フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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夕焼けのガラスボール、――そんな一生懸命に考えて、彼氏にストラップか何か?(悩む姿は正に真剣で呟き一つからも拘りが感じられ、とは言えアリスと付き合っているなんて話は先日帽子屋から教えられたフラミンゴの事と、友人のチェシャ猫の事くらい。若しかしたら自分の知らない所で?と考えを勝手に巡らせるのもそこそこに、愛嬌があり人懐っこい雰囲気の可愛い子とは帽子屋を通じて教えられるフラミンゴの恋人に似ているじゃないか、そう言えば髪色も綺麗な白だと言っていたな、なんて頭を傾け。「フラミンゴの――?」勘違いのままのニアピン賞であるそれを尋ねかけるべく言葉を向ければ自身に伝えられたその頼みごとに頭を縦に揺らしてから「うん。いいよ、……力になれるかわからないけどね」悩んでいる様子からの時間をと言うその申し出に夕日のガラスボールを探す手伝いだろうと先を読んで、この後に用事も無ければ特に考える間も無くあっさりと承諾し。「アリス、僕はお兄さんじゃなくて三月兎って言うんだ。帽子屋の所に住み込んでる芸術家、」相談に乗るにしても何も知らない男には言い辛いだろうか、と気を配ったわけではなく、今し方お兄さんと呼ばれたのが少々擽ったくて変な感じになった為で。もし、この子が自分の予想通りにフラミンゴの恋人ならば帽子屋の所に一度来ている筈と考えを巡らせて敢えて宿主の名を上げ)
えっ!ちゃうちゃう!めっちゃ大切な友達にピアス作ったるって約束しててん(まさかの彼氏発言にぽっと頬が赤みを帯びるが、片手を顔の前で横に振っては慌てて訂正を加える。何故そんな話になったのだ、と頬をぽりぽりと掻きつつ、苦い笑みを零し。更に追い討ちを掛けるように、兄の恋人の名前が出れば、飛び跳ねるように驚いてしまったのは仕方のないこと。滅相もない、と首を大きく全力で左右に振っては否定を行う。「ちょ、其れこそ笑えん冗談やわ!フラミンゴちゃんの恋人はうちのお兄の事であって、うちではないよ。あー、今の話がお兄の耳に入ったら一週間お菓子抜きにされてまうわ」恐ろしや恐ろしや、とふるふる震える身体を頻りに摩り。急な頼み事にも快く快諾してくれた彼にほっと胸を撫で下ろし、顔の前に持ち上げていた手を下ろしては肩の力も自然と抜けて。「あぁ、お兄が話してた帽子屋ちゃんの所の!そんで城に置いとった、あの綺麗な絵描いた三月兎ちゃんってお兄さんの事やってんな!」以前赴いた城内の廊下に飾られていた絵、確かドードー鳥が説明する際に彼の名を紹介していたはず。ぴん、と人差し指立て、”合うてる?”と問いかける様に首を傾げて。このクニでは自分もアリスである事はある程度説明を受け理解はしているも、やはり自己紹介されては返さないと罪悪感がムズムズと心の奥を占領する。「此処ではアリス、やけど一応イ・ソヨンって言います。呼び方は好きに呼んでもろてええよ。うちが名前言いたかっただけやから、気にせんとってな?」一言言葉を付け加えては、ひらひら手を宙で降って)
へぇ――なんだ、どっちもハズレ。(まるでアニメでも見ているか、若しくは演劇の世界に自分だけが迷い込んでしまったか、彼女の身振り手振りに留まらない大きな動きに小さく"ふ。"と息を漏らして笑いを零し、肩を竦めて間違っていた解釈だったと聞き入れて。城の絵を関連付けて己のことを知られていると作品を覚えて貰っているとは何より嬉しいと、ひっそり好感を持ち頷き応え。「正解、知っててくれたんだ。綺麗でしょ、――あれを綺麗だって思ったなら、君はセンスが良いね」一種の自己愛拗らせを隠す事無くふふ。と笑い声交じりに語り。改めて彼女についての自己紹介がされると、確りとそれを聞き入ってからゆるりと白衣のポケットに両手を突っ込んで「ソヨン、ピアスのイメージは決まってるの?」どの呼び方にするか、自由に選択肢を与えられた時点で応えはもう決まっているようなもの。次にはもう自然と教えられた名前を呼び、先ほど夕焼けの様なと告げていたことから関連するような赤を含むガラスボールを一つ手に取って「さっきのが例えなら黙ってるけど、夕日を閉じ込めた水晶なら持ってるよ。これくらいの大きさの奴」似た大きさのガラスボールを一つ彼女へ向けて自分の材料コレクションを頭に浮かべて。例えではなく、本当に夕日を閉じ込めたそれは彼女の探している物なのか、「気になるの此処で選んでおいて、一応見てみる?アトリエに置いてるから少し歩く事になるけど」手にしていたそれを元の場所へ置き戻して頭を傾ければ提案の一つとして伝えて、今一度彼女の姿を見れば"へぇ"と小さくつぶやいて「そっか。フラミンゴのとこの妹だったんだ、帽子屋がお兄さんの事よく褒めてるよ。よろしく伝えて置いて」以前交流を持っていた同居人がまた来てくれないかと良くぼやいているのを思い出し、折角だからとこの場にいない兄へ挨拶の伝言を頼み)
そうそう、どっちもハズレ!三月兎ちゃん、いきなり際どい質問してくるねんもんなー、油断も隙もないわ(笑う姿さえ美しい三月兎にぶうたれたように両頬を膨らませ、詰るような言葉を零すが本心では兄の事を知って貰えていた事が嬉しく、言葉を言い終えた後、ふは、と力の抜けた笑みを浮かべる。センスが良いと伝えられれば、兄譲りのにんまり顔を浮かべ、”やろ?流石三月兎ちゃん!”とVサインを送り。やはり自分の記憶は正しかった様子。まだまだ彼が創る作品を観てみたい、その願望に従うように、すす、と隣の相手に近寄っては「なぁなぁ、他にはどんなの描いてるのん?見せて欲しいなー、なんて」瞳から純真なる光を放ちながら、窺い見。”夕日を閉じ込めた”とは一体どういう意味なのか。想像することも出来ず、間抜けにも首を傾げるのみ。「ピアスは、ガラスボールを香水瓶みたい形に加工して揺れる感じにしよかなー。でも全体の形をスクエアにして、どっか一角にビーズとか付けるんもええかも?」折角ならば、彼の瞳に似た色の飾りを強調させたい。そうなればやはり前者のアイデアの方が良いのか。むむ、と唸りながら眉間に次第に皺が寄る。この場でどっち、とは決められず一先ず彼の案に乗るべく「せやね!ならお言葉に甘えてアトリエにお邪魔させてもらうわな」そうと決まればあまり彼を待たせる訳にもいかず、星や月の形をしたクリスタルや色鮮やかなガラスボール、その他オーガンジーなどをぱっぱと選び取る。それを店主に渡し会計に至った際、「こんな目立つうちらがおっちゃんとこの店の紙袋持ってるんやから、ええ宣伝なると思わん?」などと会話を繰り広げあれよあれよという間に値引きに成功。浮いた分の半分を三月兎に差し出しては、ペロリと赤い舌先覗かせ、意図せず片棒を担がせてしまった事への謝罪と、2人だけの秘密毎にすべく”堪忍な。みんなには内緒やで?”と悪戯げに笑う。「なん、そうやったん?めっちゃ嬉しいわ。自慢のお兄やねん!ふふ、絶対伝えとくな」兄が褒められていた、と他者から言われるなどこれ程嬉しい事はない。柔らかな頬をこれでもかというほど、笑みでくしゃくしゃに崩しては、弾む声音で応答し)
あの引き篭りに恋人が出来たって聞いたから一度会ってみたいんだ。元気いっぱいでニコニコしてて、勿体無いくらい可愛い子だって聞いてたから。__それに綺麗な白い髪だって、だから君かと思った(外れてしまったがいい線は付いていた、惜しいところまで辿れていた推理の道筋を順を追い語り。何やらぶうたれてしまったその表情を数秒ほど真っ直ぐにジーと見詰めてから「凄い不細工、……折角可愛いんだから止めな」年頃の女の子に言うべきじゃない言葉だが遠慮なくストレートに告げると失言が過ぎる自覚も反省も無い為にブイサインと共に見せられた表情に「そっちの方がいい」とマイペースに言葉を重ねて。一先ずと言う様子で彼女が描いているイメージに触れることが出来ればまだ何となくだが多少なりと想像する事が出来て、この後の予定が決まった事で彼女の様子と言うよりも景色に視線を移動させ賑やかな公園の空気感を肌で触れる気持ち穏やかさに瞳をゆうるりと細めて、それも束の間上手に値引いている声が聞こえると片方垂らしている耳ですらピンと持ち上がり。また上手に言いくるめるものだと周囲になんて目を向けてられないとばかり交渉を行うその姿を見詰め、差し出された金額を見れば頭を左右に振り「お兄ちゃんにお土産でも買ってやりな、僕は何もしてないんだから」実際何もしていない訳で、そんな女の子からお金を貰えるはずもなく人差し指を自身の口元に添えることで秘密は守るよと言葉無しに伝えて。「まだ見てないけど、きっと自慢のお兄ちゃんに似てるんだろうね」見ているこちらが釣られてつい笑顔を浮かべてしまいそうになる彼女の表情にまだ見ぬイメージの兄の姿を重ねて「歩くけど途中で疲れたら置いてくよ___だから頑張ってね」ぴん、と向けた人差し指で彼女を指差し前半は脅しかけるように、後半は応援するように再びポケットに手を突っ込んでから歩みを始めて)
__!あっはは!仮にもお、女の子相手に不細工とか!三月兎ちゃん、素直すぎるわー。落とした後にすっと持ち上げるんも流石やね(スラスラと兄の事をほめられていた筈がいつの間にか自分の表情を指摘する言葉に変わり。驚きに見開かれた瞳は、瞬時に笑いの波に飲み込まれて三日月型に。女の子らしくしろ、と兄からも忠告を受けた言葉が頭を過るも、今しがた受けた衝撃の方が大きく、いっそ豪快に笑い声立てて、体をくの字に曲げる。余韻にプルプル震える肩はそのままに「あーあかん!めっちゃお腹痛いー」と楽しげな声で呟いた後、曲げていた体をぐいっと伸ばす。「遊園地来たら結構の頻度で会える思うよ。もれなくフラミンゴちゃんとのラブシーン付き、かもやねどね」先日出先から帰るとリビングで兄の手料理を食べた後と思われるフラミンゴと、兄が楽しげに話していたのを思い出したながら揶揄い混じりの忠告を告げ。交渉を終えた後、差し出した代金は優しい言葉と共に己の手の中へ舞い戻り。その思い遣りを台無しにしないよう、「そうやね、そうする。有難う、三月兎ちゃん」財布へとお金をしまい。店主から受け取った品物を片手にぶら下げ、彼の背を追い掛けるべく店を後にする。「歩くん大好きやから大丈夫!なんや知らん場所行ける思たらワクワクするわ。うち、足には自信あるねん」軽やかなまでの足取りでトントンと歩みを進め。途中すれ違う人にヒラリと手を振ったり、挨拶交わしながらも逸れないよう彼の隣を並び歩く。「なんせ、昔は駄々こねる弟背負って帰り道あるいたもん」お喋りな口は休む事を知らず、何故足に自信があるのか昔のエピソード交えて紹介しながらくすくす笑い)
(豪快な笑い方は矢張り自分が知る女性像とは少し違い、だが変に気取った女性よりも嫌味が無くて接しやすい。そんな気楽さを感じる事となり、表情は依然変わらない儘に体を織り上げお腹を抱える笑う様子を終止見届けて。彼の兄はフラミンゴ同様に遊園地に居るらしい、と教えられるも何より興味を持ったのはラブシーンとは懸け離れた印象を持つフラミンゴの色めいたシーンで「へぇ、――人も変われば変わるもんだね。恋ってそんなに凄いんだ」感心する様子で片手の指先をソと顎に添えて。確りと歩けることを伝えられればそれで良いと言う様子で頭頷かせ、その流れで彼女には兄だけじゃなく弟もいるのだと知り「――兄弟が沢山いるんだね、皆で三人?」頭を傾けちらりと横目に彼女の姿を映し、普段と比べてゆっくりとした歩き方は暗に彼女との歩幅の違いを考えての事で「いつもこうなの?……ニコニコって笑ってぴーちくぱーちくってお喋りしてさ」何をするにも楽しそうな雰囲気を纏うのを見れば純粋な疑問として尋ねかけ。微笑ましさから結局は釣られて目元に小さく皴を刻んだ微笑みを浮かべて「君のそんな所みてたら楽しくなってくる、それって凄いことだよ」一緒にいる間に感じたその気持ちを良いことも悪いことも隠せない性分のせいで隠すことなく素直に言葉にし、公園を抜け森へと進み「ピアスとか、小物を作るのが得意なの?」道中の話として問い掛けると同居人が正に装飾を楽しみながら仕事にしているからか興味深いと言う様子で)
そんなにフラミンゴちゃん、変わったのん?うちらが来た時には既にラブラブやったけどなー(思わぬ反応にあれ?と手応えのなさを感じては首を傾げ。どうやら彼と己が持つフラミンゴへのイメージは違うよう。ひょっとして他所では話さない方が良かった部類の話題だったのか。ドツボに嵌ったようにグルグル考えこむも答えは出ず「…あんま話さん方がフラミンゴちゃん的には良かった感じやろか?あちゃー、またやってもた。よう動く口や、て怒られるねんよ。この話、他には秘密な?」嫌な予感にぺちりと小さな掌を額に当て、暫し天を見上げ後悔示す。心の中でフラミンゴに暴露してしまった事を謝罪しつつ、賺さず三月兎にも口止めを願う。然し、恋話にはやはり女子ゆえか心弾むのは止められず。彼が少し恋に興味を持ったような発言してはニィと口角持ち上げ「ひょっとして、三月兎ちゃんも恋したら変わるかも知れんよー!そん時がめっちゃ楽しみ。恋人出来たら教えてな?」などと、話題を振り。彼がゆっくりと歩いてくれる為、遅れる事もなく安心して隣を歩ける。其れが小さな気遣いながらも嬉しく、視線合えば笑ってしまうのは仕方なく。「そうそう、3人兄弟やねん。男2人に挟まれとるから、よう男っぽいって言われるわ。小ちゃい頃とか短髪やってん。其れから考えたらレディになってると思わん?」聞かれていない過去の事まで話しては、現在長い髪を丁寧に編み込み飾っているのだから立派なものだ、と自分で自分を褒めてみせ、更には彼にも質問を投げかけてみせ。そんな矢先、告げられた感想には数度瞬きし。綺麗な笑み付きで言われては恥ずかしさもひとしお。ぽっ、と火照る頬を両手で覆い隠すと「なん、そんな風に言われると嬉しいわー。でも、三月兎ちゃんそんな別嬪な顔でそんな可愛えらしい事言うたら知らんおじさんに連れ帰られてまうで」お礼とともに見当違いな心配を覗かせる。ちらちら、と周囲に不審者がいない事を確認しては”よし、大丈夫や!”とボディーガード気取りで。道中の会話を楽しみながら、触れられた己の趣味には満面の笑みで頷く。「得意って言うか、好きやねん!あの没頭出来る時間とか、作った後の達成感とか。後はキラキラしてるのん見るのも好きやしね。三月兎ちゃんは絵描くのが好きなん?」好きな話題になれば次第に早口気味になり、よく回り出す口。あれこれ語り出そうと開いた口は、風に揺れる彼の白衣に散った絵の具を視界に止める事で我に帰り、一旦落ち着く為、同じ様な質問を返し)
フラミンゴと言えば変わり者が多いこの国の中でもトップクラスの変人だよ、気難しくて頑固で。取っつき辛い、――ドードーみたいに献身的に寄り添えば別なのかもしれないけど、そんな義理も無かったしね(失言を後悔するように悔いている彼女の様子に、加えては彼女からフラミンゴに対する文句や不満が出ていない事も理由の一つに「だから、良く変わったんだね」直接彼に会った訳じゃないが、実際に顔を合わせた帽子屋は雰囲気が丸くなったとこれも又、恋人のお陰だと笑っていたのが記憶に新しい。「どうだろね、今更自分が変わるなんて思えないし……いいよ。恋人が出来たら、ね」最初こそ恋人が出来る予定が皆無だからこそ今一しっくりと来ない儘に、後半には予定が無いからこそ特に考えず約束をして「ソヨンに恋人が出来た時も僕に教えに来てね。――まぁ、お互い来るかわからないけど」自分はともかく彼女までも巻き込んだ失礼な発言に肩を少しだけ竦ませて。誇らしげな雰囲気で語られる彼女の話に時折相槌を行って「レディって言うには淑やかさが足りないね、――でも、僕は君みたいに活発な方が気が楽で良いな」問いかけられた質問にはあっさりと素直な意見を送ってしまい、「だから良いんじゃない?これ以上レディになんてならなくて」と彼女が女性らしさを求めているのかもしれない、なんて事は考えず飽く迄も自分が思った意見をそのままに伝えて。不審者を心配する保護者の様なやり取りに堪らず手の甲を口元に宛がってくすくすと笑い声を零し「オジサンをおじさんから守るなんてマトリョシカみたいだ。……ソヨン、僕は君みたいな女の子じゃないし、君のお兄ちゃんみたいな若い男の子でもないから心配不要だよ」まさか守られる立場になるとは、堪らずに笑いを零しながらヒラヒラと指先を揺らすように手を振って。制作過程を語る表情や声色が本当に好きなのだと言う事がヒシヒシと伝わってきて、そんな風に趣味を語られればもっと彼女の話を聞きたくなる不思議な魅力に魅了されて「僕は絵を描くのも造形をするのも好きだよ、集中するのが好きなのは同感だ。今日は僕の作品を見せるんだ、次は君の作品を見せてくれるんでしょ」彼女が楽しそうに語る作品とは、きっと作り手である彼女のキラキラとした雰囲気が滲んだものなのだろうと想像をし「もうすぐで到着するからもう少し頑張って」大分近づいてくると途中で励ましの言葉を一つ送り「本当だね、女の子なのに文句言わないで此処までついてくるなんて偉い偉い」先ほど足には自信が有ると語っていたが本当にその通りだと感心を言葉で伝え)
えー!フラミンゴちゃんって優しくて可愛えやん(彼から語られるフラミンゴの印象を聞けば聞くほど、自分の中の其れとかけ離れていく。驚きの声をあげた後、反論するように言葉を続けたのは兄の恋人をよく思われたい気持ちから。だが、三月兎の言葉を否定するつもりはなく「恋って凄いねんなー」と、結局はその一言に限る。恋人云々に関しては、自分自身では未だ想像が出来ず、彼からの言葉も失礼とは思わずに同意するように頷いてしまうほど。まだまだ幼い心は、ませているとはいえ、好きの違いを分かる程、成熟しきっていない。「三月兎ちゃんには素敵な人を恋人にして欲しいわー。欲を言えば作品の幅が広がるような刺激をくれる人、とか?」ただ単に自分が色々な彼の作品を見たいだけ。特に深い考えはなくさらりと告げ。どうやらレディへの道は遠いらしい。自分でも落ち着きのなさを自覚しているだけに痛いところを突かれ、うっ、と心臓辺りを押さえる。「し、淑やかさは年齢に応じて身につく思う!…多分」威勢良く言い返しはするも自信はなく、最後にぼそりと付け足し。気が楽でよい、と言ってもらえたのは嬉しいものの、女性らしさに憧れている気持ちもある。かと言って無理して優美に振舞っても疲れるだけ。がっくり両肩を落とし「でもお淑やかにしとっても楽しくないねんもん。やれ女の子は優しく穏やかで、みたいな考え古いと思わん?守られるだけやなんて嫌やし、そこいらの男子よりうちのんがよっぽど男気あるわ」つらつら述べる言葉は最早女の子らしさの欠片もない。要は自分はこういう性格なのだ。弟の面倒を見慣れてしまった為、あれこれ手を焼くのは苦痛ではなく、寧ろどこか抜けている兄と弟を養っていくのは自分だ、と思っていたほど。どや、と胸を張って言い切っては、すっきりしたのか晴れやかな表情へ様変わり。手の甲を口許に宛行い笑う姿の美しさに気付いていないのか。時に無自覚とは怖い、とより一層心配は増すばかり。「ちょ、何言うてんのん!自分の顔がどれだけ別嬪さんか知ってはる?もう性別とか年齢とか関係なしに、変態さんが寄ってくるぐらい綺麗やのに!」あわあわと彼の両肩に手を置き、軽く揺するように力入れては、一句一句しっかり喋り、念押しする。防犯ブザーでもプレゼントすべきか、と真剣に悩み出すほど。「ふふ、一緒やね!まだ此処に来てそんな作れてんけど、また見たってな」周りの人物は個性的で次々と創作意欲が湧く為、時間が足りぬほどだ。こくり、と頷き一つ約束をする。そろそろ目的の場所に到着するらしい。彼からお褒めの言葉をもらっては、ニンマリと勝気な笑み浮かべ「これぐらい、へっちゃらや」とVサインを送る)
優しくて可愛いなんて初めて、――いやドードーからしか聞いたことないや(矢張り印象に相違が有ると察すれば過去に前向きな印象など彼の同居人からしか聞いたことが無く、寧ろその同居人とは誰に対しても悪い印象を持たずに可愛がる性分の為に充てに等していなく。年ごろの彼女の恋話ならともかく、優先されるのは己の話と言う現状に少し変な感じを抱きつつも己にとっては何よりもと言うような作品優先を彼女も又願ってくれていると言うのが嬉しくてすん。と短く鼻で息を吸い込んでから「僕と僕の作品に釣り合う人ね、出会えれば良いけど」さして思っていなさそうな気の無い声色で頭をスウと傾け綴り、「君は……どんな人が良いとかあるの?一緒にワーワーって楽しむような人?」矢張り話題の中心が自分と言うのは違和感で、頭を傾ければ尋ねかけるべく質問を投げかけて。視線は彼女の姿を捉えれば見た目だけは白い髪も合わさって人形の様な愛らしさと端正な近寄りがたさを持っていると思い、とは言え先ほどから見かける彼女とはそんな近寄りがたさを微塵とも感じさせない親しみやすさと明るい無邪気さが魅力に拍車を掛けているとお淑やかに関して考察する彼女を見つめ、表情がクルクルと変わる訳じゃないが目は口ほどに物を言うとよく言ったもので笑みを仄めかすように細めた目尻で「君って面白いね」時折紛れる女の子のアリスと言えば多くが凛と淑やかな人物が多かった為その意外性を素直に告げて。自らが男であり、それに年齢を重ねていると説いても引くことなくグイグイと親愛をするその様子に面白いコメディを見ている気分に至り、白衣のポケットに居れていた片手を取り出して、折角の髪型が乱れてしまわないように。美しさが損なわれてしまう事をしないように気を配りつつそっと触れて、自身の肩をゆする刺激にガタガタと振り回されない程度には確りと体が出来ていて「まぁ、――君の顔よりは別嬪さんかもね」頭部に触れる際に近づいた距離で真直ぐに見つめれば彼女の瞳に映る自分を見つけ自惚れ染みたそんな言葉を恥ずかしげもなく告げ、くすと息を吹き出せば触れていた指先を離し「まぁ、3年後には抜かれてるんだろうけど」今の幼さが残る容姿ですらこの魅力なのだ、数年後には洗練された美しさが彼女に付くのだろうと将来への期待を認め。到着した邸の扉を開けば「気になる材料が有れば持ってって良いよ、同じアーティストなら協力してあげる」せっかくここまで来たのだと言う思いは勿論だが、珍しく何かを作ることを好んでいる人物と出会えたと言う事が単純に嬉しくてアトリエの扉を開けば「どうぞ」と一声を掛けて。買ってきた荷物を下ろせば細々としたパーツを纏めているトランクを持ってきて「夕日も夜空も、昼間の空だってあるけど、離してたやつはこんな感じ」トランクの中の透明なケースに入れられる水晶を示すと文字通り空を切り抜いて中に詰めたような小さい水晶が数種類あり「夕日はこの辺りかな」夕暮れ時分を示す暖かくて少しノスタルジックな茜色を閉じ込めるケースを彼女に渡し)
あー、ドードーちゃんは皆にそんな感じやもんね。でもフラミンゴちゃんって、一見話し掛けにくそうに見えて実は思い遣りあって可愛え人やねん(もう1人の同居人を思い出しては、うんうんと納得するように頷き。更に兄からフラミンゴの話を聞いていては、知らずのうちに身内贔屓になっていたのかも知れない。フラミンゴから貰った暖かな優しさを思い出しては、やはり自分にとっての彼のイメージは呟いた通りで間違えない。彼と彼の作品に見合うなど、何とも難しい条件に思えて仕方ない。「いやー、中々難しそうやね。でも意外とこの人が、ってのがあるかもやで」理想と現実は総じて違うもので。チッチッ、と立てた人差し指を左右に揺らし、まるで幾多の恋を経験してきたかのような調子でニンマリと一つ訂正。逆に振られた内容には頬をポリポリと掻きつつ、視線を宙に逃す。「うーん、どうやろか。でもうちの家族ってフラミンゴちゃんみたいな手掛かる感じの可愛え子が好きなんかも」真剣に答えるのは照れ臭く、はぐらかす様に曖昧な返答を行う。目尻が緩むと一層彼の美貌は輝きを増す。じぃ、と見惚れるように眺めては、この輝きをどうにかして作品に取り入れたい、との思いが募る。ふつふつと湧く創作意欲、閃くアイデアに知らず笑みは溢れて。「ふふ、面白いとか褒め言葉やわ。2人でお笑い芸人でも目指してみる?」ケラケラと冗談交じりの提案を行い、触れる指先には擽ったげに肩を竦める。不意に告げられた三年後の話にパチクリと瞬きを行い、疑わしげに目を細めて。「えー、そうやろか?言うて三月兎ちゃんの方が三年後更に綺麗なっとるなんてオチはなしやで!」まだまだ霞む事を知らない美貌は、三年の月日を経て更に増すのではないか。強ち間違っていなさそうな予測に、妙に納得してしまえば、それはそれで眺める自分側としてはオイシイ。年齢不詳気味な彼に指先伸ばしては顎あたりを遠慮なくさすりと撫で。「お髭とかは生えるん?わー、つるつるしとる!」つるりとした白い肌に単語を出しては、摩訶不思議だと言わんばかりに無遠慮に疑問を投げかける。開かれた彼のアトリエへの扉。入る直前に”お邪魔します”と一礼してから室内へ入り。あちこちに彼の作品が散らばる中の様子に落ち着かなげに視線はうろうろ。ともすれば、あれやこれやと見て回りそうになる体は、彼が持ってきてくれたトランクによりその場に縫いとめられて。中に並ぶ小さな水晶たちのあまりの美しさに、ヒュと喉が鳴る。暫し喋ることを忘れたように無言で見惚れては、渡されたケースの中の水晶を光に翳し。チカチカと顔を照らす夕焼け色。暮れ行く濃紺がひっそりと混ざり、まさに思い描いていた友達の瞳の色にそっくりだ。「…これ、どうなっとるん?ホンマのお空が切り取られとる。めっちゃ綺麗…」普段の姦しさは鳴りを潜め、そっと空気に溶かすように言葉を落として)
(/中程の所の文章ですが、白い肌に単語を出しての所ですが言葉が抜けてしまい意味不明な感じになってしまいました…‼︎正しくは白い肌に似つかわしくない単語を出して、です‼︎)
確かに、弟くんの面倒もだけど。君って面倒見がすごい良さそうだもんね(手が掛かる人が好きなのかもと語られれば何よりも具体的なフラミンゴと言う存在のお陰で想像は尽きやすく「お兄ちゃんも弟くんもそんな感じ?」コキコキと頭を左右に揺らし骨の音を立てては体の固まりを解して問いかけて。ケラケラと無防備とも言えるあどけなさで笑い声を上げる彼女の戯れ事を聞けばピンと指先までまっすぐに伸ばした手の平をNOと言う様子で彼女に向けて「やだよ、人に笑われるなんてそんなの」つんけん、とするつもりは無いが自分が誰かに笑われているのを想像するだけでブルリと震えが来る始末、「君がなった暁には皆に宣伝してあげる」勿論かのjyが冗談で言っていることを知っている為、冗談に冗談を重ねるべくそんな言葉を付け足して。遠慮なく顔に触れられれば突然の事に驚き反射的に肩を上げ顔を引っ込め「驚いた、――そりゃ生きてるから。髭くらい生えるさ、人よりは薄いけどね」触れられる彼女の指が柔らかいとか指が細くて触れられる立場でありながら怖くなるだとか見当違いな考えを頭に浮かべて、顎元に触れる手を視線で見やりつつ"変なことを聞くね"と驚きに上げた肩を落とし。披露した水晶が彼女の心を掴んだと見てわかれば自慢の材料を彼女が言葉なく喜んでくれると嬉しくないはずが無く、「ソヨンならこっちの方が似合いそうだね」宇宙を閉じ込めたコスモの水晶を手に取ると様々な色合いを見せるその水晶が落ち着いて有りながら決して地味じゃ無く、優しい明るさをチカチカと見せるその様子に彼女と話をして来た中で感じたイメージを告げ。他にもといくつかガラスボールやビーズに天然石なんかが入るケースを開き「他にもいろいろ有るけど、気に入るのが有るといいね」イメージとして彼女の中に完成図が有るのを聞いていた為、彼女の制作に自分が携われることをひっそりと楽しんでいて)
結構せっかちやねんよ。やから、のんびりさん見たら勝手に体が動いてまうんよね(あまりに手を掛け過ぎたからか、弟は何とも他人任せののんびり屋さんになってしまった。過去の自分を後悔するように苦い笑みを口許に浮かべつつ、ふぅ、とため息を一つ零す。「弟はのんびり屋の我が儘坊主で、お兄は自由人のお気楽さんやから」ポツリと彼ら2人の特徴を述べては、中々に濃ゆいメンツに囲まれているものだ、と自分もその中の一員だとは認識せず、大人びた顔で”仕方ない兄弟や”と肩を落とし。突き付けられた掌と言葉にパチパチ数度瞬きし、続けられた拒否の言葉には態とらしくへにゃりと眉尻下げる。「えー、1人でやるんつまらんやん。ならうちもやーめた。そん代わり、うちのモデルになってや」下唇を尖らせ、ぷいと顔を横に向ける事でお笑い芸人への道は諦め、ぱっと代替え案が閃けばくるりと向き直り、キラキラとした瞳で頼み事。指先に触れる感触を楽しみつつ返された言葉に「なんか三月兎ちゃんに髭って変な感じやわ。お肌めっちゃつるつるやね 」信じられないと声をあげ、顎先撫でていた指先を今度は頬へと滑らせる。そして目に付くのは彼のホワホワの毛に覆われた兎耳。疼く好奇心に口元をむずむすさせ、「耳触らせて言うたら怒る?」こんな時ばかりは子供の顔を利用し、無邪気な視線を向け。夕焼け色のガラスボールに注いでいた視線は彼の言葉でコスモを閉じ込めたガラスボールへ移される。まさか自分がそんな風に思われていたなど意外で嬉しく、そっと壊さぬようガラスボールを置いた後、喜びのままに彼の腕に一度きゅっと抱き着き”おおきに”とお礼告げた後、するりと腕から離れ、示された材料の方へぴょんぴょんと跳ねるように駆け寄る。「うちのイメージではマゼンタのガラスボールを香水瓶みたいにして、ゴールドの菊座をあしらって、菊座の所にビーズ付けよかな」楽しげな声音でイメージを固めつつ、様々なビーズや真珠、天然石を手に取る。その中でとある材料を見付けては「ちょっとピアスとはちゃうけど、今作りたいの思い付いたから部屋借りてええ?」おりてきたイメージにぱっと振り返っては、熱に染まる頬はそのままに問いかけて)
(何処か楽しそうで暖かそうに家族のことを語られればそれだけで兄弟仲が良く暖かい家族だと言う事が伝わり、"へぇ、"と特徴を聞いては相槌を返して「ウチはキィキィ口煩い見た目も煩い確り者と、日がな一日夢の中にいる鈍臭いのと――僕。仕方ない住人なんだ」今しがた彼女が言葉にした物を引用し業と真似る風な口振りにて喉を鳴らし自身の環境を伝え。冗談の持ちかけから今度はモデルのお願いとされるとその突飛さに頭を捻り「いいよ。ちゃんと給料が出るならね」何のモデルかも聞くより先にあっさりと承諾するものの、べ。と少しだけ舌先を覗かせれば可愛げの無い交換条件を持ち掛けて。顎に触れていた彼女の手が移動すればその動きを追い掛けるべく己の指で今彼女に触れられていた自身の顎をなぞり、信じられないと言われても"男だからね"とそれ以外の説明方法が見つからず顎に添えていた手をスルりと下し、無邪気な雰囲気で耳への要望を伝えられると無邪気な眼差しを数秒ばかり見返して見詰め「__怒る、って言えば触らない?」に、と意地悪に口角を持ち上げて口元に笑みを浮かべるとピクリと折り曲げられる片方の耳を揺らして、とは言え別に意地悪をするつもりは無いようで少しだけ上半身を屈め頭を下せば「いいよ、何も面白くないけど」本来の兎と違いもふもふとした毛が体に有る訳じゃ無く、さしてふわふわとする程毛量が多い訳でも無い自身の耳に注意を載せて許可をし。イメージを伝えた所それは彼女にとって喜ばしい事だったらしい、腕に与えられた刺激によって"おっと"と反射的な短い声を落としてからお礼の言葉に対して頭を揺らし、続いて固まりつつあるのだろう具体的なイメージを聞けば浅く頷いて「さっきも思ったけど、面白いデザインだね。シンプルだけど地味じゃなさそうだし、誰用かわからないけど癖もなさそうだから誰でも喜びそう」並ぶ装飾品を見ればイメージは湧き易く、ゆるりと腕を組めば聞いた感想を伝えて。早速サンプルを作り始めるのかと思いきや、違う物をと伝えられると断る理由も無く「いいよ。インスピレーションは大事にしなきゃ、工具とかはそっちの引き出しでリボンとか飾りはそっち、樹脂や針金は其処の二番目」と何を作るかが分からないためざっくりとした案内になったが何が何処に有るのかを教えて「他に欲しいのが有ったら自由に見て良いし、分からなかったら聞いて。――でも作品に傷や汚れだけはつけないでね」作業台の傍に椅子を一つ引っ張れば"どうぞ"と言葉を添えて)
やっぱ何処のお家も聞いてみたら個性豊かやね。確り者さんは、帽子屋ちゃんのこと?お眠りさんはー…うーん、分からん(同じ調子で返された内容は何とも楽しそうでケラケラと笑い声立てる。何となく1人は想像出来るが、後者の人物は記憶を遡っても思い当たる人物が居らず唸り声をあげ。突拍子なく思い付いた提案、まさか条件付きではあるも受け入れられては驚きに眉尻上がり。更には舌先をべ、と出す仕草が可愛らしく、今日はそれを見れただけで眼福というもの。「ちょ、三月兎ちゃんのモデル料とかめっちゃ高そー。今のうちに目に焼き付けるくらいようけ見とく!」お小遣い程度のお金しか持っておらず、まだまだ彼を一日レンタルするには荷が重い。親指と人差し指で己の目を開くポーズ取って見せては、じぃ、と不躾ではない程度に見詰める。前半の意地悪げな言葉に”うっ”と息を詰まらせ、「怒る、言われたら我慢する、もん」と己に言い聞かせるように呟くも、どうやら揶揄われただけの様子。許可の言葉がおりれば、目の前に差し出された兎耳に瞳光らせ、そっと指先を伸ばす。彼を驚かせないよう、先ずは輪郭を辿るように指先でなぞっては、次いで柔い力でさすりと撫で。手触りのよい天鵞絨のような感触に最早夢中。「ふに、って…ふにってしとる!」この感動をどう表してよいか分からず、その場でぴょんぴょん飛び跳ねては、両手を大きく広げたりと忙しなく動き。取り敢えずコレだけは、と「ホンマ有難う!」と笑み弾けさせてお礼を告げる。ピアスのイメージを伝えた所、どうやらまずまずの手応え。そう言えばアドバイスを求めておきながら、誰宛に贈るものか伝えていなかった初歩的過ぎるミスに、今気付いたとばかりに”あっ”と口開き。「あちゃー、すっかり伝えたつもりでおった!ディーちゃんに渡すやつやねんけど、帽子被っても見えるんがええって言うてたんよ。揺れるタイプなら目立つやろか?」以前伝えられた注文を思い出しながら、彼の意見を尋ねるように問い掛け。傷を付けないように、との忠告の言葉に”はーい”と片手を上げて良い子の返事を返しては、サファイヤ色のストーンや、青みを帯びたパール、光を反射するクリスタル系のラインストーンを選び取る。その他にも何個か様々なモチーフのチャームを持ち、示された椅子に座って。持ってきていた何の変哲もないヘアクリップを出せば、頭の中に思い描いたデザインを紙に書き起こし、ピンセットや接着剤を使用し一つの作品を作っていく。暫くして出来上がったのは、全体が涼やかな印象を受けるブルーとクリスタル色で彩られたヘアクリップ。煌めく月のチャームに、流れるように敷き詰められたラインストーンは星のイメージ、時折アクセントにサファイヤのストーンとパールが混じる。三月兎の輝くような美貌は一見手の届かぬ儚い星のよう、だが接してみれば暖かく見守ってくれる眼差しは夜を照らす月のようだ。青色にしたのは彼の瞳と同色にし、その銀色の髪に映えると思ったから。椅子から立ち上がり、パチリと彼の顔にかかる横髪をそのヘアクリップで留めて)作品作るとき、髪落ちてきたら邪魔ならん?あんまヘアクリップとかは使わんかったりする?
お眠りは眠り鼠、お茶会の会場で殆ど一日を寝て過ごしてるんだ。起きてる時に会えたらラッキーかな(唸り声と共に疑問に覆われたその人物の説明を行えば肩を僅か竦ませて「一度寝たら自分で起きるまで何したって起きないから困ったものだよ」呆れるような口ぶりで瞳を細めつつ一緒に住んで居たって中々交流が取れないその存在に小さく息を付き。目に焼き付けるとその言葉をそのまま表現するように丸く大きな瞳をそれこそ落としてしまうのではと心配になる程大きく見開いて何を見るのかと言えば自分の姿、そんな不思議な体験を笑うなと言う方が無茶な話で。そもそもアリスからお金を毟り取ろうなんて本気で思ってもおらずくすくす。と愉しげに笑い声を零しながら「嘘だよ。何でもかんでも信じるなんて人が良いのか馬鹿なのか、君こそ"悪いおじさん"に騙されるんじゃない?」まじまじなんて言葉じゃ留まらないほど、気を抜けば穴が開くんじゃと思わせる様な視線に耐え切れず彼女の額をイチド指ではじくようにデコピンをして「君、料理とか洗濯とか掃除って何か出来るのある?僕は君のモデルでも何でもやるから君は得意なのを何かしてよ」他の住人ならばアリスから何かを頼まれれば交換条件なんて付けずに喜んで応えるのかもしれないが、生憎と性悪兎にそれは出来ずデコピンの為に向けた手を引っ込めて。まさか耳一つでこんな風に喜ばれるなんて、と触られる間は不思議やら一周回って面白いやら年頃の女の子に撫でられるなんて犯罪みたいだとか誰かに見られでもすれば笑われてならないだろうこの行為に考えを巡らせて。それでも変なのは触れていた手が離れればそれを少なかれ寂しいと感じてしまったことで、弾ける笑顔が余りにも無邪気だったから不純な考えを巡らせたことに罪悪感を持ってしまい片手の甲を口元に宛がい顔を隠して"イエイエ"なんて空返事を行って。送り主を教えられれば直接的に仲が良い訳じゃ無いが共通の友人がいる事でその人物の人柄くらいは知っていて「ならきっと揺れる方が喜んでくれるね、……あぁ、でも、少しだらしないから少し大きめの造りの方が良いかも。折角プレゼントしたのに無くしたとか平気でやりそうだから」帽子を被っている姿が印象的な彼に納得と言った様子で前半を、後半は少し考える様に"ふむ。"と間を置いてから本人がいない所でも依然変わらずに意地悪を告げて。彼女が作業に入れば邪魔をしてしまわない様に口は慎み、自らもまた作業でもするようにクロッキー帳を広げて鉛筆を使いざかざかとデッサンを、どれ程時間が経過したのか分からないが作業に一区切りが付いた様子の彼女を見れば、そのタイミングにて顔周りに被さる髪がクリップにて邪魔にならない様に纏められていて、思い掛けない事に動きが止り瞬き一つがやっとで髪に付けられたヘアクリップを指でなぞり「――なにこれ、プレゼント?」飾が取れてしまわないように一度髪から外して自身の好きな色合いで纏められるクリップを見詰めつつ問いかけて、落としていた視線を上げれば「ありがと、使わせてもらうよ」再び髪を留めれば自身が描いていたクロッキーを一枚破り、「何真剣に作ってるのかと思ったら、自分のじゃないんだ。――こんな顔してたよ」キラキラと輝く装飾品やチャームを目の前にして真剣に作った品が今出会ったばかりの男への気遣いだとは、何度も思ったがやはり目の前のこの子は少し変わっているらしい。なんて失礼な考えを頭に浮かべつつ、それでもだからこそ接していて気が楽だと自覚もしており、今しがた鉛筆を動かし描いていた彼女の似顔絵を"ほら"なんて声を共に目の前に置いて)
そうなん?なんや成長期の赤ちゃんみたいで可愛えね(他人事の気安さからそのように評しては、是非とも起きている時に会いたいものだ、と心の中で呟き。だが続く何をしても起きないとの言葉に、ウズウズと湧くのは悪戯心。若しや寝顔も眺め放題、悪戯もし放題なのでは、と巡る考えにニヤリと口角が上がるばかり。「それって眠り鼠ちゃんが眠ってる間に勝手にオメカシさせてても起きんかな?」わくわくと弾む声音で告げては、仲良くなった暁にはドッキリを仕掛けようと心に決めて。額に感じた軽い衝撃に”うひゃ”と反射的に声を上げ、弾かれた額を片手で覆う。パチパチと瞬き繰り返し、しばし呆然と目の前の彼を眺める。漸く伝えられた内容を理解しては「”悪いおじさん”には着いて行かへんもん。今は”意地悪な兎ちゃん”と話してるだけやから安心やもーん」一種の意趣返しとばかりに彼を”意地悪な兎ちゃん”と称して態とらしく頬膨らませて反論。だが後に続けられた言葉に機嫌を直しては膨らんでいた頬は得意げな笑みに緩み「其れなら任せてや!家事なら得意やで。掃除?洗濯?何がええやろか。あ、三月兎ちゃんの兎耳の毛並み整えたりとかどう?」最後の一言に付け加えたのは自分の願望。先程触れた彼の兎耳の感触が忘れられず、却下を出されるだろうと予想はしつつ、窺うように首を傾げる。顔を隠してしまった彼の様子は大の大人に言う言葉ではないが思わず”か、可愛え!”との感想が漏れる。ピアスに対する的確なアドバイスには、成る程と何度か相槌を打ち。「ふふ、それもそうやね。ディーちゃん本人も失くしてまうかも、言うてたわ。ならちょっとガラスボールは大きめにしよかな」素直に相手の言葉を聞き入れ、早速脳内で訂正を行う。彼の髪に彩りを添える様に己が作成したヘアクリップが輝く様子を見ては満足げな笑みを顔一面に浮かべ。「そう、プレゼント!三月兎ちゃん見てたら何や急に作りたくなってもてん」使ってくれる、との言葉に”へへ”と照れ臭げに肩を竦め、纏められた髪先とヘアクリップを一度さらりと撫でる。どうやら自分が熱中している間に三月兎も何か作業をしていたようだ。目の前に置かれたラフスケッチの中には見覚えのある自分の似顔絵が描かれている。城の中で見た絵画のタッチと同じ描き方で己が描かれていることに感動を覚え。”うわー!”と感嘆符と共に両手で紙を持ち上げ、凄い凄いとその場でクルクルと周り。「なぁなぁ、これうちの部屋に飾ってもええ?」喜びにキラキラと純枠な光を宿す瞳を向ける。しかし、はた、と動きを止めては「あー!うちが先にモデルさせられてもた!」とズルイ、と言わんばかりの口振で抗議し。勿論本当にそう思っている訳ではなく、言葉遊びを楽しむように声音は軽やかで)
どうだろ、応え合わせはやってみなくちゃ分からないや(悪巧みの片棒を担ぐべく彼女の発言を止めずに寧ろ煽る様に持って行き、話題に合わせて瞳を細め少しばかり吊り上げれば意地悪い表情を作り。ホンの一拍前には頬を膨らませてこれでもかと不満を訴えていた筈なのに次には怒りなど遠くに投げたとばかり得意げに輝く表情変化に関心と共に微笑ましさを持ち、言葉に合わせて耳を揺らせば「毛並みなら人に整えて貰わなくても十分綺麗だよ、触ったんだ。知ってるだろ」しっし、と払うような動きで手先を動かしてから数秒の沈黙を、考える様なその間の後に「でも、料理の後になら触らせてあげても良いよ」彼女は何が面白いのかオッサンの耳を触りたがっている、自分も何が面白いのか撫でられるのはそんなに嫌じゃない、利害の一致と言うべきなのか。それは飲み込んで提案をするように言葉を捕捉し。ディーと言えば姿がそっくりな兄がいる、だが彼女が先程からピアスを作ると告げるのはディーだけの名で、咥えて探していたパーツもディーが好みそうなものばかり「ねぇ、ダムはピアスホール作らないの?ディーだけ?」ふと気になったその質問を持ち掛ければ少しだけ頭を傾けて「あの二人って何でもお揃いばかりの無個性なのに、珍しいこともあるんだね」バツが悪い際にはお互いに罪を擦り付けて逃げるのを見掛たのは一度や二度じゃない、そんな彼が態々見分けが付くように何かを行うとは思い難く「それとも、ダムにも作るの?」ならいっそ此方の方が想像に容易いともう一人の名を上げ。この短い時間の中で持っていたヘアクリップを題材に自身に似合うヘアクリップを考えて実際に形にする、そこまでされれば彼女の手先の器用さを認めざる得ず。その器用さやデザインセンスの良さを見つければ帽子屋は黙っていないだろうにと隣接する彼の部屋の方角へ目を向けて。差し出した似顔絵を喜んで部屋に飾るとまで言われれば悪い気がしなく、自己陶酔とばかりに自身の作品を愛しているからこそ「あげるから、使い道はご自由に」と素っ気無い喋りながら表情には無意識に笑みが浮かんで。然し、途中でモデルになっていたと気づいた彼女の文句に微笑程度だった表情はふふ。と息を吹き出す様に声を上げる物に変化して「ほんとだ、君って隙だらけだから」悪びれる様子も無くその事実を認めて、扉をノックする音が聞こえれば"どうぞ"と声をかけ現れた帽子屋に「フラミンゴのとこの妹だって、公園で拾ってきた」と此処に彼女がいる理由を説明し)
帽子屋:ねぇ、ちょっと。誰か来てるの?(完成した帽子を城へ届けていたようで、戻ってきた足取りのまま自室に向かう途中。三月兎のアトリエより話し声が聞こえれば普段誰かを連れて来るなんて事が多い訳じゃ無いこの部屋から発せられる声に興味を持ち、トントンと数回ノックを行ってから声をかけ。許可の声が聞こえてから扉を開き、そこにいた見知らぬ姿、正しくは親近感が有るが初対面と言う不思議な感覚を持つ彼女に「アラ、お客さん。はぁい、アリス」と愛想よく口元に笑みを浮かべながら手をヒラヒラと振り。三月兎の説明により彼女が先日来てくれたテファンの身内だと教えられれば直ぐにピンとして「だと思った、よく似てる」と彼女のことを人差し指で軽く指さしながら納得し。「アタシは帽子屋、お兄ちゃんと会ったよ。アンタはもう会えた?」以前仕事に来てくれた際に話を聞いた彼の兄弟、広いこの国では会えたのだろうかと心配のまま問いかけて「お茶とお菓子用意するからお茶会の場所においで、三月兎は何も出してないでしょ」御持て成しの気持ちが我が邸で一番薄い彼のこと、そんな事を言い残せば笑みを浮かべたまま"あとでね"と手を揺らし準備に向かって)
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