそつき!!全然弱くなってないじゃん!!!」
「いやー名前ちゃんは素直で可愛いなぁ〜?」
「ばかばかばかー!!」
「あー久々にお前とやれて楽しかったぞーありがとなー?」
「うるさい!!もうぜったいやらないから!!」
「(名前さん毎年同じこと繰り返してるのにどうして引っかかるんだろう……)」
「みんなと仲良くできるかな~……?」
「さぁねぇ……、でもまぁ、仲良くする必要もないとおもうけど」
「いずみんはまーたそんなこといって~。友達いないといろいろ普遍なんだよ?」
「……あんたには友達なんかいらないと思うよ、友達なんかいなくてもなんでもそつなくこなせるからあんたは天才なんだし」
「そういう問題じゃないの~!」
とどの可愛いところはたくさんある。それを理解できるやつはきっとあんたの友達になれないし、理解できないやつなんかもってのほか。どうにしろ人とつきあってなんかいたら、あんたがきずつくこと間違いないなしなんだから、黙って俺にひっついていればいい。
「はーづーきーちゃん!」
「はーあーいっ。誰だー、気安く私様の名前を呼ぶのは……、っと、ピヨりんか。きみお坊っちゃんのくせによく出歩いてるねぇ。ひまなの?」
「うんうん、僕が暇なわけないよねぇ!今日は波月ちゃんに教わったことを実践する日だからね、この猛暑のなか、特別に日の下に体を晒してやっているだけだね」
「……つまり、お友達がいるの?だれ?七草くんっ??」
「……きみはどうしてそんなに彼を好いているの?確かに外見は波月ちゃんのタイプっぽいけどね、あんまりいいやつじゃないね。それこそ英智くんと張り合え……、それは言い過ぎたね」
「お前は英智が好きなのか嫌いなのかどっちなんだ……」
「!、いつの間に呼び捨てになったの!?」
「え、ああ、あっちが名前で呼ぼうと努力し始めたから、こっちもグレードアップをしてやろうかと」
「そうグレードアップになってるの?英智くんはくん付けされたほうが喜びそうなものだけどね」
「そんな気持ち悪い言い方しないでも……」
「……はーづーきーちゃん」
「あっ、パンダくん!?」
「ねーえー!なんでぼくのときは姿を見るまで気付かなかったのに凪砂くんは声だけでわかるの〜??」
「久しぶり。何日ぶりかな」
「やだなぁ、一昨日会ったばっかりでしょ」
「え!?」
「そうだったっけ。……それだけ波月ちゃんに飢えていたということかな」
「すぐそういうこという〜。もう、けっこうキミもたらしだよなぁ」
「波月ちゃんには負けるかなぁ」
「ねぇ、ちょっと!!」
「どうしたピヨりん」
「あ、はい日和くん、イチゴでいいんだよね?」
「いつの間に2人で会ってたの!?どうしてそういうことに僕を呼ばないの!?非常識だね!!凪砂くん、イチゴであってるね、ありがとう!」
「わーピヨりんお礼言えるの?偉いね〜〜!」
「バカにしないでほしいね!もっとほめてくれてもいいけどね!」
「だって、大学受験の勉強だよ?日和くん、勉強しないし」
「そうだよー、ピヨりん来てもつまんないと思うよ」
「それでも一度声をかけるべきだね!!というか!なんで凪砂くんと2人でやるの!?波月ちゃんくらいなら1人でも余裕なはずだね!?」
「いや買い被りすぎだって。まぁ、確かに凪砂くんである必要はないんだけど」
「え」
「ぶっちゃけ蓮巳くんくらいのごいればどうとでもなるしね」
「え」
「でも、蓮巳くんて休日なかなか捕まらないんだよね〜」
「……」
「凪砂くん、なにぼくを差し置いてホッとしているの??ぼくはまだなにも安心できる要素が見つからなくてイライラするくらいなんだけどね」
「まぁ落ち着いて日和くん」
「笑顔で宥められても逆上するばかりなのは当然だね!?」
「ところでキミたち、具体的には何しにきたの?」
「ここのアイス食べにきたんだ」
「波月ちゃんが、流行にのれってうるさいからね!」
「なーるほどね。どう?おいしい?」
「まあまあだね」
「流行りそうな味はしてるよ」
「わっかんないなぁ……、ピヨりん一口もらうね」
「はっ、」
「……あー、たしかに、流行りそうな味だな」
「でしょう?」
「わざわざ買いにくる価値はないね」
「それを買った人の前でいうところが波月ちゃんらしいよね」
「……ぼ、」
「……?」
「ぼ、ぼくのアイスが……」
「えーーお前一口だけで文句言う??ごめんね?パンダくんの貰えばよかったね??」
「果肉のところ……」
「もーごめんってばぁ。なに、チョコ買ってきてチョコチップのところでも食わしてやろうか?」
「波月ちゃんにしては良いアイディアだね!」
「しかたないなぁ…、いくら、それ?」
「大きいワンコイン」
「うげ、流行りものたっか。まぁたまにはいっか〜……」
「……日和くん、それ溶けちゃうよ」
「これぼくが食べていいの?」
「……日和くんは変なところ気にするよね、食べづらいなら私のと交換す」
「いーやぼくはオレンジシャーベットなんか食べないね!」
「オレンジかイチゴかで悩んでいたくせに……」
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