自堕落な男。 2017-03-17 00:05:23 |
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>>38 詩織
……わかったよ。一緒に、行こうな。
(どこまでも素直な言葉が愛おしく、少女の願いを微笑みながら受け入れて。出来ることならずっとこうしてそばにいたい、そんな思いが胸中を占める。だが──特に彼女から不満や悩みらしきものを聞いたことはないものの、ここまで頻繁かつ長い家出を許してきた彼女の実家は、どのように思うだろう。そもそも男の存在を知っているのか、ということにも考えが及んでいて。
とろり、と眠るかと思われたその時、小さく柔らかい指が己の骨ばった指に絡められれば、再び心臓がどくんと鳴る。手を握ったことなどこれまでなく、眠気のためとはいえ彼女からしてきた初めての触れ合いに、自身の中の何かがみるみる渇き、滾るのを覚え。
しかし少女の安心しきった寝顔を見れば、そんなものも飼い慣らし、空いたもう片方の手で彼女の顔にかかった髪をかきあげ、頬をそっと撫でることは容易く。「ああ」と掠れた声で返すと、しばらくそばで静かに彼女を見つめてから、やがて手を解いて立ち上がり、和室をそっとあとにして。襖を閉め、軽く背中を預けながら暗闇に沈んだ廊下で、……明日からおそらく、己は今までのようにいられないだろう、とひとり静かに案じており)
約束するよ。だがな、「無防備だ」って言われたそばから、そんな隙だらけで寝るもんじゃないぜ。──おやすみ、また明日な。
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